820氏その1

820氏その1

前へ   5/6   次へ

#型月,TYPE-MOON,月姫,メルティブラッド,MELTY BLOOD,メルブラ

 

「う…うぐ…。」
ぐうぅぅ〜… きゅるるる…。
腹がなるのはこれで何度目か。
琥珀にされた注射の効果を確認するために、地下罪人部屋に行くとそれはもうまるまる肥えた弓塚さつきが…。
何故そうなったのか聞いてみると、
「あの注射されると、なんかカロリーが数十倍になって、すぐに脂肪に変換されちゃうようになるみたい。」
と言うではないか。
これでは物を食べる訳にはいかない…。せっかくスマートな身体に戻れたのだ。
「お腹… すいた…。」
そんな秋葉の目の前で、
「ん〜 今日も元気だカレーがうまい!」
元気にカレーを食べるシエルが。
「……く、先輩…。あなた人が必死に我慢してるというのに、なんとも思わないのですか…?」
「思いません。」
即答で、ぱくぱくと持参のカレーを食べ続けるシエル。
「ちっ… この女……。」

そう言って睨みつける秋葉の目は、もはやシエルのすくっては口に運ぶ、そのスプーンにくぎづけだ。
「ん? 秋葉さん、欲しいですか?」
ほらほら〜と、シエルがスプーンですくった牛肉を秋葉の前でちらつかせる。
「…う………。まぁ一口だけなら…。」

 

 

〜〜〜20分後〜〜〜

 

 

ダムが決壊すると、貯まった水ですごい勢いになるのは当然である。
それと同じ事がここにも言えた。
「うぅ… こ、こんな身体〜……ゲフッ…。」
我慢の解き放たれた秋葉の食欲は想像を絶する物だった。
「…私のカレーが…。」
うなだれるシエルの前に、3人前は入っていたであろう、からっぽの丸い円筒型の食管が転がっている。
その向かいには
「…ふぅ〜っ… ぷ…。身体が重くて…、苦しい…。」
タタリに憑かれていた時と同じくらいに太った秋葉が、苦しそうに椅子にもたれていた。
「…私のカレー…、私のカレー…。」
シエルが空の食管を見て嘆く。
「また…、こんな身体に…。」
秋葉が巨大な腹を抱え、嘆く。
「なんて恐ろしい薬…。さつきがあんなに太るのも無理はありませんね…。」
顔を青くしてシオンはまじまじと秋葉の身体を見ている。
「…。」

隣で翡翠は困った表情で視線を落とす。
「もっとお腹が減る効能を追加するべきですかね〜。」
「何を言ってるんですか? 翡翠。そんな事をしたらもっと太りやすくなってしまうじゃありませんか。」
「…シオンさん…? 私は何も言ってませんが…。」
「へ…? じゃあ今のは…。」
「私ですよ〜☆」
シオンと翡翠のすぐ後ろに太った割烹着の姿が。
「なっ…! むぐっ!」
「姉さっ… んぐ。」
振り返るやいなや、二人の口にオレンジ色のぷるぷるした肉まんくらいの大きさの物が詰め込まれた。
「もがっ… うっ!?」
シオンと翡翠はすぐに吐き出そうとするが、不思議な事にその物体は自ら口の奥に入ってくるのだ。
このままでは窒息してしまうため、本能的に二人は飲み込んでしまった。

 

「ふぅ… 気持ちの悪い食感でした… 一体今のは…? それより琥珀は…。」
シオンは琥珀を探す。
「どこに行ったのでしょうか…。」
翡翠もお腹を押さえて辺りを見回すが、すでに琥珀の姿はなかった。
「またいなくなってしまったか… 仕方ない。彼女は今タタリの力を得ています。翡翠には少し危険なので、私と代行者、秋葉で琥珀を探してきます。」
「はぁ… はぁ… はい…。わかり、ました…。」
「翡翠…? どうかしたのですか?」
「いえ…大丈夫です…。」
そう言う翡翠はなんだか具合が悪そうだ。
「…なにやらさっき食べさせられた物が関係してそうですね…。翡翠はここで休んでいて下さい。」
「は… はい。うっ…!」
ぶくっ!
「なっ…! 翡翠!?」

 

翡翠の顔が丸くなる。
「これは…。やはりさっきのあれは…。」
ぶくぅっ!
翡翠の身体全体に肉がついて膨らみだす。
「身体が… あ、熱いです。」
ぶくぶくっ! ビチッ… ミチッ…
腹周りに脂肪がついてエプロンがきつくなってくる。
「う… うぅ…。」
身体のラインがわかりにくい翡翠の服でも、十分わかるくらい太ると翡翠の膨張は止まった。
「はぁ…はぁ…、止まり、ましたか。」
「大丈夫ですか!? 翡翠!」
「えぇ…、異常に太ってしまっただけで、体調は正常です。」
胸も脂肪で大きくなったが、それ以上に丸くせり出したお腹を邪魔そうにしながら翡翠は手近な席についた。

 

「なんで翡翠さんまで太ってるんですか…。」
数分後、ショックから立ち直ったシエルが翡翠を見て驚愕と共に、あきれたような声をあげた。
「なんだかそこの錬金術師も、さっきよりもっと太っている気がしますし…。」
「う…、まあ確かになんだかさっきから、身体がさらに重くなったような気がしてはいたのですが…。」
そう。同じゼリーを食わされたシオンも多少ながら太っていた。
「それが… かくかくしかじか…」
「なるほど…。新たな薬品でしょうか…。全く、厄介な人にタタリがついてしまいましたね…。」
はぁ〜… と、シエルが溜息をつくのと同時に、廊下からスピーカーで響くような声で
「そうで〜す☆ さっき翡翠ちゃん達に試食してもらった物こそ、新発明! 超高カロリーかつ、超高速で体脂肪に変換させる成分を多く含むゲル状薬品、スライム君XLです!」
「この声はっ…! 琥珀! そこにいるの!?」
秋葉は声をたどり廊下に飛び出る。それに続き、シエル、シオンも廊下に飛び出す。
しかしそこに琥珀の姿は無く、
「残念… そこに私はいませんよ秋葉様〜。」
そんな琥珀の声で話すのは廊下にたたずむ一体のメカヒスイだった。

