醜い物には蓋を

醜い物には蓋を

 

 

谷口 心(たにぐち こころ)14歳 身長147cm 体重37kg B:78 W:51 H:71
中学二年生。性欲という物を『汚い・醜い』物として嫌悪感を抱いている。
父親の不倫が原因で両親が離婚したのも原因である。

 

 

 

 

「──だから、人間の三大欲求というのは食欲・睡眠欲・性欲と言うことになる。
 どれも生存本能に関わる物だからな。誰もが持っているわけだ。
 だから別に性欲があっても恥ずかしいことじゃないぞ」

 

先生はそう言うが、そんなわけ無い。
性欲なんて醜い物、私には無い。
有るはずが無い。

 

「まぁ君たちも二次成長期だし、思春期の男女だ。
 色々気になることは有るだろうが余り気にしないようにな」

 

『キーンコーンカーンコーン・・・』

 

「む、時間か。じゃあ続きは次回だな。日直」
「起立、礼!!」

 

日直の号令に合わせて形だけの挨拶をする。
・・・保健体育なんて大嫌いだ。

 



 

性欲なんて汚い物だ。
あの男はそんな物に身を任せて・・・家をめちゃくちゃにした。
だから、性欲なんていらない。

 

「・・・気持ち悪い」

 

性欲なんて気持ち悪い。
私はそんな気持ちで学校からの帰り道を歩いていた。
そんなことを考えていたからか、気がつくとみたこと無い場所にでちゃった。

 

「・・・ここどこだろ」

 

私は辺りを見回す。
どこの家も扉を閉めて電気も付いてない。
だけど、一軒だけ看板を出して電気が付いている家がある。

 

「・・・美貌換金屋?」

 

近づいて看板を読むとそんな事が書いてあった。
よく分からないけど、道を聞くぐらいは大丈夫だと思う。
そう思ってお店に入る。
カランカランとドアに付いてるベルが鳴って、店の奥で動く気配がした。

 

「いらっしゃいませー」

 

店に入ると、これまた変な格好の女性が居た。
黒いワンピースの上に赤いジャケットを羽織っている。
その女性がニコニコと笑いながらカウンターの向こうで立っていた。

 

「ご利用は初めてですね?」
「あ、その、ごめんなさい。道を聞きたいだけなんです」
「あら、そうでしたか。
 どちらに行きたいんですか?」
「えっと・・・駅前の方に出るのはどうすれば・・・」
「駅前でしたらこのお店を出て、左手の方に真っ直ぐ行けばつきますよ」
「あ、ありがとうございます」

 

お礼を言って、お店を出ようとすると、店員の人が話しかけてきた。

 

「ところで・・・お時間あるならお店を覗いていきませんか?」
「えっ?」

 

にっこりと笑う店員さん。
なんとなく断るのも悪いし、ちょっとだけならいいか。

 

「じゃ、じゃあ少しだけ」
「はいどうぞ!あ、その前にこのお店について説明しますね?
 このお店はお客様の美貌を代金に様々な道具をお貸ししてます」
「美貌が代金・・・?」
「はい!昔はきれいな髪の毛を床屋さんに売ったりする事が有ったんですよ。
 まぁアレはかつらを作るためにですけどね。
 それと同じで、人間の美貌という物は一定の価値があるんですよ。
 それを頂いて、私は代わりに別の物を差し上げると言うことです」
「はぁ・・・」

 

胡散臭い。
胡散臭いけど・・・もしかしたら・・・

 

「それって・・・どういう物と交換出来るんですか?」
「どんな物とでも」

 

笑顔のまま、店員さんははっきりと告げる。
その自信に満ちた顔に、思わず期待する。

 

「あの・・・性欲を無くす物ってありますか?」
「性欲ですか?少々お待ちを」

 

そう言って店員さんは奥へと引っ込んでいく。
少しして、小さな小瓶を持ってやってくる。
中にはいくつもの錠剤が詰まってる。

 

「この錠剤を飲めば性欲を抑制出来ますよ。
 代わりに食欲が増えますけどね。
 あ、それときちんと用法用量を守って下さいね?」
「あ、はい・・・あの、お代は?」

 

