492氏による強制肥満化SS

492氏による強制肥満化SS

『ダイエットモデル』

 

 

 

6月、都内某所。

 

梅雨の前に、日々強くなる日差しの中、1人の女性が街なかを歩いていた。
女性の名は玉緒。年齢25歳。
Tシャツにジーンズというありふれたいでたち。

 

(あ〜あ、もうすぐ夏だなぁ。今年はカッコいいオトコ、見つかるかなぁ。
 暑くなると露出度も高くなるし、あと2、3キロ痩せたいなぁ。
 派遣の仕事もちょうど契約切れたし、次の契約までジムでも通おうかな。)

 

玉緒は目のパッチリした割とキレイ系であるが、それ以外はごくフツーの女性だ。
だが、ある出来事をきっかけに彼女の生活は一変する―――

 

 

テナントビルの前を通りかかった玉緒に一人の男が声を掛ける。

 

「ちょっと、お話してもよろしいですか?」
「は、はい?」

 

その男はちょっとイケメン風で、まじめぶった言い方でこう続けた。

 

「私は大田企画という会社で、タレントやモデルのスカウトをやっております、河村という者です。あなたにとって絶対損は無いお話ですので、是非話を聞いてもらえませんか?」
「は、はぁ。」
「実は今、ダイエットビデオのモデルさんを探してまして、もしもダイエットに興味がおありでしたらなー、と思いまして。」
「興味は…ありますよ。ちょうど痩せようと思ってたところなので…。でも、どんなダイエットなんですか?あんまりしんどいのはイヤなので…。」

 

スカウトや、ダイエットという言葉に興味を惹かれ、話を聞く玉緒―――

 

「いえ、決して辛いダイエットではありませんよ。ビデオの内容は、よくあるブルブル震える装置を体に付けて痩せる、っていうやつです。そうそう、EMSマシンのたぐいですね。もちろん、モデルのお仕事としてやっていただきますので、いくらか謝礼もさせていただきますよ。」
「へぇー、お金ももらえるんですか?ちょうど今ヒマだし、考えてみようかなー。」

 

ちょうど派遣の仕事が一段落して収入のなくなった玉緒にとって、痩せることができてしかもお金がもらえる話は、とても魅力的に映った―――

 

「それはよかった。立ち話ではアレですので、ちょっと事務所の方で詳しい話をさせていただきます。事務所はこの近くなんですよ。」

 

河村と名乗った男はそう言うと、玉緒を狭い道の方へ連れ出した。
やがて、2人はこじんまりした事務所へ辿り着いた。

 

10分ほど待たされた玉緒のところへ責任者兼監督の大塚という男がやってきた。

 

「ざっと河村から話は聞いてると思うけど、君にやってもらうのは、ダイエットビデオへの出演だ。テレビショッピングとかでよくやってる簡単なもので、『使用前』『使用後』の映像とか、使った感想を喋ってもらうだけだ。一応、謝礼は10万ほど用意しているが、やってくれるかな?」
「はい、やらせていただきます!」
「じゃ、一応仕事だから契約書にサインしてね。いや、大した事は書いてないよ。」

 

契約書には大体以下のようなことが書かれてあった。

 

・本ビデオはダイエット用商品「トータルEMS」の宣伝用ビデオである。
・本ビデオは商品の「使用前」のシーンから始まり「使用後」のシーンで終わる。
・「使用前の体重」−「使用後の体重」を「目標マイナス体重」とし、出演者が
 自ら宣言して決める。
・出演者にはその成功報酬として、10万円が支払われる。
・各シーンで出演者が喋るセリフは、スタッフが用意する。
・ビデオ撮影中、出演者の衣食住に必要なものは、全て支給される。
・出演者は、「目標マイナス体重」を達成するため、全力を尽くし、
 スタッフの助言には従うものとする。
・その他、宣伝のため、スタッフが演出を加える事があるが、出演者はこれに従う。
・もし、ビデオ撮影の途中で、出演者の都合で、撮影を続行できなくなった場合、
 出演者は違約金として、10万円を支払う。

 

