538氏その1
#激走戦隊カーレンジャー
空が澄み渡り風が心地よいそんな午後、世の労働者は昼飯をとっくに食べ終わり後半の仕事の真っ最中であろう。そんな中、ここに少し遅い昼を終えた2人の女性労働者がいた。
車会社ペガサスで働く会社員にして、花火と称して地球の爆破を目論む宇宙暴走族ボーゾックと戦う激走戦隊カーレンジャーである2人。
「うーん、おいしかったー!特にあのカツ!!」
光沢のあるピンクの上着を着て気持ちよさそうに背伸びしているのはピンクレーサーこと八神洋子
「あたしが食べたチーズカレーも美味しかったよ 洋子はこうゆうのに関してはアンテナが広いよね」
その隣をあるく赤い作業着を着ているのはイエローレーサーこと志乃原菜摘。
いつも昼は他のカーレンジャーである同僚達と共に近所の商店街にあるいくつかの店の中から出前を取っているのだが、その商店街が合同で一昨日から四泊五日の旅行行って休みだったため、洋子の案内で商店街を抜けた少し先に一昨日から新しくできたカレー屋で昼食を取っていたのだ。
「でもちょっとなぁ…」
「どうしたの、あ!店員さんが凄いアタフタしてたこと?1人で注文や接客してたね」
「ううん、ちょっと物足りないかなって…」
「えっ!?」
洋子の言葉に菜摘は驚き思わず声を上げる
「ちょっと洋子、カツカレーの大盛食べたのにまだ足りないの?」
「うーん、そんなに大盛って感じじゃなかったかなぁ 、でも『ピンク色の服を着た女性限定大盛カツカレー半額』なんて言われたら食べない訳にはいかないよ」
「呆れた、そんなことしてたらまた「ダイエット〜」って慌てることになるわよ?」
以前、洋子は数字を狂わせる能力を持ったボーゾックの団員PP(パーパー)ラッパーが現れた時、なかなか自身の体重が減らないのをPPラッパーが体重計の数字を狂わせたからと決めつけて一方的に叩き潰したことがあるのだ。しかし、
「大丈夫! いつもボーゾックと戦って体動かしてるもん。」
聞く耳無し。相変わらず経験から学習しない同僚だ。菜摘はそんなことを考えていた。
翌日は早めに午前の仕事が片付いた。
洋子と菜摘はまた2人で昼食を取ろうとしたのだが、
「また同じカレー屋?」
「うん!」
「また大盛を食べるつもりかこ?」
「うん!! だってメッチャ美味しかったし、菜摘だって美味しいって言ってたじゃん」
「洋子…そう毎日大盛のカツカレー食べてたら今度こそ本当に『あんな』風になっちゃうわよ?」
「あんなって?」
「…」
この脳天気娘は人が気を使って濁して言っているのに…、
正直、自分自身あのことは思い出したくもないし口にしたくもないのだがしょうがない。
この小生意気な同僚の為だ。
菜摘は1つ大きなため息をつくと口を開いた
「つまり高カ…って洋子!?」
洋子は突然は右を向くと猛ダッシュで菜摘の元から走り去った。
いきなりの出来事に一瞬我を忘れる菜摘だが直ぐに洋子を追いかける。
「洋子どうしたの!? ちょっと止まって」
「止まれないの!足が勝手に動いてるのぉっ!!」
「えぇっ!?」
一体何がどうなっているんだろうか、徐々に加速していく洋子は横断歩道をギリギリ青信号で渡ると店がやってないため人がまばらな商店街を駆け抜けていく。
「誰か止めてえぇぇぇぇーっ!」
