水の剣と仮初めの命

水の剣と仮初めの命

 

 

※注 「 」内のセリフは女のセリフで、『 』内のセリフは剣を引き抜いた者が言ったセリフです

 

 

森の奥に一つの石像があった。
美しい肢体の裸婦、そのくびれた臍に剣が突き刺さっている、そんな石像だ。
その剣の柄を掴み、引き抜いた者がいた。

 

その瞬間、石作りのはずの剣が、金属の輝きを放ち出し、本物の剣と変わった。

 

剣を引き抜かれた裸婦の石像も変化していく。

 

長い空色の髪が風でなびき、一糸まとわぬその肌は瑞々しく輝いてる。
小ぶりながらも整った形の胸と尻に肉付きを必要最小限位にとどめている細い手足。
そして光を宿した瞳。
その女は紛れもなく命を持つ人だった。

 

数分の間を置いて女が口を開いた。
「おめでとうございます、あなた様はこの剣に選ばれました」
「この私に何なりとお申し付けください」

 

「『服を着て欲しい』?・・・ではこうしましょう」
女の皮膚から水が出てきて、その体を包んだかと思うと、服となった、
紺色のブラウスと白色のジーンズだ。
「あなたの記憶から読み取らせてもらいました」

 

「『私について教えて欲しい』、私はこの剣の鞘でしかありません」
「剣を創った者から、剣を引き抜いた者の下僕となるためだけに、
 仮初の命を与えられたただの石像です」
「貴方がその剣を使いこなせるようになった時、私の役割は終わります」
「命を絶つなり、捨てるなり好きにしてください」
女は笑って答えた。
彫刻の様に整った顔で描いた満面の笑みは、自分が言ったことが実現することへの恐れなど見えない完全な笑顔だった。

 

「『剣について教えて欲しい』、では教えましょう」
「この剣は物を斬るものではありません」
「持つ者の意志によってあらゆる性質の水を出す剣です」
「ええ、斬ることは出来ません、その代わりに剣を壊すことも ひぇひはへん!?
(出来ませんっ!?)」
剣の切っ先が女の口に突きつけられ、口でくわえさせられる。
だが、刃をくわえてる女の口から血が流れることはなく、代わりに水がこぼれ落ちる、
剣から出されたものだ。

 

「うへふ・・・ ええそうです、それが水命剣の力です」
またもや、女の口に剣の切っ先がくわえさせられる。
今度こぼれ落ちた液体は血とは異なる赤色をしている。
「ひ、『苺の果汁をイメージしてみたが、本当に流れていたか?』と言われましても分かりません、
 そういった類の知識は与えられていません」
「えっ!どこへ行くのですか!?」

 

「・・・何ですかそれは・・」
「『果物に野菜、これを食べて同じ味の水が出せているが確かめて欲しい・・・」
「口直しにおにぎりやサンドイッチも持ってきた・・・嫌なのか』?」
「いえいえどんな望みでも従いますよ」
「どんな苦しみを味あうことになろうとも構いません」
「それが私の役目ですから」

 

 

「・・・あれ・・・苦しくない・・・」
「 『美味しいに決まってるだろ』? おいしいって何ですか・・・」

 

 

 

一週間が経過した。
「この甘味は・・・メロンですね  当たりですか」
「え、『すっかり味が分かる様になったな』? 
「いえいえ、これは水命剣の力と、使いこなすあなたが凄いので ブチッ あっ」

 

女のブラウスのボタンがちぎれ飛び、水滴になって消え失せる。
柔らかいお腹がせり出てきて、ジーンズに乗っかりマフィントップを形成する。
「また太りましたか」
女は何事もなかったかの様に、余裕を持たせてブラウスのボタンを再度形成させた。
だがブラウスに収まっていても、お腹がぽっこりとしているが分かる。

 

この女、鞘としての役目にしたがい、引き抜いた者の望みで剣から出す水の味見役」をした結果、
かなり太ってしまったのだ。

 

