1氏その2
「ねぇ、香奈子ちゃんってさぁ、最近ちょっと太ってきたよね?」
「うん、アタシもそう思う。前はすんごいスレンダー美人だったのにね」
「今でも充分キレイだけどねー」
「でも、こないだチラっと見たんだけど、香奈子ってばスカートのホックが破けてたよ?」
「ホントに!?もしかして、見た目以上にお肉がついちゃってるのかな・・・?」
二人の女子高生の会話から、さかのぼること2ヶ月前・・・
香奈子は自他ともに認める、スレンダーな美人だった。
胸はそんなにないが、高い身長(168cm)とほっそりとした外見(53kg)、さらに気の強さで、クラスのアイドル的存在だった。
しかし女子の中には、そんなアイドルをねたみ、にくんでいる者がいることも、また事実である。
表面上は仲良くしていても、腹の中では何を考えているかは分からない、それが女子高生の恐ろしさである。
恵美と里香は表面では香奈子と「友達」していたが、心の中ではいつか香奈子をアイドルの座から引きずり降ろすことを考えていた。ちなみにこの二人も、それなりにかわいい。
そんなある日のこと・・・
「それじゃあ恵美、里香、わたし、ダンス部があるから行くね。」
「うん、がんばってね、香奈子」
「アタシ達、先帰るから」
ダンス部の香奈子を見送ると、教室には恵美と里香の二人きりになった。
香奈子の足音が遠ざかると、恵美が口を開く。
「あー、行った行った。ダンス部のエースも大変ねー」
「2年でセンターとるなんて、大抜擢されて浮かれてるんでしょ。」
「まったく、帰宅部のウチらと違っていい御身分だこと」
「ホントホント、最近ちょーっとイイ気になってるよねー」
「なんか、また告白されたらしいよ?ちょーカッコイイ菅原先輩に。しかもふったんだって」
「ウソォ!マジしんじらんなーい!てか許せなーい!」
「だよねー!ちょっとムカツクよねー」
人の悪口をさせたら、女子高生の右に出るものはいない。
そんな会話をしていると、不意に里香が声をひそめて言う。
「ねぇ、ちょっと香奈子のとこ、イジメちゃわない?」
「ばーか、それが出来れば苦労はないの!
そんなことしたらウチら、クラスのほとんどを敵にまわすことになんだよ?」
「はぁ、そっかー。人気者はツライやねぇ・・・」
おどけて見せる里香を見て、恵美が何かに気付いたように言う。
「あー、あたし、いーいこと考えたぁ!」
「え?なになに?」
「へっへっへー・・・」
悪代官のような笑顔の恵美は里香に耳元でささやく。
それを聞いて、里香は次第に越後屋のような笑顔になっていく。
「恵美、あんたサイコー!天才じゃない!?」
「ふふーん、もっと褒めなさい」
こうして、二人の悪巧みは始まった。
次の日の放課後、恵美と里香は香奈子をマキュドナルドに誘った。
普段、三人で行っているため、香奈子もなんの疑問も抱かずに了解した。
「ねぇ、香奈子、あんた何にするの?」
「んー、ちょっとダイエット中だから、シェイクだけにしようかな?」
「えー!?香奈子ダイエットなんかしてるの!?充分細いじゃーん!」
「今度のダンス発表までに、もうちょっと痩せようかなーって。」
「・・・香奈子ってば、それ以上痩せたら、もともと無い胸がえぐれちゃうよ?
