158氏による強制肥満化SS

158氏による強制肥満化SS

 

 

「おやついっこたべたつもり」

 

ちゃりーん。
えっちゃんは豚の貯金箱に100円玉を放り込みます。
おやつを買ったつもり。マンガを買ったつもり。色鉛筆を買ったつもり。
そんな感じでコツコツ貯めてきた甲斐あって、えっちゃんの貯金箱は
ずっしりと重くなってきました。

 

「これくらいあればたりるかな?」

 

「ああ。これなら文字通りお釣りが来らあな。随分がんばったじゃねえか」

 

「じゃあアっくん、やくそくまもってね」

 

「おお、まかせときな」

 

アっくん ――実は悪魔です―― は、にこにこと笑って貯金箱を受け取ります。
そしてさよならの言葉を言うと、アっくんは貯金箱を抱えてどこかへ飛び去っていきました。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「やあやあこんにちは。みつえちゃんってのはお嬢ちゃんのことかい?」

 

「? あんただれ?」

 

突然何もないところから現れたアっくんに、みつえちゃんは目を丸くします。
そんなみつえちゃんの頭を、アっくんはポカリとやりました。

 

「いたっ! なにすんのよ!」

 

「しつけのなってないお嬢ちゃんだなあ。質問に質問を返すなんてまったくなってない。
 もう一度聞くぜ、あんたがみつえちゃんかい?」

 

「……そうよ。くらはしみつえ、6さい! それであんたはだれよ!」

 

「俺は悪魔。親しみを込めてアっくんと呼んでくれていいぜ」

 

「あくま? ふん、そんなのおはなしのなかにしかいないってパパやママがいってたわ!」

 

「んなこと言ったってこうしているんだからしかたないだろう。
 それよりも今日はみつえちゃんにプレゼントを持ってきたんだ。ありがたく受け取るがいいぜ」

 

「え? なになに?」

 

プレゼントと聞いたとたん、みつえちゃんは目を輝かせます。
その様子に苦笑いしながら、アっくんは豚の貯金箱を差し出します。

 

「ほら、お金の一杯詰まった貯金箱さ。みつえちゃんのお友達から預かったんだ。欲しいかい?」

 

「ほしい! ちょうだいちょうだい!」

 

「よし、それじゃ受け取りな」

 

アっくんはぽーんと貯金箱を放り投げます。
みつえちゃんは大喜びでその貯金箱を拾います。
だけど貯金箱を拾ったとたん、みつえちゃんは服が急に窮屈になったような気がしました。

 

「あれ……? なんでふくがきついの?」

 

「そりゃあみつえちゃんが太ったからさ。ほら、これで見てみな」

 

アっくんはどこからか大きな鏡を出し、みつえちゃんの前に置いてやりました。
その鏡には、さっきまでの小柄なみつえちゃんではなく、
ぎゅうぎゅうの鏡餅のように丸々と太ったみつえちゃんの姿が映し出されていました。

 

「ええええええ! なんで!? どうしてわたしデブになっちゃってるの!?」

 

「その豚の貯金箱を貰った奴は、豚みたいに丸々と肥っちまうのさ。
 タダでお金を貰えるわけないだろう? ちょっとは考えないとダメだぜ、みつえちゃん」

 

「さきにいってくれればもらわなかったわよ! だましたわね!」

 

「だははは、悪いねえ。おっと、それとこの鏡にはまだ続きがあるんだぜ。ほら、こうすると……」

 

アっくんは鏡の裏側をカチカチと弄りました。
すると鏡の中のみつえちゃんはどんどんやせ始め、元のスマートなみつえちゃんになりました。
さらにそれだけではありません。鏡の中のみつえちゃんはどんどん成長していき、
あっという間に大人の綺麗なおねえさんになりました。

 

「これが25歳になったみつえちゃんだ。綺麗だろう?
 俺の見立てじゃこの国で一番有名な女優さんになるはずさ」

 

「へ、へえ…… いいじゃない。さすがわたし!」

 

「……が、それもさっきまでの話。今のおデブなみつえちゃんが25歳になると…… こうなる!」

 

アっくんがまたまたカチカチと鏡の裏側を弄ります。
すると鏡の中のみつえちゃんの体が、どんどんふくらんでいきます。
大きなおっぱいはさらに大きくなり、すっきりと細かった腰やおなかはそれ以上に大きくなり、
ぱっちりしていた目はほっぺたのお肉に潰されて糸のようになっていきます。
しばらくすると、鏡の中のみつえちゃんはお相撲さんよりももっと横に大きい
おデブさんになってしまいました。

 

「これが25歳のみつえちゃんの本当の姿。
 だらしなくブクブク肥っちまって、誰からも相手にされず一人寂しい青春を送ることになるのさ」

 

「う、う、うそだああ! わたしそんなデブにならないもん!」

 

「ならないはずだったんだけどなあ。なっちゃうんだよなあ。てーか今も既にデブだしなあ」

 

「もどして! はやくもどしてよ!」

 

「それはできないのがお約束。まあこれからの人生はダイエットに頑張ってくれや。じゃあな!」

 

それだけ言い残すと、アっくんはパタパタと空を飛んでいってしまいました。
残されたみつえちゃんは金きり声を上げながら追いかけましたが、
重くなった体ではうまく走れず、あきらめるしかありませんでした。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「……って感じだったぜ。どうだい?」

 

「サイコー! わたしをいじめたバツよ! いいきみ!」

 

戻ってきたアっくんから事情を聞いたえっちゃんはニコニコ顔です。
いつもいじめられていたみつえちゃんに仕返しができたのだから無理もありません。
ですが、そんなえっちゃんにアっくんは心からすまなそうな顔で頭を下げました。

 

「えーとだな。ここいらであやまらなきゃならないんだが」

 

「え、なに?」

 

「いや、さっき言ったろう? これなら文字通りお釣りが来るってさ。
 本当にこれは計算違いでわざとじゃないんだがよ」

 

「???」

 

「えっちゃん、ちょっと張り切りすぎて金を貯め過ぎてたみたいだわ。
 お釣りが来ちまった。太ってくれ。ごめんな」

 

「……えええええええええええええええええ!?」

 

そう言うと、アっくんはスタコラサッサとそこから逃げ出しました。

 

……その後、丸々とした体になったえっちゃんがどうしたかはアっくんも知らないそうです。
うわさによると、ヤケクソになってみつえちゃんと一緒に女の子のお相撲さんになることを
目指しているとかなんとか……

 

 

おしまい

 

#童話風


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