罰ゲーム

罰ゲーム

 

 

天野 悟志(あまのさとし) 24歳
特殊な性癖(太った女性が好き)の持ち主。
普段見ている同じ性癖が集まるネット掲示板の住人の一人で、ハンドルネームは『御大将』
ある『りすた〜と』の主催するオフ会に参加した。

 

 

 

 

 

 

 

ある日、俺は普段と同じ様に「29ちゃんねる」と呼ばれるネット掲示板を覗いていた。
特殊な性癖の持ち主が、それぞれで集まる掲示板で、さまざまな種類のスレが建っている。
例えば「モンスター娘っていいよね?」や「『キレてる』筋肉娘万歳!『キレてる〜』」
といった具合だ。
その中でも俺が覗くのはここ、「肥満娘をこよなく愛する俺達」だ。
ぽっちゃりから、果ては肉塊レベルまで、とにかく可愛くて太った女性が
大好きな連中が集まるスレだ。
このスレも長いものでもう29スレ目だ。
29・・・”肉”スレ目ということで今回はいつもよりもにぎわっている。
特にこのスレ専用のお絵かき掲示板はいつもより投下が多い。
とはいえ、普段と比べてという事なので、元々あまり投下のない関係で
スレの進行自体はそこまで早いほうではない。

 

「ふむ・・・今日は絵の投下は無いようだな。
 さて、本スレはっと・・・ん?」

 

本スレに新しいレスがついていた。
内容は

 

「オフ会のお誘い・・・?」

 

珍しい話だ。
元々余り住人同士の係わり合いが無いスレなだけに余計に目立つ。

 

「えーなになに・・・
 『今度の29の日。なにやら面白いイベントがあるようです。
  折角なので皆様で行ってみませんか?
  参加をご希望の方や、詳細を知りたい方は下のメールアドレスまで』
 か・・・どんなイベントなんだ?」

 

なんとなく興味のそそられた俺はこのレスをした『りすた〜と』という人物へメールを送ってみた。

 

 

 

 

 

 

 

『りすた〜と』からの返信は割りとすぐに来た。
『りすた〜と』自身、このイベントに初参加らしく、詳細なことは判らないという。
ただ、どうやらメインイベントは俺たちのような人間にとっては大変な『ご褒美』だという。
どういったものなのか気にはなるのだが、一人で行くには少々不安なので
一緒に行く人を募集しているらしい。

 

「・・・イベントねぇ?」

 

確かに興味を引かれる話題だ。
しかし・・・

 

「いくらなんでも怪しすぎないか?」

 

普通に考えたらこんな怪しい話題に乗るやつはいない。
普通なら絶対に乗らない。

 

「・・・普通ならな」

 

俺は『りすた〜と』への返信メールを書き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして、『御大将』です」
「こちらこそ初めまして、『りすた〜と』です」

 

29日当日。
俺は『りすた〜と』と会っていた。
結局、俺は参加することにした。
なぜか俺はこのイベントを無視できなかったのだ。
会場が近かったというのももしかしたら有ったかもしれない。

 

「それにしても参加者は俺たちだけですか」
「ええ、やっぱりみなさん怪しいイベントには参加できないと・・・」

 

まぁ仕方ない。
普通に考えたらこんなのに来るやつは居ないだろう。

 

「まだイベントまで時間もありますし、どうです?少々腹ごしらえなど?」
「ああ、いいですね。行きましょう」
「では行きましょう。丁度いい喫茶店を知ってるんです」

 

『りすた〜と』の提案に乗って、俺たちはイベントの時間まで時間つぶしをかねて
飯を食べに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なかなかいい喫茶店だったな・・・覚えておこう)

 

適当に食事を済ませ、俺たちはイベント会場へと向かっていた。
なんでもこんなイベントだ。目立つ場所でやれるわけがない。
なので非常にわかりにくい場所にあるらしい。
『りすた〜と』曰く、下見はしてあるから大丈夫だという。
そうしてしばらく歩いた頃、とある廃ビルにたどり着いた。

 

「ここの地下にある会場がそうです。
 準備はいいですか?」

 

『りすた〜とが』聞いてくる。
ここまできたんだ、いまさら戻るってのは無しだろう。

 

「もちろんです、行きましょう」

 

わかりましたと頷き、彼はそのままビルの中へと入っていった。
俺もそれに続く。

 

(蛇が出るか、鬼が出るか・・・ってところかな)

 

期待と恐怖を感じながらゆっくりと進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

どのくらいだろうか、かなり深くまで降りたところで、
フードをかぶった人物が二人、扉の前に立っていた。

 

