88氏による強制肥満化SS

88氏による強制肥満化SS

 

 

「はぁ〜。どうして上手くいかないんだろ」
つかさはそう言って深くため息をつく。
洋菓子店でパティシエ見習いとして修行中のつかさだが、どうも最近壁にぶつかっているようだ。
「あ、西野!こんなところでどうしたんだ?」
不意に声がかかる。
「淳平君・・・」
「近くに寄ったから、どうしてるかなと思って顔を出してみたら店の裏口にいるって聞いて。 なんか落ち込んでるみたいだけどどうかしたのか?」
「うん・・・ちょっとね・・・」
一度は自分の気持ちにけじめをつけた相手とはいえ、完全に好意を捨てきれたかと言えばそうではない。
淳平の一言に、ついつい心の中にとどめておくはずだった悩みを漏らしてしまった。
「最近、ちょっといきづまっちゃって・・・」
洋菓子作りのこと、将来のこと、心の中に鬱積していた思いが淳平を前にして次から次へとあふれ出てくる。
「そっか・・・大変だな。俺にできることがあれば何でも言ってくれよ。」
「ううん、大丈夫。淳平君に話したらなんだか楽になっちゃった。」
「う・・・そうか?無理は体に毒だぞ。遠慮なんかしなくていいんだ。俺も・・・その・・・西野を応援したいから」
淳平が顔を真っ赤にしながらそう言うと、あわてて次の言葉を早口でまくし立てる。

「そうだ!俺、西野のためにケーキ買ってくるよ。忙しくてあんまり他の店に行くこともできないだろ? だから、俺が買ってきてやる。きっと勉強になると思うし!」
「え・・・そんな・・・」
「そ、それじゃっ!また来るから!!」
つかさの返事を待つ前に淳平は顔を真っ赤にして走り去っていく。
「淳平君・・・」
うれしいような、相手に迷惑をかけてしまったような心境だったつかさだが、淳平の「応援したい」の一言を思い出すとなんだか元気が沸いてくるようだった。
「よっし!私もガンバろう!」
すっと立ち上がり再びお菓子作りのために店の中へ帰っていった。

 

「ふぅ〜」
つかさは思わずため息をつく。
「もうお腹いっぱいだけど・・・・・・まだ3つも残ってるなぁ・・・」
つかさの目の前にはケーキが2つ、プディングが1つ。
それから食べ終わったケーキの銀紙やプリンの空き容器がいくつも転がっている。
あの日から淳平は毎日欠かさず洋菓子を届けてくれるようになった。
はじめは自分のことを思って行動してくれることを嬉しく思っていたつかさだが、こうも毎日洋菓子攻めが続くと さすがに堪えるものがあるようだ。
「でも、せっかく淳平君が買ってきてくれたんだし・・・」
そうは思っていても洋菓子を残してしまうと淳平の行為を無下にしたようで申し訳なく、ついつい無理をして食べてしまうのだった。
「よし、残り三つ!頑張るぞ!!」
先ほど完食したケーキの感想をノートに取り終わると残りの3つを退治にかかる。
実際、こうして他店の味に触れることもつかさにとっては良い刺激となっていることは間違いない。
毎晩、淳平の買ってきた洋菓子をお腹いっぱいになるまで食べる。
これがつかさの習慣になりつつあった。

 

「ふぅ〜」
つかさはまたもため息を・・・といっても大きく息を吐き出しただけだ。
思い切りお腹を引っ込めてスカートのホックを止め・・・ようとした。
「うぅ〜っ」
どんなに引っ張ってもスカートのホックはあと1センチのところで止まってしまう。
数週間前までは存在しなかったウエストの贅肉がそれを邪魔しているのだ。
かつてはすっきりしていたウエストは今ではたぷたぷした肉が付いてしまっている。
「はぁ・・・太っちゃったなぁ」
当然といえば当然の結果である。
3食しっかり取った上で店で洋菓子の味見、その上就寝前の洋菓子の大量摂取。
これで太らない方が不自然といえる。
つかさは恐る恐る体重計に足を伸ばす。自覚はあったものの恐ろしくて全く測っていなかったのだ。
かつての体重を大きく超えて体重計の針が止まる。
「ごじゅ・・・52Kg・・・!」
前に測ったときは45kg。7Kgも増えている。
目の前の現実に体重計が壊れてないか、目盛りがづれてないか必死に探すつかさ。

