見るな見るなは見たくなる

見るな見るなは見たくなる

 

 

藤崎 瑠美(ふじさき るみ)28歳 身長158cm 体重51kg B:89 W:62 H:85
会社が倒産し、現在無職となってしまった女性。
貯金はまだあるが就職難で・・・

 

 

 

 

 

やや薄暗い部屋の中。

 

「・・・はぁ」

 

藤崎瑠美は昼間からベッドの上に寝転びつつ、通帳を見ながらため息をつく。
残高はまだ残っているが、この様子だと上手く持って1年位だろう。

 

「それまでに仕事見つけなきゃ・・・」

 

再びため息を付きながらごろりと寝返りをうつ。
つい先日までつとめていた会社が不況のあおりを受けて倒産。
幸い貯金はそれなりにあったのですぐにどうこうなる問題では無いが、
それでも日に日に貯金が消えていくのは心臓に悪い。

 

「・・・今日はもう面接とかないし、ちょっと街ぶらぶらしよう・・・」

 

彼女はそう一人呟くと、すっとベッドから立ち上がって適当な服を着る。

 

「・・・なんか良い出会いとかないかなぁ・・・」

 

そんな希望を抱きつつ、鞄を肩にかけて玄関の扉を開けるのだった。

 



 

「んー・・・成果は特になし・・・まぁそりゃそうか」

 

1時間ほど街をぶらついた瑠美は、背伸びをしつつ軽く愚痴をつく。
これと言って瑠美の気を晴らすような物は無く、久々に入った喫茶店も昼間に居るせいか
謎の罪悪感で一杯だった。

 

「はぁ・・・そろそろ家に帰ろうかな?」

 

そんな事を言うと、瑠美は足を家の方へ向ける。
しばらく歩いたとき、ふと瑠美の目の前に気になる店があった。

 

『美貌換金屋』

 

そう書いてある小さな立て看板が立っているだけのこぢんまりとした店だ。

 

「・・・何屋さん?」

 

明らかに"まとも"ではない雰囲気の店に、何故か瑠美は興味を覚えた。

 

「・・・ごめんください」

 

そう小さな声で呟きつつ扉を開ける。
カランカランとドアベルが鳴り、少しすえた感じの匂いが広がった。
中は外見通りの小ささで、モダン調の調度品に小物や雑貨が並んでいる。

 

「はい、いらっしゃいませ」

 

店の奥の方にあるカウンターのさらに奥、一人の女性が立っている。
黒いワンピース状の服の上から赤いジャケットを羽織り、にこやかな笑みを浮かべた女性だ。

 

「ご利用は初めてですか?」
「あ・・・はい・・・その・・・ここ何屋さんですか?」
「ここはお客様の美貌をお預かりし、代わりに道具をお貸ししたりする店ですよ。
 あ、勿論お金なんかともお換えしますよ?
 聞いたことありませんか?髪を売ってかつらにするという話。あれと似た様な物です」
「あー・・・まぁ・・・でも美貌って・・・」
「美貌は様々ですが・・・まぁ肌のつやや髪質、背丈や体重なんかもありますね」

 

明らかに変な質問に、瑠美はしまったという表情をする。
まずい、予想以上に変な店に来た。
そんな台詞が表情から読み取れるほどである。

 

「どうでしょう?何かお探しの物はありませんか?」
「えっと・・・そ、そうですね・・・」

 

瑠美は辺りを見渡し、こう答えた。

 

「じゃ、じゃあ!何か職に就ける物とかありませんか!?」
「・・・ふむ、少々お待ち下さい」

 

瑠美の答えを聞いた女性は一度店の奥へと行き、すぐに戻ってきた。
女性は抱えていた12インチ程のブラウン管テレビをカウンターに置くと、瑠美にこう切り出した。

 