「ようこそいらっしゃいました。
 ご観覧でございますね?」

 

「ええ、そうです。
 これがチケットです。彼の分と合わせて二人分」

 

『りすた〜と』があらかじめ持っていたチケットをフードの人物に手渡す。

 

「・・・確かに。ではこちらは整理券です。どうぞ無くさぬ様に」

 

そういうと二桁の番号が書かれた紙を渡してきた。
俺の番号は・・・94か。

 

「これは?」
「こちらはメインイベント際に使用するものです、くれぐれも無くさぬようお願い申し上げます」

 

メインイベント・・・とするとほかにも余興があるのか?
考え込んでいるとフードの人物が扉を開けた。

 

「さぁどうぞ。お席のほうはチケットに記載されておりますので」

 

とっとと入れということらしい。
もう少し考えていたい気もするが、まぁ百聞は一見にしかず、ということわざもある。
俺たちは部屋の中に入って行った。
部屋の中は広々としており、前方のほうにはステージがある。
元々は地下劇場がなにかだったのだろう。
とは言っても大分改修されているようで、席も綺麗な物だ。
後ろの席の連中も見れるように途中に巨大なスクリーンが天井からぶら下がっている。
舞台の上にも同じくスクリーンが付いている。
かなりの金がなかればここまでの改修は不可能だろう。
いったいどれだけ儲かっているのやら。
それもと後ろに大きな組織が居るかだ。

 

「俺たちの席はF-23とF-22ですよね?」
「そうだね。どっちがいいとかあるかい?」
「いえ、とりあえず自分が持ってる半券に書いてある席でいいのでは?」
「OK、じゃあ私が22だね」

 

俺たちはとりあえず指定の席へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ時間だ。
ブーというブザーともに、照明が消えて真っ暗になる。
だが、すぐにステージにスポットライトが当たる。
いつの間にやらステージには燕尾服を着て、
シルクハットを被りサングラスをかけた男が立っていた。

 

「レディース、ア〜〜〜ンド!ジェントルマンッッ!
 今宵はお集まりいただき、誠に感謝感謝でございます!
 さぁさぁ!いよいよ持って始まりますは肉の日、スペシャルステージにございます!
 ではでは!ごゆっくりとお楽しみ頂きますよう!」

 

随分と芝居がかったしゃべり口調で男が司会をする。

 

「まずは前座と参りましょう!
 あのアイドル、日出城 幸希(ひでじょう さいき)ちゃんの登場です!」

 

男が舞台袖を指さすとライトがそちらを示す。

 

「・・・!?日出城幸希ちゃんだと!?」
「『御大将』さんご存じで?」
「・・・2年程前までアイドルグループ『T・A・T』のメンバーの一人だった子ですよ。
 ただ、事務所の関係でアイドルをやめたはず・・・?」

 

そんな話をしてると舞台袖から人(?)が出てきた。
なぜ疑問系なのかと言えばその姿だった。

 

「ふぅ・・・ふぅ・・・み、みなさぁあん!幸希でぇえええす!」

 

出てきた人物が声高らかに叫ぶ。
その声は確かに以前聞いた幸希ちゃんの声に似ている。
ただ、野太い。
それもそもはずだ、二年前と明らかに体型が異なる。
割りとステージに近い事もあるが、明らかにでかいのだ。
元々はスポーツなんかもやっていて、スラッとした体型とボーイッシュな路線で売っていたはずだ。
今でもショートカットのままである。
だが、以前の幸希との共通点はそこぐらいしか無いのだ。

 

「・・・」
「・・・『御大将』さん、幸希ちゃんは元々あんな感じで?」
「いえ・・・あんなに太ってなんか・・・元々スレンダー系で売ってましたから」

 

ステージでは幸希ちゃんが『T・A・T』時代の歌を歌いながら、あの頃のように踊っている。
それが酷く滑稽に見えた。
まず目に飛び込んでくるのは巨大な腹だ。
現役の頃と同じデザインの衣装なのだが、ヘソだしの衣装なため、余計に目立つ。
非常にやわらかそうで、踊る度にぶるんぶるんと揺れながら形をぐにぐにと変える。
その腹の上には爆乳と言えるほどに肥大化した胸が一緒に揺れる。
その様は暴れ回るとしか言えないほどだ。
顔は二重顎を通り越して顎が消えてしまっている。
頬の肉もたっぷりと付いて目を圧迫しているのか、以前に比べ明らかに目が細くなっている。
二の腕も非常に太くなっていて、もっちりしてるのが判る。
そんな上半身を支える太ももはそこら辺の女性のウェストとそう変わらないだろう。

