御薬頂戴? 小さな願いと大きな結果

御薬頂戴? 小さな願いと大きな結果

 

 

森の奥に小さな家があった。
その中の大部屋で、二人の少女が机を挟んで座っていた。
少女達は二人とも整った顔立ちをした美少女であったが、
身体つきの方は少々、そうほんの少々、難があった。

 

藍色を基調とした服装をした片方の少女は名前をユエと言い、
その顔つきから見ると年は17か18歳頃だろうが、
胸や尻の肉付きがほぼ無く、平坦であった。
背丈だけは年の割に高めなのが、また悲しい。

 

それに引き換え、もう片方の少女はとても素晴らしい肉付きをしている。
そう、10代でありながら、メタボな中年男性も超える程の肉付きを誇る肥満体なのである。
その中でもとり分け巨大なのが胸、では無くお腹。
着れる服がそれしか無かったのか、体操着を着ているのだが
お腹だけが収まらず、ぽっこりとはみ出ていた。
そんな彼女の名前は、テスラ・ヴァイオレットで
その視線は机の上の小瓶に向いていた。

 

「さて、これのお代はさっきご馳走になったスイーツセットで十分だから、もう飲んでもいいよ」
「では・・・・いただきます!」
テスラが小瓶を手に取り、その中身を一気飲みした。

 

 

数分が経過した所で、テスラの体に変化が起こった。
その大きな胸が、より巨大になっていく。
お腹よりも巨大になり―――
バリッ!

 

体操着を引き裂き、胸が飛び出た所で巨大化は止まった。

 

その巨大さは西瓜の様であり、重力に従い垂れ気味になりながらも、
引き離したお腹に支えられ、形を保っていた。

 

同性であっても、その巨大さに圧倒されたのか、
ユエは目を手で隠していた。

 

 

「えっと、どうしよう・・・僕の服は・・・サイズが絶対合わないよね・・・」
「大丈夫です。着替え・・・・みたいなもの持ってきてますから」
「あ、そうなの
(って、どこに持ってんの?持ってきたカバンにはあのスイーツセットと小物ぐらいしか入らなさそうだけど・・・まぁ、何とかする

 

「それじゃ、お邪魔しました」
「またのご利用お待ちしております」

 

 

ユエに見送られ、小さな家、「ユエの薬屋」から出たテスラは
太い腕で胸を隠しながらしばらく歩き、やがて立ち止まった。

 

「ここなら見られないわよね・・・・」
テスラは持っていたカバンから、携帯端末のポケにゃんを取り出し、起動させた。
それと同時にテスラの体が再び巨大化し始めた。
それも全身、そう肥満化であった。
メタボ云々どころか、人間のレベルを超えたサイズにまで膨れ上がっていき、
そんな体をドレスの様な紫色の衣装が覆っていく。

 

そう、テスラは「天ノ遣い」。人々の笑顔を取り戻す為に戦う、聖なる力を持った少女の一人。
・・・一応言っておくが、肥満化が天ノ遣いとしての変身という訳では無い。
それはまた別の理由があるのだが、その説明の前にテスラの現状を見返すとしよう。

 

肥満化と変身を終えたテスラの体は、300kg近い体重と
以前の3倍の横幅があろう超肥満体となっていた。
そのシルエットは人と言うよりも、「樽」そのものであった。
それだけの肉量でありながらも、全身の脂肪は垂れたりせず、
顔も真ん丸になって、首が消えうせながらも、元の可愛さを保っていた。
その腹は、はちきれんばかりの脂肪を蓄えた特大の太鼓腹だが、
お尻はそれ以上に巨大な桃尻であった。
そして、一番の巨大さを誇るのは、胸であった。
頭どころか、ユエの全身よりも大きく見える程のサイズと
実際にユエの体重以上の重量を有する超乳であり、
この超肥満体においても、抜群の存在感を醸し出していた。

 

 

「ふぅ・・・・」
テスラが一息つこうとした所に、ある音が聞こえてきた。
お祭りの水風船を弾ませた時の様な音、そんな音が
森の中に響くほどの大音量で聞こえてきた。

 

その音の主は、葉月クルミという少女。
彼女はテスラと同じ「天ノ遣い」のホワイトエンジェルで、
テスラと同等の巨大さを有する肥満体の少女だった。
その体形は、テスラが樽ならば、クルミは風船。
それこそ、水風船の様な体であった。
そんな体であっても、天ノ遣いのパワーなら歩く事も出来たが、
クルミはその腹肉を弾ませる事で移動していた。

 

そんなクルミがテスラの前に来た。
「テスラ!・・やっぱり私みたいな体になっちゃたのね・・・・」
「ふふ・・・こんな体も案外悪くないわね。・・・・元に戻れるって分かってるならね」

 

事の始まりは、数日前。
その時から、肥満体であったクルミがこの店で手に入れた痩せ薬を飲んだ事だった。
さっきのテスラの様に劇的な変化を出すものでは無く、
適度な運動と組み合わせる事で効果を出すタイプの薬だったのだが・・・

 

「まさか‘魔ノ者‘の能力で作った薬だったなんて・・・・」
「どんな薬だったとしても私達が飲んだ時点で肥満化薬に早変わり~~・・・」

 

そう、天ノ遣いと対をなず存在である魔ノ者は様々な能力を持っており、
その能力を天ノ遣いが受ければ・・・太ってしまう。
テスラとクルミが太っていたのも、以前他の魔ノ者が起こした事件に巻き込まれた結果だ。
(最もこれで太った分は10日間経てば元に戻るのだが・・・)

 

そして、クルミの肥満化を知りながら、テスラがユエの薬を飲んだ訳は・・・

 

「実を言うと、これ位太った方がダイエットが効率的なのよね・・・
筋肉が一緒に付くから、運動は一応出来るし、胃が脂肪に圧迫されて食べる量は減るし・・・」
「そうなのよ・・・私達の場合はね・・・」

 

そう話しながら、その話し声をかき消す重厚な足音を響かせながら、二人は森から出て行った。

 

テスラ・ヴァイオレッド 158cm (44kg 86・58・86)
→ 74kg 106・123・109
→321kg 252・221・232

 

葉月クルミ 142cm (33kg 69・52・73)
→ 304kg 232・230・228

 

 

その間、テスラの視線は歩く度に大きく弾む自身の胸に―――
まぁ、どの道視界に入る程の巨大さではあるが、
それでも尚、自分の胸を見つめていた。
(ここまで太る事になっても、やっぱり、お腹よりも胸が大きい方が気分がずっと良い・・・
戻るまでの10日間で、何とかお腹だけ引っ込める様にしないとね・・・)

 

ダイエットしながら、自分の胸を大きくする。
そう、テスラがユエの薬を飲んだ訳は、年頃の少女として、ある意味真っ当な願望であった。

 

終わり

 

#快盗天使ツインエンジェル


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