「はぁはぁ、待って洋子ぉー」
そうこうしているうちに商店街を抜け人が多い大通りに出ると2人の距離はどんどん広がる
「こうなったら」
菜摘はビル同士の間にある狭い路地に入ると腕に付けたアクセルブレスとアクセルキーを構える
「激走!アクセルチェンジャー!!」
キーをブレスの鍵穴に差して回すと激しいエンジン音と共に菜摘の姿はイエローレーサーへと変わった。
「洋子っ!!」
再び大通りに出ると車のごとき速さで突っ走るイエローレーサーはいきなりのヒーロー登場に驚く人々の注目を集めるが今は気にしてられない。
少しずつ距離を詰め、高速道路のちょうど真下で洋子を追い抜くと彼女の肩を掴み立ちはだかる。
「ここで…止める!」
「くうっ!!」
洋子には悪いがこの時イエローレーサーはまるで猛牛かダンプカーの相手をしているような感覚に襲われた。
「止まってぇ」
その時、
「きゃぁぁぁぁ、止めてぇぇぇっ!」
2人の両側を猛スピードで女学生2人が通り抜ける。
「えっ!?」
いきなり視界に入ってきた暴走女学生に気を取られて一瞬力が抜けた
「あぁぁぁぁっ!」
「イエローレーサー!!」
洋子の叫びも虚しく彼女自身の突進を真っ正面からくらったイエローレーサーは吹っ飛ぶが、見事体制を立て直すと思考をめぐらせて洋子を追い抜いた
「イ、イエローレーサーどこ行くのよぉぉぉー!」
洋子の他にも物凄い速さで同じ方向へ走っている人がいた
行き先がわかれば対策が練られるかもしれない…
前方を行く女学生の後を追うとその先には寂れた工場があった。
「あっ!」
工場の前にきた瞬間突然立ち止まって手を頭の後ろで組む女学生2人組、
そこには他にも同じ体勢をした数人の女性と、それを取り囲むようにピンク青緑のボーゾックのカラフルな戦闘員ワンパーとボーゾックの団員、更に何故か昨日のカレー屋の店員がロープで体を縛られていた。
イエローレーサーはひとまず物陰に隠れる。
「チーキュの女の一般市民2人追加ロッチー」
「キャァァァッ!」
やはりボーゾックの仕業だった。
「ボーゾック、みんなボーゾック発生…、誰か応答して…、なんで誰もでないの!?」
ブレスに何度も呼びかけるが何故か誰も応答しない。
そこへ女性達いる所とは違う方向から悲鳴が聞こえてくる
「とめてぇぇぇぇぇー」
「洋子っ、早すぎ!」
悲鳴の主は思ったよりも早くやってきた洋子だった、
到着するや彼女もまた他の女性達と同じポーズで制止する。
「チーキュの女の一般市民もう1人追加ロッチー」
「と、止まった、てゆうかやっぱりボーゾックの仕業?しかも今度は動かないしー!」
洋子は必死に体を動かそうとするが口は動いても首から下はびくともしない
「動かないー、一体なにしたのよー」
『バカ、変身出来ないのにそんなに抵抗しちゃだめ』
イエローレーサーの心配をよそに頭を激しく振って叫びまくる洋子はワンパー達の注目を集める
そんなに洋子にボーゾックの団員が近づいてきた。
「ローチロチィ!生きのいいチーキュの一般市民だロッチ だが無駄ロッチィ、ここにいるのは俺の特性大盛カツカレーを食べた奴らだけ、」
そこまで言うとボーゾック団員は手に持った小さな瓶洋子に見せる
「あの揚げカツにはをこの瓶の中のスパイスを混ぜてあるロッチ!