そう聞くと、店員さんは少し悩むような表情をした。

 

「そうですねぇ・・・では一粒飲むたびに体重を500g増やして頂く事にします」
「ひ、一粒で500g・・・」
「ふふ、大丈夫ですよ。500gなら誤差の様な物ですから。
 それにダイエットすればすぐ痩せられますよ?」
「そ、それなら・・・」

 

私はその小瓶を受け取ってから、改めてお店を出た。
そのまま店員さんの言うとおり、左の方へ歩いて行く。
暫くすると、目の前が一瞬明るくなって駅前の大通りに無事に出れた。
だけど・・・
後ろを振り返った私の目の前には、全く別の道が広がっていた。

 



 

それから何日もあのお店を探したけど、結局見つけることは出来なかった。
でも、私の手元にはあの小瓶がある。
だから、アレが夢だとは思わない。
それに・・・

 

「やっぱり増えてる・・・」

 

あれから瓶の中の錠剤を飲んでいるけど、確かに体重が増えてる。
それも、決まって500g。
一日一粒でいいと瓶には書いてあったのでそれだけ飲んでいる。
普段と全く変わらない食事をしていて500gだけ増えるのはおかしい。
だから、多分これも本物だと思う。
実際、最近食欲も増えたし・・・

 

「これで性欲が無くなるなら・・・!」

 

私は今日の分を飲むと、朝食を食べにリビングに降りていったのだ。

 



 

「心ちゃん・・・最近すこし太った?」
「・・・かもね」

 

クラスメイトと雑談していたら、そんなことを言われた。
別に太るぐらいで性欲が消えるのなら私は良いと思うのだけど、周りの子はそうではないらしい。
何にもの子がダイエット方法を進めてくる。
正直どうでもいい。

 

「そうだね、考えておくよ」

 

それだけ言って、その話題を切り上げる。
性欲が消えるのだったら、太るぐらいどうでもいい。

 



 

「おかわり」
「また?最近よく食べるわね」

 

お母さんにお茶碗を渡してご飯をよそって貰う。
最近薬の効果か、お腹が減って仕方ない。

 

「心。別に食べるなとは言わないけど、少しは気をつけなさいよ?」
「分かってる」

 

お母さんにそれだけ返すとご飯を食べる。
お母さんもダイエットしろというのか。
そりゃ痩せた方が良いのかもしれないけど、性欲が消せるなら体型なんかどうでもいい。
なんだってみんなは私の事を放っておいてくれないのか。

 

「・・・それならいいけど、少しは気をつけなさいよ?」
「うん」

 

食べ物を食べながら、私は適当に返事をする。
そんなことよりも、食事を続けなきゃ・・・

 



 

私は鏡の前で自分の姿を確認する。
あの薬を飲み始めて一ヶ月。
大分太ったせいで服が入らなくなってきたのだ。

 

「・・・流石に制服が入らなくなってきたのはまずいかな?」

 

鏡に映る私は、すでにぽっちゃりを通り過ぎてデブに片足突っ込んでいた。
胸は大分大きくなったけど、お腹と比べると全然小さい。
お腹は昔見た妊婦さんのようだ。
お尻は最近大きくなりすぎて学校の椅子だと少し小さく感じる。
太ももは太くて、なんだかスカートの間に上手く入らなくなってきた。
顔は最近大分丸くなった気がする。
実際ほっぺたがぷにぷにだ。
別に太るのはどうでもいいけど、制服の購入でお母さんに負担をかけるのは良くない。

 

「・・・少しは痩せようかな」

 

私はため息をつくと、以前クラスメイトに聞いた話を思い出そうとするのだった。

 



 

「ふぅ・・・ふぅ・・・!!」
「おーい谷口!!あと二週だぞ!!」

 

ダイエットを開始してから一ヶ月。
私は体育の授業で、今度のマラソン大会に向けての練習をしていた。
だけど・・・

 

「はぁはぁ・・・ぜぇ・・・ひぃ・・・」

 

