415氏その1

415氏その1


#ドラゴンクエスト2,ドラクエ2,Dragon Quest U,DQU

 

・プロローグ
オークと言う種族は日蔭者である。
力では巨人に及ばず、身軽さでは魔獣の方が圧倒的に有利。
獣人と言うだけあって知能は人間並みに有るのだが、そもそもワンマン体制のカルト宗教団体では、歯車にすぎない兵士の頭などむしろ空っぽの方が喜ばれる。
といった具合である。
誇れるのは、強い食欲と性欲に支えられた繁殖力の高さ程度だろうか。

 

『てな訳で、オークの地位向上のためには魔法を身につけるしかないと思うんだが、
どうかオーク!』
『どうか!って言われてもオーク…』
『俺、このあいだ人語検定おちたばっかだしオーク…』

 

悲痛な沈黙、それが現実だった。
何せ人間並の知能である。
生まれてこの方、こん棒を振り回して、女と見れば種族も確認せずに犯すだけの生活を送ってきた彼らに学など有るはずもなかった。

 

『ま、まて。まだ慌てるような時間じゃないオーク!』
『発想を変えてみるオーク!えーとほら、例えば人間にならって俺たちも
数で勝負するとかオーク!』

 

再び沈黙、何と言ってもオークである。
ギリギリ人間並の知能と、目を見張る繁殖力を備えているのだ。

 

『『それだ―――っ!』』
『え?』

 

歴史は語る。
今日のオーク族の繁栄を支える豚口管理システム、すなわち、種族転換術を利用した繁殖家畜の豚工生産は、暗黒時代を生きた3頭の賢者によって考案されたと。
オークならば子豚でも知っている歴史的偉業は、間取りの最後に押しつけられた、小汚い突きあたり部屋で幕を開けた。

 

・一章
その少女は焦っていた。
理由は単純、周辺の危険度に比して、連れが頼りないのである。

 

「薬草うめぇ。」
「ホイミー」
「ちょっと!なに二人して回復してんのよ!」

 

彼女の名はアイリン。
世界征服をたくらむ大神官ハーゴンを討伐すべく、何を血迷ったのか、たった三人で送り出されたロトの子孫の一人である。
チャームポイントはウェーブのかかった紫色の髪。
チーム内でのポジションは魔法使い。
ただし、今はただの的である。

 

『ぬおぉぉぉっ!イノシシなめんなオーク!』
「薬草超うめぇ。」
「あーMP切れたー」
「うわぁ、勝てる気が全くしない…」

 

妙にしつこい人面樹にMPを削られたのが災いした。
MPの無い魔法使いなど無残な物で、回復の手間を増やさないために身を守っているのが精いっぱいである。
その間に仲間二人が敵を倒してくれれば良いのだが…

 

『俺はこんな所で死ぬ男じゃないオーク!くたばりやがれオーク!』
「薬草うますぎる。」
「なんの、今宵も僕の鉄の槍は血に飢えておるわー」
「ッ!?きゃあっ!」

 

所詮は急増パーティと言うべきか、連携がまるでなっていない。
接近戦の要がかすり傷に薬草を使いまくったかと思えば、自称魔法戦士は唯一有効打を与え得る魔法力を早々と使いはたしている。
既に体力の限界だったアイリンが防御を崩され、倒れたことにも、誰も気づかなかった。

 

「…」
「あーれー」
「ああっ、すけさん!応答しろ!すけさーん!」

 

返事が無いただの屍のようだ

 

「…」
「きょ、今日はこの辺で勘弁してやらぁ!」
『え、ホントに?いや、実は俺そろそろヤバかったんだオーク。引き分けにしといてもらえると助かるオーク。』
「…」
「おぼえてろ!お前ら魔物の心に隙がある限り、俺は何度でも現れるからな!」
『マドハンドに気をつけて帰れよオーク。』
「…」
『あれ?あいつら忘れ物してったオーク。』

 

弱小パーティは逃げ出した。
無力な魔法使いただ一人を残して。

 

・二章
『お前ら、よろこべオーク!』
『何事オーク?』

 

喜び勇んで帰ってきたのは、先ほどまでロトの子孫達と死闘を繰り広げていた魔物である。
相変わらず立地のよろしくない詰め所では、二頭の仲間が暇を持て余していた。

 

『例の計画の素材がみつかったんだオーク!』
『早ッ!昨日の今日で見つかるなんて手抜きを疑うオーク!』
『いやいや、それが見て驚けオーク!』

 

