デブブン!

デブブン!

 

 

-1-

 

私の名前は相川奈々美、とある事情で一週間前からリハビリセンターでリハビリをしている
なんのリハビリかと聞かれると答えづらいけど、太った体形で暮らす為のリハビリ

 

「か、看護士さ〜ん、はぁはぁ、待ってください!」

 

足をひとたび止めると今の私の体重が身にしみる。

 

「足をとめちゃダメですよー!まずは自分の足で歩いて生活出来る様にしなきゃ!」
「ぷふうっ、そんなこと言われても!」

 

一歩一歩を踏みしめるごとに感じる今の自分の体重の異常感と重量感、
自分の現実における存在を嫌と言う程、認識させられるような重たさ。
ぶるん!ぶるんっ!と元気にお腹も腕も体を動かすごとに動く。
顔も顎から下の肉も歩く度に波打っている。

 

「ちゃんと足下を気をつけてくださいね」

 

わかっている、わかっているけどさ胸と腹がじゃまして見えないんだよう

 

「よ、よいっしょ!」
歯を食いしばって足を上げる。
「ふーっはーっふーっ」
休まなきゃきつい
「す、すいません、ちょっと休憩させてくださいっ」
「いいですよ五分間休憩とりますね」

 

少し前屈みになると、垂れている腹肉が床についてひんやりして気持ちいい

 

目の前にある全面鏡をふと覗き込むとようやく自分の体の全体像が把握出来る、したくないけどね…

 

全身をひと言で言うならば肉ダルマ状態、
顔は首も頬も顎も全て肉で一体と化していて小振りのスイカ2つ分は頬にくっついている感じ、
その下の顎から垂れてる肉は胸の谷間に近づく程垂れている、
口はちょっと動かしづらいけど大丈夫。だけど動かす度にぷるぷる震えるのは慣れそうにない

 

二の腕は女の子二人分のウエストはあるかな、胸の肉で腕の動きが阻害されてて、
どうにかしてほしいと思う。
トイレやお風呂、着替えはきちんとやるには、一人だともうできないので母親か看護士さんに
手伝ってもらってる

 

胸はすっごく大きくなった、胸一つの重さで痩せていた頃の自分ぐらいあるんじゃないかな?
大きい胸だと思うとちょっと嬉しいと思ったりするけど、大きくなりすぎてだらし無く垂れてるのは恥ずかしい

 

お腹は一番成長したと思う。ちょっと屈むだけでおへそが床についちゃうもん、
妊婦さんなんか束になってもかないっこないくらいでかい。
肉質はちょっと固めでおかげで歩く時はぎりぎり床にひきづらないで済んでいる。

 

お尻もでかくなっちゃって三人用ソファでも座るときつくて、
最近はもっぱら尻が垂れ下がってもいいようなイスにしてる

 

足はパーツだけで見ると太ももはドラム缶より大きくて足首に向かって極端に肉幅が
小さくなっていく。
チョココロネみたいな感じ。

 

歩く時にお腹に足が当たっちゃうから、歩き方を改善しなきゃいけないかなって思ってる。
足への負担はすごく大きいから気をつけなきゃいけない。

 

なんでこんな体になってしまったか経緯を話せば以外と短い…いや長い?

 

 

-2-

 

1ヶ月前

 

「体が好ましいものに変わる飲料かぁ。って結局この話はガセだったな〜」
そういいながらガバガバと、とある飲料水を飲む。

 

半年前にネットで見つけた物を面白半分で買ったのだが何ぶん味が美味しかったので、
時折購入して飲み続けている。父親にそんなわけのわからないものを飲むなと言われたが、
不思議と中毒性が高くて、一日に一本は飲みたくなる。
飲料水はなんてことのない普通の500mlのペットボトルに入っている飲み物だが、
成分表示が随分と大雑把に書かれていて、たしかにその点は怖い、だけど…
「ぷはーっ!やっぱおいしいなぁ!」飲んでしまう。

