肥に至る偶然 恐怖の肥化治療

肥に至る偶然 恐怖の肥化治療

 

 

夜の病院。入院患者の検診を終えた一人の看護婦が空き部屋の片隅に置かれたその機械を「見つけてしまった」
「あら、見たことない機械ね?」
まだ大学を出たばかりの新人である彼女は、不用意にその機械に触れてしまった。
接触を感知した機械は、コードを伸ばし看護婦の全身に絡みつかせる。
「!!?」
機械は本来の機能を、本来の対象とは全く違う者に発動させる。
そう、肥化治療を開始させる。

 

肥化治療とは「肥満化と引き換えに怪我や病気を瞬く間に治療するシステム。
・・・言い換えると、肥化治療とは「怪我や病気を完治させるまで細胞を活性化かつ患部を中心とした全身を肥満化させる」システム。
それが、怪我も病気もしてない看護婦に対して行われた。
  よって、彼女は半永久的に体全体を満遍なく肥満化させられることになる。

 

「いやぁぁぁァァァ・・・・」看護婦が発する悲鳴はすぐさま野太いものへ変わっていった。

 

そして、翌日になってようやく他の看護婦や患者たちが気づいた。
一夜にして造られた周囲の通路を塞ぐ肉色の壁に、
それが肥化治療の毒牙にかかった哀れな看護婦の末路だと気づくのはまた先の話となった・・・・・・』

 

「・・・・などという事態を未然に防ぐために病院の方での取扱いにはとても気を付けて下さい、よろしくお願いします!」
と、自身の考案した肥化治療システムがもたらす危険について説明していたのは、
朱色の美女、リーファ・フェフだ。

 

彼女の説明を聞いていた3人の医師たちは、リーファの話に呆気に取られながら、
彼女に質問してきた。
「えーと、それでリーファさん。あなたが持ち込んだこの機械には本当に今説明した様な事態を引き起こしかねないほどの危険性があるのでしょうか?」
「いえ、バッテリーの問題もあるので1回の肥化治療ではだいたい100kg前後が限度です」
「で、コードが伸びて、人を拘束するんですか?」
「そういった機能は搭載してません」
「というか、触れるだけで肥化治療が始まるんですか?」
「私がパスワードを打ち込まないと肥化治療は開始しません」

 

(((じゃあ、あの仮想に何の意味があったんだ・・・?)))

 

「それでこの肥化治療システムの導入への許可は・・・」
「あー、いいよいいよ」 
すっかり考える意欲を削がれた医師は生返事をした。
「ありがとうございます!!それでは詳しい使用方法はまた日を改めて説明します!」
その生返事を喜んで受け取ったリーファは深々と頭を下げて部屋から出て行った。

 

(・・・この前メールされた論文の方はとても素晴らしかったんだが・・・)
(礼儀はわきまえてるけど・・・なんというか・・・子供だなぁ・・・)
(まぁ、試しにやらせてみるか、書類の方はちゃんと書かれてるし・・・)

 

 

リーファ・フェフが大人顔負けの頭脳と子供の様な純真さをもって
医師たちに本当の協力者として受け入れられるのは、
「朱の女」として肥化治療を行うのはまた先の話であった。


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