そう言うと、魔物は肩に担いでいた少女を抱きかかえ、自慢げに見せびらかした。

 

『あああああーっ!そ、そいつはーっ!』
『し、し、し、指名手配中のアイリン王女だオーク!マジ危ねぇオーク!返して来いオーク!』
『大丈夫オーク!MPが切れてるから安全だオーク!』
『そんなもんとっくに回復してるに決まってるオーク!噂じゃイオナズンまで唱える鬼女って…関わり合いになりたくねえオーク!』

 

魔物たちの不安とは裏腹に、紫髪の少女は一向に目覚める様子が無い。
たしかに魔法力自体は十分に回復していたのだが、この遅れが彼女の運命を決めた。

 

『とにかく!目覚める前に処置するオーク!』
『そ、そうだった!呪文さえ封じちまえばこっちのもんだオーク!』

 

バタバタと大慌てで暖炉に火をおこし始めるオークたち。
それから、さらに一時間ほど経っただろうか。
とうとうアイリンが目を覚ました。

 

「う…ん…」
『よっしゃ、できたオーク!俺が押さえてるから、早くやったれオーク!』
『おうよ!やったるオーク!食らえオーク!』
「ん…もう、いったいなんのギャアアアアアアアアアアアアッ!」

 

予期せぬ激痛に、アイリンは一瞬で覚醒させられた。
みれば、全裸に向かれた腹に、赤々と燃えるヤキゴテが押し当てられている。
それは全く彼女の理解を超えた光景だった。

 

「な、何っ!?痛い!痛いぃぃ!あああああああーっ!」
『うわあああ!暴れ始めたオーク!』
『怖いオーク!こっちに向けるなオーク!』

 

のたうち回るアイリンの体に、やがて劇的な変化が起き始めた。
引き締まった腹が目に見えてたるみ、ささやかに膨らんだ乳房が、振り回されるたびに伸びて膨らんでゆく。
顔のむくみも、涙のせいばかりではないだろう。

 

「うぐぐ…よ…よくも!」
『ひえぇ!俺は悪くねえオーク!俺はただ命令されただけなんだオーク!』
「い、痛…イオナ…ズンッ!」

 

しかし何も起こらなかった。
魔法力やレベルの不足ではない。
呪文の完成と同時に焼けただれた皮膚が発光し、魔法力を吸い取っていたのだ。

 

「え…?」
『成功だオーク!これで勝つるオーク!』
「呪文が…どうして!?」
『ゴチャゴチャうるせぇオーク!俺たちゃ弱い奴には強いんだオーク!』

 

備え付けの姿見がアイリンの目に入った。
赤くはれあがった皮膚の中心に、くっきりと六芒星の焼印が押されている。
しかし、彼女を打ちのめした物は、それではなかった。

 

「えっ…?なによ…これ?」
『ふん、少しは見られる体になってきたじゃねえかオーク。』
『でもまだガリガリで鶏がらみたいオーク。マジキモいオーク。こんな女とやりたくないオーク。』

 

鏡の中の女は早回しのようにブクブクと贅肉をまとい、急激に肥大していく。
小さな魔法陣にプールされた魔法力が周囲の皮膚に流れ出した直後、破裂するように量を増した腹肉が腰までこぼれ落ちた。

 

「い…いや…!」

 

尻がむずむずする。
かつて獣と化した経験が、拒む心を無視して、その感覚の正体を教えようとしていた。
反射的に尻を押さえた拍子に、張り詰めた乳房がダラリと形を崩す。
動かしてもいない足が触れ合い、彼女に自らの体温を伝える。

 

「いやあああああああああ!」

 

顔を覆う手が、文字どおり目の前でブヨブヨと膨らんでゆく。
そこで、アイリンの意識は途切れた。

 

『むむむ、さすが雌犬経験者。豪快な変形っぷりオーク。』
『でも、こんなに急激に変わると餓死の心配があるオーク。棚のおやつ出してくるオーク。』

 

ドサリ、とは鳴らなかった。
膨れ上がった脂身がクッションとなり、湿った音を立てる。
倒れ伏した体はなおも肥大を続け、変化が収まるころには、高々と突き出された尻が重力に屈して二段に分かれていた。

 

・三章
アイリンが落ちていた時間はそう長くはない。
やけどの痛みと、それさえも霞む強烈な飢餓感が、強制的に彼女の意識を引きずり戻した。

 

