抱きしめNG女
及川 須子(おいかわ すこ) 28歳 身長162cm 体重43kg B:84 W:57 H:79
ばりばりのキャリアウーマン。なぜか異性からのボディタッチを極端に嫌がる。
亀山 匡(かめやま まさし) 23歳 身長171cm
須子の部下で最近入ったばかりの新人。須子の事を理想の上司と言って慕っている。
「亀山!データ出来てる!?」
「ういっす!!これっす!!」
俺は及川先輩に書類を渡し、先輩が書類に目を通す様をじっと見つめた。
やがて最後まで目を通した先輩は俺の方を向くと、書類を突っ返してきた。
「3ページ目と8ページ目、データ間違ってるぞ。やり直し!」
「うっす!」
書類を受け取った俺は直ぐさま自分のデスクに戻ると、
書類のデータを呼び出すべくPCの電源を付けた。
「・・・なぁ、お前よく平気だな」
「ん?なにがだよ」
PCが立ち上がるのを待っていると、同期の友田が急に声をかけてくる。
「なにがって・・・及川先輩だよ。よくもまぁあんなに怒られても平気だよな?」
どうやら先輩に俺がいじめられていると勘違いしているらしい。
「むしろ目をかけられてるって感じがしてやりがいがあるけどなぁ・・・」
「はぁ・・・すげーよお前は・・・俺だったら途中で投げるわ」
「根性ねーやつ」
「体育会系と一緒にするなよ・・・俺は根っからの文系なの」
それだけ言うと友田の奴は自分のデスクへと戻っていった。
俺は立ち上がったPCに向き直ると、書類データを呼び出してデータの修正に取りかかるのだった。
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「おーい、今日の飲み会来る奴!会費徴収するからこっち来てくれ!」
部長の言葉に何人かの同僚達が立ち上がり部長の方へと歩いて行く。
ウチの部署は部内の協調性を高めるためとか何とか言ってよくこうやって飲み会を開く。
自由参加なので来ない奴も居るが、どうもウチの部署は騒ぐのが好きな奴が多いため
大体全員参加だ。
俺も参加するべく会費を部長に渡すべく立ち上がると、丁度及川先輩と鉢合わせた。
「先輩も参加っすか?」
「ああ、そのつもりだよ」
「あ、じゃあ俺先輩の分も金渡してきますよ!」
「いや、いい」
「遠慮せずに!」
俺は先輩が握っていた会費の2000円を冗談で握ろうとする。
すると先輩はバッとすさまじい速度で手を引っ込めてしまった。
「あっ・・・」
俺が悲しそうな顔でもしていたのだろうか、先輩もハッとした様子で慌て始めた。
「あ、いや・・・か、金の管理は自分でするべきだからな!