 

「・・・これは凄い」
「・・・ですね・・・日本じゃなかなかお目にかかれないレベルですよ」

 

『りすた〜と』と一緒に感嘆する。
暫くは幸希ちゃんのダンスを堪能した。
踊り舞う度に揺れる肉を見れただけでもこのイベントに来たかいが有るという物で有る。

 

「は〜い!幸希ちゃんどうもありがとう!
 いやー最初ここに来た頃はガリガリだった幸希ちゃんも
 体重がこの前めでたく180kgを突破しました!
 これも皆様のご声援の賜物!いやいやありがたい話です!」

 

幸希ちゃんが笑顔で手を振りながら舞台袖に戻るのと入れ違いに司会が戻ってきた。

 

「さぁさぁ!皆々様方!
 いよいよ本日のメインイベントと参りましょう!
 皆様!整理券の準備は宜しいですか?
 無くされた場合は参加できませんよ−!
 ・・・結構!ではでは本日の女の子はこちら!」

 

そういうと舞台袖から煙が立ちこめ、真ん中にすすすっと女の子が上がってきた。
おそらく迫りが有ったのだろう。
煙が晴れて、ようやく姿が確認できた。
タートルネックのセーターに下はゆったりめのショートパンツにブーツという出で立ちで、
やや小柄な感じだった。

 

「さて、こちら今回のチャレンジャー、奥木 亞衣(おくき あい)ちゃん!
 身長162cm、体重43kg!上から88・51・79!
 プリンセスロングがチャーミングな18歳でございます!」

 

司会によって身長体重から何から暴露された亞衣と呼ばれた少女はぷるぷると震えている。
だがショックで震えていると言うよりは緊張が原因のようだ。

 

「さぁさぁ!それではいよいよ抽選会と参りましょう!
 ですが、その前に初参加の方への説明をいたします!
 これから亞衣ちゃんには3つのゲームにチャレンジして頂きます!
 一つクリアするごとに彼女には賞金10万円が贈られます!
 ですが、逆に失敗すると罰ゲームを受けて頂きます!
 そしてその罰ゲームを決めるのはこれから抽選で決まる貴方!
 いくつかの選択肢の中から選んで頂くことになります!
 なお、抽選はコンピュータによってランダムに選ばれます!
 それでは・・・レッツ抽選!」

 

司会の言葉とともにスクリーンにスロットのリールのような物がが表れる。
ドラムロールとともに回転し始めたそれは次々と数字を表示させる。

 

「出ました! 9番 45番 94番です!」

 

司会が当たりの番号を読み上げる。

 

「あ・・・」
「あ、『御大将』さん当たりましたね」

 

意外だが、当たってしまった。

 

「さぁ、当たった方はこちらへと来て頂けますか?」

 

司会に言われるまま、俺は舞台の方へと歩いて行ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、皆様にはここで罰ゲームを決めて頂きます。
 94番さんは最後のゲームの罰ゲームを決めて頂きます。
 では、ごゆっくりと。何か有りましたら近くのスタッフへ言いつけて下さいね!」

 

一度事務所のような場所へ案内された後、司会の案内で別の小さな個室に連れてこられた。
他の二人は俺の先に案内されたが、おそらく同じようなへに案内されたのだろう。
相談しないようにとかなのか?
部屋の中には小さな机の上にぽつんと置かれたモニター。
それと一人、バニーガールの恰好をした女性が立っていた。
先ほどの幸希ちゃんほどでは無いが、この人もかなりの体重が有りそうだ。

 

「どうも〜宜しくお願いしますね〜」
「え、ええ・・・宜しくお願いします」

 

彼女がリアクションをとる度にぷるぷると全身が揺れる。
なんというか・・・非常に目のやり場に困るな・・・

 

「あ、お客様始まるようですよ?」
「あ、はい」

 

バニーガールに促されるままにモニターを見る。
司会の男がゲームのルール説明を始めるようだ。

 

「ではでは、まずは第一ゲーム!
 ルールは簡単、今からこのモニターに五枚のカードが出てきます。
 そのカードには表に数字、裏側に記号が書いてあります。
 亞衣ちゃんにはその組み合わせを30秒で記憶して頂きます。
 その後答え合わせをして、見事全問正解ならば亞衣ちゃんの勝ちとなります!
 ただし、出てくるカードの順番はばらばらです!
 はたして、亞衣ちゃんはこのゲームをクリアできるのか!?
 それでは、挑戦開始!」

 

司会の合図とともにモニターにカードとタイマーが映った。
今はまだ数字が書いてある面しか見えない。

 

