幸せな歳の取り方

幸せな歳の取り方

 

 

加江田 真美(かえだ まみ) 28歳 身長155cm 体重47kg B:88 W;61 H81
中小企業の社員で独身である事に焦りを感じている女性。
最近若い社員が入ってきて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「加江田君、これお願いできるかな?」
「・・・はい」

 

上司が私に書類を追加で置いてくる。
コピー位自分でかけて欲しいが、上司だからと自分に言い聞かせる。
小じわが増えそう・・・まだ何とか無いけど。

 

「じゃあよろしくね」

 

必要な部数を言うだけ言って、上司は自分の席へと戻っていく。
これがイケメンとかなら喜んでやるんだけどねぇ・・・

 

「・・・やるかぁ」

 

私はため息をつきながらコピー機をかける。
ため息をついただけ幸せが逃げていくって誰が言ってたんだっけ・・・?

 

「先輩、私変わりましょうかぁ?」

 

後輩の子が猫なで声で聞いてくる。
露骨に色を作ってるのが癪に障る。

 

「いいわよ・・・それよりも書類の方、出来た?」
「あ、分からないところがあってぇ・・・」
「分かった、後で見てあげるから・・・」
「お願いしますぅ」

 

それだけ言うと彼女はトテトテと歩いて行く。
可愛いだけあって、男性職員からの人気高いのよねあの子・・・特に年配の人から。
御陰でちょっとでもきつい言葉をかけるとすぐ男性職員から目の敵にされるのよね・・・
ホント・・・ただでさえ年齢的にそろそろきついのにああ言う子が居るとやってられないわ・・・

 



 

「はぁ・・・疲れた・・・」

 

ようやく仕事を終えて電車に揺られる。
既に10時近い。
最寄り駅に着くのは30分後か・・・

 

「一眠り出来るかしら・・・」

 

幸い椅子の端だから壁に寄りかかれるし・・・
私は目を閉じると、ゆっくりと全身の力を抜いていった。

 



 

「──車ありがとうございます。まもなく、終点。終点──」

 

終点という単語に反応し、私は思わず跳ね起きる。

 

「・・・やっちゃったわ」

 

慌てて窓から外を覗いた私の目の前には、真っ暗な田んぼが広がっているのだった。

 

「・・・仕方ないか」

 

反対方向の電車に乗るにしても一度降りなければ・・・
扉が開くのを待って、私は電車から降りて時刻表を確認する。

 

「げっ・・・もう電車無いじゃないの・・・」

 

面倒な事に既に自宅の方へ向かう電車は無い。
仕方なく改札を出て、駅の外へと出て行く。
辺りは真っ暗で、ぽつぽつとある頼りない街灯がなんだか不安にさせる。

 

「・・・タクシー呼べるかな?」

 

時刻は12時過ぎ。
どこかで電話借りなきゃ・・・
辺りを見渡す私に、少し離れたところにある一軒の建物が目に留まった。
そこだけ光が付いており、なんだか少し安心する。
近づいてみると、どうやら雑貨屋のように見える。
モダンな感じの佇まいで、洒落た建物だ。

 

「・・・なんかアンバランスな感じ」

 

ド田舎にお洒落な雑貨屋。
なんとも奇妙な感じだけど、とにかく中に入って電話借りられないか聞いてみよう。
そう考えた私は雑貨屋の扉に手をかけた。
カランカランとドアベルが音を立てて開き、中から古い物が置いてある店独特の匂いがする。

 

「いらっしゃいませ」

 

店の奥にあるカウンターの向こうに一人の女性が立っていた。
真っ黒いワンピースの上に赤いジャケット。
お洒落・・・と言えなくも無いけど、独特のセンスね・・・

 

「あの・・・すみませんがお電話貸して頂けませんか?タクシーを呼びたくて」
「ええ、構いませんよ」

 

私はカウンターの上に置いてある電話に手をかけると、
ウチの会社でよく使うタクシー会社の番号を思い出しながらダイアルを回した。

 



 

幸いな事にタクシーが来てくれる事になった。
これで一安心だ。

 

「電話、ありがとうございました」
「いえいえ、良ければタクシーが来るまでここでお待ちします?」
「あ・・・ではお言葉に甘えて・・・」

 

私は女性の言葉に甘えて店の中で待たせて貰う事にする。
すぐに女性は椅子をもう一脚出してきて、私の方へ渡してくれた。

 

