怪奇・幽霊屋敷に遺されたモノ

怪奇・幽霊屋敷に遺されたモノ

 

 

森の奥に一つの豪邸があった。
その豪勢な外観とは裏腹に一切の生活感を感じさせないその様子は
正に幽霊屋敷。そこに忍び込む一つの影があった。

 

「ホーホッホホホ!さぁ、この白蛇のナーガがお宝を頂きに来たわよ!」
・・・もとい、堂々と入り込んでくる者が1人いた。

 

白蛇のナーガ。
魔道士としての強さはかの『ドラまた』(ドラゴンもまたいて通る)リナ・インパースに
並ぶと言われている。
・・・その頭脳は某『光の戦士の末裔』と並ぶが。

 

今回、彼女は魔術師連盟からこの屋敷からマジックアイテムを持ち帰る依頼を受けていた。
幸い(?)、ナーガは依頼されていたものを、すぐに見つけた。
それは、台所に相当する部屋に置かれていた一見、何の変哲もない包丁だ。

 

 

「フッ、造作もないわ!」
(誰もいないのに)胸を張るナーガ、その真下の腹が大きな音を立てて鳴った。
彼女は金欠でロクに食えてなかったところで、今回の依頼を受けたのだ。
ナーガは辺りを見回し、食べ物を探しだした。

 

 

・・・人気の無い幽霊屋敷に食べられる物がある筈無いのだが、
・・・見つかった。
台所の隣の部屋は食堂になっていて、食卓に大量のご馳走が並べられていた。
ステーキやグリル等の重厚な肉料理に、
色とりどりの野菜料理。
各種デザートも揃えられている。

 

 

リナ・インパースなら興味は湧いても、
あからさまに怪しいこのご馳走を食べたりしなかっただろう。
しかし彼女は、白蛇のナーガ。
「ふふふ・・・これぞ天の助け、いただきます!」
躊躇うことなく、ご馳走を食べだした。

 

ナーガは料理を味わい、噛み締め、飲み込んでいく。
  その度に、彼女の体は少しずつ変わってゆく。
露出が激しい格好だけに、変わってゆく様がよく分かる。
腕や脚が太くなっていく。
お腹が膨れていく、それも柔らかい曲線を描きながら。
顔も他に遅れながらも丸くなっていく。
そして、元より大きかった胸と尻がより大きくなっていく。

 

ナーガは食卓のご馳走を全て平らげた。 
「フフ・・・御馳走様でした。  ん?」
ナーガは、椅子から立ち上がろうとするも中々立ち上がれない。
何かが自分を椅子に、というか地面に縛り付けようとしている。
そう彼女は感じた。
何とか立ち上がるも、今度は一歩歩くたびに全身が、
特に胸と尻のあたりが、揺れてる様に感じた。

 

自分の体に、ちょっとした、違和感を覚えたナーガは
部屋の隅に置かれていた姿見に視線をやる。
そこに映る自分の姿は―――とても太っていた。
服は内から肉に押し上げられ、
大事なところはギリギリ隠れているが、
今にもはち切れてしまいそうだ。

 

まず、嫌が応にも、目に付くのは胸。
何せ頭と並ぶほどの大きさとなっているのだ。
それでいて、元の形を保っていて、
2つの爆乳はとても深く、綺麗なラインの谷間が形成している。

 

尻もそんな胸と釣り合う程に大きくなった。
こちらも重力に抗って、綺麗な円形を保っていて、
大振りの桃の様である。

 

胸と尻程では無いが、他も十二分に太くなっている。

 

肉をぎっちりと詰めて、とても太くなった手足。
二の腕は、普通体型の人の腰程の太さで、
重さもこれだけて10数kgはあるかもしれない。
脚は真上の尻と見比べると、相対的に細く見えるが、
実際は腕以上の太さであり、脚と脚の隙間など存在せず、みっちりと密着している。

 

腹周りにも大量の脂肪がつき、
しかし上の胸に下の尻よりかは明らかに凹んでいる。
その様は、出っ張った太鼓腹というより、くびれの無い寸胴の様にも見える。

 

顔はその美しさを損なわない程度に膨れ、丸くなっている。
言い換えると、「キツ目の美人」から「ぽっちゃり顔の可愛い人」に印象が変わった。
(あくまでも、ぱっ見の印象だが)

 

白蛇のナーガ 106kg 132・103・128

 

 

そんな自分の姿を見たナーガの感想は・・・
「・・・フフ、何も変わってないわね」

 

・・・これこそ、マジックアイテムであるこの包丁の効能であった。
この包丁を使い、調理した料理はどれ程経っても
鮮度が落ちることなく、風味を保ち続ける。
しかし、その料理は通常の10数倍のカロリーをもって、食べる者を太らせる。
そして料理を見た者を食べる様に誘導し、
また太ったことに気づかせない様暗示をかけることも包丁の効果である。
  ここまで暗示の効力があったのは、相手がナーガだからであるが。

 

かって、前者の効果だけしか知らずにこれを購入したこの館の女主人は、
今のナーガ以上に太ってしまい、そのままパーティーに出て、恥辱と共にそのことを知った。
そして彼女は、包丁とそれで最後に作った料理を放り捨てるかの様に屋敷に残し、
何処かに引っ越していった。

 

 

「さぁ、帰るわよ!」
ナーガは魔法の包丁、そして大量の脂肪を手土産にして、意気揚々と町へ帰った。
彼女が自分の変化にいつ気づくのか、
魔術士連盟はこの包丁でどんなことをするつもりなのか。
それはまた別の話である。

 

 

続かない(完)


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