 

私自身がちょっぴり華奢な体形が変化すればいいなと思って買ったんだけど、まぁ結果オーライか

 

そしてある日
朝起きたら体が妙にむず痒い、朝だから起きたと言うよりむず痒くて起きた感じだ。
妙にお腹のあたりがきつい、いやだんだんときつくなっているようだ
手も少しつづ膨れているような…

 

 

「体重の増加が止まらないよぅ」
昨日の朝から私の体重は増加をしている、入る服もとうとう無くなったのでパンツとシャツで
なんとか今はしのいでいるけど、どこまでもちそうかは分からない
「ううう、顔も結構、肉がついてきたよぉ〜」若干二重あごになりかけた顔を触る
両足の肉も普通に歩くだけで股が擦れはじめた
体重にしたら昨日より30kgは増えた
元々の体重が47kg、そこに+30kg、とてもしんどい
ちなみに今日は学校はあったけど休んでいる、制服も入らないしどうなるかわからないから。
家族に病院に行きなさいと言われたけど、私もそう思うけど
こんな姿を見られるのが恥ずかしくていきたくないし、もし行ってその時に肥大が止まったら
笑われ者だ
そんな事を考えているうちに、ついにそのときがやってきた

 

2日目の朝、昨日より20kg近くは増えた体を支えながらトイレに入り、用を足した後、
出ようとした時である
「はぁ、もうすぐ体重が100kgはいっちゃう…うっ!」

 

体が猛烈に熱くなり始めた、
「熱い!熱いよ!」猛烈な熱さに泣きそうになりながら自分の体の様子をなんとか確認してみると
膨れていたお腹がものの数秒で垂れ下がり始め、手の指も分厚くなっていく
視界もなんだか狭まっていく、ありとあらゆる所に急激に肉が付いていくのがわかる
「た、助けてぇ〜」
なんとか声を振り絞って助けを求めたが、すぐに気付く、今日は朝から母も父も不在だ
「お、重い!」自重に耐えきれず四つん這いになる、
お腹と胸が床に張り付くと少し自重が軽くなった様に感じられた
シャツは肥満化に追いつかず、破れはしないがその布が首元にあがってくる。

 

「はぁはぁ、止まった、かな?」
なんとか壁に手をやり、体を起こすと無惨に破けたパンツの破片が視界に入る
太っても形を保っていた胸がやわらかい餅のように垂れ下がる、
お腹はもう、完全に股間を隠していて太ももの上にだるんだるんに乗っかっている
お尻はこっちからは見えないが、ぎりぎり手が届くので確認してみると、
特大クッションがくっついた具合に見事にふくれあがっている
二の腕は以前の私のウエストくらいはありそうだ、動かす度に揺れていて恥ずかしい
「顔は?顔はどうなっちゃったんだろう」
洗面台に近寄り顔を確認する
「これが私?」
頬の肉が桃一つ分は膨れ上がり、口元と目を小さく見せている、
顎は首と一体化して上に垂れ下がり始めていた

 

「はぁ…」
なんとかソファに座り、やっとひと心地がついたら
涙がでてきた。こんな膨れ上がった姿でどうしたらいいんだろう

 

 

-3-

 

あれから3日後、私は病院にいる、あれからトイレで起きたような肥満化は起きなかったけど
ゆるやかに太り続けている。今日体重を量ったらついに250kgを超えた。
この間トイレで肥満化した日は190kgだったのに…
太った原因もわかった、どうやらあの飲料水にあるらしい、
私より前に少なからず外国で同様の事例があったらしく成分を調べたら
デブブンという成分が入っているらしい、この成分は人工的に製造可能らしく、
見つかった場所は食料も少ない飢餓地帯で、本来はそういう場所でこそ使われるようなもの
だったのだ。
まだ体に大量に成分が残っているらしく体から再抽出できるでもないらしい、
細胞と一体化しているみたいで、太りきらなきゃいけない
もうあの飲料水は飲まないけれど、販売元は元々この飲料水を大量に売りつけられ、
それを販売していたらしい
とりあえずは慰謝料や入院費もろもろ払ってくれるらしい。
後、私だけがずっとこの飲み物を買っていたらしい。
「らしい」というのはお母さんから聞いただけだからだ。