「その・・・このお店って何を扱ってるんです?」
「そうですねぇ・・・色々と扱ってますよ?例えば・・・これとか」

 

そう言って女性は小さな植木鉢を見せてくる。
見たことも無い植物で、青々とした葉っぱがちょっと可愛らしい。

 

「これは【幸せの草】というものです。
 この木は部屋に置くだけで持ち主に幸せをもたらす物なんです」
「し、幸せの草ぁ・・・?」

 

胡散臭い。
なんていうか今すぐ出たくなってきた。

 

「はい!それにですね・・・なんとこの植物の実を食べるとなんと一年間歳を取らないのですよ」
「・・・はい?」

 

どういう事・・・?

 

「年を取らないって・・・どういう?」
「そのままの意味ですよ?老化現象を一年間食い止めてくれるのです。
 皺は増えない、白髪も増えないといった具合ですね」

 

本当なら凄いけど・・・

 

「本当に・・・?」
「ええ。ただ・・・この植物、育成に持ち主の美貌を奪うんですよ」
「・・・美貌?」

 

まずまずもってオカルト染みてきたわね・・・

 

「はい。例えば髪の質感、肌のハリ等々・・・何を奪うかはこの子次第なんですけどね?」

 

そういって女性は植木鉢を指でつつく。
でも・・・老化が止まるのかぁ・・・

 

「・・・どうでしょう?実はこの子中々売れなくて、誰か欲しい方にお譲りしようかなと
思ってまして・・・」
「は、はぁ・・・」

 

そう言われても・・・後で料金の請求とかされると困るし・・・

 

「大丈夫ですよ、料金の請求とかしませんから」
「あ、いや・・・」

 

不味い、顔に出ていたみたい・・・

 

「まぁまぁ。騙されたと思って一つ・・・」
「わ、わかりました・・・」

 

そこまで言われたらね・・・
それに電話とか貸してくれてるし・・・嘘だとしてもただの植物だし・・・

 

「ではお包みしますね?」

 

女性は植木鉢を持って奥へと引っ込んでいった。

 

「・・・はぁ」

 

私は今日何度目かのため息をつくとぐっと背伸びをしたのだった。

 



 

「本当に幸せになれるのかねぇ・・・?」

 

あの後何とか帰ってきた私は、持って帰ってきた植木鉢を見ながら、そんな事を呟いた。
どう考えても眉唾以下だけど・・・

 

「まぁ普通に可愛い植物だし、飾っておけばいいか」

 

私は窓辺にそれを置くと、そのまま泥のように眠るのだった。

 



 

「・・・まさかこんな事になるとはねぇ・・・」

 

私は目の前の植物と手にした宝くじを見ながらそんなことを呟いた。
手にしている宝くじは100万円が見事当たっている。
嬉しい話だけど・・・

 

「やっぱりこの子の御陰かなぁ?」

 

今まで宝くじなんて当たったことが無い。
これが本当なら・・・

 

「木の実の方も・・・?」

 

年甲斐もなくワクワクしている私は、この木に実がなるのを期待するのだった。

 



 

「・・・あれ?」

 

数日後、私はスーツの感覚がおかしいことに気付いた。
なんだかきついのだ。

 

「・・・縮んだ?」

 

私はおかしいと思いつつ、無理矢理スカートを履くと、植木に水をやってから会社に行くのだった。

 



 

「・・・これ花?」

 

ある日、私は植物の上の方に付いた小さな膨らみを発見した。
なんだかぷっくりとしている部分がある・・・

 

「・・・早く咲かないかなぁ」

 

私はより期待感を高めながら水をあげる。
その際、自分の腕が目に入った。

 

「・・・太くなったなぁ」

 

最近太り気味で全体的に太くなった気がする。
腕もぷにぷにしてるし、最近お腹がぽっこりしてきたし・・・
この間ついにサイズを一段上げてしまった・・・
もしかしたらコレがあの女性の言う"美貌を奪う"って奴かもしれない。

 

「・・・まぁ最近良いことずくめだし、この位なら・・・」

 

ちょっと太ったぐらいなら別にいいか・・・ちょっと痩せれば良いだけの話だし。
私は大きくしたスーツを着ると、会社へと向かうのだった。

 



 

あれから数ヶ月。
あの後、バラの様な花が咲いたと思ったらすぐに花は散ってしまった。
残された植物にまるで小さなパイナップルみたいな実が付いていて、それを収穫したのが昨日の夜。
私は朝、朝食を食べた後にその実をじっと見つめていた。

