彼女と水着と海辺の波と
早川 沙恵(はやかわ さえ) 20歳 身長156cm 体重68kg B:98 W:78 H:97
大学二年生。夏休みに友人に誘われ海に行く事になったが、
ぽっちゃりとした体型をどうにかしようとして・・・
「沙恵さ、海いかない?」
「ほえ?」
試験が終わった後、学食で食事をしていた沙恵は友人の梨子にそう誘われた。
「急だね。どうしたの?」
「いや〜サークルの人がさ、みんなで海行こうって誘ってくれて、
どうせなら友達も呼んで良いぞっていうから」
「うーん・・・ありがたいけど私こんなんだし」
そう言って沙恵は自分の身体を見る。
ぽっこりと出たお腹、その上にだらしなく乗った胸。
デブとまでは行かないが、ぽっちゃりかどうかは多少怪しい感じである。
「そう?そこまで太って無くない?」
「いやー駄目ッしょ」
「そっかー残念」
あははと笑う沙恵に向かって梨子はやれやれといった顔をした後。
「折角小宮先輩も来るのになぁ」
「えっ・・・」
にやりと微笑みながら呟いた。
それを聞いた途端沙恵の顔色が変わる。
小宮はこの大学でも有名なイケメンである。
実際雑誌モデルをするほどだ。
当然モテる。
沙恵も彼のファンの一人だ。
「・・・やっぱ私も行こうかな・・・でも太ってるしなぁ・・・」
「大丈夫だって。それに行くの8月の末だし。
それまでにダイエットすれば痩せられるって!」
「うー・・・そうかな?」
「行ける行ける!じゃあ詳しい事は後でメールするから!じゃあね!」
そう言って梨子は椅子から立ち上がると走り去ってしまった。
「・・・海かぁ」
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「・・・」
沙恵が梨子と海に行く約束をしてから一週間。
洗面所で体重計を前に、沙恵は緊張した面持ちで立っていた。
「・・・っ!」
【ギシィ・・・】
カラカラと軽い音を立てて、針が動く。
そして針が止まった先の数字は・・・
「1kg減・・・それしか減ってないの?」
沙恵は頭を抱えた。
ダイエットの効果が全然出てないからである。
「どうしよう・・・こんなんじゃ・・・」
暫く悩む様に頭を抱えた後、沙恵はとりあえずランニングをするかと思い直し体重計から降りた。
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「はぁ・・・はぁ・・・」
ランニング途中、沙恵はふと見覚えの無い店を発見した。
看板には『美貌換金屋』とある。
見たところとても小さく、古いノスタルジックな佇まいだ。
「・・・なんだろ?」
妙な好奇心に背中を押され、沙恵は店へ入った。
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「いらっしゃいませー」
店に入ると、これまた変な格好の女性が居た。
黒いワンピースだろうか。その上に赤いジャケットを羽織っている。
その女性がニコニコと笑いながらカウンターの向こうで立っている。
「ご利用は初めてですね?」
「あ、はい・・・そもそもこのお店ってどんなお店ですか?」
「はい、では説明させていただきます!
当店はお客様のご希望をお客様の美貌と引き替えに変えさせていただきます」
「美貌・・・?」
「はい!例えるならば・・・お金が欲しいという方にはその代金に見合った分の
お客様の美しさを頂くシステムです」
「・・・美貌って言うのはどういうのを指すのですか?」
「例えば美しい髪の毛をお持ちならそれを、綺麗な肌をお持ちでしたら
その質感をといった感じですね」
「はぁ・・・」
胡散臭い。それもこれ以上無く。
そう感じながらも沙恵にはどこか引かれる物があった。
「例えば・・・痩せたいとかは?」
「勿論可能です!お望みであればどんなことでも出来ますわ。
正し、当店は美容をお預かりすることは出来ましても返すことは出来ません。
例えば何かを美容と交換した場合、それをその商品とまた交換すると言ったことは出来ませんの。
また、今よりも美しくと言ったご希望も不可能ですわ」
「まぁ・・・それはそうよね」
『お金払うから今の数倍のお金下さい』等という願いが叶えられないのと同じだろう。
「じゃあ・・・私が痩せるのって一体幾らなんです?」
「そうですね・・・どのぐらい痩せたいのですか?」
「えっと・・・20kg位です」
「ふむふむ・・・」
そう言って店員の女性は暫く悩み始めた。
数分ほどそうして居た後、少々お待ちくださいと一声かけてから
