8氏による強制肥満化SS
『ウェザリアでの2年間』
気象を科学するウェザリアでの生活は、快適すぎるほどに快適だった。
それほど広くはない島に、豊富な食料。周囲は老人の学者ばかり。
さらにナミの言葉巧みな話術により、豪華な部屋と毎日の食事が充分すぎるほど与えられる。
航海士として気象を勉強するには充分すぎるほどに完成された環境である。
ただ一点、うら若き女性には致命的な点を除いて・・・
それにナミが気づいたのは、ウェザリアに来て半年後のことだった。
「・・・ん、しょ!」
ナミは久しぶりに、自分のショートパンツに足を通してみた。
ここに来てからというもの、勉強に集中するため、学者が着ているようなゆったりした服を着ていたのだ。
「ん、ちょっとキツイ?」
チャックもボタンも閉まることは閉まるが、どうにも腰がきつく、跡になりそうだ。
まじまじと腰周りを見てみれば、うっすらと脂肪がのっている。
「ん〜〜〜、これはちょっと気をつけないとマズイかも・・・
ルフィたちと会ったときに、ぶくぶくに太っていたら格好つかないわよね。」
別な場所ではぶくぶくに太っている仲間がいるとは露知らず、ナミにも贅肉を蓄える環境は整っていたのだ。
翌日、ナミは島の学者たちに頼んで、自分の部屋に鏡と体重計を用意させた。
「急にこんなもの用意してどうしたんじゃろうなぁ?」
「ナミさんとて、うら若き女性じゃ。美容には気を使うんじゃろう。」
「その割には、ナミさんはここに来てから、少〜しふくよかになったぞ?」
「そうか?ワシには変わらんように見えるがのう?」
「お前さんは、目が悪いからじゃ。今のナミさんのムチムチ感はたまらんぞぉ。
まぁ、ワシに言わせれば、もっとムチムチして欲しいがな。」
そんなエロ学者たちの会話があったことはさておき、運んでもらった体重計に乗るナミ。
「ウソッ!?4kgも増えてる!!」
以前量ったときよりも、体重計の数字はぴったり4kg多い数を示していた。
「やっぱり少し太っちゃったかなぁ〜」
鏡に写った自分の姿を見てつぶやくナミ。
もともとが細身だったため、今でも充分細い方ではあるのだが、それでも以前と比べれば少しサイズアップしたことは見て取れる。
冒険の毎日に比べ、ゆったりとしたこの半年間で得たものは、気象の知識の一部と、4kg分の贅肉である。
「でもがんばらないと。今は体重を気にするよりも、冒険に役立つ知識を少しでも勉強しなきゃ!
それに冒険していれば体重なんかすぐ減るだろうし、今は勉強に専念よ!」
鏡の中の自分に語りかけるように、決意を新たにした。
それからの毎日は、前にも増して気象の知識を得るために、寝る間も惜しむ勉強の毎日だった。
勉強をすればその分お腹がすく。食事の時間を問わず、小腹が空けばそのときに食事を取るという日々になった。
過剰に取られる栄養は、ゆっくりだが確実に、ナミの体に贅肉として蓄積していった。
「ナミさんはまた最近少し太ったようじゃな。」
「いくら目の悪いワシにでも分かるぞ。今のナミさんのムチムチは最高じゃ。」
「あぁ最高じゃ。ムチムチは正義じゃな。」
日々の食事を運びながら、学者たちは、ナミの体のムチムチ化によるエロ妄想でいっぱいである。
毎日見ている彼らでさえ、ナミの体の増量は大きいものだった。
ナミがウェザリアに来てからちょうど一年。
得た知識と比例するように、彼女の体には余分な脂肪が増えていったのである。
勉強に専念するため、意識的に体重のことは考えないようにしていたナミも、さすがに気になり始めていた。
座っているときにぽっこりと膨らむお腹、シャワーを浴びるときに感じる体のたるみ具合。
冒険していたときに引き締まっていた体は、今やだらしなく脂肪に覆われていた。
いくら気にしないようにしても、そんな自分の体は嫌でも目に入ってくる。
(やだ・・・また太ったみたい)
仕方なく、半年前に量って以来封印していた体重計と鏡を引っ張り出して、体型の確認をすることにした。
「よ、よし!」
意を決して体重計に足を乗せる。
体重計の数字は無慈悲にも、今のナミの体重を正確に指し示す。
「う・・・前は50kg代だったのに・・・」
体重計の示した体重は、60kgの大台をとっくに超え、66kg。
半年前と比べて8kgの増量である。
ナミの身長は169cmと女性にしては高く、胸も大きいため、太っているようにはまだまだ見えない。
だが、ここウェザリアに来てからの1年で12kgも太ってしまったことは、ナミにはかなりのショックである。
「さすがに太りすぎよね・・・。少しは節制しないと。」
最近では、何かをつまみながら勉強することが癖になってしまったナミには、思い当たる節が大いにあった。
柔らかく弾力のあるお腹の肉をつまみながら、食べ過ぎの生活を振り返るナミ。
とはいえ、ウェザリアで得る知識はまだまだある。
ルフィたちと合流するまで残り一年で、その全てを吸収しなければならない。
(ちょっと節制しながらも、今以上に勉強はしなくちゃ!そうだ、現状維持ならいいのよ!これ以上太らなければ問題なし!)