重くなった体じゃ全然走れなかった。
ようやく走り終わった後、私は倒れ込むようにその場に座ることになってしまった。
まぁそれも仕方ないだろう。
今や私の体はまるで相撲取りの様に太っているのだから。
丸々とした胸は大人の人にも負けないほど大きくなった。
でもその下のお腹が飛び出ているから全然目立たない。
お腹はもう脂肪で段が作られていて、そろそろLの体操着じゃ収まらなくなってきた。
当然お尻や太ももも大きく太くなって、歩くたびにすれる様になった。
腕なんかも当然肉は付いたし、顎も二重顎になっている。
身長も少しは伸びたけど、これだったら意味が無い。

 

「谷口・・・お前何かあったのか?最近太りすぎだぞ・・・」
「別に・・・なんでもないです」
「そうか・・・何かあれば相談しろよ?」

 

それだけ言うと先生はほかの場所へ行ってしまった。
別にどうでもいいじゃない・・・私が太っていようがなんだろうが。
それよりも、この後のお昼の方が私には大事だよ。

 



 

「はぁ・・・はぁ・・・暑い・・・」

 

マラソン大会も終わって、私は冬休みに入っていた。
最近は近くのコンビニと家だけを往復するだけの生活だ。
お菓子を食べているときだけは、嫌なことを忘れられる。
お腹も空いて仕方ないし・・・
別にお小遣いの範囲内だから文句を言われるようなことでも無い。
だから・・・早く買って家に帰ろう。

 

「いらっしゃいませー」

 

店員の挨拶を受けて店内を物色する。
なんとなくチョコの気分だから・・・これと・・・
あとしょっぱい物も欲しいしポテチも買って・・・
そんなことをしていたらかごの中が結構いっぱいになってしまった。
まぁいいや・・・早く帰って食べよう。
レジに持って行って支払いをすると、私はすぐに家へと帰ることにした。
・・・レジの人が私を見て笑っていたのが少し気になるけど。

 



 

「・・・そういえば、なんで笑ってたんだろう」

 

買ってきたお菓子を食べ終えた私は、あの店員がなんで笑っていたのかを考えていた。

 

「・・・もしかして、私が太ってるから?」

 

確かに、最近冬休みでさらに太った気もするけど、でも笑われる程・・・?

 

「そうだ・・・鏡・・・」

 

ここしばらく見てなかった鏡をだして、確認する。
そこには、冬休み前よりも一回りは大きくなった私の体が映っていた。
丸々と太って、服は今にも破きそうだし、ひどく醜い。
慌てて私は服を脱いで体中を確認する。
どこもかしこも肉だらけ。
脂肪の山。
醜い姿。
それが私だった。
そう、私は醜い。
醜いのに・・・
なんだか胸が高鳴る。
体中が熱くなる。

 

「な、なんで・・・!?」

 

この症状は知ってる。
前に先生が言っていた性欲が高まった状態だ。
でも、私は薬を飲んでいるのに・・・

 

「・・・薬が足りないんだ」

 

そうだ、薬が足りないから性欲が出てくるんだ。
だからもっと飲まなきゃ・・
もっと・・・もっと・・・!!

 



 

ああ、おいしい・・・
ご飯がおいしい・・・
学校とかどうでもいいから、ご飯を食べなきゃ・・・

 

「あらら・・・歪んだ子だとは思いましたけど、ここまでとは・・・
 まぁ壊れるのは時間の問題でしたし、あれを欲しがったのはこの子ですから良いんですけどね」

 

・・・誰かの声が聞こえる。
・・・誰だっけ?
それよりもご飯食べなきゃ・・・

 

「これで一つ勉強になったでしょう。欲望は無理に抑え込むと碌な結果にならないと。
 まぁ私の言葉は聞こえてなさそうですけどねー」

 

誰かはそれだけ言うとどこかへ行ったみたいだ。
そんなこよりもご飯食べよう・・・
・・・ああ、お腹減ったなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

37kg B:78 W:51 H:71

 

谷口心
身長:147cm → 147.2cm  → 147.5cm
体重:37kg  →  40kg → 58kg  → 71kg  →  90kg  → 152kg
  B:78cm → 81cm → 88cm  → 93cm →  98cm  → 118cm
  W:51cm → 55cm → 73cm  → 88cm → 102cm → 137cm
  H:71cm → 76cm → 89cm  → 97cm → 108cm → 141cm

 


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