 

「はぁ」
溜め息するとお腹が少し垂れるので嫌だが、溜め息もしたくなる
一週間程前は華奢で少々貧乳な普通の女の子だったんだけどなぁ…
いまや153cmの身長にバストが218cmだ、笑いそうになる。
「すいませんートイレに行きます」
看護士二人に支えられて廊下を歩く、
お医者さんが言うには体は適応して歩ける様になるらしく成分が抜けきったらリハビリするそうだ
歩く度に全身の肉がぶよんぶよん揺れているのがわかると何故か興奮してしまう、
こういう性癖があったんだな私
「ふひぃ〜よいっしょっと」
やっとの思いで特注サイズの簡易トイレに座る
「ぷふぅ、看護士さんありがとうございましたぁ」
「ぷふぅ」「ふひぃ」「よいしょっと」こんな言葉を使いたくはないが、自然と口からでてしまう
最早はお尻は拭く事が出来ないので機械か人任せだ、
機械の時はいいが人に拭いてもらうのは慣れるまでどのくらいかかるだろうか…

 

 

-4-

 

太り始めてから2週間が経つ
なんとか歩ける様になった私は、自力で体重計まで移動する。
両腕を左右横にぶるんぶるんと振って歩く、今の体形で歩くためのちょっとしたコツだ。
二の腕が振る度に少しだけ脇肉というかおっぱいの肉で阻害される
500kgまで測れる体重計が設置されており、その上になんとか乗り込む
「はぁ、はぁ、このボタンを押してっと」

 

303kg

 

「や、やっぱりね、胸とお腹が昨日より重かったもん」
「気をたしかにしてくださいね、サイズを測るんでこちらに」
今の自分の朝はまず体重を量り、その後にスリーサイズを計る、
痩せる前の自分のサイズは79-54-80だったが
「上から253-279-288」
「昨日はどのくらいでしたっけ?」
「えーと247-265-279ですね」
もういくら増えても気にしない様に努めているがやはり前日と比較したくなる
サイズを測ると着替えに入る
歩きやすくする為にお腹の肉をベルトで上に締め上げる、
そうすると垂れ下がっている胸も持ち上がって垂れ下がっていた分の胸が大きくなる。
お腹が上に上がった分足が持ち上がるので少し歩幅が大きくなって進みやすい、
だけどそろそろ足も左右に揺らしながらじゃなきゃ歩けなくなるかもしれない。
太ももと間接の肉が動きを阻害しているのだ、
マッサージででろんでろんにすると少しは動かせるけど、歳が若いので肌にはりがあるらしく、
その分間接の動きを阻害する。

お腹の肉を盛大に動かしつつ尻の肉を左右に揺らしながら歩いて食堂に向かう、
以前の私だったら30秒あれば到着する距離だけど今の私じゃ2分はかかる
既に私専用の食事が用意されており、イスを三つくっつけた後なんとか席に着く。
尻はこれでなんとかなるのだが、イス自体は前幅が少ないのでお腹の肉は垂れ下がり床に着地する。
最近床に着く面積がどんどん広がってるので、汚れないためにも服をきれるようになりたい
食事の量ともなると1回の食事で10杯程の量の御飯を食べる、
おかずも数も同じくらいの倍数だ、これだけ食べないと倒れてしまう。
「けぷっ」食べ終えると小さなゲップがでる。今後もこのくらいのゲップでありたいと思う
行きと同じくらいの時間をかけて部屋に戻りベットに横になる、
寝ている時は足を広げてその間にお腹を置いて横になる、というかもうそうやるしかない
「あ、顔洗わなきゃ」
一旦横になると起き上がるのにとてもめんどくさいが、顔を洗いたい気持ちの方が強い。
洗面台で顔を水洗いするのだが体を屈むのが非常につらい、
もう少し太れば少し屈むだけで腹肉が床につきそうだ、
そうしたら少しは体重の設置面が増えて屈むのも楽になるかもしれない、
けれど最早そんな体になったら今以上にどうやって生活すれば良いのだろうかと不安になる