「う…お腹…すいた…」
『あ、起きたオーク。とりあえず何かおなかに入れるオーク。』
「…食べ物…」

 

差し出された肉を受け取り、何の疑問もなくかぶりつく。
ひと切れ、またひと切れと口に運び、ロクに噛みもせず飲み込むたびに、垂れた皮膚に中身が充てんされて行く。
カロリーを得て、肥大化が再び始まったのだ。

 

「た、足りない…!お腹すいた!お腹すいたよぉぉぉぉ!!」
『まだまだ有るオーク。たんとお上がりオーク。』
『さっきからお前ばっかりずっこいオーク!俺も餌付けしたいオーク!』
「あはっ、おいしいっ!これ、おいしいよぉ!」

 

わけも分からず差し出される食べ物に片端からかぶりつくアイリン。
しかし、食べても食べても一向に空腹は満たされない。
それも当然だった。
食べるスピードに負けず劣らず、凄まじい勢いで、だらしなく弛んでいた体が張り詰めていたのだ。

 

「ふひっ!おいひ…はっ…はむむ…!!」
『こりゃすごいオーク。大した食べっぷりオーク。』
『すぐにお代わりも来るオーク』

 

アイリンは風船を繰り返し膨らませるように、弛んでは膨れ、弛んでは膨れ、を繰り返し、買い出しに行った魔物が戻ってきた時には、小山のような肉の塊が床に這いつくばって食べ物を漁っていた。

 

「お、おいし…ぶひ…ぶううぅ…」
『ただいまオーク。おかわり沢山持ってきたオーク!』
「ぶひぃぃぃ!食べ物ぉ!」

 

今のアイリンに思考能力など無い。
ただ体の発する危険信号に従い、ひたすらに破滅への道を突き進んでいた。
ガツガツと肉を食いちぎり、芋を頬張り、果物を齧り、ついに無限とも思われた食欲に衰えが見え始めた頃、ほんの僅かに回復した理性が、彼女を現実に引き戻した。

 

「はぁ、はぁ、おいし…あ…?」
『ん?どうしたオーク?』
「魔物!?ここは…なんで私、こんな所…え…?わ、私の体ぁっ!?」

 

この部屋に連れ込まれてから、まだ3時間しか経っていない。
その間に、彼女の体はオークどころかギガンテスと遜色ない大きさにまで膨れ上がっていた。
直前までの暴飲暴食を覚えているだけに、悪夢と称した現実逃避すら許されない。
泣き叫ぶ彼女の背後に、買い出しに行っていた一頭が近付いた。

 

『人心地ついたら早速働いてもらうオーク。』
「ひっ!?な、何するのぉ!?」
『あ、抜け駆けずっこいオーク!」
『やかましい!飯代俺がだしたんだから、これくらい当然オーク!おらおら、股開けオーク!ぶち抜いてやるオーク!』
「や、やめ…っ!ああああっ」

 

体の変質は外から見える以上に進んでいた。
外から音が聞えるほど分厚い処女膜を引き千切られる痛みはどれほどの物だっただろうか。
あっさりとアイリンの純潔を散らしたオークは、そのまま泣き叫ぶ彼女を無視して膣内を蹂躙し始めた。

 

「いぎゃあああ!!!痛いぃぃ!!!!」
『あー…いい抱き心地オーク。やっぱり雌は肥えてるに限るオーク。』
「あぎゃっ!がああ!!ぅぅあああああああああーッ!!!」

 

腹に押された焼印と、引き裂かれた股間から生じる激痛に、アイリンはたまらず身をよじって暴れた。
否、暴れようとしたが、まとわりつく贅肉の重さがそれを許さなかった。
傍からは、モゾモゾ蠢く肉塊を魔物が抱きかかえているようにしか見えない。
誰も、今まさに一人の女性の人生が終わろうとしているとは思わないだろう。

 

『あたた、ちょっとキツすぎオーク。こりゃもう少し寝かさんと使い物にならないオーク。』
「ぎひぃ!痛い!ひ、広げないでぇぇ…」
『俺も痛いオーク!頼むから暴れるなオーク。とりあえず一発出して滑りを良くするオーク。』
『次は俺オーク!予約するオーク!』
『勝手なこと言ってるとマジぶっとばすオーク!公平にじゃんけんで決めるオーク!』
「離せ!離してっ!バギ!ラリホー!イオナズン!」

