当たり外れは度外視で

当たり外れは度外視で

 

 

久瑠田 莉子(くるた りこ) 20歳 身長152cm 体重53kg
飽きやすく流行り物好きの女子大生。最近はスマホゲームにはまっており・・・

 

 

 

 

 

「こい・・・こい・・・!」

 

私は目の前で流れるムービーを見ながら、右手を握りしめる。
やがて画面が切り替わり、見えたのは一枚の真っ白なカードの画像。
白いそれに徐々に色が付き・・・やがて現れたのは・・・

 

「あー・・・またレアだ・・・」

 

私の既に持っているキャラのカードだった。

 

「・・・はぁ。これも飽きてきたなぁ」

 

手にしたスマホを横に置き、私はごろごろとベッドの上で寝転ぶ。
最近流行ってると知り合いに言われてやってみたスマホゲー・・・
確かに面白いけどこうも同じキャラばっかりが当たるとつまらない。

 

「・・・どうせ課金もしてないし、他の探してみよ」

 

今までやっていたゲームをさくっと消すと、私はアプリストアを覗いて見る。
無料ゲームの項目をちらちらと探していくと、一つ気になるアプリがあった。

 

「・・・『自分を育てる育成アプリ』?」

 

他のゲームみたいに目立つアイコンじゃなく、鏡の絵が一枚飾ってあるだけのシンプルなページ。
説明文も奇妙で、『"自分"の分身を育てて、最高の"自分"を作ろう』だけ。
アプリの制作者も奇妙で、『美貌換金屋』なんて名前だ。

 

「・・・レビューも無し、かぁ」

 

恐らく誰も気味悪がってやってないのだろう。

 

「・・・でもちょっと面白そう」

 

私はインストールのボタンを押し、利用規約書を読み流してから同意ボタンを押す。
やがてゲームがダウンロードされ、そのまま私は起動させてみる。
すると一枚の鏡が表示され、簡単な文が出てきた。

 

「・・・『ようこそ、久瑠田 莉子様』?
 私名前登録してないのに・・・」

 

スマホの個人情報から探してるんだろうか?
ちょっとヤバイアプリかなこれ・・・

 

「『只今からこの鏡に映るのは貴方その物。ゆめゆめお忘れ無きように・・・』
 ・・・なにこれ」

 

文章はすぐに消え、代わりに鏡に映ったのは小さな卵だった。

 

「・・・これが私ってわけ?」

 

自分を育てるアプリだから卵から育てるって事?
しばらく卵を見ていたけど、変化する様子は無かった。

 

「・・・何かできないの?」

 

画面をタップしてみると、メニューが上の方に現れた。
メニューはアイテム・ステータス・ガチャの三つがあり、試しにステータスを押してみる。

 

「・・・身長・体重・バスト・ウエスト・ヒップに肌年齢・・・なにこれ」

 

ステータスと言うよりは美容の要点まとめみたいだ。
画面を一つ戻し、今度はガチャを選んでみる。
分かり易いガチャガチャの絵が出てきて、一緒にタップして下さいと言う文字も出てきた。
書かれた通りにタップしてみると、ガチャガチャが回り、小さなカプセルが出てくる。
カプセルをタップすると、ぱかっとカプセルが開いて中からお肉の画像が出てきた。

 

「・・・これ使えるの?」

 

メニューに戻り、アイテムを選んでみると確かにお肉がアイコンで表示されている。
試しにタップしてみると、お肉の画像が大きく表示されて横にはいくつかの文章が一緒に出てくる。
文章の下には使うというボタンと戻るというボタンがあり、これで使うかどうかが選べるらしい。

 

「バスト+2cm ウエスト+1cm ヒップ+1cm 体重+1kg?」

 

どうやらお肉を使った時の効果が書かれているみたいだ。
試しにと、一個あげてみる。
卵の中にお肉が吸い込まれる演出が入り、卵が軽く揺れた。

 

「・・・終わり?」

 

ステータス画面を確認すると、確かにステータスは変動している。
だがそれだけだ。

 

「・・・たちの悪いジョークね」

 

誰かが手の込んだ悪戯で作ったアプリらしい。
やれやれと思ってアプリを終了させようとした、その時だった。

 

【ムクッ】

 

「え?」

 

一瞬、私の身体が熱くなった。
同時に付けていたブラがきつくなった気がする。
すぐに確認すると、ぴったりだったはずのブラがいつもより張り詰めている。

 

「・・・」

 

気のせいかもしれない。
だが私は、もう一度アプリのガチャを開いた。
再びタップし、回るガチャを見つめ、開いたカプセルを確認する。
今度は紙パックの牛乳が現れ、私はすぐにアイテム画面で確認する。

 

「・・・身長+1cm バスト+2cm 体重+1kg」

 