 

顔を洗って拭いていると今の私の頬肉の付きようだいぶ分かる。
手で持ち上げてみるとぷにぷにしていて気持ちがいいけれど、
だんだんと顔が毎日ぶよぶよに膨れ上がっていくのがよくわかる。

 

後一体どれくらい太るんだろうか…

 

 

-5-

 

18日目

 

「はぁはぁ、先生!看護士さん〜!助けてください!これ以上太りたくないよう、
 醜くなりたくないよぅ!」
ついに発作がきた、酸素マスクを無理矢理挿入される
「はひーっはひーっはひーっ」
つらい、辛すぎて息が出来ない。全身の皮膚が引っ張られるかのような感覚に襲われる
バキッ!
ベットが折れる、全身がだるんだるんに揺れるのがわかる
顔の肉が胸がお腹が尻が、震えながら膨張していくのがなんとなくわかる。

 

いやだ、もういやだ、肉なんて贅肉なんてどっかいってしまえ…

 

 

気付くと既に夕方だった
体の自由がまったく効かない、腕はなんとか動きそうだ、
腕を上げてみると今までに無い程肉が付いたのがよくわかる
腕でこれだけってことはいったいどうなってしまったんだろうか…
「目覚めましたか!奈々美さん、喜んでください、先程の肥大で成分の99 %は消費されましたよ、
 残りは誤差か確認出来ない範囲ですが今週中には完全にデブブン成分による肥大は止まります」

 

良かった、もうこれで体重が増える事は気にしなくてもいいんだ

 

「しかし前にも言いましたがデブブン成分で太った分は特殊な細胞と化していて
 20年は脂肪除去できないので、これからのリハビリが治療の本番です」

 

そうなんだよね…20年も待たなきゃならないんだ。
「あ、あの」
「はい」
「私の体はどうなってしまったんでしょうか」
少し口を動かすだけで頬が今までにないほど揺れているのがわかる…
「体重だけなら言っても良いですが、今はあまり知らないほうが良いかもしれません、
 ショックを受けてしまうかもしれないですし3日間待ちませんか?
 その間に肥大化で増えた分の体重を支えるだけの筋肉が増殖すると思いますし、
 その時に自分の体のことを知ってもいいと思いますから、ますは心も体も休めてください」

 

「た、体重だけでもおしえてもらっていいですか?」

 

「523kgです」

 

 

そして今に至っている、
最後の肥大化の後に始めて鏡を覗き込んだ時は一瞬自分が誰だかわからなかった、
手で胸や腹を持ち上げてみたりすると鏡に映っている肉塊も同様の動作をしているのを見て
やっと現実味が湧いたほどだった。
あれから筋肉の増量と残った少しの肥満化で今の体重は571kgだ、
尻とお腹のバランスが良いらしく、なんとか立つ事が出来て尚かつ歩けもする
肉の増量がすごかったぶん椅子に座ったりベットで横になる時はもう完全に足を開けて
お腹の贅肉を垂らさなければ動作的に辛くなってしまった
ベットで座るとまるで鏡餅のようで気持ちが悪い、人間鏡餅だ、
でもなぜか私はこんな自分の体に少し興奮を覚えている、
顔を両手でペチンと叩くと頬の肉が揺れて心地いいと同時に太った実感がすごく湧いて
変貌した自分を実感する

 

 

でもこれからが大変なのだ、
日常の動作をこれからリハビリと経験で培っていかなきゃならないんだから

 

 

-6-

 