むなしい逃避をやりつくした後、残っているのは太ってしまった自分と、それでも冷蔵庫には淳平ケーキが待ち受けてるという現実だった。
「はぁ、やばいなぁ・・・」
ふと、振り返るとそこには姿見に映った自分の姿が見える。
顔つきこそあまり変わってないものの、1回りは太くなったであろう二の腕。
パンツの上に肉が乗っかってしまっているお腹。
お尻から腿にかけてはぷよぷよした脂肪が付いてしまったのがはっきりとわかる。
(見なければ良かった・・・)
と思ったが、それが受け止めなければならない現実なのだ。
(明日、淳平君にケーキのこと断ろう。そうじゃないとどんどん太っちゃうし・・・)
いつもは淳平の買った洋菓子を食べてからのところをベットに直行する。
(やっぱり毎日ケーキだなんて、それは太ってもしかたないよね)
それまでの生活を省みながら眠りに就こうとする。

 

ぐぅ〜、ぎゅるるるる〜
つかさの部屋に妙な音が響く。
「あぁ〜!もうっ!!」
つかさは自分の腹の音に苛立ちを隠せない。
加えて絶えず襲ってくる空腹感があればなおさらだ。
あれだけ太ってしまったという現実を前にしても 容赦なく空腹が襲ってくるのだから。
実のところ、毎晩の洋菓子攻めでつかさの胃はずいぶん大きくなってしまっていた。
まして習慣だった就寝前の大食いを急に止められたら胃のほうが文句を言ってしまうのは仕方のないことだ。
「今日だけだからね!」
自分にそう言い聞かせて冷蔵庫からケーキの入った箱を取り出す。
「1個だけ・・・1個だけ・・・」
のつもりだったが、気がつくとすべての洋菓子を平らげてしまっていた。
「・・・」
自分の食欲に閉口してしまうつかさだったが、満腹感による睡魔には勝てずその日は眠りについた。

 

「はぁ〜」
つかさが深いため息をつく。
「今日こそ断らなくちゃ・・・」
今日こそは断ろうと思い続けてもう1ヶ月。
結局、それまでの洋菓子攻め生活を改められずにいた。
淳平があのまっすぐな目で自分のために洋菓子を買ってきてくれていることを思うと、それを断るのはつかさにとって大変難しく、心苦しいことであるようだ。
苦しいといえば、つかさのウエストもいっそう苦しくなっている。
かつてはスリムだった体も今ではぽっちゃりといっていいくらい肉がついてしまっている。
二の腕は太く、つかさがクリームをかき混ぜるにあわせてふるふると震えている。
胸は脂肪のおかげでずいぶん大きくなっているがそれ以上に他が大きくなっている。
お腹は今ではしゃがむと段ができてしまうくらいたっぷりと肉がつき、かつてのウエストは見当たらない。
かつては小さかったお尻も分厚い脂肪に覆われ、そこから伸びる太腿同様にずいぶん太くなってしまった。
せめてもの救いといえば、これほど肉がついたのに顔はあまり変わっていないことだが、以前に比べれば丸くなったことは隠せないだろう。
以前はゆったりとしていた店の制服もキツキツで今にもはじけそうだ。
(体重計が怖いよぅ)
おそらく60の目盛りは超えてしまうだろう。

それでも毎晩のケーキ食いを止められないも事実である。

 