 

しかし何も起こらなかった。
立て続けに燃料をくべられた呪いが輝きを増し、彼女の体をさらに加速度的に肥満させる。

 

「イオナズン!イオナズン!どうしてっ!?」
『おっと、こりゃちょうどいいオーク。』

 

ボコリと厚みを増した彼女の腹を、これ幸いとばかりに毛深い手が掴んだ。
取っ手のように贅肉をかき集め、身動きの取れないアイリンの体をさらに強く拘束する。
その状態からの突き上げによって、亀頭がついにアイリンの最深部、子宮口に触れ、爆ぜた。

 

「ひぐっ…ま、まさか……いやあああああああーーーーーッ!」
『…ふぃー、キツキツだったオーク。』
「…やぁ…ぁぁぁ…」
『次は俺オーク!昨日の夜食作ったの俺オーク!俺もこいつの餌に貢献してるオーク!』
『おまえ、マジうるさいオーク。譲ってやるから少し落ち着くオーク。』

 

重い肉の枷と精神的なショックが、もとから乏しいアイリンの体力をさらに奪う。
仰向けに転がされ、眼前にケダモノが迫っても、疲れ果てたアイリンにはどうする事も出来ない。

 

「うぐっ…あぁぁ…もう、許してぇ…」
『うはー、こりゃたしかに狭いオーク。』
『マジかオーク。俺ガバガバの女しか犯した事ないオーク。擦りむかないか心配オーク。』

 

何往復かドスドスと叩きつけられた腰が止まり、震えた。

 

「ああああ!ほ、本当に妊娠しちゃうっ!もういやぁぁぁぁぁ…」

 

どうしようもなかった。
力なく顔をそむけると、ちょうど先程の姿見が目に入る。
静かな絶望の中、アイリンは自らの未来がとっくに閉ざされていた事を知った。

 

『おおぅ、確かにキツいオーク。でもヒダの具合がマジ好みど真ん中オーク!』
『こいつぁ出来上がりが楽しみだオーク!今日は朝までマワしまくって慣れさせるオーク!』
「…(もっと、体鍛えておくんだった…)」

 

現実から逃避しようにも、再び膨張を始めた肌の感覚が変わり果てた体を意識させる。
鏡の中、腫れあがった顔を縁どるソレは、まぎれもなく豚の耳だった。
彼女は既に人間ではなかったのだ。

 

・四章
それから一週間ほどが経過した。
体の変質が収まって安心したのも束の間、次は精神面の爆発的な変化が待っていた。
オークの繁殖力を支える食欲と性欲は、雌雄を問わず旺盛極まりない。
初めのうちは絶食を貫こうとしたアイリンも、際限なく増して行く空腹感には耐えきれず、今では何の抵抗もなく、魔物たちと同じ超高カロリーの食事を取るようになっていた。

 

『こら!そっちはいじっちゃダメだオーク。今デリケートな時期だオーク。』
「っ!?」

 

軽く手をはたかれ、あわてて股間から離す。
彼女の新たな悩みがこれである。
食欲と同時に性欲も恐ろしい勢いで増して行くにもかかわらず、アイリンを監禁している魔物たちは、あれから一向に彼女に手を触れようとしないのだ。
娯楽の無い軟禁生活と言う環境も手伝い、アイリンには無意識に自分の体をまさぐる癖が付いてしまっていた。

 

『辛いだろうけど我慢だオーク。体がなじむまでの辛抱だオーク。』
『立派な雌オークに生まれ変わったら、もう気が狂うくらい可愛がってやるオーク。』
「うぅ…一体なにが目的なのぉ…」

 

右手で得体の知れない食べ物を口に押し込みつつ、空いた左手をフラフラと下半身へ伸ばす。
痩せた人間ならば胴体と言っても通るであろう、化け物じみた太ももを、同じく化け物じみて太い指が這いまわった。
家畜そのものの惨めな有様に、肉に埋まった瞳からポロポロと涙がこぼれ落ちる。

 

「んぅ…もぐ…んぐ…ぐす…くふぅん…」
『うーん…仕方ないとは言え、ちょっとお行儀悪すぎるオーク。食べるか、泣くか、マスかくかどれか一つにするオーク。』
「もご、もご…うぅぅ…はむ…」
『だー!もう見てらんねぇオーク!イかせてやるから落ち着いて食べるオーク!』

 