すぐに使うを選び、胸に手を当てて待つ。
卵に牛乳が吸い込まれた後、少ししてから私の胸が盛り上がった。
さっきよりもブラはきつくなり、胸が少しブラから溢れている。
それと同時に背中が少し引っ張られるような感覚がする。

 

「・・・やばい」

 

これはもしかしなくてもやばい。
私はガチャ画面をもう一度開き、タップする。
だが・・・

 

『無料ガチャの1日利用回数が切れました。これ以上行うには課金してください。
 課金を行うには下のボタンをタップしてください』

 

そんな文字が表示された。
少し迷ってから、私は課金すると書かれたボタンを押した。
だが、新しく表示された画面に書かれた文章を見て私は少し戸惑った。

 

『課金には貴方のお金ではなく美貌を頂きます。
 どのような美貌を戴くかはお客様がお選び頂けます。
 以下の中からお好きな物を・・・』

 

訳が分からない文章だった。
表示されたのは髪の毛のアイコンと太ったお腹のアイコン、それとハートのアイコンだった。
恐る恐る髪の毛のアイコンを押してみると、画面が再びガチャガチャの画面になってそのまま
ガチャガチャが回り出した。
またもカプセルが一つ飛び出てきて、中身は薬の入った瓶の絵だった。

 

「・・・ん?」

 

今までと感じの違うアイテムを見ていると、急に首の辺りがちくちくしてきた。
触ってみると、肩を少し超すぐらいだった髪の毛が首筋の辺りまで短くなっていた。
どうやら美貌っていうのはこれのことらしい。
あのアイコンに対応した物がお金の代わりに消費されるのだろう。

 

「・・・髪の毛ちょっとで課金出来るなら安いものよ」

 

私はそう考えると、アイテムでさっき手に入れた薬の効果を確かめた。

 

「・・・バスト+20cmにヒップ10cm、体重+10kg?」

 

桁外れだ。
これを使ったら絶対に不審がられるだろう。

 

「も、もうちょっと効果の少ない奴・・・」

 

私はそう思ってもう一度ガチャ画面に行く。
ところが、ガチャをしようと画面をタップしたら『一度に所持出来るアイテムは1個までです』と
いう警告文が出てしまった。
つまり・・・どんなアイテムでも使わないといけないらしい。

 

「くっ・・・」

 

私はしばらく迷ったが、アイテムを使ってしまった。
少しして、さっきまでよりも強い感覚が胸と尻に来た。
下着が食い込み、呼吸がすこし苦しくなる。
慌ててブラを外し、深呼吸をする。
呼吸が落ち着いてから、私は鏡で自分の姿を見た。

 

「・・・すご」

 

ドーンと前に飛び出た胸。
少し緩やかになったけど、まだまだ有るくびれ。
むっちりと大きくなったお尻。
まるでグラビアアイドルみたいだった。

 

「・・・えへへ」

 

色々ポーズを取っている内に、なんだか楽しくなってきてしまった。

 

「・・・も、もう一回だけ」

 

髪の毛はもうちょっと短くなってもいいし・・・
そう思ってもう一度私はガチャを回すのだった。

 



 

「・・・やった!また薬アイコン!」

 

数日後、私はまたあのアプリをやっていた。
ドンドンからだが綺麗になっていくのが面白く、ついついガチャを回してしまう。
2回の無料ガチャに追加で1回髪の毛課金ガチャ。
これだけで私の身体は見違えるようになった。
Lカップはありそうな胸に、大っきくクッションみたいになったお尻。
腰はすこしぽっこりしたけどまだまだくびれは健在だった。

 

「さて・・・この薬はっと・・・」

 

初めて見る薬の説明を読む。
最初に出たのは緑の薬で、あれは胸を大きくする薬だった。
赤はお尻、青は肌の質を良くする物だった。
そして今出たのは・・・

 

「・・・げっ、ウエスト+20cmとバスト10cm・・・」

 

黒い薬は外れだ。
ここまで大きくなってしまうと困る。

 

「・・・でもこれ使わないと次がなぁ」

 

アイテム一個しか持てないのが嫌らしい。

 

「・・・野菜引けばウエスト下がるし、大丈夫だよね?」

 

薬系じゃないアイテム・・・お肉とか野菜とかは効果が少ない分当たりやすいし。

 

「よ、よし・・・使っちゃおう!」

 

使うを押し、自分の腹に肉が乗る感覚を確かめる。
パンツが余計に食い込み、贅肉がパンツの上にのっかる。

 

「うぅ・・・と、とりあえず課金して良いの引かないと!」

 

私は今日の課金ガチャを引こうと思い、課金画面に行く。
すると・・・

 

「・・・あ、そういえばこのアイコン」

 

今まで髪の毛アイコンしか押してなかったけど、課金方法は他に2つあるんだった。
一つは太ったお腹で、もう一つはハートアイコン。
今までやった髪の毛は押す度に数cm髪の毛が短くなっていた。
ならこのお腹のアイコンは・・・