ほら、アタシがおごってあげるから、ビッグマッキュくらい食べなさいよ」
「え!?おごってくれるの?じゃあ、食ーべよ」
というわけで、それぞれ注文し、3人は3階の席に着く。
「あー、クリームとシュガー忘れちゃったー、ごめん香奈子、とってきてくれる?」
「うん、いいよー」
そう言うと、香奈子は席を立ち、一階のレジに向かう。
すかさず、恵美と里香は目で合図をすると、カバンの中から何かをとりだした。
「さすが、薬剤師の娘だね。普通、家に成長ホルモンなんてないよ?」
「うちのお父さん、マッドサイエンティストだから・・・。里香のソレは・・・プロテイン?」
「そっ、運動選手が体重を増やすときに飲むやつ、結構効くらしいよ?ほら、さっさと入れちゃおう!」
二人は香奈子のシェイクにせっせと薬を入れて、かきまぜた。なんとか香奈子が戻ってくる前にもとの状態にもどし、何事も無かったかのように二人でしゃべっていた。
香奈子が戻ってきて、三人で話しているときも、恵美と里香は腹の底では、悪人のような笑顔でにやにやしているのだった。
こうして、香奈子がダンス部に行く日以外はほとんど毎日、マキュドナルドやらギャストやらに出かけ、恵美と里香の「香奈子デブ化作戦」は進行した。
さらに、香奈子がダンス部に行く日も・・・
「ねー、香奈子、アタシ昨日クッキー焼いたんだけど、食べない?」
「へーすごいじゃん、・・・むしゃむしゃ・・・あ、甘くておいしい。」
言うまでもなく、ホルモンとプロテイン入りの超高カロリークッキー(里香制作 一つ500キロカロリー)である。
「でしょー?最近、お菓子作りにハマッててさぁ。結構あるから、持ってって食べてよ」
「うん、ありがとー
(あんまり食べると太りそうなんだけどなー・・・でも食べないわけにはいかないか・・・)」
「また作ってくるかもだから、今度も食べてねー
(うふふふふ、どんどん食べてどんどん太っちゃえー)」
また別の日には・・・
「香奈子ー、なんか1年の男から、プレゼント渡してくれって頼まれたんだけど・・・」
「プレゼント?えー、返しちゃってよ」
「わたしもそう言ったんだけど、『香奈子先輩がこのチョコレート食べてくれなきゃ、
自分生きていけないっす!』みたいなこと言われてさー・・・ウソでもいいから食べてあげてよ」
「うーん、しょうがないなー・・・今度はちゃんと断っておいてよ」
*恵美制作 ハート型のチョコレート(大)2500キロカロリー*
あの手この手で、香奈子を太らせようとしてきた恵美と里香の作戦の効果は、
1ヶ月を過ぎたあたりから徐々に表れてきた。
「あら?香奈子さん、ちょっと太った?」
ダンス部の更衣室で部長である宏美が、香奈子の着替えを見て言った。
「えっ・・・?」
香奈子は内心ギクリとした。
いつもなら「なーに言ってるんですかせんぱーい、先輩の方こそふっくらしたんじゃないですかー?」なんて言い返す香奈子だったが、確かに最近ブラとかスカートがキツイかなー、という自覚があったのだ。
ただ、今まで太ったことなど無かったため、目に見えて太るなんて思っていなかったのだ。
「ななな何言ってるんですか、せせせんぱーい。ふ、太ってなんかないですよー?」
やっとのことで言い返したが、その言葉は分かりやすいほど動揺がこもっていた。
「そーお?なんだか、スカートがキツそうだったから・・・。
ま、あなたはちょっとふっくらしてもいいかもね。
そうすれば、少しは胸も大きくなるかもよ?なーんて」
ケラケラ笑いながら宏美は更衣室を後にした。一人残された香奈子は、呆然とする。
「わたし・・・太っちゃったの・・・?」
その晩、香奈子は風呂場で、鏡に映った自分の姿を眺めていた。
「やっぱりちょっと太ったかな・・・」
自分の身体のあちこちを触ったり、つまんだりすれば、それまでは無かったはずの柔らかい脂肪が
手におさまった。
(よし、体重はかってみよう)
意を決して香奈子は体重計に脚をのせる。ほどなく針は数字を示す。
「58キロ・・・」
世間一般の女性からすれば、標準の体重だったが、それまで太ったことのない香奈子にとっては5キロの増量はショックだった。ただ・・・
「あ・・・でも、胸が大きくなってる?」
昔から太ることはなかったと同時に、胸が育ったこともない香奈子にとって、胸が大きくなったことは太ったショックよりもうれしかった。
(先輩も、ちょっとふっくらした方がいいって言ってたし、
それに胸が大きくなるなら、このくらいは太っても大丈夫・・・だよね?)