これまた化け物じみた巨乳に、魔物の腕が掴みかかる。
ひっきりなしにいじられ続け、スイカほどはあろうかと言う半球の全面が性感帯になった、いわば彼女の急所だった。

 

「ふんんんーーーッ!?んぐっ、ごほ!ごほっ!」
『ほら、言わんこっちゃないオーク。お水飲むオーク。』
「えほっ…けほ…あ、お水…ありがと…」
『ヒソヒソ…むふふ、大分色気が出てきたオーク。』
『ヒソヒソ…マジで楽しみだオーク。本番までオナ禁けられるか心配だオーク。』

 

こちらを窺う魔物たちの好色な目つきを見れば、近い将来に何が起こるのかは明白だった。
そして、そうなった時に自分が抵抗できないであろう事も、アイリンは理解していた。
焼き付けられた呪いは着実に体を蝕み、心身ともに彼女を一匹の雌オークに造り変えようと働き続けている。
わけも分からず始まった監禁生活のなか、自分をこんな目に合わせている張本人だと言うのに、彼女の心にはこの魔物達に対する奇妙な親しみが生まれつつあった。

 

・五章
アイリンが囚われてから一カ月。
変化は、一見それまでとは逆のベクトルに進行しているように思われた。
動かすことさえ困難だった肥満体はその一部を可動に必要な筋肉と変え、どこか健康的な印象すら与える。
太いばかりの老木のようだった体は、テラテラと脂に濡れた肉の丸太に変わっていた。
呪いの焼印に誘導される変異のプロセスが最終段階を迎え、肉体を雄オークとの交合に最も適した形へと収斂させているのだ。

 

「あおおっ!お、お腹ぁ…きもちいぃぃ…」
『ヒューヒューオーク!』
『ブラボーオーク!』
『キャーこっち向いてオーク!』

 

精神の侵蝕もますます進み、見られながらの自慰にもほとんど抵抗が無くなっていた。
相変わらず性器への責めは見つかる度に止められたが、その分乳房や肌への愛撫は一層激しさを増し、今では胸から腹まで、つまりは手の届く前半身全域が、ひと擦りで熱を帯びるほどに開発され切っていた。

 

「くは………ッ!!!」
『おおーっと!これで五連続アクメだオーク!』
『新記録だオーク!こんな淫乱見た事ねえオーク!』
『いやいや、もう何と言っていいのやら…って、ああっ!お前ら、あれ見るオーク!』

 

不意に、かぶりつきで盛り上がっていた魔物の一匹がアイリンの股間を指差した。
みれば、むき出しの裂け目から一筋の血が流れ出している。

 

『うおおおおお!月の物だオーク!』
『やったオーク!おめでとうオーク!今日はお赤飯だオーク!』

 

月経の再開は二つの意味を持っていた。
一つは、彼女が前回の凌辱では身ごもっていなかったと言う事。
そしてもう一つは、彼女がいまやオークの子を身ごもれる体だと言う事。

 

「あん、なによぅ…みんな、どうかし…きゃっ!?」

 

アイリンの体にゾクリと震えが走った。
振り向けば、いつもはおどけた魔物たちが、血走った眼で彼女の体を舐めまわしていたのだ。

 

『げっへっへっ…この時を待ってたオーク。』
『俺から俺から!俺からやらせてオーク!』
『うるさいオーク!俺だって、がんばって一ヶ月オナ禁したオーク!…ゴクリ』
「な、何…どうしたの?ねえ、目が怖いよ…待って、来ない…で…」

 

かすかに残った人間の心が、彼女に逃げろと言っていた。
植えつけられた豚の本能が、彼女に受け入れろと言っていた。
彼女はどちらに従うべきだったのか。
あるいは、どちらにせよ、重い体に足を取られて結末は変わらなかったのかもしれない。
しかし。

 

『尻の下に水たまり作りながら言うセリフじゃないオーク!』

 

圧し掛かって来る巨体に向かって、反射的に股を開いてしまったと言う事実は、もはや取り繕いようが無かった。

 

『あーっ、また抜け駆けしたオーク!』
『順番飛ばしオーク!この豚でなし、マジ訴えるオーク!』
『やかましいオーク!待ちに待った俺の嫁いただきますオーク!』
「あっはぁあああーーーっ!!!」

 