とことこと店の奥へと進んでいった。
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暫くして、店員の女性は箱を持ってきた。
白く小脇に抱えられる程度の大きさの箱だ。
「こちらには水着が入っています」
「水着・・・?」
「はい!この水着を2週間。付けたままで過ごして頂きます。
するとなんと!貴方の希望通りの姿へ!そんな水着なのです!」
「・・・お風呂の時とかは?」
「付けたら2週間後の同じ時間までずっと付けたままで居て頂きます。
勿論お風呂も就寝時もですね。絶対に外してはいけませんよ?恐ろしい事が起こりますから!」
「はぁ・・・」
なんじゃそら。
沙恵は余りの胡散臭さに言葉を失っていた。
「それ・・・値段は?」
「そうですねぇ・・・
無事痩せる事が出来たら、その日から2週間後に痩せた分だけ太って頂きます。
簡単に言えば物々交換のような物です。
この水着で痩せた分はこの水着のレンタル料として後に太って頂くと」
「・・・」
そんなうまい話がある訳が無い。
そう思いつつ、沙恵は水着から目を離せなかった。
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「ご利用ありがとうございました〜」
店員の声を背中に受けつつ、沙恵は外へと出た。
その手には水着の箱を抱えて。
「・・・ま、まぁ。とりあえずお金取られた訳じゃ無いし。
やってみるだけ・・・そう試してみるだけ・・・」
そう呟きながら、沙恵は帰路へとついた。
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1週間が経ち、沙恵は10kgの減量に成功していた。
喜び実に晴れやかな気分の沙恵だった。
【もしかしたら・・・これは水着の力なのかも・・・】
あの日の夜からずっと付けている水着。
それはあの美貌換金屋で借りた物だった。
一人暮らしである沙恵なら、ずっと水着で居るのもそう難しくなかった。
風呂に入った後はタオルなどで十分に水気を拭き取ればからっと乾き、
痩せていく自分に合わせて勝手に小さくなっていた。
これは・・・良い物ね。
そう彼女は考えながら自分の体重が減った事を喜んでいた。
【〜♪〜♪〜♪】
そんな時、彼女の携帯の着メロがなり、電話が来た事を知らせる。
「もしもし?」
『あ、沙恵?私!』
「梨子?どうしたの?」
『実はさぁ・・・海行く予定が早まっちゃって・・・来週の土曜日になりそうなの!』
「えっ・・・?だって確か後二週間ぐらい有るはずじゃ・・・」
『それが車運転してくれる先輩がバイトの都合でその日駄目になって・・・
他に大丈夫な日が無いんだって!』
「そ、そう・・・分かった・・・私はその日でも大丈夫だから・・・」
『良かったぁ・・・じゃあ先輩には私から伝えておくね?じゃ、また今度会おうね!』
そう言って電話は切れた。
沙恵は自分の携帯も通話停止ボタンを押し、ゆっくりと机に置くとベッドの上に体を投げ出した。
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海水浴当日。
この日の夜まで沙恵は水着を脱いではいけないという日である。
体重は19kg減り、スタイルは非常に良くなった。
スラッとした腰つき、それでいて出るところは出る体型。
三週間でこれだけ激やせすれば、他の女性陣がダイエットを教えてとやかましい。
何とか梨子が押さえているが、それでも中々騒ぎは収まらない。
「それより・・・なんであの人が?」
梨子にそっと耳打ちする沙恵。
あの人というのは良くない噂が絶えない人物、横山秀夫のことだ。
どう酷いかと言えば曰く、何人喰ったと自慢する、セクハラで一度訴えられた事がある。
だが実家が金がある為か、横山はなんて事無いと言わんばかりに無罪で何食わぬ顔で戻ってきた。
「今回の旅費とか出してくれたんだって・・・その代わりに絶対につれて行けって言ったみたい」
通りで金が取られない筈だ。
沙恵は内心嫌だなと思いつつ、車の揺れに身を任せた。
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そんな連中を乗せて、一行は海へと着いた。
海水浴場であるビーチは時期的な物なのか非常に混雑しており、
休める場所を探すだけでも一苦労だ。
なんとかブルーシートとパラソルを設置し、荷物番を交代でやりつつ、
設置してある簡易な更衣室で着替えた。