香奈子はそう自分の中で決着をつけると、また里香からもらったクッキーを食べてベッドにもぐりこむ。
(あ、でも、さすがにこれ以上太ったらヤバイから、里香のお菓子とかはちょっとひかえよう・・・)
「ねぇ恵美、香奈子ちょっと太ってきたよね?」
「うん、まだやっと標準くらいだけど、作戦の効果はでてきてるみたいね。
これからが本番だよ里香」
「分かってる、たぶんまだ5キロくらいしか太ってないもんね。
少なくとも20キロくらいは太ってもらわないと」
二人は、ぽっちゃりになった香奈子を想像してにやにやした。
翌日の放課後、里香は再びお菓子をたずさえ、満面の笑顔で香奈子に差し出した。
「かーなーこ!昨日もクッキー焼いてみたの!今度はコーヒー味でおーいしーぞ!」
香奈子はとまどいながらもお菓子を受け取ったが、気まずそうに里香に言う。
「あ、うん・・・あのさ、お菓子いつもおいしいんだけどさ、ちょっと控えてもいいかな?」
「えー、なんでー?」
「最近、ちょっと太っちゃってさ、お菓子とかは少し控えようかな、って」
「そんな、全然太ってなんかないよー!むしろ痩せてるってー!」
「そんなことないよー。あ、でもマキュドナルド行くときは誘ってね。
これ以上太りたくはないけど、痩せようっていうわけじゃないから。まぁ現状維持かな?」
「・・・分かった。それじゃ、また明日あたりマキュドナルド行こうか!
(お菓子作戦はこれまでか・・・ま、マキュドナルドでがんばるしかないね・・・)」
「うん!それじゃ、わたしダンス部に行くね!」
香奈子を見送ると、里香と恵美は二人で帰宅する。その途中で作戦会議。
「お菓子作戦はこれ以上はムリだね。無理にあげても、家で捨てかねないし・・・
今度はマキュドナルドとギャストだけでがんばるしかないね。」
「そうだね・・・でも大丈夫、実は新しい薬が手に入ったの。」
恵美は得意そうに、カバンからビンに入った液体をとりだす。
「お父さんに『可哀そうなくらい痩せている友達がいるんだけど・・・』
っていったら、ホルモンとかを加工して作ってくれたの!
これは、太りにくくて痩せやすい体質を痩せにくくて太りやすい体質にするんだって!」
「恵美のお父さんって・・・ドラ○もん?」
「似たようなもんね。とにかく、これとプロテインを飲ませ続ければマキュドナルドだけとはいえ、
結構太りそうだよ〜」
「だねー」
二人は再び、悪代官と越後屋の顔になる。
ちなみに恵美の家は、父が薬剤師兼マッドサイエンティストというだけあってかなり大きい。
家の中には怪しげな機械やら薬やらが散乱している。
というわけで翌日、さっそく香奈子の飲み物に例の薬を混ぜる。
恵美の父が言うには「この薬はねぇ、小さじ一杯くらいずつ飲むんだよ。
それ以上飲み続けると、あっという間におデブさんになっちゃうからね。」とのことなので・・・
(大さじ二杯くらいずつがいいかな?)
(多すぎると、この薬すぐ無くなっちゃうもんね。貴重らしいし・・・)
という、ヒソヒソ作戦会議で決行することになった。
そうこうして、香奈子が戻ると再びとりとめない会話が始まる。
「でもさー、香奈子は美人だよねー」
「な、何を言うんだ、突然。恵美も里香も可愛いじゃん」
「いや、香奈子にはかなわないよー、キレイだし痩せてるしさ」
「そんなことないよ、最近ちょっと太ったもん。
こないだ体重量ったら、2kgも太っちゃっててさー(ホントは5kgだけど)」
「えー!全然そう見えないよ!むしろ痩せてるって絶対。
むしろ香奈子は少し太ったほうがいいよ!(2kg?もっと太ってるでしょー?)」
「そうだよ、女の子はちょっとふっくらしてるほうが可愛いんだぞ?