 

「くっ…! 煩わしい! どこにいるの!? 琥珀!」」
「見えますか〜? 秋葉様〜?」
「ん?」
よく見るとメカヒスイの胸部がモニターになっていて琥珀が映っている。
「なっ…! そこはどこなの!? 琥珀!」
「まぁまぁ落ち着いて、これを見て下さい秋葉様。」
カメラが琥珀から右にズレていく。そこには、
「…に、兄さん!?」
「遠野くんっ!」
「志貴っ!!」
ベッドに拘束され、眠る志貴の姿が。
「で、超ありきたりですが〜、最初に私のところにたどり着いた者に、志貴さん一日占有権(本人の意思関係無し)を与えます!」
「な、なんだってぇ〜!」
見事にハモる三人。
「しかし! 私の元に来るまでには、数々の罠が…! それでも来るという勇気があるのなら、そのメカヒスイちゃんの下にある琥珀の地下ダンジョンの入口に入るが良い!!」
しばし、三人それぞれ思い思いに、志貴との甘い時間を妄想し、そして。

「「「兄さん・遠野くん・志貴は私の者です!!」」」
迷いもせずに三人ともダンジョンに入って行った。
「言い忘れてましたけど〜、志貴さんに関係してる女性陣全員に招待状出しておきましたんで、参加者は皆さんの予想以上になるかと…。ってもう誰もいないですね…。」

 

「ぜぇ… ぜぇ…、琥珀… 私に黙って… 屋敷の地下に…、こんな場所つくってるなんて…。」
すでに秋葉達が中に入り、走り出して10分。
石畳と石柱、石壁で出来た遺跡のような通路がずっと続いていた。
「予想以上に…、広いですね…。…はぁ… はぁ…。」
秋葉とシオンが一歩踏み出すたびに、二人の巨大な胸(シオンのみ)と巨大なお腹がだっぷんだっぷんと大きく上下に揺れて、とても走りにくそうである。
「…せ、せめて… 痩せていれば… こんなに長く感じては…、いなかったと思うのよ… 私は… はぁ… はぁ…。」
「えぇ… そうですね… 代行者なんて… すでに… 見えません…。ぜぇ… はぁ…。」
暗い通路の先を見てもすでにシエルの姿は見えなかった。
「あの女… 痩せてるからって… 調子に… 乗って… 待ってなさい… 今に追い付いて… あげます…。」
しかし、秋葉達がシエルに追い付くのはずっと先のようだ。

 

「なんですか…。あれは。」
シエルはちょっと困っていた。通路を走り抜け、ようやくたどり着いた最初の部屋。
その部屋の中に、ソレはいた。
「あれが、スライム… ですか…?」
まるで自分の意思を持っているかのように、それらは部屋を動き回っている。
「ん〜、とりあえず気付かれないように部屋を抜けましょう。」
部屋の壁をつたってシエルは反対側の部屋の出口を目指す。その時、
「うわっ! あれ何かな? もしかしてスライム!? ドラ○エみたい!」
シエルが目指していた出口からひょっこり顔を出した女の子が一人。
(あれは…! 都古さん!? なぜここに…?)
シエルは気付かれなかったが、さっきの大声で都古は気付かれたらしく、スライムの一体が都古に近づく。
「来たな〜 スライムめ! おとなしく経験値よこせ! てやぁっ!」
都古お得意のなんちゃって八極拳が炸裂!と思いきや、
「むぐぅっ!」
予想外の素早さを見せたスライムは都古の攻撃を避け、都古の口に飛び込んだのだ。
「うぐ… うぷっ! げふっ…。」

あっという間にスライムに、体内に入り込まれてしまった都古の身体にすぐさま変化が現れる。

 

「う… 身体が変。なにこれぇ…。」
ぶくっぶくぶくっ…
元からちょっと丸めだった顔に肉がつき、更に丸くなる。
身体もぶくぶくと脂肪で膨らみだし、服がビチビチ音をたてる。
「いや… いやぁ…。」
ぶくぶく、ぶく!
それでもなお都古の身体は膨らみ続け、ついには服のボタンが下から半分はじけとび、
贅肉でたぷんとしたお腹が顔を出した。
「…うえぇ… こんな身体ヤダよう…。」
ようやく身体の膨張は止まったが、あの身体からするとすでに70キロはあるだろうか。
そしてそれを見計らって残り2体がいっぺんに都古の口に飛び込む。
「いやああぁぁむがっ、むぐ、ん、うぷっ…。」
ぶく… ビチ… パンッ!
ボタンがまた一つ跳ぶ
ぶくぶく… パンッ!
もう服が服として機能しなくなった頃、ようやく都古の膨張が止まった。

「うぅ〜… ゲプッ…。ぜぇ… ぜぇ… お腹が邪魔で前が見えないよ…。」
壁にもたれ掛かるように座ってるため、膨れ上がった胸と腹が邪魔して前が見えないのだ。
(…くっ、なんて恐ろしい生物兵器…。都古さん… 助けられずすいませんでした。)
シエルは自重で動けない都古を部屋に残し、先に進んだ。

 

 

前へ   5/6   次へ


トップページ 肥満化SS Gallery(個別なし) Gallery(個別あり) Database