冗談でも他人の金を触ったりするのは駄目だろ?」
「そ、そうっすね!すんません!」
「いや、分かれば良いんだよ・・・うん・・・」
先輩はそれだけ言うと、部長の方へと歩いて行く。
俺は少しその場で反省すると、改めて部長の方へと歩いて行くのだった。
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「それじゃ・・・乾杯!」
『かんぱーい!』
部長の音頭で俺たちは近くの人と乾杯をする。
各々運ばれてきた料理に手を付け、酒を飲む。
俺はふと、別の方に居る及川先輩に視線をやる。
隣に居る女性と楽しげに話す様子を見る限り、どうやらさっきのことは忘れてくれたらしい。
「おっ、なんだなんだお前及川狙いか?」
「わわっ犬神先輩!?」
ほっとしていた俺の肩をぐっと引き寄せる犬神先輩。
すでにある程度酒が回っているらしく、顔が赤い。
「先輩酒弱いのに飲み過ぎっすよ・・・」
「良いだろ別にぃ・・・それより及川かぁ・・・
お前、あいつが高校の頃すげー臆病だったの知ってるか?」
「はい?何すかそれ」
俺の質問に、犬神先輩はビールを煽りながらこう答えてくれた。
「実は俺、あいつと高校同じだったのよ。
つってもクラス違ったけどな?で、あいつ実はウチの高校でも有名な程地味な奴だったのよ。
いっつもびくびくしてて、居場所は常に図書館か屋上っていうまさにぼっちの極みみたいな
奴だったよ」
「へぇ・・・意外っすねぇ・・・でもなんであんなに堂々とするようになったんすか?」
「悪いが知らねぇな・・・クラスも違ったし、大学も別だったからなぁ・・・
久々に会社であったらあの状態だったぜ?」
「へぇ・・・大学でなんかあったんすかね?」
俺は再び及川先輩の方を見る。
にこやかに笑う先輩からはそんな過去があるなんて微塵も感じられなかった。
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「おー・・・及川ぁ・・・お前いつから忍者になったんだぁ?分身しやがってこのヤロ−!」
「あーもう!犬神先輩飲みすぎですって!!」
「はぁ・・・全く・・・酒に飲まれる奴があるか」
飲み会の帰り。
俺たちは方向が一緒だと言うことで泥酔状態の犬神先輩を連れて帰り道を歩いていた。
俺が犬神先輩に肩を貸し、及川先輩は横で万が一に備えるという配置だ。
ホントは及川先輩にも手伝ってほしいが、犬神先輩が『女の肩なんて借りられるか!!』と騒ぐので仕方なくである。
・・・まぁ、及川先輩に良いところを見せられると思えばこの程度だな。
「・・・悪いな。一人でやらせて・・・」
「いえ!大丈夫っす!」
「そうか・・・流石男子だな」
「う、ういっす!」
にっこりと笑う及川先輩に、俺は思わずドキリとした。
「確かそろそろ犬神の家のはずだが・・・あった、ここだ」
表札に書かれている犬神の文字を発見した先輩は、犬神先輩と俺を誘導する。
「先輩!犬神先輩!着きましたよ!」
「おーう!愛しの我が家よぉ!ここまでつきあわせてわりぃな!」
「そう思うなら飲む量押さえて下さいよ!」
「それは断る!ははははは!じゃあな!」
どことなく怪しいが、さっきまでよりはしっかりとした足取りで家の中へと入っていく犬神先輩。
俺と残された及川先輩はどちらとも無く見つめ合うと、なんだか急に恥ずかしくなって二人とも
下を向いた。
「か、帰るか!」
「う、うす!」
俺たちは一緒に歩き出したが、どうも俺は緊張していたらしい。
歩き出した瞬間、俺はバランスを崩して近くに居た及川先輩の方へと飛び込んでしまった。
「うぉ!?」
「え、あ!?」
顔に当たる及川先輩の胸。
柔らかなその感触は、思わず『あ、意外と先輩胸有るんだ』とか余計な事を考えさせる。
「き、きゃぁあああああああああ!?」
「す、すんません!今離れます!!」
そう言って離れようとした俺は再びバランスを崩し、今度は先輩を押し倒すように倒れ込んだ。
「な、なにをしてるんだ馬鹿ぁ!」
「ご、ごめんなさい!!」
立ち上がろうとする俺だが、どうやら倒れた拍子に足首をくじいたらしく、上手く立ち上がれない。
そんな間にも先輩の胸は俺の顔にその存在を激しく自己主張させてくる。
まるで俺の顔を包むかのようなその感触は、どんどん俺の顔を覆い隠すかのようだ。