(5kgぐらいは太ったよねぇ?)」
「でも、あんまり太りたくないよー。あ、胸が大きくなるのはいいかな?」
「香奈子は胸あんまりないもんねー、あ、でもちょっと大きくなった?」
そんなこんなで、時間はあっという間に過ぎ、ダンス部の用事があると言って香奈子は先に帰った。
「香奈子、太ったこと結構気にしてるね。」
「うんうん、2kg太ったっていうのはウソだよねー。
まぁいいや、今におデブさんになっちゃうんだから・・・」
「ねー。香奈子がぶくぶくのおデブさんになるのが楽しみだなぁ」
こうして、「香奈子デブ化作戦」が始まってから2ヶ月が過ぎた・・・
香奈子は、いつものようにダンス部の更衣室で着替えをしていた。
隣りでは部長の宏美も着替えをしている。
「よいしょっと・・・ふぅ〜」
以前にも増してキツくなってきたスカートのボタンをやっとの思いでとめると、床に落ちているベルトをとろうとかがんだ。その瞬間・・・
パチン!
ボタンが弾けた。香奈子は一瞬何が起きたのか分からなかったが、急にお腹のあたりが楽になったのを感じて、だいたいの事情を察した。
しかし香奈子の頭の整理が済む前に、床に落ちたボタンを拾った宏美が、香奈子に答えをおしえてくれた。
「香奈子さん、あなた、ま〜た太ったでしょ〜?」
「え?あ、そ、そんなこと・・・」
香奈子はとっさに否定しようとしたが、宏美の手が香奈子のお腹に届くほうが、若干速かった。
むにょん。
やけに弾力性のあるお腹の肉が、宏美の手の中におさまった。
「か、香奈子さん、ごめんネ。まさか、これほどとは・・・あ、いやいや・・・
わわわわたし、先に行くね〜」
宏美は逃げるようにして、荷物をまとめると更衣室を出ていった。
またも残された香奈子は、自分のお腹を見つめていた。
「これは、ヤバイなぁ・・・さすがに・・・」
その晩、香奈子は再び体重計の前に立つ。また太ってしまったという自覚はあった。
なにせ、それまで持っていた服やらズボンやらが、ほとんど入らなくなってしまっていたからだ。
体重計にのるのは怖かったが、それでも確かめようと、おそるおそる体重計に足をのせる。
「ウソォ!?なんでこんなに太っちゃったの!?」
体重計は60kgの大台を余裕に越えて66kgを指していた。
1ヶ月前から8kgの増量、2ヶ月前から比べれば、13kgの増加だった。
2ヶ月前のスレンダーな体型から比べれば、かなりぽっちゃりした身体は、主にお腹や太もも、二の腕に柔らかい贅肉がついていた。
「ヤバイよ〜、ホントヤバイ。確かに胸も大きくなったけど・・・
これ以上太ったらデブになっちゃう〜。よし!本格的にダイエットしよう!」
香奈子が急激に太ってきたことは、周囲の人間も気付いてきていた。
さすがに10kg以上太れば、隠すにも限界がある。
ただ、顔はあまり変わらないため、スレンダー美人からふくよかな美人という印象になったようである。
そんな中、恵美と里香は、日々太っていく香奈子をわくわくしながら見守っていた。
「香奈子、太ったねー」
「アタシ達の作戦、大成功ってカンジ?」
「でも、まだまだだね。ここまできたら、100kgくらいまで太らせちゃおうか?」
「いいねー。あ、でもさ、香奈子マキュドナルドとか誘っても来てくれなくなったよ?」
「確かに。さすがに10kgも太れば気にするでしょ。
そうだね、こうなったら最後の手段使っちゃおっかな〜」
「え?なになに?最後の手段?」
「里香、放課後香奈子を連れてウチに来てくれる?」
「いいけど・・・。ねぇ恵美、最後の手段おしえてよ〜」
「ふっふーん。それは連れてきてからのお楽しみ。」
放課後、里香は香奈子を連れて恵美の家へとやってきた。
「いらっしゃーい、待ってたよ香奈子」
「どうしたの恵美、急に呼び出したりして・・・」
「いやぁ、最近香奈子の元気がないなぁーって思ってさ・・・それ!」
恵美は突然、手にもっていたハンカチで香奈子の鼻と口をふさぐ。
「ちょっと、何するの!?・・・あれ?・・・急に・・・眠く・・・」
そこで香奈子の意識は途切れた。