あれから二ヶ月がたったリハビリが終わり家に帰宅し今は家でリハビリの続きのようなことを
やっている
朝、特注サイズのベットから、降りる事がまず最初の一仕事だ
誰も聞いていないのをいいことに
「ふひーっよいしょぉーっよいしょよいしょ><」と言いながら必死におおきなお尻を動かし
大きな腹を動かしベットの中で方向転換し電車のつり革のような専用器具で立ち上がる
立ち上がった時には既に汗まみれだ
「はふーっふひーっ」
息切れしたまま私は部屋に設置してある洗面台にかがみ、顔を洗う。
屈むと、前に思っていた通りお腹の肉がだるんと床に着くので体重が少し軽くなった気になる
お腹の下や脂肪と脂肪の間は寝てる間から汗で濡れているので、
部屋に設置してあるシャワーを朝から浴びる。
自分が立っていられる限界は10分ぐらいなので、シャワーは座って浴びる事にしている。

 

シャワーを浴びるまでは自分1人でなんとかなるんだけど、その後はもう無理だ
「お、おかあさん背中とお尻を拭いて〜」
ちょっとばかり肉で圧迫されたよどんだ声が家中に響き渡る、
スイッチを押すと家中のスピーカーに繋がる仕組みだ
「はいはい来ましたよー」
「ぷふぅ、遅いよ〜」
トイレで小も大もする時は基本的に同じだが、今は機械でなんとかなるようになった。
制服は上から着れば良いだけの特注品を使っている、靴下を履くのは手伝ってもらう
前は二階部屋に住んでいたが今は一階に移動した。もう私は並の段差は超えられない
最後は食事だが、寝ている前と間食で高カロリーの特殊ドリンクを飲む様にしているため
食べる量は通常の三倍程度で済む様になった、
まぁ満腹にはならないんだけど
最後はバケツ並の大きさの靴を履き家をでる、とその前に
「げぇ〜ぷ!!げぷっ」
外でゲップを出す前になるべく出せるものなら見知らぬ人がいない場所でゲップを出すように
している。

一種の私なりのマナーだ

 

玄関を出ると
「奈々美ちゃーん、おはよう!」
「おはよう健太君!」
「今日もぷるぷる、いやぶるんぶるんとしててかわいいよ!」
「もう健太君ったら!」
彼の名前は須山健太、たぶんデブ専なんだろうけど学校に登校し始めてから
1週間後に告白されて付き合う様になった
スキンシップが激しくて少し恥ずかしいけど、こんな体でも自分とこの体を好いてくれる人が
できて、この体にもちょっぴり自信を持てる様になった
そのせいもあって

 

「スカートからヘソが見えてるよ」
「い、いいのよヘソだしてるの、健太君そういうの好きでしょ」
ヘソを出すファッションと同じようなものだと思い込んで言いきる
「いつ見ても巨大なへそですな〜」

 

…やっぱり恥ずかしいや
「胸もなんだか今日は大きい気がする」
「ぷふぅ、腹にベルトしてるからね、でもこうすれば」
唯一自由に動く腕を使って胸を押し上げる
「お、おおきいでしょ!」
「大きいよ奈々美ちゃん、いやー無理させてごめんごめん」
胸を手から離すとぶよん!と垂れ下がる、こんな事をするだけでも重労働だ
「ふひーっ、い、いいのよ、なんだがこうしてるほうが楽しいの」
かつての自分ならとても気持ち悪いと思ってしまう事を平然とやってのける、
しかしもう開き直って恥ずかしいことをしてしまうほうが何故か楽しいのだ

 

学校へは電車で通学している、駅まで10分だが今の私には30分はかかる、
駅までの道は人通りが少ないので時折さっきのようなスキンシップをしている

 

今の体重だと足腰に負担が大きいので杖をいつでも使える様に腰辺りに下げている
さすがに人通りが多くなる路地に出るとスカートをなるべく下げて腹肉がでないように
気をつけるが、ここいらでは有名人になってしまったため
多少の贅肉がぷるんぷるんとでていようが、しょうがない風物みたいな扱われ方になってしまった