完成に一月を要するだけあって、呪いの効果は絶大だった。
ゴムのように広がった穴は、人のそれよりも二回りは大きい獣人の努張を軽々と頬張り、吸いついた。
大蛇のような手足が見た目からは想像もつかない速度で跳ね上がり、自らのつがいを逃がすまいと絡みつく。

 

「かはっ……!気持…ぢぃ…うひぃぃぃぃ…」
『おー、大分こなれたオーク。感慨深いオーク。』
『マジでオーク!?どんな感じオーク?』
『柔らかさが段違いオーク!この間が砂肝なら、今日はフォアグラだオーク!』
『そんなにオーク!?腎虚にならないか心配オーク!』

 

興奮気味に何かまくし立てながら、魔物がアイリンの尻を抱えこむ。
勢いよく突き刺さる侵入者の先端に、あろうことか彼女の子宮口が食らいついた。
一か月前には泣き叫んで拒絶した妊娠という未来を、今や彼女の体の隅々までもが待ち望んでいるのだ。

 

「うぎぃぃぃぃ!あひぃぃぃぃぃぃっ!!!」
『よっしゃ、景気づけだオーク!まず一発、受け取れオーク!』
「ぶっ…ぶひっ!ぶひぃぃぃ!は、はら…はらぁ…」

 

その先は言葉にならなかった。
ろれつが回らないのではない。
人の言葉として発音されなかったのだ。

 

「ぷぎいいいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」

 

・六章
『はいはーい!次は俺オーク!!』
『うわ汚ねえ唾飛ばすなオーク!おまえマジ自重しろオーク!』
『はぁぁ…すっごぉいぃぃ…』

 

うっとりとした目で宙を仰ぎながら、しばし余韻に浸る。
しかし、オークの性欲は底なしである。
すぐに新たな肉の疼きに耐えられなくなり、飢えた雌豚は次の獲物に狙い定めた。

 

『どんどん来てよぉ…これが目当てだったんでしょ?』
『んん?おう、今行くオーク。』

 

のそりと立ち上がり、上気した裸体を見せつけるアイリン。
動作に支障をきたさないとはいえ、それは人の基準から見れば文句なしに肥満と言えるレベルの巨体である。
商売女のような、と評するにはいささか拙い動きで、体のラインをなぞるも、脇腹の肉が余り過ぎて、指の隙間からはみ出していた。

 

『むふはーっ!色っぽいオーク!辛抱たまらんオーク!』
『きゃは!乱暴しちゃいやぁん。』
『お前ら、マジ恥ずかしいオーク。よそでやれオーク…』

 

性欲のタガが外れたアイリンは、もはや淫獣だった。
背後から犯されるだけでは飽き足らず、巨大な尻を振りたくって嬌声を張り上げる。

 

「ぶひぃぃぃーっ!ぶひひぃぃぃぃぃぃーっ!」
「ぶぎゃっ!ぶぉう!ぶぉう!」

 

もう言葉を発する物は誰もいない。
養豚所さながらの喧噪の中、アイリンもまた獣のように絶頂を貪り続けた。
心持ち以前の面影を取り戻した、ふっくらと愛らしい顔が白目をむいてよがる様に興奮し、雄達はさらに激しく彼女を責め立てる。

 

「ぶひゅるるるるるるぅ…」
「ふぎゃんっ!」

 

再び、最深部を貫いての射精。
悦びにうちふるえながらも、アイリンは言いようのない物足りなさを感じていた。
なんとか太鼓腹と呼べる程度に縮んだ腹の中には、人間の数倍の容量を持つ子宮が収まっているのだ。
空き容量はまだいくらでもあった。

 

『けっ、きのうはお楽しみでしたねオーク…』
『拗ねるなゴメン調子に乗り過ぎたオーク。機嫌なおしてズボっと行くオーク。』
『どうせ俺なんかオーク…って、おおお!こりゃマジでフォアグラだオーク!食いしん坊万歳オーク!』
『ひぎぃ、ほんとに!?う、嬉しいぃ!』

 

まるで恋人同士のように、ニ頭の豚は固く抱き合った。
と、アイリンの頭を疑問がよぎる。

 

『(あれ?なんで私、魔物の言葉が分かるんだろう?)』
『むー…交尾の最中に考え事なんてデリカシーがないオーク。順番も最後に回されたし、マジ泣きそうオーク。』
『あっ!ご、ごめんね!すぐ気持ち良くするから!』

 

あわてて硬い毛に体を擦りつけるアイリン。
今や性感帯の塊と化した贅肉が一斉に快感を吐き出し、かすかな疑問はあっと言う間に霧散した。

 

