新薬品は諸刃の刃? 卑劣なるフラッカス

新薬品は諸刃の刃? 卑劣なるフラッカス

 

 

バーソロミューくまに、世界各地に飛ばされた麦わらの一味。
再会の迫ったある日、ニコ・ロビンはとある島で戦っていた。

 

 

ロビンに複数の海軍兵士が迫るが、
彼らは、自分の体から生えた腕に投げ飛ばされていった。

 

悪魔の実、「ハナハナの実」の能力だ。
ロビンは、好きな場所に自分の体の部位を生やすことができるのだ。

 

「部下の鍛錬がなってないようね?海軍中佐さん」
目の前の男にロビンは皮肉の様な口調で言ったが、
それが通じない相手だとは分かっていた。

 

 

「確かに、私には貴様が生まれ育ったオハラの学者たちの様に、
世界政府に立てつくことを教育はできませんよ」
海軍中佐、フラッカス・クロートは、
皮肉ではなく、確かな敵意を持って返答した。

 

「では、取って置きをお見せしようか」
フラッカスは背中から取り出したのは、武器ではなかったが、
ある意味、どんな武器よりも効果のあるものだった。

 

フラッカスは7,8歳ごろの少女を自分の前に突き出した。

 

「!・・・その娘をどうするつもりなの」

 

「もし貴様が戦い続けるなら――、殺す」
「万が一抵抗を止めるというなら、命は助ける」
「もっとも、オハラの者なら、関係無い者を平気で見捨てるでしょうがな」
フラッカスの言葉には確信の念がこもっていた。
その上で、向こうが見捨てるなら、こちらも『やむなく』見捨てるつもりでいる。

 

「・・・分かったわ」
だからロビンが抵抗を止め、両手を上げたことには少し驚いた。

 

「では、連行する前に海楼石の手錠よりも、もっと面白いもので縛ってあげますよ」
フラッカスの部下が、前に出てきて、ロビンにビン詰めの液体を飲ませた。

 

そして、ロビンの体が太った。全身に万遍なく脂肪が付いてきて、
数字にして、10数kgは太ったことだろう。
特に出っ張ってきたお腹は、服をはち切れんばかりに押し上げる。
また、胸の方は服を裂いてしまい、特大の爆乳が飛び出てくる。

 

「これは・・・!」
ロビンにしても、これは流石に想定外だった。

 

フラッカスが得意げに説明しだす。
「これぞ、海軍が開発した薬品『マスラード』
飲んだものの筋力を増強させるが、それと同等の脂肪を付ける」
「そして原液を飲めば、筋力以上に脂肪が付くことになる」

 

「また貴方たちはそんな物を使って・・・」
フラッカスを睨みつけるロビンだが、彼は動じない。
「フフフ、絶対的正義を守るためには力だけでなく、策も必要となるんですよ」
『策』を示しているつもりなのか、フラッカスは少女に銃を突き付けている。
「・・・・・!」ロビンは何も言えなくなった。

 

 

「さぁ、貴様にはインペルタウンすら生温い!」
「この場で、『肉の牢獄、LV7』に閉じ込めてやろう!」
フラッカスは銃を捨て、脇に置かれていた樽を持ち上げ、
ロビンの口に付け、そのまま中身を流し込む。
そう『マスラード』の原液を。

 

「・・・・・・!」
ロビンは、口に流れ込む大量の液体を、全て飲み込む。
少女に危害を加えぬために、勝機を探るために。

 

少しの間を置いてから、ロビンの体は脂肪で膨れ上がりだした。

 

服は内からあふれ出す肉に完全に引き裂かれてしまい、
胸や股間といった一部に切れ端が乗っているだけで、ほぼ全裸である。

 

「くぅ・・・!」
ロビンは変化のショックで微かなうめき声を漏らしながらも、その意思を保っている。
だがその体は、ぽっちゃり、でっぷりは愚か、肥満体をあっという間に通り越していく。

 

こういう趣味があったのだろうか、
海軍兵士はロビンの変わっていく様を見て興奮しだした。
フラッカスは特に狂喜し、前に出していた少女を地面に放り投げた。

 