「こちら、見たい物が見えるテレビです」
「み、見たい物が見えるテレビぃ?」
「はい。見たいときに見たい物を思い浮かべながら電源を入れて頂ければお望みの結果が見えます。
 アンテナ線なんかを繋ぐ様な面倒な作業も必要もありません。
 ただ、使用する度に代金を頂くのと、見えた映像がどんな物であれ
 それは事実と言うことはお気を付け下さい」
「はぁ・・・その、代金ってどうすれば?」
「本体のお代は頂きませんが、先ほど言ったとおり、使用する際に頂きます。
 料金の方ですが・・・見たい物が稀少である程高くなります。
 例えば国家機密が見たいとすればかなりの額になるかと・・・」
「な、なるほど・・・過去や未来の映像なんかも?」
「ええ、ご覧になれます。
 ですが、時間が使用した時よりも過去に行くほど、未来に行くほど料金は高くなります。
 明日よりも明後日の方が、昨日よりも一昨日の方が高いというわけです」

 

ただのいたずらにしては色々手が込んでいる。
もしもこれがいたずらならここまでやるのは面白いし、本当にこれが本物ならそれこそ凄い話だ。
瑠美は目の前のテレビを凝視してみる。
手入れはされているが、どう見ても古ぼけたブラウン管テレビだ。

 

「・・・これ、頂いても良いんですか?」
「ええ勿論。正し先ほど言ったように代金は使用する度にお支払い頂きますから」
「分かってます・・・あ、一回の金額って大体どの位なんでしょう?」
「それは使ってからのお楽しみと言うことで。ではくれぐれもお気を付けてご使用を」

 

瑠美はテレビの入った段ボールを担ぎ、ゆっくりと店を出る。

 

「またのご来店をお待ちしております」

 

そう女性に見送られながら。

 



 

「・・・さて、どうしようこれ」

 

家に帰った瑠美は、目の前のテレビを見ながら唸っていた。
勢いで持ってきたは良いが、どうした物かと考えているのだ。

 

「・・・試してみるしかないかぁ」

 

考えても仕方ない。
そう判断し、瑠美はテレビのプラグをコンセントに差しこんだ。

 

「・・・知りたいこと・・・明日の面接で何を聞かれるかでいいか」

 

面接官の質問を知りたい。
そう願いながら電源を入れる。
するとテレビの画面に砂嵐が起きた。

 

「・・・」

 

しばらく見ていても変わらない。

 

「・・・ぷっ・・・あはははは!!やっぱり冗談かぁ!そんな旨い話あるわけ無いか!」

 

砂嵐しか映さないテレビを前に、瑠美は大笑いをする。
大方邪魔な古いテレビを処分したかったのだろう。
そう考え、瑠美はテレビをの電源を消そうとした。
その時だった。

 

『・・・は次の方どうぞ』
『はい』

 

テレビから音が聞こえた。

 

「えっ・・・?」

 

慌てて視線をテレビに移すと、瑠美の目の前には奇妙な映像が映っていた。
どこかの室内、三人のスーツを着た男が、机を挟んで椅子を眺めている。
椅子の奥には扉が有り、その扉がおもむろに開いた。

 

『失礼します』

 

そう言って入ってきた女性に、瑠美は見覚えがあった。

 

「これ・・・私!?」

 

それは、スーツを着た瑠美の姿だった。
普段面接に行くときに着ているスーツを纏い、いつも通り扉を開けて、いつも通り椅子に座る。
面接の時の瑠美その物だった。

 

「これは・・・どういうこと!?」

 

驚く瑠身の目の前で、面接はどんどん進む。
瑠美は慌ててメモを取り出し、必死に言葉を書き写していく。

 

「・・・これが本物なら・・・本物なら・・・!!」

 

そう呟きながら、瑠美は必死にペンを動かすのだった。

 



 

「嘘みたい・・・」

 

翌日、瑠美は面接会場から出たところでそう呟いた。
昨日の映像通りの面接官が、映像通りの質問を瑠美にした。
瑠美は昨日の内にメモで練習したとおりに答えを言っていく。
なんだか、とても奇妙な感覚だった。

 

「・・・本物なんだ・・・あのテレビ」

 

少しスーツがきついのを感じつつ、瑠美は今後に希望を募らせる。

 

「これさえあれば・・・これさえあれば!!」

 

瑠美は一度会場を振り返ると、早足で家へと戻っていった。

 



 

