820氏その1
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#型月,TYPE-MOON,月姫,メルティブラッド,MELTY BLOOD,メルブラ
「少し入られましたが…、身体の動きは問題ありまれましたが…、身体の動きは問題ありませんね。」
シエルはぼやきつつも奥へと進んでいく。道中、都古を恐ろしい勢いで太らせたあのスライムに襲われたため、その身体は先ほどとは打って変わって丸っこく、大きく埋葬機関の黒衣(セブン)をたわませている。
特に腹部の贅肉は多量についてしまい、大きめのお尻に負けぬ程の太鼓腹になってしまった。
「くっ…。しかし精神的にキますね…!早くかたをつけたいところです。」
二重になった顎と、むくむく膨れた頬のせいで、シエル自身は真剣な顔をしているのに何だか可愛らしい。
洞窟のような道をある程度進むと、開けた空間が見えてきた。
「何やら明るいですね。なんだか遺跡の広間みたいです。」
シエルがその空間の入り口である四角く切り抜かれた穴をくぐると、シャッターのように石で出来た扉が音をたてて閉まってしまった。
「しまった…。閉じ込められましたか。それにしてもここは一体…?」
閉じた扉は固く閉ざされ、シエルの力では開きそうに無い。
「仕方ありません。先に進みましょう。」
その空間は長方形を成しており、シンメトリーに石柱が立ち並び、ちょうど真向かいの奥には、今シエルが入ってきたところのように四角い入り口がある。
「まるで某ホラーゲームの5のようですね。サングラスのおじさんが出てきそうな…。あ、あれは…!」
反対の穴に向かって歩き出したシエルは、その穴の向こう側から来る見覚えのある出来れば会いたくなかった人影を見つける。
向こうもシエルに気付いたのか、その顔を純真な笑顔に輝かせる。
「あっ!シエルじゃん!」
「アーパー真祖!」
真祖と呼ばれた女性。アルクェイドはシエルに向かって駆け出す。
「ちょっ!入っちゃダメです!」
「え?なにー?」
シエルの警告むなしく、アルクは広間に入ってしまう。
すると、先ほどシエルが入ってきた時と同じようにアルクが入ってきた扉も閉まってしまった。
「この…お馬鹿真祖!!!」
アルクは訳もわからず、(・ω・)?顔をするだけだった。
「ねぇねぇシエル、志貴の居場所知ってる?」
「知ってたら私がすでに救出してますよ!」
「そっか??。そうだよね??。」
途方にくれているシエルとは違い、アルクはにぱ??っと答える。
話を聞くに、アルクにも別口で琥珀から招待状というかメカヒスイが送り込まれていたらしい。
「あなたどこからここに入ってきたんですか?」
「んっとね??。うちのマンションの前のマンホールから。今入ってきたばっかりだから、私が来た道を行っても志貴はいないよ!」
「…なるほど。」
どうやら今、アルクの住むマンションの下あたりにいるらしい。
一体琥珀の迷宮は遠野邸地下からどこまで広がっているのかと、不安になるシエルだった。
「それよりシエルさ。」
「なんですか!今どうするか考えているんですけど。」
「いつの間にそんなに太ったの?」
ピシッと。シエルの顔に影がさす。
「カレー食べ過ぎじゃないの???プププー!デブシエル??w」
「…。」
シエルは何も言わずに黒鍵に手を伸ばした。
「次言ったら本気でヤります。」
「今日のシエル怖い…。」
数分後、どくどくと血を流したアルクとせいせいした表情のシエルがそこにいた。
部屋から出る方法を考えて、いったり来たりしている。
「ふむ…。この部屋には先に進むための仕掛けがありそうですね。あなたも、探索を手伝ってもらえますか?」
「仕方ないわね??。私も志貴んとこ行きたいし。オッケー。ちょっと調べてみる。」
「気をつけてくださいね。琥珀さんが作った迷宮です。何があるかわかりません!」
「へーきへーき!私こういうのゲームで見たし!」
言いながら壁に向かって歩き出すアルク。途中、石畳の床の一つを踏んでカチッと、嫌な音がした。
無言でお互いに顔を合わせる。
「今何か踏みましたよね?」
ニッコリと笑うシエルに怒りマークが付いている。
「ななな、何の事にゃ…!?」
「気をつけなさいと言ってるでしょー!!!!!!!!!!」
「ひいぃ!わかったって!で、で、でも喧嘩してる場合じゃないでしょ!」
アルクにそう言われ、我に帰ったシエルは胸ぐらから手を離し、二人で背中合わせに身構える。
「…………あれぇ?」
「何も起こりませんね。」
しばらく二人は警戒していたが、何も起こらないので構えを解いた。
「何も無かったから良かったですがともかく!注意してください…ね!!」
「は、はい…。」
鬼のような形相でシエルに怒られ、しょんぼりとアルクは注意深く探索を始めた。」
アルクがスイッチを踏んでから30分程たったころ。
シエルが壁を調べていると、シエルの反対側の壁を調べていたアルクの方から、
ブチンッ!
という音と
「にゃっ!?」
という声がした。
「どうしました!?」
シエルが急いでアルクの方に向かうと、アルクがホックが破けたスカートを抑えて立っていた。
「いや〜。なんか急にスカート壊れちゃって〜。さっきからぎゅうぎゅう鳴っててへんだな〜って思ってたんだけど。…あれ?シエルなんかまた丸くなった?」
「あなたそれを言うなとさっきも…。…!?」
確かにさっきより身体が重い気がする。今歩いて来る時も、なんだか動きづらかった。
「まさか…。」
見てみれば、アルクも会った時よりだいぶむっちりとした身体付きになっているような気がする。
「スカートは大丈夫!ホック取れたのになんかずり落ちないし!とにかく、さっさと出口見つけよう!」
「え、ええ。」
シエルは返事をして、向き直った。
(気のせいだといいのですが…。嫌な予感がします…。)
嫌な予感という言葉はフラグである。
先ほどの会話から3時間後。
「うぅぅ…。ふぅ…ふぅ、く、苦しい??…。ちょっと…これ…どうなってんのよ…シエル。」
大福餅のような巨体となったアルクが苦しそうにシエルに聞く。
顔はぶにぶにの脂肪でいっぱいになり、猫目を半分くらい頬っぺが細めている。
胸は元が大きいので、3倍。お腹においては元の何倍になるだろうか、計算出来ないくらいの変化だ。
アルクがなんとか一歩を踏み出す度に、大きく前へとせりだしたお腹が太ももに甘えて、形をむにゅむにゅと変える。肌が白いのでマシュマロのようだ。
お尻もダボンと、ロングスカートをセミロングスカートくらいまでずり上げている。
「………?」
シエルからの返事が無い。アルクが振り返ると、ついさっきまでそこにいたシエルの巨体は無かった。
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