choose 選んだ先の未来

choose 選んだ先の未来

 

 

結城家にララがやって来て、しばらく経った。
美柑はリトよりも、すんなりとララを受け入れたが、
そんな彼女に異変が起こっていた。

 

今、彼女は脱衣所に立っている。
「う〜ん・・・」
鏡を見て、顔をしかめる。
そこに映る彼女の姿は、
結構ぽっちゃりとしていた。

 

美柑はララを家に入れて、少し経った頃から、
どういう訳か、太りだしたのだ。
ダイエットを色々と試してみて、
体重を落とすこと自体は出来たが、すぐにまた増えてしまう。
というか、ララと顔を合わす度に、体が太る様な感覚を感じるのだ。

 

せめて気休めにしたいのか、美柑は服を脱いで下着姿になる。
そこからまた体重計に乗ろうとしたところで、後ろにリトが入ってきたことに気づく。

 

「・・・ゴ、ゴメ」 「ノック位してよ!」
「・・・そ、そうだ、今日うちの校医の御門先生に相談してみたら、
 今度診療してくれることになったんだ!」
「・・・ありがと」
(こんな症状を診ようとしてるってことは、その人も宇宙人なんだろうね・・・)

 

その通りだった。
美柑が電話での打ち合わせの時にそれとなく聞いてみると、
あっさりと白状した。

 

その後日、美柑は御門の診療所に向かった。
「初めまし・・・!」
御門の顔を見るなり、美柑はあの感覚を覚えた。
それもより強く、はっきりと「太った」と言えるものだった。
「まさか・・・この症状は・・・」
御門はその変化を見逃さなかった。

 

御門は様々な検査を行い、約1時間後に、そこから出された結論を美柑に言った。
何故か、直接顔を合わせずに、電話によってだ。

 

「あの、どうして電話なんですか?」
美柑が聞くと、御門は深刻そうな口調で説明しだした。
「あなたの症状上、こうした方が良いの」
「宇宙から潜伏していたウイルスが、ララさんと会ったことを契機として発症した」
「その症状は宇宙人、正確には、別の星の人間の存在を目で認識することを条件としての肥満化」
「要するに、あなたはララさんや私を見る度に太ってしまう」
「!! そうだったんですか・・・」
「ちなみに初めて見る宇宙人の場合は、肥満化の幅がより大きくなるの」
「あっ、それでさっき先生と会った時に・・・」
「それで、結論から言うと、発症してしまっては完治させることは出来ないの」
「ただ、薬を服用した状態で、宇宙人と接しない様にすれば、それ以上は太らない」
「・・・・・!」
この説明で、美柑が現状を把握した。

 

このまま太り続けるか、
自分の体型を守るために、ララを追い出す、或いは自分が結城家を出る。
二者択一を強いられていることを。

 

 

そして、美柑の出した答えは―――

 

 

 

美柑の選択から、1年・・・7,8年程の密度がある1年が過ぎた。

 

 

ナナとモモも、結城家で暮らす様になり、
彼女達がペットを飼っている電脳動物園に、美柑はいた。

 

小動物だけでなく、巨大な動物たちも寄りかかっている、巨大な肉の寝床。
それが今の美柑だった。

 

それこそ、7〜800kg程はあろう体型だ。
ペケに作ってもらった超巨大な衣服を着てるので、全裸ではないが、
その体型は到底、誤魔化せるものではない。
飛び出た腹は接地しており、
脚がその腹に遮られてるので、
立って歩くことは不可能だが、
接地した部分を滑らす様にして、移動することは出来る。
そんなレベルにまで太っても尚、顔には以前の可愛さの面影があった。

 

 

 

あの後、事情を聞かされたララが、「かわりみアバターくん」なるアイテムを発明。
このアイテムにより、美柑は必要に応じて、元の体型をした自分の分身(御門が提供したバイオ
ボディ)に意識を移せる様になり、その後押しを受け、美柑は自分の肥満化を選んだ。

 

その後、美柑はリトと共に多くの宇宙人と出会った。

 

ララを追う婚約者達・・・とは、すぐにお別れすることになったが、
そのまま居つく者も多かった。

 

レンとルン、ナナとモモ、メアやネメシス、そして金色の闇ことヤミさん。

 

美柑は彼女らと出会う度に、太っていき、
その結果が、今の体型である。

 

 

ここまで太る前は、出かけたりもしていたが、
今の体型で表に出ると、下手したら大騒ぎになるので、
家事と学校生活は分身で行い、
それ以外の時間は、ここで動物たちと遊んでいる。

 

 

そんな中、美柑は、遠くから兄が近づいてくることに気づく。
(座高が高くなった分、視界がかなり広くなってたりする)

 

 

「あっ、今日はリトが当番なんだ」
美柑のその声は、かってのものからやや野太くなっていた。
・・・この体型で「やや」で済んでることが奇跡である。

 

分身は感覚を共有しているが、生きるための食事は本体が取らなければならない。
リト達は日替わりで、ここに美柑の食事を持ってくることにしている。

 

(何で私、こんな体になる方を選んだんだろ・・・)
美柑はこの体型になってから、度々こう考えるになっていた。

 

下手にララを追い出してたら、まずい事になったかもしれない。
ここまで宇宙人と出会うことになるとは思わなかった。
そういう理由の後付けは出来るが、
そもそも、何で、宇宙人のお姫様を家に住ませたのか。
その選択から、おかしかったんじゃないのか。

 

そんな考えが、時々頭を駆け巡っている。
しかし、その本心には、選択への後悔は殆ど無かった。

 

(まぁ、何だかんだ言っても・・・今の生活も楽しいしね)

 

 

おわり


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