皿ブレッド氏その2

皿ブレッド氏その2

 

 

「あ〜ぁ、本当にこんな娘いないかなぁ。知恵袋だと、やっぱり変な男しか食いついてこねぇのかね……。」

 

そういって俺はパソコンの電源を閉じた。

 

勿論、先程の描き込みは嘘だ。
そうそう200 kgのデブ女がこの日本に入る訳はない。

 

だが100 kgクラスの女なら確かにいるはずだ。女には自分の悩みを共感したいという思いと、他人を適度に見下したいという欲求がある。だから、俺はそんなデ
ブ女にとって都合のいい「お友達」を演じようかと思ったんだが……やはりそうは甘くないようである。

 

(そんなデブとあわよくば、と思ったんだがな……)

 

その日の夜――

 

「んん……あ、あっちぃ……身体が……あっちぃ……」

 

眠りながらも俺は妙な火照りを身体に感じていた。だが、この季節のせいかと思い、うっとおしいと思ったが、結局目覚めることはなかった。
しかし、それは決しては気温のせいではなかったのだ。

 

「ふぁぁ、なんか今日は身体が重いなぁ、全く。」

 

ミシッ……ギシシッ……ドスン……!

 

重たい身体をどうにか起こして、俺はベッドから立ち上がる。
昨晩の火照りのせいか身体が妙にベトベトし、何となく汗臭い気がする。
視線を下げ自分の身体を見ようとした時、俺は初めて異変に気付いた。

 

(え、なんだこの脂肪は!?!?)

 

なんと、胸もお腹も腕も足も身体中全てに――ぶよぶよの贅肉が俺の身体にまとわりついていたのである。

 

(一体なんだんだよ、これ!? か、鏡……鏡はどこだ!? 俺の身体は、どうしちまったんだ……。)

 

ドス、ドス、ドス……ドス、ドス、ドス……

 

鈍重な身体は思うように動かせず、ヨタヨタ歩きで俺は必死に鏡の方へ向かった。そして、俺は自分の現状を初めて目の当たりにする。

 

「な、なんだよ、この身体は……。それに……女なのか、俺はっっ!!??」

 

そう、先程はその体型ばかりに気が言ってたが、俺の変化はそれだけじゃなかったのだ。
そう、今の俺は女だった。にわかに信じ固いが、鏡に映ってるのは異常に太った女性の姿をしているのだ。

 

「い、いや……嘘だろ。デブ専だからってそんな、自分がデブ女になるなんて、そんな……嘘だ……。」

 

俺はこの現状に信じられず、パニック状態に陥っていた。
だがそんな時、激しい頭痛が俺を襲ったんだ。

 

(うぅ……!? あ、頭が痛い……痛いぃぃ……)

 

そして俺は気を失った――。

 

 

 

数週間後、
――――
どうも、私SinoSino0610っていいます。
私は20歳の女性なんですが、昔から太る事に快感を覚えてしまい、今では体重が200kgもあります。
私みたいな女ってどう思いますか?

 

ベストアンサー
貴女みたいに太った女性が大好きです。是非お会いしたいです(^O^)/!
――――

 

「ふふっ……、やっぱりこういう男の人って意外と多いのよねぇ❤」

 

そう言うと、「私」は満足そうにパソコンを閉じた。そして私は大好きな姿見の前に行くと、自分の全身を眺める。
スレンダーな美人とは正反対の、だらしなく垂れ下がった醜い脂肪の塊。日本ではまずお目に書かれない程の超肥満体が、そこに立っている。

 

(でもこれが、生まれてからずっと、私が求め続けてきた美しさなの。そしてこれからも、私は更なる美を追い求め続けるわ……❤)

 

キッチンへ向かうと、冷蔵庫から大量の冷凍食品を取り出し、手早く準備する。
腹の虫がぐぅ〜となり、更なる食事に胸が高鳴った。その時ふと、大きなゴミ袋に目がいった。

 

「そういえば、この男物の服……結局誰のだったのかしら? 前に私の服全てがこのダサい服と入れ替わって大変だったのよね。やっと明日がゴミの日だわ、後で捨てないとね……この不気味な服。」

 

(でも、この服どっかで見覚えがあるのだけど……一体なんだったかしら?)

 

急に、大切な何かを思い出せそうな気がした。だがすぐさま、レンジの音とそこから香る美味しそうな匂いに誘われ、私の脳裏からはそんなことは消え失せてしまった。

 

「まぁ忘れる事は忘れる程、とるに足らない事よね。そんな事よりご飯の時間よ。いただきま〜す❤」

 

そして私は食欲の波へと溺れていった。
そういつものように――20年間そうしてきたように、もっともっと太り続けるために。
(終わり)
#TSF,性転換


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