それから瑠美は様々な情報をテレビから仕入れた。
株価、流行商品、宝くじの番号。金になりそうな情報は何でも。
その金を元手にさらに株で稼ぐ。
気付けば、老後の心配なんてしなくて良いどころか、
もう一度人生を遊んでも暮らせるほどの金が彼女の元にあった。
当然、そうなれば・・・

 

「げっぷ・・・流石に食べすぎかなぁ・・・」

 

たっぷりと肉の付いた腹を撫でながら、瑠美は満足げに頷いた。
別荘地として有名な場所に一軒家を建て、そこで人を雇い、家の中ぐらいでしか歩かない生活。
それにテレビでの体重増加。
見る見る内に太った瑠美は、まるでデブの見本と言って良いほどな体型となっていた。
普通の店ではサイズが置いてないブラジャーに、丸々として妊婦所かアドバルーンと言った方が
適切な腹。
二人掛けのソファでも幅が足りなくなりつつある尻にドラム缶を思わせる足。
指先まで肉が詰まり、まるで丸太のようになった腕を振るわせ、残った食事を口に運ぶ。
口を開ける度に頬肉が動き、たぷたぷと柔らかそうな二重顎が咀嚼に合わせて揺れ動く。

 

「あー・・・満足ぅ・・・」

 

ぽんぽんと腹を叩き、ゲップをする瑠美。
ちょっとの労力で莫大な資金が手に入る。
彼女は、今や何でも出来る状態だった。
・・・それが勘違いとも知らずに。

 

「・・・そういえばあの店主って何者なのかしら?」

 

だから、踏み込んではいけない領域を見誤った。

 

「あのテレビで見れば分かるか・・・よっこいしょっと」

 

重い身体を無理矢理起こし、不格好に立ち上がった瑠美は部屋へとのっそり歩いて行く。

 

「変な道具いっぱいあるし・・・弱みとか握れればただで何か貰えるかも・・・」

 

見てはいけない事が世の中にはある。
彼女も何度も見て知っていたはずだ。
例えば、恋人になったはずの男の浮気、友人だと思っていた人物の自分への蔑み。
知ってしまえば不幸になる事実は幾つもあった。
だが、彼女はそれを金に、"力"に変えてきた。
そして、それは今まで上手くいってきた。
いや、"上手くいきすぎた"。
だから、勘違いしてしまったのだ。

 

「さてさて、何が映るかな・・・」

 

あの女店主の事を映して欲しい。
そう願いながらテレビの電源をつける瑠美。
いつものように砂嵐が起き、少ししてあの女店主の後ろ姿が映る。
そして、画面の中の女性が"瑠美を見て笑った"。

 

「・・・ひっ!」

 

引きつった顔でのけぞる瑠美。
画面の中の女性は徐々に"こちらに近づいてくる"。

 

『やれやれ・・・女性のプライベートを覗くのはマナー違反ですよ?藤崎瑠美さん?』

 

女性は"画面の中から瑠美に話しかけてくる"。

 

「な、なんで・・・!?なんでこっちが見えて・・・!!」

 

慌てる瑠美に、女性はふっと笑って──

 

『じゃあ、お仕置きです』

 

そう呟いた。

 



 

「あは・・・美味しい・・・」

 

咀嚼する音が響く。
ただひたすらに響く。
瑠美がただ食べ物を食べる音だ。
"お仕置き"をされた瑠美は、ただひたすらに物を食べるだけになった。
幸い金はあるし、金の管理を任された人間も居る。
つまり、瑠美が望む限り食事が出される環境があるのだ。
元々瑠美がこうなる前、所持金額が莫大になりすぎた為に雇った人間だ。
壊れた彼女に対しても今まで通り接する辺り、良く出来た人間なのだろう。
だから、彼女の暴食が止まらない。
300kgを超えてもなお、彼女は食べ続ける。
なぜなら、今の彼女はそれしか脳に無いからだ。
そして、今日も彼女はひたすら食べ続けるのだ。

 

「ゲェップ・・・おかわり」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤崎瑠美
身長:158cm
体重:51kg  →  215kg →  308kg
  B:89cm → 149cm → 169cm
  W:62cm → 169cm → 201cm
  H:85cm → 157cm → 194cm

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌ですねぇ・・・のぞき見なんて・・・全く・・・皆さんもそう思いますよね?」


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