『もうだめオーク…心の傷で失血死するオーク…』
『あうぅ、ごめんってばぁ…元気出して。ほら、べホマ。』

 

何の気なしに唱えてから、アイリンは自分が呪文を使えなくなった事を思い出した。
しかし、腹の焼印は、彼女の魔法力を一向に吸おうとしない。

 

『あれ、呪文出た…?』
『もう魔封じの効果は無いオーク。体の改造さえ済めば、エネルギー源の魔力を吸う必要も…ハッ』

 

何せ人間並の知能である。
この程度のヘマは日常茶飯であった。

 

『へぇ…使えるんだ…呪文。じゃあ、もう良いようにされてあげる理由もないわよねぇ!?』
『ままま待つオーク!話せばわかるオーク!』
『うっさい!おとなしくしろ!』
『お、お助けオーク!』
『がおー!食べちゃうぞー!』

 

その数日後、乱交を終えたアイリンは教団内に正式に存在を公表され、悪魔神官団の検査にかけられた。
完全な魔物化と妊娠が確認された彼女は、大神官ハーゴンに忠誠を誓い、ベラヌール地方 地下アジト勤務のオーク用肉奴隷として教団に籍を置くこととなった。
歴史上初の繁殖家畜の誕生である。

 

・エピローグ
屈辱の敗走から数年後
度を超えたスピードプレイを大いに反省したロトの子孫たちは、レベル上げのついでにハーゴン教団のアジトを荒らしまわっていた。

 

「よし、のっこむべ。」
「サマルトリアの方から来ましたー」

 

とはいえ、魔法使いを欠いたパーティは根本的に戦力バランスが悪い。
聖水瓶を振り回しながら備品を荒らすコソ泥二人が目をつけたのは、いかにも間取りの最後に押し付けられたと言った印象の、小汚い突きあたりの部屋だった。
魔物向けに作られた重い扉も、脳筋王子の手にかかれば何の妨げにもならない。

 

「おりょ?」
「なになに?」

 

部屋は空ではなかった。
丸々と太った豚の魔物が中に鎮座していたのだ。
おそらくは雌だろう、胸と下半身の二か所に獣皮製と思われる簡素な衣服を食い込ませている。
整った顔立ちはやや丸みを帯びていたものの、人間の感性から言っても愛らしいと言えた。
耳と尻尾を隠し、減量すれば、人間の女性と見分けがつかないかもしれない。
その雌豚の頭を飾る紫色の髪に、二人は見覚えがあった。

 

「…ぷぅ?」
「うーん…まさか、なあ…」
「どうしたの?話が見えないんだけど。」

 

雌豚はいぶかしげな視線を向けるだけで、二人を襲おうとはしない。
二人としても、無用な殺生は望むところではなかった。
見つかった時点で今回の探索は失敗と割り切り、引き上げる心づもりであったのだが…

 

「いくらなんでも、それは…でもなぁ、気になるしなぁ…」
「だから説明しろっての!さっきから何ぶつくさ言ってるのさ!」
「…なあ、ラーの鏡って今、お前が持ってたよな。」
「え?うん。はい、これ。」
「ぷきぃ…」

 

ラーの鏡。
それは真実の姿を映し出す魔法の鏡である。
映った者の姿が何らかの手段で歪められていた場合、鏡が看破した真実の姿を呼び起こし、まやかしを打ち払う、呪い破りの道具でもある。
鏡に映され雌豚はピタリと動きを止め、苦悶の声を上げ始めた。

 

「ぎっ…あぐぐぐぐ…」
「あれ?ねえ、ひょっとしてこの魔物…」
「ああ、俺の考えが正しければ…」
「ぶっぎゃああぁぁぁぁぁす!!」

 

王子の言葉は、突如まき起った轟音にかき消された。
雌豚の手から放たれた高位の攻撃呪文、イオナズンだ。

 

「ぶふぅー…ぶるるるるるる…」
「イオナズン…そうだ、あの娘が使ってた呪文…!」
「いてててて、なんだよもう!俺たちはお前を助けようと…あーっ!」

 

いかにロトの子孫と言えど、イオナズンの直撃を受ければ重傷は免れない。
二人がかすり傷で済んだのは、ひとえに雌豚の呪文の精度のおかげだった。
破滅的な威力は寸分の狂いもなくラーの鏡の表面で爆裂し、伝説と呼ばれた道具は跡かたもなく燃え尽きていたのだ。