鏡の前で、2度目の決意をするナミであった。
2度目の決意を新たにしたナミだったが、一度ついた大食の習慣が抜けることは簡単ではない。
さすがに何かを食べながらの勉強は控えるようになったが、その分毎日の食事は今まで以上に取るようになった。
(今食べておかないと・・・。勉強中に空腹で集中できないよりマシ!それに間食はしていないんだから、大丈夫大丈夫!)
自分では数えていなかったが、このときのナミは朝昼夕に加えて、夜食を2回しっかりと食べ、1日5食の食事量だった。
砂時計のようだったウェストはみるみる無くなり、代わりに大きな大福のように柔らかそうなお腹へと変貌していった。
たっぷりとしたお腹の脂肪は、両手でつかめるほどになり、顔も肉付きのよい丸顔である。
ルフィとの約束まで半年と迫った今では、体重も70kgの壁をすでに超えていた。
「ん、キ、キツイ・・・」
さらに、ゆったりとした学者服もお腹の出っ張りが、外から見て分かるほどになっていた。
着ているナミとしては、立っているときはまだしも、座っているとかなり苦しくなっている。
(怖くて体重計にも乗れないけど、また太ったみたいね・・・。こんなに服が苦しくなるなんて。)
食事の後とはいえ、大きく膨らんだお腹に目を落とすナミ。
「ナミさん?どうかしましたかな?」
食事の片付けに来ていた老学者が、ナミに声をかける。
「べ、別になんでもないわ。さて、続きをやろうかしらね。」
大きく息を吸い込み、のびをするナミ。その瞬間だった。
ビリッ!!
膨らんだお腹に服が耐えられず、ウェストのところに破れ目が入る。
「え、うそ・・・。」
破れ目からは自分の肉が、まるでハムのように覗いていた。
「ナ、ナミさん!?まさかそんなにお太りになられたとは・・・
あ、いや・・・すぐに太めの方でも大丈夫な服を持って参ります!」
老学者はうろたえるあまり、余計なことを口にしながら、服を取りに走り去っていった。
残されたナミは、改めて自分の体を見回した。
「私・・・太ったなぁ・・・」
老学者が持ってきた大きめの服に着替えると、前の服の窮屈さがウソのようにゆったりしていた。
と同時に、ナミは3度目の決意をする。
(一日も早くここの知識を吸収して、それが終わったらダイエットをしよう!!)
3度目の決意の後、知識の吸収スピードはかなり上がっていた。
膨大な文献を読み漁り、なんとか半年以内に全てを手に入れ、早くダイエットをする。
その決意は本物だった。
ただそれまでの食事量は前と変わらないため、ナミの肥満化は未だ進行していたのであった。
「いや〜、ナミさんもずいぶんと肥えたのう。すっかりぽっちゃりさんじゃ。」
「ムチムチなナミさんも良かったが、ぽっちゃりナミさんも素敵じゃな。」
「服が破れたときのナミさんの贅肉。今でも目に焼きついておるわい。あぁさわりたかったの〜。」
エロ学者たちの変態度も進行していた。
そんな日々がしばらく続き、ルフィとの合流の日までついに一週間となった。
ナミもようやくウェザリアの知識を一通り学び終え、合流に向けた準備を整え始めていた。
ウェザリアから合流地点のシャボンディまでは、数日かかることを考えれば、すぐに出発しなくてはならない。
(結局ダイエットは出来なかったわね・・・)
ギリギリまで知識を吸収することに努めたため、ダイエットはついに出来なかった。
そればかりか、服が破れた半年前と比べてもさらに太ってしまっていた。
2年前のショートパンツは、ボタンがしまることはおろか、ひざあたりから上げることもできないほどだった。
たっぷりとついたお腹の脂肪は、辞書の厚みほどもつまむことができ、太ももなどは前の2倍ほどの太さになっていた。
「かなり太っちゃったなぁ。まさかこんなに贅肉だらけの体になるなんて思わなかったわ。
でも、このたぷたぷしたお肉も、ちょっと気持ちいいかも・・・。」
全身の脂肪をもてあそびながら、自嘲の笑みをうかべるナミであった。
そして出発の前の晩、ナミは最後に体重計に乗ることを決めた。
(たぶん、私はすごく太った。ちゃんとそれを知らなくちゃ。)
今の自分がどれほど太っているのか、知っておくべきと考えたのである。
ドキドキしながら、ナミは足を片方ずつ体重計に乗せる。
2年前に量ったときは54kgだった。
1年前量ったときは66kgだった。
それが今は何kgなのか、その答えが出る。
「は、はちじゅうよん・・・」
ナミの今の体重は84kg。ウェザリアに来てから30kgの増量である。
増量分のほぼ全てが贅肉であり、衰えた筋肉も贅肉に変貌していることを考えれば、立派な肥満体だ。
もしこの世界に体脂肪率があれば、50%を超えているだろう。
「うぅ・・・こんなに太っちゃ、ルフィたちに会いづらいわね・・・」
きっとルフィは爆笑するだろう。
ゾロは呆れるだろう。
ウソップは驚くと思う。
サンジは困った顔をするかな。
チョッパーは心配するかもしれない。
ロビンはたぶん苦笑いだ。
フランキーは気にしない気がする。
ブルックは変わらずパンツを見たがるんだろう。
「・・・でも行かなくちゃ!私は太ったけど、得た知識も大きいのよ!」
2年間暮らした部屋で、4度目の決意を胸にナミは出発した。
後日・・・
メンバーと合流したときに、ほとんどのメンバーのリアクションはナミの予想通りだった。
が、唯一サンジが、異常に喜び、彼がデブ専になったことは、また別の話だ。
#ワンピ,ONE PIECE