「何か質問はあるかね?」
「要するに私は用意されたセリフを喋ればいいんですね?ダイエット商品のビデオ撮影ってどれもこんなものなんですか?」
「まあ視聴者に本当らしく見えるか、わざとらしく見えるかどうかは君の演技に掛かっているというわけだ。全部のダイエットビデオにセリフが用意されているというわけじゃないけど、我々は効率重視だからね。」
「目標マイナス体重って、自分で決められるんですか?私は2、3キロ体重が減ってあとは部分的に気になってるところだけサイズダウンすればいいんですけど…。」
「その辺は撮影を進めながら一緒に相談しながら決めればいいよ。」
「撮影期間って決まってないんですか?」
「最初から期間を決めてしまうと、変化のないまま終わってしまう場合があるからね。ある程度、見た目にわかるぐらいの変化がないとビデオを作る意味がなくなってしまう。そこは少し仕事だと思って割り切って欲しい。」

 

玉緒は「こんなものか」と思って、契約書にサインして、母印を押した。

 

「じゃ、早速カメラテストに入るからこれに着替えて。」

 

大塚はそう言ってセパレートタイプのスポーツウェアを玉緒に渡した。
色は黒で地味だったが、ブラもパンツも生地の面積は小さく、着用すると体のラインが出るタイプの、いかにも撮影用といったスポーツウェアだった。

 

着替えが終わった玉緒がスタジオに入っていくとそこには大塚、カメラマン、ADらしき男性、それに女性スタッフの4人が撮影の準備を進めていた。
大塚が玉緒に声を掛ける。

 

「まず、採寸からね。カメラ適当に回すけど、気にしないでいいよ。」

 

玉緒は言われるままに採寸担当の女性スタッフに体を任せる。

 

「バスト…84センチ」
「ウエスト…63センチ」
「ヒップ…88センチ」
「二の腕…26センチ」
「太もも…55センチ」

 

玉緒はウエストと太ももが自分で気になってはいたが、それほど太ってはいない。
標準か、むしろそれ以下といったところだ。

 

大塚が口を挟む。

 

「身長は大体160センチぐらいかな。体重を計るシーンはセリフを入れてみよう。こういうビデオは痩せた後のコメントとか感激のリアクションが一番重要なんだ。一度、君に女優の素質があるか見てやる。」

 

玉緒はかすかな淡い期待を胸にする。(私に女優の道が開けるかもしれない…)

 

玉緒が体脂肪計付きの体重計に乗る。
女性スタッフの声がスタジオに響く。

 

「体重は…52キロ」

 

玉緒は、ADが用意したカンペを読み上げる。

 

「えー。ウッソー。何キロ減ったんだろう…。20キロ?信じられなーい…。」
「はーい、カット。オッケー。」

 

大塚の大きな声がスタジオに響いた。

 

「じゃ、玉緒ちゃん、次はこれ穿いて、セリフ言ってみて。」

 

女性スタッフが、更衣室から玉緒がさっきまで穿いていたジーンズを持ってきた。玉緒は言われるままにジーンズを穿いて、ADが出すカンペを読む。

 

「穿けた…。うれしーい。二度と穿けないと思ってたのに…。」

 

「カーット。オッケー、玉緒ちゃん、なかなかよかったよ。女優合格とまではいかないけど、このシーンは採用するよ。じゃ、みんなお疲れ。今日は撤収してー。」

 

玉緒が戸惑った様子で聞く。

 

「え?今のはまだカメラテストじゃなかったんですか?このシーンを採用するって?今から『使用前』のシーンを撮影するんじゃ…?」
「今日の撮影は終わりだよ。それに今撮ったのは『使用後』のシーンだ。」
「え?それってどういう意味ですか?よくわかんないんですけど…」
「誰が『使用前のシーンから撮り始める』って言った?君には今から20キロ太ってもらって、それからEMSマシン使用前のシーンを撮るんだ。あとで編集して、太った君の映像から、痩せた君の映像へ繋げて見せれば20キロ痩せたように見えるだろう?この業界ではよく使われる撮影手法なんだ。」
「はぁ?20キロ太る?そんなの聞いてないですよー。」

 

大塚の顔がこわばる。

 

「『20キロ』って確かに君が言ったんだぜ。大体、2、3キロだけ痩せてギャラをもらおうなんて虫がよすぎるぜ。とにかく君には20キロ太ってもらって、使用前のシーンを撮るまで帰らせない。覚悟するんだな。」
「そんな…。私をだましたのね。52キロから20キロ太って72キロなんて、ゼッ…タイ、無理。違約金でも何でも払うから契約解除よ。」
「ほう、君に1千万円なんてお金、払えるのかね?」
「え?違約金って10万円じゃなかった?」

 

玉緒は慌てて、契約書を見なおすが、玉緒がサインした契約書には確かに「1千万円」と書いてある。
どうやら、契約書に細工がしてあったようだ。

 

「やられた…。」


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