終わり無き宴、終わらせる者は―――

終わり無き宴、終わらせる者は―――

 

 

コンビニや病院などはともかく、学校はとっくに閉まっているであろう夜更け。
ここリディアンもとうに明かりは消され、暗闇に紛れていた。
ある一室を除いて。

 

その明かりの灯った一室で行われていたのは、食事会。
老若男女入り混じった十数人が談笑している。
・・・よくよく見てみると、料理に手を付け、食べているのはこの三人だけに見えるのは気のせいだろうか?
そんな中、当の三人の一人、暁切歌が立ち上がり、部屋から出た。

 

切歌が行った先は、女子トイレ。
「・・・ふ〜、デース」
‘用‘を―――‘小さな用‘を終えた切歌は、スカートを付け直そう、とした所で違和感を感じた。
「あれ、私のお尻・・・こんな大きかったデスか?というか・・・太ってるデス!?」
‘用‘を足すために露わになった下半身は、切歌自身の記憶よりも2周りは太くなっていた。
いや、それだけでない。
二の腕や、お腹。そして胸。他の部位も記憶より太くなってる気がする。
「ええ・・・最近食べ過ぎた訳でも無いデスし・・・
というか、私達何で学校でご飯食べてたんデシったけ・・・」

 

切歌は思い返す。
それは1時間も経ってないはずなのに、何故かもやがかかった様に不明瞭な記憶。
だが、太ったショックがそのもやをある程度晴らし、切歌は思い出した。

 

 

忘れ物を取りに夜のリディアンに行った・・・
まずは調と二人で行ったら、クリスを見かけた。
「センパ〜イ・・・」
「どうしてここに・・・」
「ひやああ!!お、お前ら急に声をかけんな!あの時もそのせいで大変なことになったんだろうが!」
「ご、ごめんなさいデス・・・」
「・・・もしかして、先輩も怖いんですか?」
「ん、んなワケ無いだろ!アイツらもそんな事言ってたから、私が怖がりなんかじゃないって証明のためにここに・・・」
そう語るクリスを尻目に調が呟きだした。
「そう言えば、聞いたことがある、
明かりの消えたはずの学校に一つだけ明かりの点いた部屋がある。
そこに入ったら・・・」
「「ひゃああ!!」」
切歌とクリスの二人が悲鳴のデュエットを果たした。
「二人とも怖いんだ・・・大丈夫だって、ただのウワサ話だから」
「そ、そ、そうだよな」

「あるワケ無いデスよね、あんな風に明かりの点いた部屋な・・・ん・・・て・・・」
あった。3人の眼前に明かりの点いた部屋が。
その部屋の扉が開いて――――
そこからの記憶は無かった。

 

「や、やばいデス!二人が危ないデス!!」

 

切歌があの部屋に戻ると、食事会はまだ続いていた。
食卓の中央にいるクリスは、今の切歌よりも二回りは太く、完全なぽっちゃり体形と化していた。
元から大きかった胸や尻もより大きくなり、明らかにメートル越えしていた。
しかし、それよりも目を引いたのがお腹だった。
くびれていたはずのそれが、胸やお尻と同じように、丸く出っ張ったそれになった。
顔も丸くなりだして、ぽっちゃりというよりかは「デブ」に片足を突っ込みつつある印象を醸し出していた。

 

 

調もクリスと同等のぽっちゃり体型になっていた。
クリスとは逆に、寸胴となったお腹よりも、立派な巨乳となった胸、そして90の大台を超えたお尻の方が目立っていた。
ただ、顔の丸さもクリスを上回っていた。

 

 

「・・・!!」
切歌は静かに怒った。
元に戻っていくその体に、イガリマが纏われていく。

 

 

鎌の斬撃はその場に居た誰も切り裂くことなく、ただ壁だけを砕いた。
それでも、クリスと調をもてなしていた人達―――いや、幽霊達はその様に驚き、動きを止めた。
切歌はそのまま、クリスと調の二人の手を取って、部屋から出て行き、
女子トイレの前まで連れて行った。

 

「!!」
「・・またこうなっちまうのかよ・・・」
二人も正気を取り戻し、自分達の変化に気づいた。

 

