#,THE IDOLM@STER,アイマス,アイドルマスター
「やめて…下さい…。なんで、こんな事を…?」
緒方智絵里は泣きながら言う。壁に埋め込まれた半円の形の手錠により、両手を頭の上で交差させて固定されている。
足もまた半開脚で同じように固定されており、こちらも抜け出せそうにない。
格好はバレンタインをモチーフにした露出の多い水着のような衣装だ。
「君のプロダクションのこれからの詳しいイベント計画とか情報…。聞かされているハズだろう?全部教えてくれたら開放してあげる。」
「そ、そんな…。い、言えません…。というか、…知ってどうするんですか…?」
「…口で言うよりか早いし、元よりの目的だしな。実例を見せよう。」
そう言うと男は部屋を出ていった。
部屋は、男が出ていったドアと通気孔しか無い、コンクリートで出来た無機質な部屋である。
広さは9畳くらいだろうか。
男が出ていってから少し経った頃。
「…?甘い香り。なにかな…?」
何となく部屋全体に不思議な匂いが漂い始めた。
「毒ガス……?でも、身体はなんとも無い…みたい。」
そう思うのも無理は無い。変化は微々たるものなのだ。だが、着実に彼女の身体は変化していた。
匂いが充満してから30分程たった頃。
「すごい効果だなこのガスは。」
ガスマスクをした男が、文字どおり大きく様変わりした智絵里の前に立っていた。
「…はぁ…ふぅ…。な、なんなんですかぁ……。これぇ…。げぷっ…。」
二の腕は二回りくらい太くなり、交差された腕にむにゅっと重なっている。
急激に太り苦しいのか息を荒げて呼吸する口元には二重の顎が。
胸は元々そこそこあったが、贅肉により更に大きく膨らみお腹に乗っかる形になっている。
不幸にも一番肉が付きやすい箇所だったのか、お腹は完全にビール腹のようにタポタポと柔らかく膨れて時間と共にどんどん前に競り出していく。
「これはね。吸ってるだけでどんどん太ってしまう驚異の薬なんだよ。一回液体化して胃に溜まるから、これ吸ってる間はずっと苦しいよ。」
拷問目的もあるね。と、飄々とした風に男は語る。
「そ…そんな…。」
「つまりこれをイベント会場で君のプロダクションの楽屋に仕込むんだよ。820プロのアイドル達は出番待ちの間に君みたいなおでぶちゃんになっちゃうって訳さ。楽屋自体をこっちで準備しないといけないし、時間がかかるから、教えてくれないかなぁ。」
智絵里は青ざめる。そんな事になったらプロダクションが追い込まれる。
「…言えません…!絶対…!」
プロダクションには同じアイドルの友達がいる、なによりプロデューサーが困る。たとえ自分がどうなっても、そんな事は智絵里には言えなかった。
「このデブが…後悔するぞ…。」
ボソッと呟くと、あっさりと男は智絵里に背を向ける。
「え…?ちょっと…待って…!」
智絵里の制止もむなしく、男は部屋を出ていってしまった。
「ふぶぅ…。うぷぅ……。く……苦し……。」
あれからどのくらい時間が経ったのだろう。
智絵里は関取のごとく太ってしまっていた。
ほっぺはパンパンに肉が詰まり、目は細まる一方だ。
ぶよぶよの顎は首と一体になってしまい、丸い大きな顔のラインを作る。
胸は数倍の大きさで苦しんで身をよじる度に、ユサユサ揺れる。
巨大なお腹は水を入れた大きな袋のようにダボンと垂れ下がり、膝を隠すくらいまで前に下に膨れあがっていた。
「だ、誰か……た……すけ……。」
智絵里が何を言っても、ドアは固く閉ざされたままだった。