光陰矢の如し

光陰矢の如し

 

 

カシャッ…カチッ…

 

俺は、仕事場で獲得した『戦利品』をパソコンに入れた。

 

大学に通いながら一人暮らしをする俺は派遣のバイトをして生活費の足しにしている。
毎回工事現場や倉庫に派遣されて、肉体労働をしに行っているわけだ。
今日の仕事は雑居ビルの一室の片付けだった。
事務所や店舗の片付けに借り出されるのはよくあることだ。
大抵は改築や店じまい前の片付けなのだが、今日の仕事は事情が違った。
なんでも、借主が夜逃げをしてしまったらしい。
借主に連絡がつかないので、ついに大家が派遣を呼んで片付けを依頼したというわけだ。
まぁ、背景がどうであれ、仕事の内容自体は変わらない。
部屋は事務所だったようで、俺たちは本棚やらロッカーやら机やらを運び出し、廃品回収のトラックに積み込んだ。
夜逃げしただけあって、書類やパソコンは持ち去られていた。
家具以外で残されていたのは、筆記用具とか、買い置きのコーヒーとか、電話帳みたいなどうでもいい書籍だけだった。

 

俺は、前に消費者金融の事務所の片付けに出向いたことがある。
サラ金の中でも下の下の、ほとんどヤミ金みたいなとこだった。
社長が何かで警察にパクられて廃業したらしい。
今日の仕事場はそこと同じ匂いがした。
繁華街の裏路地にひっそりと建つ雑居ビル。
余計な飾り気のない、質素な事務所。
こういうところを使う人間は決まっている。
社会の裏にうごめく闇の世界の住人だ。

 

「何の事務所だったんですか?」
仕事を指示する大家に聞いてみた。
「いろいろやってたみたいだけど、夜逃げするような会社だからね…まぁ入居人の仕事の内容までにウチは干渉してないからね。」
大家はそっけなく答えた。
この大家は事務所の職種に薄々感づいているはずである。
気づいているから、深くかかわりたくないのだ。
ビルのある繁華街は、そういう町なのだ。

 

仕事中、ソファのクッションは剥がした時、『戦利品』に出会った。
3枚の、ケースに入ったDVDだった。
ラベルはない。しかし、俺には内容の見当はついていた。
俺は過去の経験から知っていたのだ。
前も同じようなことがあった。そう、件のヤミ金の事務所だ。
その時はラベルのないVHSだった。
興味本位でこっそり(いちおう窃盗である)懐に偲ばせ、自宅で再生した。
俺の抱いた『興味』は的中した。
それは、無修正の―つまり『裏』の―アダルト・ビデオだった。
その時の『戦利品』は今でも大事にとってある。俺のお宝だ。
そんなことがあったから、今回もその手の、『裏』の世界だけで出回るAVだと期待したのだ。
もし違ったら、捨てればいいだけのことだ。

 

ちゃっちゃちゃらちゃ〜♪

 

安っぽい音楽

 

「こんにちは。姫野さくらです。今日は…」

 

ビンゴ。やっぱり俺のエロセンサーは正確だった。
早送りして本番シーンを見る。
さらに予想は的中。嬉しいことに無修正モノだった。

 

1枚目は巨乳モノ
2枚目はロリ風コスプレモノだった

 

巨乳もロリもコスプレも大好物も大好きな俺は、にやにやいやらしい笑みを浮かべて、3枚目を挿入・再生した。

 

「没落アイドル崩れ でぶブタ 伊東さおり 生ハメファック 120分」

 

(ん…? 3枚目はデブ専向けか……しかし『没落アイドル崩れ』って、何だ…?)

 

俺はその奇妙なフレーズに、早送りせず、映像に見入ってしまった。

 

「こんにちは…伊東さおりです。…あ…でぶブタの…伊東…さおりです。」

 

出だしは定番のインタビューだった。
カウチにでっぷり太った女が座っている。
自己紹介をする女の顔は暗い。
気が進まないのだろうか? いい演技とはいえない。
画面に写らないところに、インタビュアーである男優がいるらしい。

 

「それじゃ、3サイズの紹介して。」
「はい…上から…110、115、ひゃく…23です…」
「うひゃー、全部1メートル超えてるんだ。おっぱいのカップは?」
「…け、Kカップです…」
「けっ…お兄さんもいろいろなおっぱい相手にしてきたけどKは流石にないよ〜」