ロビンの変化は尚も続く。
腕が、足が、首が、人間としてのパーツが次々に埋もれていく。
そのまま、人間としてのシルエットすら脂肪の中に埋もれた体、
いわゆる「肉塊」と成り果ててしまう。
そこまで太ったところで、ようやくロビンの変化は止まった。

 

マスラードの効能で筋肉もある程度ついたからか、
脂肪の量の割には、それ程脂肪が垂れたりしてない張りのある印象だ。

 

だが筋肉の分、かえって実際の重量は見た目の印象を上回る程に重い。
しかも、手足が脂肪の中に埋もれていては、筋力の活かしようは無い。

 

ロビンは何とか動こうとしていたが、
多少体を揺らした程度で、とても動けそうにない。
既に動きを止め、観念した様に見えたが―――

 

「勝った!この私が!!ニコ・ロビンに勝ったんだ!!!」
自らの『策』が功をなしたことを、手放しで喜ぶフラッカス。
だから、気づくのが遅れた。
目を覚ました少女がロビンの方へ逃げ出したことに。
「!」腐っても、海軍中佐という訳か。
フラッカスはすぐさま気づき、少女を取り押さえるために駆け出したが、
それよりもロビンの反応が早かった。
少女の脚から幾つもの手が生えてきて、ロープとして真上の崖まで延びて、
少女を崖の上まで運んだ。
そうされて・・・少女は喜んでいた。
ロビンは喜ぶ少女の方を見ている。
(首が無いので、正確には向けてないが)

 

「はっ、それで逃がしたつもりか!すぐに追いかけて始末する!」
お前の連行はその後だ!」
そういい捨てるフラッカス。手段と目的が入れ替わっている様だが、
ロビンが身動きできない以上、人質の口封じの方を優先するのはある意味間違ってないはずだった。
しかし、肉塊と化したロビンの体が持ち上がり、こちらに迫ってくる。
「なっ!?」
驚愕するフラッカス。しかしこれは彼の失策だった。
本来、マスラードは脂肪以上に筋力を増強させる。
手足が胴体の脂肪に埋もれれば、幾ら筋力がつこうと意味が無いと考えていたが、
ロビンは、ハナハナの実の能力者である。
ハナハナの実の能力で生やした腕は、マスラードの効果で一つ一つがかなりの筋力を有しており、
十数本もあれば、ロビンの体を動かすには十分だった。

 

 

 

「百分咲き・・・」
意表を突かれ、硬直していたフラッカス達を、背中に生やした腕が拘束し、
腕が塔のように積み上げられ、ロビンの体をある程度の高さまで持ち上げ、
そこから離した。
「ブレス!!」
「「「グワァァァ!!」」」
ロビンは全体重を持ってフラッカスを押しつぶし、
兵士たちもその衝撃の余波で吹き飛ばされていった。

 

 

崖の上で、少女はロビンを見て、笑っていた。
「・・・ふふ」
ロビンは、その膨れ上がった顔で笑みを返した。

 

 

数時間後、少女は別の海軍部隊に保護されていた。
「全く・・こんな少女を人質に使うとはニコ・ロビンめ!」
「どんな手を使っても、奴と麦わらの一味を捕まえなければいけませんね」
「いや、それ以上にこの子の様な市民を我らの戦いに巻き込まない様に努めなければならないぞ」
そう部下に言い切った彼は、部隊の指揮官でフラッカス以上の階級である海軍少将だ。
つまり、少女が彼の保護下にある限り、フラッカスが口封じを強行することは出来ない。
それ以前に、フラッカスはマスラードを無断で、大量に持ち出した責任を問われ
偉大な航路(グランドライン)外に左遷されたが。

 

 

そして、しばらくの時をおいて、再集結した麦わらの一味。

 

サウザントサニー号には、一つの肉塊が乗せられていた。

 

航海士が労力は惜しまず、金は惜しんで縫い上げた超特大の衣服に全身を包んだ彼女は、
以前と変わらぬ愛情を注いたコックの料理で今日もその身を肥やし、
そして、戦いの時はその重量と能力を活かした戦いで敵を圧倒するのであった。


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