食べた者はこの瓶がある限り俺の思いのままなのだロッチ!!」
そこまで言うとボーゾック団員は隣にいた店員を引き寄せる
「ところで、こいつの服は確かにピンク色、他の女達も店に居たときはピンク色の服を着てたみたいだが、お前本当にピンクレーサーに大盛カツカレーを出したロッチか!?」
「えっ!?」
洋子とイエローレーサーは驚いた、ボーゾックはピンクレーサーを探していたのだ。
目の前にいるその地球人こそがピンクレーサーであることをボーゾックが知る由もないが目的がピンクレーサーに大盛カツカレーを食べさせることと言うのがわからない。
しかも彼らの目的通り彼女は大盛カツカレーを昨日食べてしまっている。
詰め寄るボーゾック団員に店員は戸惑いまくる
「わ、私1人であんな大勢を接客してたんですよ、もういっぱいいっぱいで…」
「覚えてないロッチか?もー、このバカ、役立たずロッチー!お前は宇宙人の顔1つ覚えられないロッチかー!」
ボーゾックはもちろん、地球の人々もカーレンジャーのことをそういう姿の宇宙人だと思っている。
本人たちの前でとんでもない勘違いをだだ漏らしているが無論それに事に気がついてはいない
「それに、」
「えっ、キャアッ!」
突然洋子の肩を掴んで引き寄せたボーゾック団員は店員に見せつけるように彼女の腹を力任せに掴む
「ちょっ、止めてぇ」
「ピンクレーサーの体はこの女よりもっと太いロッチ」
「!!」
洋子は一瞬微かにではあるが声にならない声を上げてから再び声をだす
「太いっ!?」
「そして豚みたいな腹をしているロッチ」
「ぶ…た…」
洋子の中で何かがプツンと切れる音がした
「豚みたいなピンクレーサーなら絶対にカツカレーを食べに来たはずロッチ まったく、せっかくインチキくじ引きで旅行を当てさせて商店街からチーキュの一般市民を追い払ったり
妨害電波まで流したのにお前はっ、こっちも自腹でやって…、ってうわぁっ!」
突然上がったボーゾック団員の悲鳴、彼が持っていたスパイスの瓶が撃ち抜かれて爆散する
「あぁっ!瓶がぁっ、だーれだロッチぃ!!」
「そこまでよ、ボーゾック」
体の硬直から解放された女性達とボーゾック団員の間にイエローが颯爽と現れた
「なっ、イエローレーサー!」
『今だっ』
「ってあぁっ」
同じく硬直解放された洋子はボーゾック団員が気を取られている隙をつき脱出し、女性達を逃がしたイエローレーサーが彼女に駆け寄る
「洋子!」
「イエローレーサー!」
「あいつの言った通り通信が妨害されてるみたい。洋子はみんなを予備に言って行って」
「ううん、私も戦う」
「えっ、待って、狙われてるのはピンクレーサーなのよ…洋子!」
イエローレーサーの言葉に反して物陰に隠れた洋子は先ほどの菜摘と同じ構えをとる
「激走!アクセルチェンジャー」
洋子は一瞬にしてピンクレーサーの姿へと変わると再びイエローレーサーとボーゾック達の前に出た。
「な、ピンクレーサー!」「ちょっと、ピンクレーサーなんで変身したのよ」
「あいつ…あたしのこと…か…た…」
「え、何?」
ピンクレーサーは深くいきを吸うと今度は大きく声を上げる
「あいつ、あたしのこと太いとか豚って言ったぁー」
「な、お前どこで聞いてたロッチか!?」
「聞いてたわよっ!絶対に許さない!!」
「えぇぇぇいっ、太いし豚みたいだロッチー!行け、ワンパー」
「チースッ!」
「あったまきたー!いくわよイエローレーサー!!」
「あっ、ピンクレーサー!もうっ!!」
怒るピンクレーサーはもはや制御出来ない、イエローレーサーも走り出し、
かくして戦いは始まった。
「ハァッ」
「チース」
「えい!」
拳と拳がぶつかり合い蹴りに蹴りを繰返す、いくら人数が多くとも、2人にとってワンパーなど敵ではない。
「サイドナックル」
「バンパーボウ」
イエローレーサーがサイドナックルを持った手で強力なパンチを打ち出し、ピンクレーサーのバンパーボウが敵を射抜く、
確実にワンパーが減っていく中、ボーゾックの団員は不適な笑みを浮かべる
「フフフ、少し計画が狂ったがまぁいいかロッチ」
そして、
「ヂィィィッズゥゥゥッ」
最後のワンパーが2人の手で倒された。
「よし。ワンパーはみんな倒したわ」