 

「髪の毛も大分短くなっちゃったし・・・お腹の方もやってみよう」

 

ぷにっと自分のお腹を摘んでから、私はそう呟いた。
これでウエストが引っ込めば万々歳だ。
私はお腹のアイコンボタンを押し、ガチャを回す。
現れたのは野菜で、確かウエスト-5cmだ。

 

「よし!・・・あれ?」

 

野菜が出て喜んだのもつかの間、私のお腹がまた少し膨らんだ。

 

「げぇ・・・これ太るのかぁ」

 

どうやらお腹のアイコンは脂肪を引き取るんじゃ無くて逆に増やすものらしい。
そりゃそうだよね・・・そうじゃなきゃ無限に課金出来ちゃうし。

 

「うぅ・・・これじゃあ変わらないじゃん・・・」

 

私はため息を付いて、野菜を使う。
御陰で少しウエストが引っ込んだ気がするけど、さっきの課金分でチャラだ。

 

「・・・も、もう一回だけ!」

 

ガチャ画面に行き、今度はハートのアイコンを押してみる。
現れたのはまたもや黒い薬だった。
だけど・・・

 

「・・・あれ?変化無し?」

 

身体に目立った変化はない。
ハートアイコンはよく分からないけど、どうやら身体に影響がある物ではなさそうだ。

 

「・・・なら、もう一回引いてもいいか」

 

そう思い、私は黒い薬を処理してもう一度ガチャを引く。
当たったのはまた黒い薬で、このままじゃ赤字だ。

 

「もう一回!」

 

黒い薬を使い、お腹がぷっくりと膨らむのを見てから私はもう一度ガチャを回した。
出たのは白い薬で、効果はバスト、ウエスト、ヒップが全部-10cmだった。

 

「これいいじゃん!もう何回か引けばいけるっしょ」

 

アイテムを使い、課金する。
なんだか課金に躊躇いが無くなった気もするけど、身体を綺麗にするには別にどうでもいいか。
私は課金ボタンを押し、アイテムが出るのを眺めるのだった。

 



 

「ふぅ・・・ふぅ・・・アイテムは・・・あ、黒い薬か・・・
 ぜぇはぁ・・・課金しないと・・・」

 

あれから何時間経っただろうか。
私は赤字を取り返すために何度も何度も課金した。
途中からハートのアイコンが選べなくなったから、
私はお腹のアイコンを使って課金することにした。
白い薬があればすぐに取り返せる分だし、
綺麗になるにはちょっとぐらい太っても大丈夫だろうしね。

 

「・・・やった、白だ」

 

アイテムを使い、もう一度課金する。
当たったのは肉。
アイテムを使い、もう一度課金する。
当たったのはチーズ。
アイテムを使い、もう一度課金する。
当たったのは緑の薬。
アイテムを使い、もう一度課金する。
当たったのは牛乳。
アイテムを使い、もう一度課金する。
当たったのは赤い薬。
アイテムを使い、もう一度課金する。
当たったのは黒い薬。
アイテムを使い、もう一度課金する。
当たったのは野菜。
アイテムを使い、もう一度課金する。
当たったのは黒い薬。

アイテムを使い、もう一度課金──

 

「・・・あれ?」

 

急に、指が動かなくなった。
いや・・・違う。
指が太くなりすぎて動かしにくくなっただけだ。

 

「なーんだ・・・課金しないと・・・」

 

そうだ、課金してもっと綺麗に・・・あれ?

 

「・・・え、あ・・・私の指・・・?」

 

なんで、こんなに太いの?
なんで、見える範囲殆ど全てにに肌色の物が広がっているの?
なんで、こんなに呼吸が苦しいの?
なんで・・・

 

「なんで・・・私こんなに太ってるの?」

 

スマホの画面に映る鏡。
そこには卵じゃ無くて今の私が映し出されていた。
腰掛けてたベッドの上を占領する足とお尻。
その上に乗っかる・・・いや、広がるお腹。
胸はまるでだらしないバランスボールが二つくっついたみたいで・・・
腕はまるで腰の太さみたいで。
顎は首と一緒に肉で無くなって・・・目はほっぺたの肉で細まって・・・
私、なんでこんな化け物みたいになってるの?
なんで?
なんで?
なんで?
なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?

なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで────────────────こんなにデブになってるの?

 

「・・・課金すれば大丈夫よね」

 

そう、気にすることは無い。
ようは白い薬で痩せればいいんだから。
だから、大丈夫だ。
だから・・・課金しないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久瑠田莉子
身長152cm →  153cm → 157cm →  168cm
体重53kg  →  65kg  → 120kg → 2842kg
 B:86cm → 110cm → 146cm → 484cm
 W:65cm →  66cm  →  79cm →  671cm
 H:85cm →  96cm  → 138cm → 532cm


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