334氏その15

334氏その15

 

 

悪の組織、デブルーダー帝国。
総統デブラーによって世界征服を目的に組織された秘密結社である。
一般人を拉致し人体改造によって怪人に作り替えることで急速な戦力の拡大を図ってきた。
このような悪の組織の常として、日曜朝の特撮番組のように○○レンジャーとかに滅ぼされるのだが、デブルーダー帝国は違った。
襲い掛かってくる戦隊ヒーロー達を千切っては投げ投げては千切って蹴散らして、
順調に侵略の橋頭保を築いていったのだ。このまま行けば、世界征服は時間の問題であった。
しかし、デブラーは大きな問題を抱えていた。
それは…。

 

「俺様の帝国にはなぜ女の怪人がいないのだ?」
ある日、デブラーは人体改造手術を行う博士に尋ねた。
「それはデブラー様の方針だったはずです。男の方が元の力が強いから強力な怪人を作ることができる言ってたので」
「それはそうなのだが…戦闘員や怪人が皆男というのもむさくるしいと思えてきてな。組織にも紅一点がいてもいいのではないか?」
「承知いたしました。早速、美人でグラマーな人間を攫ってきて怪人に改造しましょう」

 

 

数十分後。
博士の指示の元、戦闘員達が女性を攫ってきた。
「ずいぶん時間がかかったじゃないか、博士」
「美人かつスタイルがいい女性なんてそうそういませんよ。探すのに苦労しました」
手術台の上には気を失った若い女性が倒れていた。
「この人間を改造します。そうですね、蛇女なんていいと思いますよ。
蛇のしなやかな体と美しさを併せ持つ怪人です」
博士は熱に浮かされた顔で自らの怪人のデザインを語った。
「どうかされましたか、デブラー様。気がのらない顔をされていますが」
「なあ、博士。この娘、少し痩せすぎではないか?」 
「そうでしょうか? いたって健康的な標準体型だと」
「そうかなぁ?」

 

早速、博士は研究員たちに人体改造マシンの準備をするように指示した。
このマシンは巨大な緑色の液が満たされたシリンダーと制御用のコンピューターから構成されている。
マシンに素体となる人間を入れ、コンピューターに改造後のデータ(どの生物と融合させるか、とか身体能力値等)を入力することでお手軽に怪人を生産できるのだ。

 

素体となる女性がシリンダーの中に入れられた。
「2〜3時間で彼女は怪人に生まれ変わるでしょう」
「博士、ひとつ頼み事があるのだが」
「なんでしょう? デブラー様」
デブラーは小さく咳払いをした後、あたりを見回した。
「改造後の体型を太目にしてもらえないだろうか?」
そして、少し頬を染めながらぼそりと呟いた。
「デブのほうが…魅力的だろう?」
博士はしばし目をしばたたせた。
「あの、それはどういう意味で?」
「そのままの意味だ。太っていた方が綺麗だろ?」
いくら天才的だといわれる博士の脳みそでもデブラーの言葉を咀嚼するのに数分要した。
博士とデブラーはしばらくの間お互いの目を見ていたが、デブラーが本気だと分かると博士は一歩引いた。
「さ、さすがにそれは…なんというか、デブラー様の嗜好に合わせるわけには…」
口ごもる博士。
しかし、デブラーはずずいとにじり寄った。

「できるよな?」
悪の組織の総統が持つ圧倒的な威圧感に気圧され、博士はつい首を振っていたのだった。

 

数時間後。
怪人に改造され、丸々と太った姿にされた女性の悲鳴がデブルーダー帝国のアジトに響き渡った。
悲劇の女怪人「ピッグクイーン」の誕生である。
この怪人が戦隊ヒーロー達の強敵として立ちはだかるのだが、それはまた後の話。

 

つづく…?


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