「どうしてこうなったんだ?えっと確か・・・」
クリスはこれまでの経緯を思い返し、やがてその顔を青く染めていき・・・
「ひやぁぁぁ!!」
ソロの悲鳴を上げた。それと同時に体も戻っていった。
「あ、戻ったデス!」
「・・・もしかして、怖がったり否定すると戻れるのか?」
「じゃあ調も怖がるデス!」
「・・・・・」
しかし調の体が戻る様子は無かった。

 

「こうなったらあの幽霊どもを叩きのめすデス!」
切歌があの部屋の方に駆け出していった。

 

「切ちゃん待っ・・・行っちゃた」
「まあ、シンフォギア使えるのなら、心配ないだろ。多分あれも本物じゃなくて、
怒りの感情が具現化したもんだから、適合率云々は問題にならないだろうけど
・・・それで何でお前は戻らないんだ?」
「確かに太るのは嫌だけど、さっきの幽霊との食事会は楽しかった。その事はどうしても否定し切れなくて・・・」
「そうか、確かに楽しかったよな・・・」
そう思うクリスの体は、食事会に居た時の体型に戻っていた。
「戻っちまったか・・・そういや、例の部屋の話って誰から聞いたんだ?」
「それは・・・」
調の告げた名前は、クリスに、切歌達に最初に手を差し伸べた‘彼女‘の名前だった。
「あいつか・・・一気にガセネタっぽくなったが、現に今起こってるしな、聞いてみるか」
クリスは携帯をかけた。
携帯に出たのは、聞こうとした本人ではなく、その同居者、小日向未来だった。
「クリス?こんな夜遅くにどうしたの?」
「ああ、アイツはもうお休みか。それで夜遅くに悪いけど、ちょっと聞きたいことがあるんだ」

 

クリスから事情を聞かされた未来は自分の知る噂の詳細を語り出した。

 

「リディアンの近くには昔の戦争の時、空襲で焼けた学校があったの。
あの時(一期最終決戦)からね、時々、夜にその空襲で死んでしまった人達が集まって、
食事会をするようになったらしいの。それで、入ってしまったら・・・
今なら分かるけど、否定して戻ったとは言え、太ってしまったなんて言えないから正確な事実が分からなかった・・・」

 

「ありがとな。それじゃあアイツによろしく・・・」
クリスは電話を切った。

 

「電話に出たのは未来さんだったんですか?」
「ああ、アイツはもうおねむだった・・・三作目になっても主人公が出ないってのはどうなんだ・・・って、そんなことより、急いで切歌に事情を話さねえと!」
「イガリマの絶唱は魂を断ちきる・・・それまで再現されるとしたら・・・!」

 

 

二人が急いであの部屋に戻ると、そこでは―――
食事会が再開されていて、切歌は笑顔で料理を食べていた。

 

「・・・何だ、急ぐ必要無かったな」
「切ちゃんは、いや切ちゃんも
「それじゃあ私達も―――食うとするか」
「うん」

 

 

そして、夜は更けていき・・・

 

数日後。SONGのシャワールームにクリス達はいた。

 

「じーっ・・・・」
「そんなに見んなよ・・・いや、気持ちは分からなくもないけどさ」

 

クリスの体はまた太っていた。
と言っても、10kg弱程度の増量である。
・・・あの一夜でこうなったと考えると十分異常なのだが。
身体が全体的に太くなっているのだが、元が細かったのが標準をやや上回るくらいになった具合で、むしろ、元から大きかった胸がより巨大化したのが一番目立っていた。

 

そんなクリスを見つめる調の体もしっかり太っていた。
胸やお尻も大きくなった・・・というよりかは
「ようやく大きくなりだした」という具合であり、
お腹周りに付いた脂肪の方が目立っていた。

 

その二人から離れ、切歌が端の方にいた。
例に寄って、彼女も太っていた。
それも・・・
「うーーーー・・・何で私は二人よりも太ってるんデスか?」
切歌の肥満化具合は二人以上であり、
ぽっちゃりを通り越し、デブに片足を突っ込んでるレベルだった。

 