 

「・・・これ、本当に食べられるのよね?」

 

正直ちょっと怖い。
私は恐る恐る包丁で少し切り取ると、囓ってみる。
途端、口の中に甘くて濃厚な香りが広がる。

 

「お、美味しい!!」

 

思わずどんどん食べ進めていく。
気付けば全て実を食べてしまった。

 

「・・・これであとは歳を取らないことが分かれば・・・!!」

 

私は念のために残った種を袋に入れてしまうと、スーツに着替え始めた。

 

「・・・ふぅぅうううんっとぉ!
 ・・・はぁ、またきつくなってきた」

 

私は思いっきりお腹を引っ込めてからスカートのホックを留める。
最近ますます太った私のお腹がスカートを今にも弾きそうになる。
胸は大きくなって嬉しいけど、流石にこのお腹は不味い。
太ももなんか最近太くなりすぎて大根足どころじゃないし。
腕なんかまるでそこいらの男性の足よりも太い。
顎も大分たぷたぷしてるし、なんか頬肉も大分多くなった。

 

「そろそろ本格的にダイエットしないとなぁ・・・」

 

そう思うのだが、この植物の御陰で雑誌の懸賞なんかについ応募してしまう。
当たると分かっていると、ついつい色々送ってしまうのだ。
そうなると良いお肉だとか、お米だとかがポンポン当たってしまってそれを食べちゃうのだ。
御陰でダイエットが全然進まない。

 

「・・・まぁその内ダイエットできるでしょう」

 

私は考えるのをやめて、仕事の用意をするのだった。

 



 

あれから数年経った。
私の周りはどんどん年を取り、あのブリッ子だった後輩も当時の私と同じ歳になった。
どうやら適当な男を捕まえたのだが、二股をかけていたらしく捨てられたらしい。
らしいというのは、私はもう会社で働いてないのだ。
あれからしばらく経った頃、どんどん重くなる私の体はついにドアにつっかかるようになった。
それを機に、私は会社を辞めた。
退職金自体はそんなに無かったが、その直後会社がつぶれたので良かったと思うことにして居る。
会社を辞めた私だが、何故か私生活は充実している。
まず第一に、この間ついに結婚した。
会社を辞めた直後に知り合った男性が居るのだが、彼は重度のデブ専なのだ。
街中で私をみて思わず声をかけてきたというのだから筋金入りだ。
そんな彼は私に優しく、私も彼に徐々に惹かれていった。
そんなこんなで私は彼と交際をすることとなり、気付けば結婚していたのだ。
断じて彼がそれなりのお金持ちで、私の事を支えられるだけの資金があるのが決め手だったわけでは無い。
今私はそんな彼の家に住んでいる。
というのも・・・

 

「美味しいかい?」
「うん・・・美味しいわ」

 

彼の手料理を食べつつ、お腹を撫でる。
そこにはこれ以上無いほどの脂肪が詰まっている。
彼の家に居る理由はこの体。
最近はまともに動けない程太ってしまって、彼の手助け無くては私生活すら難しい。
椅子を二つ使ってようやくのお尻に、片方で頭より大きな胸。
お腹は妊婦なんて目じゃ無くて、太ももは多分この家の柱ほど有るだろう。
首なんかはとっくに肉に埋まり、最近頬肉が多すぎて口が上手く開かなくなってきた。
こんな状態でも老化は全然無い。
あれからずっと実を食べている御陰でずっと若々しいままだ。
彼もそれが嬉しくて仕方ないらしい。
何かと尽くしてくれる彼が私も愛おしい。

 

「・・・植物様々ね」
「・・・?どうかした?」
「ううん。なんでもないの」

 

ちらりと呟いた私に、彼が聞いてくる。
何でも無いと彼に答え、彼の手料理を再び口に運ぶ。
こんな体にはなってしまったけど、なんだかんだで良い人生になっているのだ。
今ならはっきりと言える。
あの時、寝過ごしたのは私の人生で一番良いことだったのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

加江田真美
身長:155cm
体重47kg →   52kg →  61kg  →  102kg →  478kg
 B:88cm → 91cm → 97cm  → 112cm → 159cm
 W:61cm → 64cm → 71cm  → 108cm → 251cm
 H:81cm → 86cm → 90cm  → 113cm → 260cm


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