「後はあんただけよ…って、あれ?」
ピンクレーサーはボーゾックの団員を探すが、そこにはついさっきまでいたはずの敵の姿はなく縛られた店員だけが取り残されていた
「大丈夫ですか?今解きますから」
2人は駆け寄ると店員を縛っているロープを解く
「あ、ありがとうございます」
「ボーゾックがどこ行ったか知りませんか?」
「建物の中に入って行きました」
「わかりました、あなたは逃げてください」
「は、はい」
店員を逃がし、2人は暗い工場の中に入るがそこには人の気配はない
「逃げたのかな?」
「扉は私達が入って来た所以外には無いみたいだけど…」
空気が湿っぽくて微かにカビ臭い工場の中を2人はゆっくり進む。
すると、
「だ、誰かそこにいるのか、」
暗闇の中から声が聞こえる
「誰かいるんですか?」
「ここだー、動けないんだ助けてくれー」
周囲をよく見渡すと2人の前方に誰かがいる、駆け寄ると縛られた男性がいた
「おぉ、カーレンジャー、頼むロープを解いてくれ」
ピンクレーサーがロープを解いてから訪ねた
「その制服、もしかしておじさんもカレー屋の店員さんですか?」
「あぁ、私はカレー屋の店主だよ。あ〜いてて」
ロープを解かれてゆっくりと立ち上がった
「ボーゾックに捕まったんですか?」
「あいつらオープン前日にいきなりやってきたんだ。
うちのカレーを利用して店何か作りたいって…、あ、そうだ、うちの店員は無事なのか?」
「安心してください、私達が助けました」
「おぉ、そうか。」
イエローレーサーの言葉に安心したのか、店主は胸をなで下ろす
「そういやあんたらあの宇宙人を追って来たんだろ?」
「はいどこにいるか知ってるんですか?」
「あぁ、知ってるよ、それは…」
店主の顔にうっすらと不適な笑みが浮かぶ
「あんた達の後ろさ」
「えっ!?」
店主の予想外の言葉に一瞬思考が狂う、慌てて後ろを振り向こうとするが既に遅かった
「ロッチビィィィィィムッ」
工場内がライトの灯りで照らされると共に姿を現したLLロッチが、ピンクレーサーに光線を放ち吹き飛ばす
「キャァァァァァー」
宙を舞ったピンクレーサーは大きな音を立てて地面に叩きつけられた
「ピンクレーサーッ!ぐっ、あなた!?」
駆け寄ろうとするイエローレーサーだが突如店主が後ろから彼女の体を絞めあげる。
「うっ、どうして…、!!」後ろから締め上げる手みるみるうちに白くなる、
「ワンパー!」
店主の正体は落ちこぼれワンパーだが、ただ一人だけ変身能力を持ち今までのカーレンジャーとの戦いを生き延びてきた白ワンパーだった。
「チース!」
「離してっ」
一方、ピンクレーサーは背中を強打しすぐに立ち上がれない。
「う…、」
だがボーゾックの団員がピンクレーサーに近づくと首を掴み無理やり立たせる
「ぐっ…」
「ピンクレーサーを離しなさい」
「自分も動けないやつがなーに言ってるロッチィ?」
「くっ、」
「ロッチロチィ、このボーゾック1のカレー作りの名人LL(ローロー)ロッチ様の凄さを思い知ったロッチー?あんな嘘に引っかかるお前たちも、俺が求人に出した店員募集の面接きたあの店員もバカだロッチー」
名前を名乗ったボーゾックの団員LLロッチの見下した態度にイエローレーサーの怒りがふつふつと湧くが白ワンパーにガッチリとホールドされていて動くことが出来ない
「ところでピンクレーサー」
LLロッチは徐に自身が絞めているピンクレーサーに視線を向ける
「お前、前にPPラッパーがチーキュに来た時に体重計の数字が減らないのをあいつのせいにして一方的に叩きのめしたみたいロッチね」
「いきなり…何なの…」
「それ、本当にPPラッパーが原因ロッチ?」
「え…」
「PPラッパーがチーキュに現れる前からお前の体重は少しずつ増え続けていたんじゃないかロッチ?たぶん増え始めたのは『高カロリーで太るスプレー』を浴びた後くらいからロッチね。」
「高カロリーで…太るスプレー…」
ピンクレーサーの脳裏にある出来事が鮮明に思い出される。
高カロリーで太るスプレーとは以前ボーゾックが低カロリーで痩せるスプレーを作ろうとして間違えて作ってしまった、
その名の通り浴びた物を太らせて終いには破裂(爆発)させてしまうスプレーである。
