437氏による強制肥満化SS

437氏による強制肥満化SS

 

 

「久しぶりに会って昔話でもしようよ。」高校時代の親友、美由紀からの電話だった。
旧い親友からの誘いともあって、とりあえず承諾したが内心では気乗りしなかった。
というのも、私の夫が美由紀の高校時代の彼氏だからだ。
当時私も彼を愛していたし、その彼と付き合っている美由紀が心底妬ましかった。
私はあらゆる手段を尽くして彼を手に入れた。いや、寝取ったという方が正しいだろう。
当時を振り返ってみると、かなり汚い手も使ったと思う。
私は彼を愛するあまり「友情なんて沢山ある、その中の一つなんか壊れてもいい」と思うようになった。
そして事実、美由紀はそれから私と口をきいてくれなくなった。
しかし今の私にそれを後悔する資格はない。
彼との幸せな生活を手に入れたのだから。

 

待ち合わせ場所の公園の門をくぐると、私を呼ぶ声がする。美由紀の声だ。
久しぶりに会った彼女を見て私は固まった。
向こうから声を掛けてくれなかったら気付かなかっただろう。
彼女は別人のように太っていた。
溶けたアイスクリームのように垂れ下がったお腹、私の3倍はあろうかという二の腕、 カブのようなふくらはぎ、そして肉で溢れんばかりの顔の上にちょこんと眼鏡が乗っている。
その変わり果てた姿は雨上がりの路上の轢かれたヒキガエルを連想させた。
一言だけでもいいから過去の自分の過ちを素直に謝ろうという考えは消え失せた。
心の中から涌き出る嘲笑と憐憫の念を隠しながら、私は軽く手を挙げた。

 

公園のベンチに並んで腰掛け、美由紀が買ってきたシュークリームを食べながらお喋りを始めた。
「この体びっくりしたでしょ?ここまで醜くなるのがんばったのよぉ。」
彼女は自分のお腹を摘みながら屈託なく笑う。
言葉の真意がわからず、きょとんとしている私を無視するように彼女は近況を語った。
さっきから喋ってるのは彼女だけだ。
彼女は今、科学者として働いていると言う。私は驚いた。
高校時代の美由紀の成績を考えれば信じられない事だ。
相当勉強を頑張ったのだろう。
「わたしがんばったのよ。大発明、遂にできちゃったの。」
唐突に彼女は言った。
「何が?」
突然何を言い出すんだろうと思って訊いた途端、私の体から力が抜けた。

 

目が覚めると私は裸でベッドに固定されていた。
機械で囲まれた薄暗い部屋だ。
私の両手足と腹部、そして口からはチューブが伸びている。
目だけでチューブを辿っていくと、チューブは隣のベッドの方に伸びていた。
「気がついたようね。」
隣から美由紀の声がする。
間仕切りのカーテンが開くとそこには裸の美由紀がこちらを向いて寝そベっていた。
彼女の醜いぶよぶよの体にもチューブの先端が埋もれている。
「それじゃ早いとこいくわよ。ご結婚おめでとう!」
周りの機械が唸りをあげる。
………まぶたが重くなってきた。
「新婚ホヤホヤのあなたにビッグなプレゼント。。。」
消えかかりそうな意識の中に美由紀の嬉々とした顔が浮かんだ。


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