女子高生の憂鬱
秋だ。
秋といえば、スポーツの秋。
我が高校では、もうすぐ体育祭が開催される。
校内では、文化祭の余韻を残しつつ、体育祭をまだかと待ちわびる生徒が自主練に精を出している。
俺の後ろの机では、一人の女の子が憂鬱そ〜うに空を見上げていた。
「なんで、スポーツの秋なのよ! 秋といえば、食欲の秋じゃない!」
そう言った瞬間、
空気が一瞬変わった気がした。
ピリッと裂けたというか、
何かが変わった。
ふと、黒板に張ってあるポスターに目がとまった。
ま、まさか・・・
ついさっきまで、”体育祭”のポスターだったのに・・・
いつのまにか、”校内大食い大会”のポスターへと変わっていた。
俺は、おかしくなってしまったのだろうか?
ちょうど、そばにいた友人に声をかけた。
「なあ、もうすぐ体育祭だよな! おまえは何の種目出るんだ?」
俺は予想外の答えを聞くこととなった。
「は!? お前何言ってんの? 行事って言ったら、大食い大会じゃないか。
まあ、男子生徒は応援だからつまらないけどな。」
え・・・、体育祭はどこにいったのか?
友人は、横で、毎年美女が醜くなっていくこの行事をなんとか廃止にできないのかとわめいていたが、俺には届かなかった。。。
そう、この日この瞬間何かが変わったのだ。
俺はなんとな〜く、校内を散歩してみることにした。
何気ない校内の風景が、違って見えるのだ。
自販機の前で、コーラをがぶ飲みしてる女の子。
食堂で、大盛りラーメンを食べている女の子。
友人に言わせれば、大食い大会に向けた調整中だとか。
この時期には、いたってふつーな風景なそうだ。
しかし、俺にはどうも、信じられなかった。
秋といえばスポーツではなかったのか?
そうこうしているうちに、大食い大会当日がやってきてしまった。
友人の言うとおり、男子生徒は応援に徹するらしい。
というか、女子が食べている姿を見てて何が楽しいのだろうか?
しかし、みんなそれなりに盛り上がっているところをみると、俺も盛り上がるべきなのだろう。
そういえば、校門近くで ”肥満化志向同好会” という腕章をつけた生徒が封筒を配っていた。
俺も、なんとな〜く流れでもらってしまった。
開けてみるとその中には、今年の注目選手(女子生徒)の特集が書かれた新聞が入っていた。
どうやら、この学校では、本格的に大食い大会が 行事 として成り立ってるらしい。
そして、この同好会のサイトから、大食いダービーの投票もできるらしい。
そういえば、あまり伏線を張りすぎると、回収できずに未完で終わってしまう。
あぁ、独り言だ。独り言。
そうこうしているうちに、第一種目が始まった。
第一種目は、ドーナッツ食い競争らしい。
これは、学年関係なくの個人戦だとか。
結構たくさんの生徒がでるらしい。
とりあえず、さっきもらった新聞で注目選手をチェックしてみるか・・・
っていうかどうやって情報集めたんだコレ?
〜 2年 鷲野 、2年 夕日奈 が注目! 〜
と書いてある。
どう注目なのかわからないが、二人を捜してみた。
新聞に特徴が書いてあったおかげで二人を捜すのは、容易であった。
鷲野は、緑色の長髪のオトナびた女の子であった。
対して、夕日奈は、ロリ顔だが爆乳というアンバランスがたまらないかわいい女の子だった。
正反対に見える二人だが、とても仲良さげに並んでいた。
さて、このドーナッツ食い競争は、20分間でどれだけのドーナッツを食べられるかを競う・・・だけではないようだ。
といいつつ、その他の要素が、なんなのかはこの時点ではまだ知らされていない・・・というか、考え付いていないようだ。
どうも、思いつきで書いてる感があり、このまま本当に物語が終わるのか不安になってきた。
物語!? 何のことだ? これは、現実ではないのか?
確かに、あの時 世界が変わったような気はしたが、 これは物語ではない、紛れもない現実なのである。
だから、誰が何と言おうと時は進んでいくし、方向が変わるわけではない。
別に、何かを変える気はもとからないが、このまま、この現実を静観していくこととする。