 

彼女の視線が一瞬外れた後、彼女は棒読みで答えた。

 

「…あ、どうせデブ乳です…」

 

カンペの文字を言わされたのがバレバレだった。
どうやら、彼女はデブ女優としてAVを撮るのは不本意らしい。
AV、それも裏に望んで出演などしたくないということか。
逆に言えば、出演せざるを得ない状況ということか。

 

「あ、聞き忘れていた。年齢はいくつ?」
「18です…」
「まだ未成年だぁ。肌がピチピチしててかわいいね〜」

 

一瞬ドキっとした。
俺と彼女が同い年だったからだ。
俺がバイトをしながら大学に通っている一方で、同じ18歳が裏のAVに出演している…
人生の数奇さを感じた。

 

「AVは初出演なんだってね。」
「はい…」
「緊張しなくていいからね。」
「はい…」

 

(初めてが『裏』かよ…)

 

「な〜んと、このさおりちゃん、つい最近までちょっとしたアイドルやってたんです。ね、さおりちゃん?」
「はい…ちょっとだけ…ですけど。」

 

女の声が僅かだが震えだした。

 

「駆け出しで、グラビアとか出て…歌とかダンスもやってて…」
「まま、その辺のところは後でゆっくり聞くからね。」

 

そして、場面が切り替わった。

 

「どう?裸になった感想は?」
「やっぱり…はずかしいです。」

 

女は、一枚ずつ服を脱いだ。
服があちこちの肉に引っかかって、脱ぐのが大変そうだった。
本人にすれば恥ずかしいと言ってはいるが、他人から見れば、服の圧迫がない裸のほうが楽そうにみえてしまう。
一糸まとわぬ脂肪の塊。
気をつけの姿勢をした彼女を、カメラが嘗め回すように映す。
腹は妊婦みたいに膨らんだ太鼓腹だし、脚は付け根からくるぶしまでぴちっと脂肪で隙間が埋められている。
Kだという乳房はさすがに驚異的大きさだ。
普段見慣れてないレベルの、違和感ある肉の塊がふたつぶらさがっている。
その不思議な肉の塊には、薄桃色の大きなシミのようなものが貼り付いている。
ようするに乳輪だ。
だが、それは女性の理想像に描かれるようなぷくっとしたかわいらしいものではない。
その対極の姿を示すように、大きい乳輪だった。
胸の肥大とともに引き伸ばされたのか、それとも別の要因によるものなのか。
そしてその恥ずかしい輪の中心にはクレーターがあった。
デブ特有の陥没乳首だ。
18歳の女がでぶの上にこんな乳輪と乳首を持っていては、相当なコンプレックスだろう。

しかし、どんなに彼女が恥辱を感じていても、胸を隠すAV女優などありえない。
それでもやはり胸が恥ずかしいのか、これまた贅肉がたっぷりついた腕を内に寄せて縮こまっている。
しかしその姿勢のせいで、彼女の前面の贅肉―胸、腹、腕―がむにゅむにゅと盛り上がって、より彼女の豊満さを強調していることに、彼女自身は気づいていないらしい。
監督はそれを知っていて、にやにやしながら撮っているに違いない。
一体、体重はどれくらいだろう。

 

「それじゃ、裸になったし、お待ちかねの体重測定といきましょうか。」

 

男が画面の外から、ガラガラと大型の体重計を持ってきた。
カメラの前で体重を量るという演出らしい。

 

ギッ…

 

片足を乗せられ、体重計が軋む。
それだけでかなり針が動く。
そしてもう一方の足を床から離した時、より激しく針が動く。
赤い針が一周し、少し越えた辺りを左右に振れる。
振れはなかなか収まらない。

 

「あはは、100キロ超えてるねぇ」
「………」

 

彼女は顔を赤くし、うつむいた。
表示を、自分の肉体の現実を見たくないようだ。
うつむくことで、アゴの下、首周りにまとわりついた贅肉が、変形してせり出してしまう。

 

「え〜っと…ひゃく…115キログラム! うわ〜すごい! 立派な豚だねぇ! 身長いくつだっけ?」
「158です…」
「158で、115! 普通の女の子の2,5倍くらいあるのかな? すっごいね〜」

 