「あれ、沙恵って水着着てきたの?」
「う、うん・・・ほら、混むから・・・」
「あー・・・だね。私もそうすれば良かった。でも帰り大丈夫?」
「シャワー水着の上から浴びて良く乾かせば平気だと思う」
「そっか、まぁいいや。じゃいこっか!」
梨子も着替え終わったのか、沙恵の手を引き海へと出て行った。
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午前中目一杯遊び、昼食を摂った後に沙恵はブルーシートの上で寝ころがっていた。
元々インドア派だ。遊びすぎて疲れたのだ。
「・・・」
今回の海水浴に付いてきた一人、横山秀夫はそんな沙恵に狙いを定めていた。
秀夫はゆっくりと沙恵に近づき、そっと上に被さる。
気付いた沙恵が慌てて逃げようとするが、男である秀夫に力で勝てるはずが無い。
声を出そうにも沙恵の口は秀夫に塞がれている。
必死に暴れるが、逃げる事は叶わず、沙恵の水着はスルリと盗られてしまった。
その途端、沙恵の体が変化する。
まるで風船が膨らむかのように、ぷくぷくと。
スラッとした体が脂肪で覆われていく。
その様子に驚いたのか、秀夫は水着を放りだしどこかへ逃げ出した。
沙恵は慌てて水着を着るが、膨張は止まらない。
「やだ・・・やだやだやだやだやだぁあ・・・」
ぶよぶよとした、懐かしくも嬉しくない感覚が沙恵に伝わる。
ゆっくりと、だが確実に増えていく。
「なんで・・・なんでぇ・・・」
涙目になり、必死に体を動かし、沙恵はそこから離れる。
近くの岩場に向かって沙恵は駆け出した。
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「・・・・・・」
人目から隠れるように、岩場に隠れる沙恵。
改めて自分の身体を見渡す。
元の体よりも二回り・・・いや三回りは太った体。
これが店員の言う、「恐ろしい事」という奴だろうか。
水着が伸縮性有るのが救いだ。かろうじて秘所を隠してくれる。
巨大な胸。まるでスイカを詰め込んだかのように存在している。
その胸を支える腹は妊婦にでもなったかのようなサイズだ。
妊婦と違うのは子供では無く全て脂肪である所だろう。
ごつごつとした岩場は少々痛いが、分厚くなった尻のお陰かケガはなさそうだ。
その下に伸びる太ももはかなり太くなり、多分今立てば、太ももの間に隙間は存在しないだろう。
体を調べる為に腕を動かす。
その度に二の腕がぶるんぶるんと揺れる。
上質な分厚いハムを思わせる太さだ。
近くの水たまりのようになった場所をのぞき込むと、顔が見える。
頬は膨らみ、顎には立派な二重顎が存在している。
「うぅ・・・なんでよ・・・なんでなのよぉ・・・」
ぐすぐすと、膝を抱え泣く沙恵の視線に、人影が見えた。
「早川さん?」
「・・・小宮先輩?」
そこにはペットボトルを手に、心配そうに沙恵を見つめる小宮の姿があった。
「さっき横山君が何か騒いでたから・・・早川さんがどうとかって・・・
それで心配なんで見に来たんだけど・・・」
「・・・ありがとうございます」
沙恵として複雑な気持ちだった。
心配してくれたのは嬉しい。だがこの姿は見られたくなかったのだ。
「えっと・・・とりあえずこれ着る?」
小宮は自分が着ていた服を差し出す。
済みませんと、服を借りる。
小宮自身背は高めだが、がっしりと言うよりは引き締まっている体つきだ。
結果沙恵が着られる事は着られるが、余裕はほぼゼロで、ぴっちぴちだ。
「・・・聞いてもいいかな?」
「多分・・・信じて貰えません・・・」
「・・・俺は信じるよ」
沙恵は、ぽつぽつと語り出した。
美容換金屋の事。水着の事。秀夫の所為でこうなった事。
それに対し、小宮は相づちを打ちながら聞きに徹する。
全てを話終え、沙恵が俯いていると、小宮はそっと沙恵の頭を撫でた。
「あ・・・」
「大丈夫、君は可愛いよ。無理しなくてもね」
「・・・だって・・・こんな・・・デブだし・・・」
撫でられた拍子に沙恵は顔を上げたが、すぐにまた俯いた。
小宮は何も言わずに、沙恵の頭を撫で続けた。
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「ごめんなさい・・・変なところ見せてしまって・・・」
暫くし、落ちついたのか沙恵は小宮に謝った。
小宮は構わないよと微笑みながら、沙恵の横に座る。
「それに、変な事を言うかもしれないけど、今日君に会えて嬉しかったんだ」
「・・・なんですかそれ」