「ちょっ、え?恵美、何したの?」
「ただの睡眠薬だよ。ほら、里香も香奈子を運ぶのを手伝って」
「ただの睡眠薬って・・・あ、重っ!!香奈子、かなり重くなったな〜」
言われるがまま、里香は恵美と一緒に香奈子を地下の部屋へと運びこんだ。
香奈子が目を覚ますと、薄暗い地下室だった。辺りには理解に苦しむものが散乱している。
「香奈子、目が覚めた?」
恵美が声をかける。香奈子は声のほうに振り向こうとしたが、身体の自由がきかない。
どうやら両手足をしばられているようだった。
「な、なにコレ?恵美、どういうこと?」
なんとも言えない不安に、香奈子は声を上げる。
「香奈子って、結構重いんだね。ここまで運ぶのに苦労したよ。」
今度は里香の声をかける。
「里香も!?なんで?わたしをどうするの!?」
「それにしても、香奈子太ったねー。さっき体重量ったら、68kgだったよ?
2ヶ月ちょっと前から比べたら、15kgも太ったんだね。」
里香はさも愉快そうに言う。
「香奈子ってば、最近マキュドナルドに誘っても来てくれないんだもん。」
「だってわたし・・・もう太りたくないから・・・このままじゃデブになっちゃうから・・・
わたし、デブにはなりたくない」
何をされるのか分からない香奈子は、半分涙目になりながら、訴える。
「だーめ、香奈子にはぶっくぶくにおデブさんになってもらうんだから〜」
「え!?」
香奈子は驚きで目を見開く。
「さて、それじゃあ始めようか。里香、チューブの先を香奈子の口に入れてあげて」
「はーい、さぁ香奈子ちゃん。お口をあーんしてね。」
「や、やめて!」
香奈子は懸命に拒否するも、手足の自由がきかないため、里香によって強引に口をあけられ、チューブをくわえさせられる。
そして、チューブがはずれないようにバンドのようなものでしっかりと固定させられた。
「さーて、じゃあいくよー?エネルギー注入!」
恵美はそばにあるコックのようなものをひねった。
ほどなくしてチューブを伝い、香奈子の口の中にはどろっとした液体が流れ込む。
「言い忘れてたけどねー、この液体、結構高カロリーなんだよ?生クリームの2倍?3倍?
まぁそんくらいの」
「香奈子、お腹いっぱい飲んでねー」
二人の会話は香奈子の耳にはほとんど届いてはいなかった。
彼女は、次々に口に押し込まれる液体によって、それどころではなかったのだ。
液体は次々と流れてくるので、飲み込むのを拒否すれば、満足に息ができなくなる。
そのため、香奈子は押し込まれる液体を強制的に飲み干さなくてはならない、という過酷な状況であった。
香奈子のお腹が波打ち、またたくまに膨らんでいく。
制服を着たままだったが、服の上からもお腹が膨らんでいくのが分かった。
やがてお腹の膨らみも限界に達し、超高カロリー液が逆流を始めたようなので、ここで恵美がコックをひねり、一度流入をストップさせた。そして、チューブをはずして香奈子に話しかける。
「どう?香奈子。結構飲んだねー。今のでだいたい3〜4キロくらいかな?
こんなにお腹パンパンにして・・・」
恵美はパンパンに膨らんだ香奈子のお腹をさする。
胃の許容量いっぱいにモノをつめこんだため、ずっしりと重く感じられた。
「これ以上詰め込んでも、入らないものは入らないもんね。
このパンパンのお腹の中身が吸収されるのを待とうか。」
「ハァ、ハァ、ハァ・・・な、なんで・・・うっぷ・・・こんなこと・・・げふぅ・・・」
言葉を発しようとするとゲップがでてしまう香奈子に里香も話しかける。
「なんでって・・・香奈子のおデブちゃんになった姿が見たいから?」
「それじゃね、香奈子。お腹がすいたころにまたお食事に来るから。」
そう言って、恵美と里香は地下室を後にした。
翌日、いつの間にか眠ってしまった香奈子が目を覚ますと、昨日はあんなに膨らんで苦しかったお腹が、ウソのように楽になっていた。その代わり、ぶよぶよした脂肪が、香奈子のお腹についていた。
少しでも身体を揺らせば、たぷたぷと贅肉が揺れていた。
「あら、早いお目覚めね。どう?