(ダメダメ!今は仕事に集中しなきゃ!)
頭を切り替えて仕事に集中しようとするつかさだが、
ブチッ!!
聞きなれない音と共にお腹のあたりの圧迫感が急にゆるくなる。
「やだっ・・・!」
肥大化するつかさについていけずついに制服のボタンがはじけてしまったのだ。
慌ててボタンを探すつかさ。
「あった」
少し離れた床の上にはじけたボタンが落ちている。
店の皆に気づかれないようそっとしゃがみこみボタンに手を伸ばす。
ぶちっ!!
「あっ!!」
今度はスカートのボタンをはじけ飛ぶ。
その拍子にバランスを崩ししりもちをついてしまう。
どすーん!
さすがに、他の店員もつかさの様子に気がついた。

「おまえ、何してるんだ?」
顔を真っ赤にしながら「なんでもありません」と言おうとするつかさだったが、その前に床に落ちたスカートのボタンを見つけられてしまう。
「ははーん、そういうことね。おまえ最近太ったもんなぁ〜。てか、もはやデブだよなぁ。」
ニヤニヤと笑いながら店員が言う。
本来なら言い返してやりたいところだが、あまりの恥ずかしさと情けなさで言葉にならない。
「ボタン・・・返してくださいっ!」
店員の手からボタンを取り返し、店のバックヤードへ逃げ込むことだけが今のつかさにできることだった。

 

「今日は体調が悪いので帰らせてください」
つかさは店長にそういうと返事も待たずに店の裏口に向かう。
恥ずかしさでとても店にいられなかったのだ。
できるならその場でいなくなってしまえたらどんなに良かったことか。
「わっ!西野っ!!」
ちょうど今日の洋菓子を持ってきた淳平と鉢合わせになる。
恥ずかしくて誰にも合わす顔なんかない。まして淳平となるとなおさらだ。
何も言わずに走り去ろうとするつかさ。
淳平もただ事ではないと気づき、つかさを追って走りだす。

 

「はぁはぁ・・・」
体が重い。1歩ごとに胸といわず腹といわず全身の脂肪が揺れるのがわかる。
それがなおさら恥ずかしく、情けない思いでつかさをいっぱいにした。
「まってくれよ!」
不意に腕をグッっとつかまれる。
「じゅ・・・淳平君・・・」
「どうしたんだよ?店でなんかあったのか!?」
息を切らせながら淳平が問い正す。
一人にして欲しかったのに恥ずかしかったのに、なにより洋菓子なんて持ってこなければそもそもこんなことにはならなかったのに。
「どうして追ってきたの!!一人にしてほしかったのに!!大体、毎日ケーキばっかり持ってきて!私こんなに太っちゃって・・・恥ずかしくって・・・」
本当は言ってはいけないことのはずだった。
洋菓子を食べてたのは自分、あくまで太ったのは自分が悪いのだ。
つかさもついとはいえ、言ってしまった一言を後悔した。
「あ・・・その・・・」
慌ててつかさが言葉をつなごうとするが、上手くフォローできる言葉は浮かばない。
しばしの沈黙の後、淳平はつかさをまっすぐ見て言葉を告げた。

「ごめん・・・俺のせいで西野が苦しんでたのなんて気づかなかった・・・。西野のためにって思ってやってたんだけど・・・ほんとにごめん」
「でも、痩せてても太ってても西野を応援するから。俺・・・頑張ってる西野が好きだから。」
顔を真っ赤にして最後は搾り出すようにして言葉をつむぐ。
突然の告白にあっけに取られるつかさだが、やがて言葉の意味を理解し、顔をさらに赤くする。
やがて
「私・・・お店に戻るね・・・」
「淳平君、さっきはひどいこと言ってごめん。本当はすごく勉強になったから」
「だからまたお店に来てね。オススメのケーキを持って!!」

 

「お〜い西野〜!」
今日もたくさんの洋菓子を持って淳平が来店する。
「あ!いらっしゃい、淳平君」
店の奥からまん丸に太った女の子が顔を出す。ぱっと見ただけでも80Kg以上はありそうだ。
「今日の分、この中に入ってるから」
「ありがとう、そうだ!今度の日曜日あいてる?」

 

他愛のない会話を続ける彼女は幸せそうである。    END

 

#いちご100%,西野つかさ


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