49氏その2
瑞穂は中学、高校とテニス部だった
膨大な練習によって、どんなに栄養をとっても消化されていた。
ゆえに今まで太ったことがないことは瑞穂の自慢の一つだった。
しかしテニスを引退し、運動量が激減すると、残ったのは大食の習慣だった。
普段の食事では一般男性でも食べきれないほどの量を食べ、間食も欠かすことなくお菓子を貪り食う。
現役時代はどんなに食べても、消化することができたが、今はそうはいかない。
テニス部時代の筋肉は過栄養の結果、贅肉へと姿を変え、瑞穂の身体に脂肪という形で着実に蓄積されていた。
始めのころこそ目立たないが、徐々に瑞穂の身体は肉付きがよくなっていった。
「う・・・きつい。」
着替えをしていた瑞穂を圧迫感が襲った。スカートのホックが締まらないのである。
「おかしいなぁ・・・この間買ったばかりなのに。」
何度もためしてみるが、なかなか締まらない。
そんなとき、ふと目の前の鏡を見た。
瑞穂の全身が映るものだったが、最近見る暇が無かったのである。
久々に見た自分の姿に瑞穂は驚いた。
「え!これが・・・私・・・?」
パンツの上にのったお腹の波打っている肉。
筋肉で締まっていたはずだった、柔らかそうでたぷたぷの太もも。
それにまん丸で2重あごになった自分の顔。
それは全身にまんべんなく贅肉が付き、痩せ気味だったはずの瑞穂の身体が太り気味の体型になった姿だった。
「そんな・・・私、こんなに太っちゃったの?」
今まで太ったことのない瑞穂にとってこれほど太ったことが信じられなかった。
真実を確かめるため、瑞穂はおそるおそる体重計に足をのせる。
・・・針はある数字を示して止まった。
「・・・うそでしょ・・・」
瑞穂のもとの体重は47キロ。そして、体重計が示した数字は63キロ。
なんと16キロの大増量だった。
「今まで、太ったことのない私が・・・この半年で16キロも太っちゃうなんて・・・」