お父さん特製の薬だから、もうほとんど苦しみは無いと思うけど?」
気が付くと地下室には恵美と里香がいた。
「恵美!お願いやめて!わたしデブになりたくない・・・」
「だめよ、あなたには100kgまで太ってもらうんだから」
恵美が言い放つと、昨日と同じくチューブをくわえさせられ、超高カロリー液を延々と飲ませられた。
昨日より胃が広がったのか、お腹の膨らみも、制服の上からはっきり分かるほど膨らんでいた。
そのうち、制服もパンパンになり・・・
ビリッ!
ついに制服が破けて、その穴からパンパンに膨らんだ香奈子のお腹が顔をだした。
「あっははははは、香奈子ってば、こんなにお腹パンパンにして。制服が破れちゃったじゃない。」
「ほんと。あ、そうだ。あなたの体重おしえてあげようか?
そのベッドには体重計が内蔵されてるんだよ。
うーんと・・・76kgか。もうぽっちゃりを通りこして立派なデブだね」
「たった2ヶ月前は、スレンダー美人がウリだったのにねぇ。もう、20kgも太ったんだ」
「でも、あと数日でもう20kg太ってもらわないとね」
(やだよ・・・わたし、デブになりたくない・・・なりたくないよ・・・)
それから数日間は香奈子にとって、まさに地獄のような日々だった。
お腹は常にパンパンに超高カロリー液で満たされ、満足に動くこともできず、ただ太っていくだけの日々だった。
しかし、その地獄も終わりがきた。
1週間ほど過ぎたころ、恵美の家にある超高カロリー液が底をついたのだ。
「あら残念、もう超高カロリー液が無くなっちゃったみたいね」
「まぁ、いいんじゃない?香奈子はもう立派な巨デブだよ」
「そうだね。また何かあれば、お父さんに頼めばいいんだし。
香奈子、もしわたし達のことを他の人にバラしたりしたら、
あなた500kgくらいまで太らせるからね!」
「・・・・・・」
香奈子の目には、もはや生気はなく、ただの肉塊と化していた。
そこにはスレンダー美人の面影はもう無い。
その後、香奈子が学校に姿を見せたのは、それから2週間後だった。
突然姿を消し、現れたと思ったら、巨デブになってしまった香奈子にほとんどの人間は気が付かなかった。
ただもとが美人だったために、「醜く見苦しいデブ」ではなく、「美デブ」だった。
はじめこそ不安と恐怖でいっぱいだった香奈子も、時間とともにもとの明るさを取り戻していた。
クラスの連中も、思ったよりあっさりと、変わり果てた香奈子を受け入れた。
それでもアイドルの座は他にゆずらざるを得なかった。
要は美人としてではなく、クラスのマスコット的な存在になったのである。
そんなとき香奈子はこう思う。
「もとのスレンダー美人に戻りたい」
と。
さて、香奈子がアイドルの座を退いた以上、新たなアイドルが登場するのは必然。
そこで香奈子と同等の美しさとプロポーションを持つ恵美と里香が登場する・・・はずだった。
結論から言えばアイドルの座についたのは、それまでクラスで目立たない存在だった一人の少女だった。
なぜ、恵美と里香ではなかったか?
香奈子を太らせることに夢中だったため二人は気付かなかったが、マキュドナルドに行ったり、お菓子を作ったり、薬を調合したり(味見)・・・
結果恵美と里香も、その身体には余計な脂身をかなりつけてしまったのであった。
「なんでアタシたちまで、こんなに太っちゃったのよぉー!」
おわる