897氏その1

897氏その1(自主肥満化ルート)


#VOCALOID,ボーカロイト,ボカロ

 

「5番、弱音ハク、歌います!」
ここは某有名芸能事務所のオーディション会場。受験者は細身の若い女性ばかりである。
数人の審査員が見つめるなか、ステージの上では若い女性が歌いながらダンスを披露している。
彼女の歌声は少々ハスキーながらもよく響き、ダンスのステップは軽快である。
しかし・・・
「うーん」彼女が歌い終わると審査員の一人がつぶやいた。
「ハクさんは歌も上手いしダンスも及第点なんだけど、
 芸能人のオーラというか存在感が薄いんだよね。」
結局、彼女はオーディションに落ちてしまった。理由は「目立たないから」

 

オーディションからの帰り道、
彼女は暗い夜道を一人でとぼとぼと帰路についていた。
彼女の名前は弱音ハク。2[ピー]歳の歌手志望である。
「これでオーディションに落ちたのは5回目だわ。
 はぁ・・・。なんで落ちるんだろ。顔もスタイルも悪い方じゃないと思うし。」
実際、彼女は美人に分類される部類だろう。
白い髪に、少し気弱な印象を与えるたれ目、Fカップはあろう胸にX型にくびれたウエスト、
ぷりんとしたヒップは歩くたびに左右に揺れ、エロチックである。
「でも毎回オーラがないとか目立たないとかいう理由で落とされちゃうのよね。
 あーあ、目立つためにはどうしたらいいのかしら。もう今日はやけ酒よ!」
オーディションに落ちるたびに、ハクは残念会と称してお酒を浴びるほど飲んでいた。
いつしかそれは毎日の習慣になっていたのだが・・・。

 

「ふぁ、今日も朝か・・。あれっ?」
ある朝、ハクはお腹の周りが締め付けられるような感じがして目が覚めた。
無意識に腹周りに手をあてる。
むにゅ、むにゅ・・・
これまでに感じたことのないやわらかな感触に、思わずパジャマをたくしあげる。
そこには、だらしなくたるんだ贅肉がウエストの周りについていた。
「うそ!?」
どたどたと鏡の前に移動する。
鏡に映っていたのは、ぽっちゃりとした体つきに変貌してしまった自分だった。
自慢の胸は小ぶりのスイカほどに肥大してしまい、パジャマを突き破りそうになっている。
腰回りにはたぷんとした贅肉がふんだんにつき、下着の上にお肉がのるまでに膨らんでいる。
お尻は以前より二回りは大きくなり、下着はパンパンに張りつめている。
「どうしてこんな体に・・。」
ハクは最近の食生活を振り返る。
朝食、昼食、夕食に加え、夜に日本酒とワインをそれぞれ1瓶ずつ毎日のように飲んでいたのだ。
また、その際におつまみと称して唐揚げやチーズなどの高カロリーな料理も食べていた。

おそらく、一日4000カロリーはとっていたと思われる。太るのも仕方ないだろう。
「はぁ・・・。これじゃ次のオーディションに出られないよ・・・。
 胸が大きくなったのは嬉しいんだけど、お尻なんかこんなに大きくなっちゃって・・・。
 この間のオーディションに今の私が出てたら明らかに目立つよね。・・・!!」
その時、ハクの頭にある逆転のアイディアが閃いた。
「そうよ!目立つためには逆に思いっきり太ればいいのよ!」

 

数ヵ月後。
「4番、弱音ハク、歌います!」
ここは某有名芸能事務所のオーディション会場。
受験者は一人を除いて細身の若い女性ばかりである。
数人の審査員が見つめるなか、ステージの上では80kgはあろうかという女性が歌いながら
ダンスを披露している。
彼女の歌声は野太く、ダンスのステップはその太った体のためか少々鈍重である。
Iカップはあるだろう胸は彼女がステップするたびにブルンブルンと揺れ、
その下には、汗でてかてかに光ったぼってりとした腹肉が
ズボンのベルトの上にドーンと乗っかっている。
特大のスイカをふたつ搭載したようなお尻は歩くのにあわせて豪快にスイングする。
「(ふふ・・。周りは痩せた女性ばかりの中で私は最高に目立ってるはずよ!)」
そう考えながら必死に歌とダンスを披露する彼女は、存在感どころか威圧感すらあった。
パフォーマンスが終わると彼女は審査員に向かってどうどうと(やや息切れしながら)言った。
「ゼェ・・、フゥ・・、ど・・どうでしたか・・、私の歌とダンス・・・?、フゥ・・」
しばしの沈黙の後、審査員の一人がためらいながら言った。

「うーん、君はもっとやせた方がいいね。不合格。」

 


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