 

 

-7-

 

ようやく電車に乗り込む、ここからが辛い、
電車で15分移動するのだけれど、私は10分ぐらいしか立てないのだ
そういうわけで混雑しそうな日や雨の日は車で送ってもらう事にしているが、
平日は自分自身がいつまでも歩ける様にするためにも自力で歩いて登校している
5分と立たないうちに息が切れ始め7分を過ぎる頃には
「ぷふぅ、ぶふぅ」「ふひーっ」
汗がお腹の肉の先から垂れ始め、ぽたぽたと床に垂れる
「け、健太君お腹の肉を、も、持って」
座れば良い話であり席を譲ってもらえば良いのだが、前にそれをやったら、
べちょべちょに濡らしたあげく、駅に着いたら出発の時間までに立てなかったりもしたので
健太君に自分の肉の一部を持ってもらう事にした、
健太君がいない日は電車の入り口の手すりに捕まり喘いでいる。
やっとのおもいで電車から降りると、近くのベンチで10分休む。
ただベンチで休む前にベンチの下にビニールをしかなきゃいけない。
垂れ下がる贅肉のせいでお腹が汚れるからだ
「はあっはあっ、き、今日も無事にここまで来れたよぉ」

「偉いよ本当」
「あ、ありがとう」

 

休憩が済むとなるべく早足、といっても普通の人に歩行の半分ぐらいの速度で駅をでる
駅前のすぐそこがが校門というのは本当にありがたい、休憩する事無くいける。
「おーはようっ!」奈々美ちゃん!」
友達の三重ちゃんだ
「お、おはよお、み、三重ちゃん、くふぅ」
「健太君もおはよう!、今日も二人でスキンシップですかな、この〜」
三重が胸を鷲掴みにする
「やっぱ気持ちいいわ肉が〜」
三重がそんな趣味を持ってるなんて太る前は知らなかったから少しショックである
「いやぁ〜奈々美のやつがな、ぶよんぶよんしているんで愛くるしくてつい」
「真性の変態ね、健太君は、奈々美、こんな男手放したらあんたきっと生涯後悔するからね」
「ぷふー、わかってるよぉ、私、ちょっと休むから三重、悪いけど、ぷふぅ、先に行ってて」
「はーい、じゃあまた後でね」

 

 

-8-

 

「よいしょっと」またビニールを地面に敷いてベンチに座る
ようやくこの体での学校生活も慣れてきたと思う、
初めはこの体のせいでトイレや机を壊したり友達から少し距離を置かれたが
今や机やトイレは私専用のものが作られて、友達との関係ももとの鞘に収まった。
階段の上り下りは車イス専用エレベータが付いていたので
それを補強して使うようにしている。
机は私の腹肉が垂れ下がるスペースを考慮して作られた物だ。
姿勢で言えば前屈みになってノートをとっている

 

「はふぅ〜」
深まる季節に汗をかいているのはここいらじゃ私ぐらいか、でも
「涼しくて気持ちいい〜」
ぷふぅと息を荒くしながら、心地よい冷たさを感じる

 

「こんなときに言うのもなんだけどさー人もいないし、よい天気だし」
「なに健太?」

 

「奈々美は怒るかもしれないけど、俺、奈々美がこんなにふくよかになってくれて良かった」
「え?」
何を突然言い出すの?

 

…やっぱデブ専だから付き合ってるのかな?