明るい声で、女をからかう男優。
つまりはこういう、デブを辱めるという趣旨のビデオらしい。

 

「アイドル時代の体重は?」
「45キロぐらいでした…」
「あぁ〜、さすがアイドル、ガリガリだったんだ。それが今じゃ、115キロの大デブ!」
「そうです、元アイドルさくらは今では醜い大デブです…」
「え〜っと、70キロの増量かぁ。ちょっと70って、俺の体重くらいだよ。マジウケるよ!」
「…はい。」

 

ああ、カンペだ、カンペを読まされている。
彼女、デブであることにコンプレックスを持っているのは間違いないのに、演出で自ら「醜い大デブ」だなんて言わされている。
しかし、これはAVなのだ。これから始まるのは、こんなものでは済まない。
これから更に、彼女を犯し、辱めるのだ。

 

画面が変わる。
丸太のような体型の女に、男が後ろからしがみつき、手で女の全身を包む脂肪を撫で回す。
男らしく硬そうな手が白く柔らかい肉を押さえると、手形の凹みが出来る。

 

「あ〜、さおりちゃんのお肉めちゃくちゃ柔らかいよ〜」

 

いやらしい声を女の耳に囁く男。
手の動きはより激しくなる、脂肪の波打ちも、それに従い大きな揺れとなる。
ぷるっ…ぷるっ…ぷるん…そんな擬態語さえ聞こえてきそうだ。
そして男の手は、這うようにして胸の膨らみに迫る。

 

「あ…あぁ…」

 

胸を触られ、かすかな声がこぼれる。
手の動きは、円を描くように優しく乳房を撫で回す。
手の描く大きな軌跡が、男の手の大きさとの対比とあいまって、女の爆乳さをカメラに向けてしめす。
やさしく、やさしく、大きく円の動きが繰り返され…

 

「ひゃあぅ!?」

 

男の手が急に円の中心、乳房の頂周辺、敏感な部分をつまむ。
その桃色の部分を、つまみ、こすり、くすぐる。

 

「あ…ぁぁ…」
「ここがイイ?ん?ん〜、かわいい乳首だねぇ?お肉に埋もれているよ?」
「…ぁ…」

 

手でむぎゅっと絞られた柔らかい乳肉の頂点、乳首の隠れるスリットを、指でくすぐりだす。

 

「恥ずかしがりやのデブ乳首をこんにちはさせようね?」
「あ…あんっ…あっ!」
「もっとおっぱいいじめなきゃだめかな?」

 

手の形はそのままに、乳房を揉む動きが加わり、さらに全体を上下左右に振り回す。
乳房は、ある瞬間には引っ張られ、次の瞬間には押しつぶされた。
ぶにゅん!ぶにゅにゅん!!
ふたつの胸肉が、まるでうどん生地のようにこねられる。

 

「はぁぁ…ひぃぃん…」

 

乳房にありとあらゆる刺激を加えられ、女の顔はどんどん赤く、苦しそうな顔になっていく。
演技では出せない顔だ。
彼女の息遣いに混じり、ときおり腹の肉と胸の肉がぶつかる音が、ぺちんぺちんと聞こえる。

 

たっぷん!たっぽん!

 

「あぁ…ひゃあぁん…」

 

(おいおい、本気で感じてるよ…)

 

「お、出てきた出てきた〜」

 

男の声の後、別のカメラの映像に切り替わった。
彼女の乳房をアップで写している。
男は動きを抑え、乳輪の中心を摘んで、カメラに写るようにした。
男がカメラに写したかったのは、ぷっくりと膨張し、肉から飛び出た乳首だった。
陥没していたとは思えないほど、乳首は大きく、太く、いやらしく充血していた。

 

「いやらしいおっぱいだね?」
「いやぁっ! 恥ずかしいもの写さないでくださぁい!!」

 

そうとうコンプレックスに感じていたらしい。
女は叫び声を上げた。

 

「アイドル時代は、スレンダーなのに胸がそれなりにあるってことを売りにしてたんだってね?」
「は…はい…はぁ、はぁ…」
「水着の下のおっぱいにはこんなにいやらしい乳首があったんだね?」
「違う! …ち、違います…太りだしてから…一緒に大きくなって…」
「醜くなったの?」
「……はい…」

 

コンプレックスを刺激しつつの乳愛撫は、たっぷり10分続いた。


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