そこでふと、俺は違和感を覚えた。
先輩の胸のサイズが、どんどんと大きくなっているように感じたからだ。
「くっ・・・ぅん・・・くぁ・・・!」
顔を上げると、そこにはどこか苦しげにもがく先輩の顔があった。
だが、それはどこか艶めかしくもあった。
決して酒だけじゃ無い顔の紅さ。
身もだえするたびに大きくなる胸。
そして俺をしたから支えるように膨らんでいく腹。
ようやく先輩の体から離れた俺が見たのは、風船に空気をいれるかのように膨らんでいく
先輩の姿だった。
胸はシャツのボタンを弾き飛ばし、ブラジャーを壊しながら大きくなる。
スカートのホックも同じように腹の贅肉に壊され、パンツの上にドデンと脂肪が乗る。
足はストッキングをびりびりと引き裂いていき、腕はスーツの上からでも分かるように
パツンパツンになる。
どんどんと頬肉があふれ、顎が肉で二重になっていく。
先輩の『変化』が終わった時、そこに居たのはまるで横綱のように太った先輩だった。
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「つまり・・・先輩は呪われてるんすね?」
「・・・うん、呪いっていうのは私が勝手に呼んでるだけだけど・・・」
俺は先輩に手を貸して立ち上がらせた後、より近い俺の家に二人で避難してきた。
最初こそ見るな見るなと騒ぐ先輩だったが、しばらくして落ち着いてからは
大人しく着いてきている。
で、説明を求めた俺に対して先輩が語ったのは予想外の話だった。
何でも高校生の頃、近所で噂になっていた変なお店に行ったのだという。
『自分の美貌を代金に何でも願いを叶える店がある』
引っ込み思案だった自分の性格を変えたかった先輩は、大学入学を前にその店に行ったという。
その店の店主は先輩に薬を渡すとこう言ったらしい。
『これを飲めば引っ込み思案は直ります。
でも、その代わりおおよそ150kgほど太って頂きますけど。
ああ、ご安心下さいな。普段は普通の格好のままですから。
そうじゃなきゃ引っ込み思案を治した意味がありませんから。
ただ・・・男性と接触すると太った姿に変化してしまいますけどね。
男性に触れられても時間経過で普段の姿に戻るようにはしておきますから、
精々接触はしないように頑張って下さいね?』
正直言えば無茶苦茶である。
男性と触れ合う機会なんてそれこそ山ほどある。
電車やバスでの移動なんかも相当気を遣うし、
コンビニなんかで店員さんと触れ合うこともあるはずなのに・・・
「すごいっすね・・・」
「別に・・・凄くないよ・・・今の成功だってこの呪いの御陰だし・・・」
いつになく弱気な先輩。
・・・いや、多分これが素の先輩なんだろう。
気弱で、はっきりと物事が言えなくて、後輩の俺の目もまともに見られない。
そんな女性・・・
「・・・いや、やっぱり先輩はすごいっすよ!
だって、変わったのは性格だけっすよね?だったら能力は元々あったって事っすよ!
その上で男性に接触しないように今まで何年もやってきたんすよね?
なら、それは他の誰でも無い先輩の能力っすよ!!」
「・・・亀山君」
「あーもう!君付けなんてやめてくださいよ!
いつも通り呼び捨てで呼んで下さい!先輩は先輩なんすから!」
「・・・ふふっ、なにそれ・・・」
ようやく笑った先輩を見て、俺も釣られて笑う。
俺達はその後大声で笑い合うのだった。
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「亀山!これ頼むぞ!」
「はいっす!」
次の日。
いつも通りの体型に戻った先輩がいつも通りに俺に接してくれる。
あの事は俺と先輩だけの秘密と言うことになった。
だから、いつも通りの日常。
だけど・・・
「あ、それと・・・今晩“仕事の事”で相談があるから残ってくれ」
一つだけ違うのはこの秘密の合い言葉。
これはつまり・・・先輩が呪いじゃなくても今の先輩みたいに
はっきり物事を言える様になるための特訓をするという合図。
「・・・はいっす!」
俺はそれに対して元気よく返事を返すのだった。
及川須子
身長162cm
体重43kg → 162kg
B:84cm → 127cm
W:57cm → 148cm
H:79cm → 137cm