 

「あちゃ…まあ、すんだ事はしょうがないか!」
「そだね、次頑張ろー」

 

あっさりと、二人の王子は踵を返した。
雌豚もそれ以上の攻撃を加えようとはせず、彼らが去るのをただ見送った。

 

「いや、次って何だ、次って。」
「ふふふ、これは放浪中に掴んだ情報なんだけどね。じつはもう一人、彼女と同じ魔法使いで金髪の…」
「何年前の情報だそれは!」

 

かすかに見覚えのある後ろ姿をボンヤリと眺める雌豚。
扉が閉じ、二人の声が次第に遠ざかって行く。
どれくらい、そうしていただろうか?
どろりと濁った眼に、ふと光がともった。

 

「…ッ!…ッ!…ッ!」

 

ブヨブヨとした体のどこにそんな力があったのか、雌豚は重い体を跳ね起こし、弾かれたように扉に擦り寄る。
言葉を失った口を開け放ち、涎をまき散らしながら、閉ざされた扉に向かって咆哮した。

 

「うあ゛ぁぁぁぁぁぁぁ゛っ!」

 

ガチャリと扉が開いた。

 

『ただいまオーク』
『あ゛ーマジ疲れたオーク…』
『おーす、いい子にしてたオーク?』

 

ゾロゾロと部屋になだれ込んできたのは、彼女と同じ獣人、イノシシの形質を備えた雄のオークだった。
全部で3体、いずれも大型である。

 

『ん〜?お出迎えかオーク?』
『ははは、可愛い奴オーク。』
「〜〜〜〜♪」

 

ワシワシと太い首筋をなでられ、雌豚の顔がほころぶ。
雌豚の絶叫を引き出したのは、人間だったころの記憶ではない。
慣れ親しんだ性臭を嗅ぎつけ、堪らず漏れた歓喜の叫びだったのだ。
その証拠に、申し訳程度の衣服は自らの手で剥ぎ取られ、両足は限界まで開かれて、雄たちの前に濡れそぼった性器を差し出している。

 

『みんな、おかえりなさいっ!もうバッチリ準備できてるよ!』
『ははは、こらこらガッつくなオーク。』
『えへへ、溜まってるくせにぃ…臭いでわかるもんね。』
『慌てなくても、すぐに相手してやるオーク。』

 

雄たちも口ほど余裕があるわけではない。
なにしろ長期の哨戒任務で欲求不満がたまっているのだ。
今日から数日かけて、徹底的にこの一匹の雌豚を犯し抜く心づもりであった。

 

『留守の間に何かあったオーク?』
『うん。トンヌラの徴兵試験があったよ。楽勝だったって。』
『がははははっ、そりゃ鼻が高いオーク。』
『べホマが使える戦士なんて、支部長クラスでもそうそう居ないオーク。』
『さすが俺たちの子、マジぱねぇオーク。』

 

一家の団欒のような和やかな雰囲気の中、扉にカギがかけられ、雄たちがいそいそと服を脱ぎ始めた。
いつも通りの流れ。
3Kで名高いハ―ゴン教団では、数週間程度の出張はよくあることだ。

 

『さてと、じゃ早速…』
『OK、やってやるぜオーク』
『ぐふふのふ、今夜は寝かさないオーク。』
『は…はい…旦那様っ♪』

 

魔物たちの目つきが変わった。
性欲旺盛なオークにとって、数週間の禁欲は拷問に等しい。
故に、それが明けた直後の交尾は凄惨を極め、雄の場合でも1頭あたり10回は射精しなければ治まらない。
精液を消耗しない雌に至っては、失神するまで交尾し続けてもまだ疼きが収まらないこともしばしばと言うのだから、まさに底なしである。
絶食に等しい状態におかれた雌豚の子宮はとうに我慢の限界を訴え、胎内を熱くトロけさせていた。

 

『よしよし、ちゃんと濡らしてたオーク。いい子オーク。そいや!』
『ッがああああああッああッあっッ!きた、きたぁ!!すっごいのきましだぁぁぁ!!』

 

全身を包む柔らかな媚肉をわななかせ、アイリンは涙さえ流しながら悦びを告げた。
すでに彼女の興味は、今から孕まされる10頭目の仔に移っている。
束の間再会したかつての仲間の事など、もう思い出しもしなかった。

 

(完)


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