 

「実は太る前から、好きだったんだ、でも俺、性癖?性欲としてはデブ専というか
 女の子がだらしなくぶよぶよしてるのが好きでさ
 なんだかそういう性癖を持っているのが後ろめたかったんだ、
 でもこんなに奈々美が太った。そしたらなんだかいつかカミングアウトするつもりで
 正面から付き合ってもいいかなって思えて。
 無論、奈々美が太ってしまった事自体は奈々美とっての不幸で喜ばしいものじゃない
 だけど、その、太っちゃったせいで奈々美が自分にとってパーフェクトな存在に
 なっちゃったんだよね、それで即、告白しちゃったんだ」

 

そっか

 

「怒る?」

 

良かった

 

「ううん、正直ほっとした、
 自分が太っただけを理由に付き合ってるのかもしれないって心の隅で思う事があったんだ
 でもそんな事聞けるものでもないし、無闇に話しにくいもの、まぁ無闇に話されたけど」
「健太、話してくれて、ありがとう」

 

口のなかで歯をくいしばって立ち上がる
「ありがとう」
無理矢理かがんで抱きついた、腹肉が胸が顔の贅肉が彼の胸から下の全てにべっとりとくっつく
腹の肉が彼の靴とズボンにぴったりくっつくのがわかる
胸がおっぱいが彼の脇を覆うのがわかる
顔の贅肉は彼の胸元にぴったり張り付くのがわかる
顔を上にあげると健太の顔が間近にある
「な、奈々美!」
「これからも一緒に居てね」
彼が顔を近づけてくる、そして私はキスをした、…頬がちょっぴりじゃまです

 

「………」
「………」

 

「奈々美」
「はふうぅ、何?」
「ちょ、ちょっと重い」
「ぷふぅ、もう少しだけお願い」

 

少し時間が経って、なんとか踏ん張って後ろに下がる
「ご、ごめん、ちょっと支えて」
スカートがめくれてお腹が丸出しになっている、
でもそんなことより、このままじゃ前のめりに倒れちゃう
「い、いいか手を離すぞ」
「う、うん」
えーとこういう時はお尻の肉をこういう方向にとって、せーの
「よいしょーっ!!…あっ」
今は言いたくなかったのにぃ
「やっとその言葉を言ったか、さっきも本当は立ち上がるとき何か言いたかったろ」
は、恥ずかしい、普段から赤い顔が余計赤らむ
「いいんだよ、今の奈々美にはむしろそれが自然で奈々美らしいんだから」
「ふひーっ、ありがとお」

 

本当にありがとう健太!

 

 

-9-

 

少し黄昏れた後、スカートを直し玄関口によたよたと向かう。
玄関口にある特注の椅子に座り靴を履き替える
そして階段にいき車イスに座る。スイッチは自力で押せるが健太がいるときは彼に押してもらう
彼は反対の校舎が教室なのでそこでお別れだ
「じゃままた昼休みに行くからな」
「うん、じゃあまた後でね健太」

 

ようやく教室がある階につけば登校最後の一仕事だ
「よーしっ今日も頑張るぞ!」
頬を両手でぶよんと揺らし、お腹の贅肉を胸を二の腕を盛大に揺らしながら仁王立ちする
腹と尻をゆらし、二の腕をゆらしきって教室に入る。出入り口に一番近い席だ

 

私は華奢な体をちょびっと変化させたくてあの飲料水を飲んだ
たしかに華奢な体は見違える様に変化した
こんな変化は望んでなかったけど、最初買った時に思った事をもういちど思う

 

結果オーライだ

 

今日も私は汗水垂らしてぶよんぶよんと盛大に学校生活を送る
大きな体を持っちゃった、ただそれだけ
むしろこの体を楽しもう!

 

私は教室のドアをいつも通り開け体を横にむけて腹をこすりながら入った

 

「みんなーおはよう!」

 

 

終わり

 

 

 

 

相川奈々美 16歳 高校1年生 身長153cm
 初日    身長153  体重:47   B:79  W:54  H:80
 3日目   身長153  体重:97   B:99  W:87  H:101
 6日目   身長153  体重:251  B:218 W:187  H:183
 14日目  身長154  体重:303  B:253 W:279  H:288
 18日目  身長154  体重:523  B:392 W:427  H:406
 60日目  身長155  体重:583  B:419 W:468  H:431


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