太すぎて擦れる様になった足に、動く度に弾む程に大きなお尻。
顔も丸くなったと断言できる具合だ。
そしてそんな体の中で一番の存在感を出しているのは胸だった。
クリスやマリアよりも大きく、それでいて形良く張り詰めた立派な美巨乳である。
ただ、その真下ではぽっこり、いやでっぷりと張り詰めたお腹があった。

 

 

あの後、三人が気づいた時には、時間はあの部屋を見つける頃まで巻き戻り、
その体は今の状態になっていた。

 

「私達が事情を知って、完全に受け入れたから、成仏して・・・私達も太って・・・」
「いやあれは・・・夢!太ったのは例のあれの影響がぶり返したからだ!」
「そうデスそうデス!幽霊なんて・・・そんな居る訳

 

そう言い張る二人の横で、調は一枚の写真を見つめ、その目を細めていた。

 

「何見てるんデ・・・ス・・・」
「おい、いつの間に出し・・た・・・」

 

調の見ている写真が映しているのは、あの食事会の光景。
皆、笑顔であった。
クリス達三人を除いて、その姿は青白く霞んでもいたが。
そしてクリス達の姿は昨日の、一番太っていた時の姿だった。

 

本来のフィーネの器であった事も関係しているのだろうか、
平べたかったはずの調の胸は急成長を遂げ、メートル越しの爆乳となっていた。
・・・胸が「三桁」を超えた一方で別の数字、そう体重も「三桁」にさしかかっていた。
当然、他の部分も成長を遂げてしまっている。
以前の足よりも太く見える程に、パンパンに膨れ上がった二の腕。
お尻の巨大さはマリアのそれが小さく思えてしまう程で、そこから伸びる足は太くなりすぎて、足と足の隙間が無くなってしまっている。
お腹も妊婦のそれの様に、でっぷりと突き出ていた。
そして、顔も丸くなり過ぎて、顎のラインが消え失せてしまい、
目も頬肉に圧迫され、物理的に細められていた。

 

月読調 152cm ?kg 72・53・76
→52kg 77・61・79
→69kg 88・72・86
→95kg 131・98・113

 

 

元から肉感的だったクリスの体も、そのボリュームを倍増させていた。
頭よりも大きく実りながらも、その形を保ちながら張りつめた爆乳。
胸やお尻よりかは小さいが、丸く出っ張ったお腹。
そして一番の巨大さを誇るお尻。
背丈を超える程に巨大であり、それでも尚、重力に負けず張りつめていた。
足も丸太の様な巨大さなのだが、真上に実ったお尻という果実を支えるには
やや頼りなく見えてしまう。
そんなお尻からは一番離れてるからか、それともハーフの血のためか、
顔の変化はそれ程でも無く、元の可愛らしさを残し、或いは別種の可愛らしさを醸し出す真ん丸顔になっていた。

 

雪音クリス 153cm ?kg 90・57・85
→56kg 96・63・90
→71kg 114・79・116
→98kg 151・92・162

 

 

そしてそんな二人の真ん中の切歌は、
二人よりも先に食べ始めた事もあってか、ここでも一番の肥満化を果たしていた。
イガリマを装着したままなので、その丸々としたボディイラインがより強調されている。
まず目を引くのはクリスに次ぐサイズを有するお尻であり、椅子から盛大にはみ出している。そんなお尻から伸びる足は丸太を通り越して、ドラム缶の様の太さである。
当然のごとく、胸も現在よりも大きくなっていて
最早スイカの様であるが、余りの大きさに少し垂れ気味になってしまってる。
顔もクリスと同じような、元の可愛さを残した真ん丸顔であるが、
彼女と違い、二重顎になってしまってる。
そして一番の巨大さを誇るお腹。
例に寄って綺麗な丸形に張り詰めた、ある意味極上の太鼓腹だ。

 

暁切歌 155cm ?kg 82・56・83
→55kg 86・62・88
→68kg 103・78・91
→112kg 142・166・151

 

 

そんな自分達が映ってる写真を見て、クリスと切歌の悲鳴のデュエットが再び響いた。

 

その後、夜のリディアンで亡霊による食事会が行われる事は無かったという。

 

(おわり)
#戦姫絶唱シンフォギア


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