まずか細かった首はかなり太くなり、その上の顎も肉が付きたぷんとしている。
整った形と今女が食べていたメロンの様な大きさを併せ持つ、ある意味理想的な胸。
尻も大きくなって(ブラウス同様サイズアップしている)ジーンズをはち切れんばかりに
押し上げている。
なおこの一週間で女の座高はかなり高くなってる。
今しがたあらわになった腹は、妊婦の様な大きさをもってせり出ている。
剣が刺さっていた凹んだへそも、腹が大きくなったことで更に深く凹んでいる。
少し内側に寄せると互いに擦れる程に太くなった脚。
太さもそうだが、主に水でここまで太くなったことから考えてもまさに丸太の様な脚である。
腕もたぷたぷとして、かっての女の脚程の太さがあろう。

 

「おめでとうございます」
「貴方は完璧に水命剣を使いこなせる様になりました」
「その力を自分の思うがままに振るってください」
「私はもう 」 一瞬の間がおかれる。
「用済みです、あなたが望むなら自ら命を絶ちます」
一週間前と同じ満面の笑みを浮かべて言い切った。
しかし彫刻のような整った顔つき、から肉がつきかなり丸くなった顔で描いた笑顔は
自分の言ったことが実現することへの恐れを隠した不完全な笑顔だった。

 

 

 

「   『捨てるわけないだろ』?     ですが、私の役目は・・・もう」
「えっ・・・新しい役目を与える?」

 

 

 

一年後
「ただいま買い物から戻りました、えっ『通販でいいのに』?
 ・・ですが少しでも運動しておきたいんです、この体ですから」
女はブラウスの裾を、丸太のような太い腕で掴み軽くずり上げた。
すると押し込まれていたお腹がでろんと飛び出てきて、垂れて深い三段腹を形成する。
この腹だけでかっての体重以上の重さがあるかもしれない。

 

彼女は剣を抜いた者から仕える者という新たな役目を与えられた。
しかし鞘としての役割、「剣から出す水の味見役」からは解放されてないので、
ここまで太ってしまった。
ほぼ水でここまで大きくなったので、悪く言えば弛んでだらしない、
よく言えばとても瑞々しく柔らかい肥満体で、さらに言えば
野菜と果物の栄養を主にして太ったのでしみ一つない綺麗な肌をしている。

 

まず首は肉に埋もれて、頭と胴体を繋いでるのは二重になった顎だ。
尻は(LLLサイズ相当の)ジーンズをはち切れさせんばかりに押し上げている、
なおこの一年で座高は身長よりも高くなってる。
垂れ気味になって腹に乗っかりながらも、綺麗な形を保ったスイカの様な大きさの胸。
先述の通り一番の肥大化を遂げたお腹。
剣が刺さっていたへそは段差に埋もれて見えなくなってしまった。
というか、その腹回りは剣の刃渡りを上回っている。
どうやっても足どうしで擦れる程太くなった脚。
太さもそうだが、主に水が入ってることから考えても、まさにドラム缶の様な脚だ。
腕もでっぷりとしていて、かってのウエストを上回るほどの太さがあろう。

 

 

167cm  45kg 81・54・73
→ 67kg 94・81・89
→ 163kg 129・161・132

 

 

「そろそろ新しい服を買わないといけませんね」
「もう私の力で覆える面積をとっくに超えてしまってますし」
「えっ、『こんな奴に引っこ抜かれたのが、不運だったと思え』?」
「なに言ってるんですか」
「私は、シースは幸せです」
「あなたのお陰で水を始めとする美味しいものや他人との触れ合いを知ることができました・・・」
「あなたに引き抜かれて本当に幸せです」

 

満面の笑みをもって、名と命の意味を与えられた鞘の女、シースは言い切った。
彫刻の様な顔立ち、を一応保ちつつも肉が付き丸々と大きくなった顔で描く笑顔は、
人の可愛さを得た本当の笑顔だった。

 

 

おしまい


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