ボーゾックのNN(ネーネー)ネレンコはこのスプレーで地球を太らせる作戦を実行し、
洋子や菜摘たち4人もスプレーを浴びせられて太ってしまったが、破裂寸前の所で1人逃れていたブルーレーサーが洗車機からヒントを得て
編み出した激走カーウォッシャーでスプレーを洗い落とされて救い出されたのだった。
「でも、高カロリーで太るスプレーは洗い落としたわ…」
「表面のに着いたスプレーは洗い落とせても体に吸収された成分までは完全に落とせないロッチ
太るスプレーの成分は今もお前の体の中に残り、少しずつ成熟されて効力を高めているはずロッチ。」
「そんな…」
避けていた事実と最悪の仮説を突きつけられピンクレーサーは口を閉ざす。
確かに以前自分の体重が減らないのをPPラッパーが体重計の数字をおかしくしたとして倒した後、
仲間には強がりを言ってみせたが実はあれ以前から、そしてその後も体重は少しずつ増え続けていた。
だがそれが落としきれなかった高カロリーで太るスプレーが原因なんて考えもしなかったし、
そもそもあの事件自体洋子は無かったことにしてすらいた。
一度とは言え自分があんな醜い姿になってしまったことが彼女には苦痛でしょうがなかったのだ。
「でも…、そんなの本当かどうかもわからないし…、なんでそんなことを…」
LLロッチは首を絞めていない方の手で懐から赤いスパイスが入った瓶を取り出した。
「成熟された成分をこのスパイスで活性化させてお前を前よりも太った肥満爆弾にしてやるのだロッチ!太ったピンクレーサーの破裂でチーキュは花火になるロッチ」
「ひっ!?」
「本当は体の中から活性化をより促すスパイスを入れた特性ルーのカレーを
お前が食べたのかしっかりと確認したかったロッチが、まぁこれだけでもそれなりに太るはずロッチ」
そんな…、そんな理由で狙らわれるなんて…、しかも、そのカレーを昨日食べちゃってる…
ピンクレーサーの思考内で一瞬のうちにその言葉が幾度となく繰り返され、
目の前ある自分の体を滅ぼそうとする物質をたっぷりと詰め込んだ瓶が何倍も大きく見える。
「い、いやぁっ、離してぇっ、またあんな体になりたくないぃっ!」
「ピンクレーサーッ、このっ、離しなさいっ!」
計画の内容に聞きピンクレーサーは恐怖し、イエローレーサーもさっきよりも強い力で抵抗する
「チ、チ〜スッ」
「あっ、コラ!暴れるなロッチ」
「いやぁぁぁぁぁっ!」
ピンクレーサーはLLロッチをの手を払り払おうとがむしゃらに抵抗する
「えぇいっ、ワンパー!」
「チースッ!」
だがLLロッチも易々と逃がす気は無い、白ワンパーに指示を出すと彼は押さえつけていたイエローレーサーをピンクレーサー目掛けて押し飛ばし、2人は正面から衝突し地面に倒れた
「うぁぁっ!」
「今だロッチ!それぇっ!!」
そこにLLロッチは赤いスパイスを振りまいた
「イエローレーサーも前にスプレーを浴びているはず、2人まとめてリバウンドさせてやるロッチ」
「うっ、止めて、」
「いやっ、太りたくない」
2人の体に赤いスパイスがどんどん掛かって行く
しかし、
「あれ?何ともない…」
イエローレーサーは自分の体に何も変化は感じず、周りから見ても特に変わったことは起きていない。だが隣を見るとピンクレーサーにはちゃんと効果がでていた
「うっ、あぁっ!」
スパイスまみれのピンク色のスーツが一瞬光るとピンクレーサーから洋子の姿へと戻り胸を押さえてのたうち回る
「洋子っ!」
「イエローレーサー…助け…うっ、あ゛あぁっ!」
イエローレーサーに手を伸ばそうとする洋子だが、一瞬壊れたような声を出すと腹と胸が急激に膨らみ始め、ピンク色の上着を大きく歪ませる。
ブチッ、ブチッと大きな音と共にボタンが全て弾け飛ぶとその下から揺れる3つの山がクッキリと浮き出た白いインナーが現れた
「うぐぅっ、い゛やぁぁっ」
どこからともなく増える脂肪は爆発性を帯びた性質に変化しながら洋子の皮膚を無理やり引き伸ばし激痛を与える。以前太らされた時はボタンがはじける程度だったが今回はまだ止まらずインナーの下から大きな腹が顔をだし、胸元には谷間が出来ている。
「あ゛あぁっ、やめてぇ、破裂しちゃう…こんな体いやぁ…」