「はは、いやごめんごめん。言い方が悪かったかな。
・・・前に、図書室で君を見かけたんだ。去年の10月頃だったかな。思わず見とれたなぁ」
「・・・もしかしてナンパですか?」
「あはは、そうとって貰っても良いよ。
嘘っぽいかもしれないけど、本音だよ。
夕暮れで、長い髪が綺麗だった。本を読む仕草も上品で」
「・・・待ってください、ちょっと・・・その・・・恥ずかしいです」
「だから、自身持って良いんだよ。そんなのに頼らなくてもいいんだって」
「・・・はい」
恥ずかしい事を惜しげもなく言う小宮に、沙恵は顔を真っ赤にしながら俯いている。
小宮はそんな沙恵に、柔らかく笑いかける。
「それで何だけど・・・どうかな?」
「どうって・・・」
「その・・・こんなタイミングだから卑怯だと思うんだけど、俺の事どう思う?」
「・・・昔、入学した時にサークルの見学した時からいいなって思ってました」
「そっか、ならよかった。こんなタイミングで言うのもあれだけどさ・・・
その・・・付き合ってみる?」
「それは・・・男女的な話・・・ですよね?」
「うん・・・」
急な小宮の提案に、沙恵は暫く考えた後、答えた。
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「まさか沙恵と小宮先輩が付き合うなんてね」
「私だって未だに実感沸いてないよ・・・」
あの海水浴から2週間後。
新学期が始まったため、二人は大学に来ていた。
急に太った沙恵について、何か聞かれる前に、小宮が沙恵と付き合うと宣言。
話は恋バナへ移った。
お陰で沙恵については余り聞かれずに済んだのだが、秀夫が詐欺だの何だのとわめいていた。
だが小宮の「君が早川さんの水着を無理矢理外した事については?」と聞くと秀夫はウッと呻き、
他の女子連中からつるし上げを食らった。
さらに前回のセクハラの後、親から「二度とするな」と釘を刺されていたらしく、
今回の件が公にばれるが嫌だったらしい。
そんな訳で沙恵の体型の話はうやむやになっていた。
「で?結局どうなの?小宮先輩とは」
「イイ感じ・・・だと思う。今まで付き合ったこと無いから分かんない」
「そっか・・・まぁいいや。私三時限まであるけど沙恵は?」
「あ、私今日はここまでだから」
「そっか、じゃあ帰るの?」
「うん、頑張ってね」
「はーい。またねー」
沙恵は梨子と別れると、帰路へとついた。
・
・
・
「ただいま」
沙恵は自分の家に帰って来ると、ついそう挨拶した。
沙恵は大学に通うために、近くのアパートを借りている。
だから誰も返事をしない。
・・・はずだった。
「はい、おかえりなさい」
「・・・誰!?」
「私ですよ私」
「・・・店員さん?」
家に居たのは美貌換金屋の店員の女性だった。
なぜ彼女が?と沙恵は考える。
そして思い付いた。水着をゴタゴタで返し忘れていたのだ。
「もしかして水着を・・・」
「はい〜その通りです。済みませんね、ちょっと先回りさせて頂きました!
ああ、部屋の中は一切触ってませんし、この廊下までしか入ってませんのでご安心を!」
そもそもどうやって入ったとか、そんな胡散臭い台詞を信じられないとか。
そういう事も沙恵は考えたが、あんな水着を持っている人だ。
こちらの常識では計れないのかもしれない。
「わ、分かりました。すぐ持ってきます」
「ああ、そう急がないで構いませんよ!ごゆっくり〜」
のんきな女性の声を背中に受け、沙恵は部屋の中から水着を持ってくる。
それを受け取ると、店員の女性はにこりと笑った。
「はい確かに。では貸し出した分のお支払いをお願いいたしますね〜」
「支払い・・・あっ・・・」
言うが早いか、沙恵の体がぶくぶくと膨らんでいく。
レンタル料、痩せた分の体重が返ってくる。
外して太った分は恐らく『恐ろしい事』の為、レンタル料はレンタル料として
しっかりとると言う事なのだろうか。
ゆったり目の大きな服を着ているが、その服がピチピチになる。
元の姿よりも一回り太った状態になった頃、膨張はとまった。
「はい、これで支払いも完了ですね。ではまたのご利用をお待ちしておりますね」
そういうと女性はすっと消えた。
部屋には、荒い息でその場に座り込む沙恵だけが残された。
身長:156cm
体重68kg → 49kg → 117kg → 136kg
B:98cm → 92cm → 127cm → 136cm
W:78cm → 54cm → 112cm → 121cm
H:97cm → 85cm → 121cm → 130cm