「亞衣ちゃん、準備は宜しいですか?」
「・・・はい!」
「結構!それでは記憶開始!」

 

ジャーンと銅鑼のような合図とともにカードがひっくり返り、タイマーが起動する。
開始してからは、亞衣ちゃんはじっくりと穴が開くほど見つめている。
観客も判っているのかすぐに静まりかえった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、そこまで!
 さぁ続きましては答え合わせと行きましょう!」

 

長い30秒が終わりを司会が告げる。
いよいよ答え合わせだ。

 

「さて、亞衣ちゃん、記憶は旨く出来たかな?
 では、答え合わせ開始です!」

 

モニターにまず表れた数字は5。

 

「さ、三角です!」

 

すぐさまピンポンと、良くバラエティで聞く正解音がなる。
次に出た数字は1。

 

「えっと・・・ま、丸?」

 

これまた正解、すぐに次の数字が出る。今度は4だ。

 

「えっとえっと・・・星?」

 

これも正解。次は2。

 

「えっと・・・菱形?」

 

ブッブー!
はずれの音が鳴る。
亞衣ちゃんの表情がたちまち青ざめていく。

 

「・・・そんなっ!」
「あらら、残念ですねぇ。
 正解は 1・丸 2・ハート 3・菱形 4・星 5・三角でした!
 いやーおしい!」

 

会場からはあぁーなどの声が聞こえる。

 

「さて、それではいよいよ罰ゲームでございます!
 さぁさぁ・・・なにが出ますかね!」

 

司会が嬉しそうに小躍りしながらしゃべる。
ドラムロールが鳴り響く中、モニターには【審議中】と出ている。
おそらく残りの二人の内のどちらかが選んでいるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして、ドラムロールが止まった。
罰ゲームが決まったのだ。

 

「決まったようです!亞衣ちゃんに受けて頂く罰ゲームは・・・?」

 

ジャーンという音ともにモニターに結果が表示された。

 

「出ました!『サイコロを転がして、出た目の10倍kg体重増加』でございます!」

 

おおーという歓声とともにごき○んように出てくるような巨大なサイコロが出てきた。
それをはいっと亞衣ちゃんに渡す。
転がせと言うことなのだろう。

 

「さてさて、何が出るかな♪何が出るかな♪」

 

司会がノリノリで手拍子をする。
観客もそれに併せて手拍子を開始する。

 

「・・・」
「あー懐かしいですねぇ、あれ私もやったんですよ〜」

 

絶句しているとバニーガールが俺の肩からモニターをのぞき込んでいた。
おかげででかい胸が首に当たっている。
いや、それよりもだ。

 

「私もって・・・お姉さんもあのゲームに?」
「ええ〜もう1年ほど前ですが〜
 私も最後の最後であの罰ゲームに・・・おかげでこんな身体ですよ〜」

 

そうやってドンッと身体を主張するように突き出す。

 

「・・・貴方のようにチャレンジに失敗したあとにここで働く女性は多いのですか?」
「みたいですねぇ。私の先輩達もそうだったみたいですし・・・
 あ、もちろん完全クリアした人は除きますよ?
 まぁ亞衣ちゃんでしたっけ?あの子も私と同じようにここにくるのかなぁ」

 

バニーガールは何とも言えない表情をしていた。
もしかしたら自分と重ね合わせていたのかもしれない。

 

「おっと!出ました!3ですね!
 これにより、亞衣ちゃんには30kg太って頂きます!」

 

いつの間にやらサイコロは投げられていた。
出た目は3だ。
しかし、人間がそう簡単に太るわけが無いはず・・・

 

「さぁ、では皆さんお楽しみの〜
 レッツ!ドリンクタイム!」

 

司会がそういうとホースが付いた巨大なドラム缶のような物が出てきた。

 

「あれは?」
「ああ、あれは高カロリーの流動食ですよ〜
 女の子達はあらかじめ消化効率が数倍に跳ね上がる薬と、
 胃腸が丈夫になる薬が投薬されるんです。
 で、あの流動食を飲むと、あら不思議。
 みるみる太っていくんですよ〜
 しかも意外とおいしいんですよね〜」

 

バニーガールに質問すると何とも怪しい答えが返ってきた。
そんな薬が有るなんて話は聞いたことが無いが・・・?
しかし、そんな話を裏付けるような光景がモニターに映し出された。

 

「はいはい、ちゃんと飲みましょうね!」
「モゴモゴ・・・」

 

亞衣ちゃんの口に先ほどのホースの先が繋がっており、
ドラム缶の中身がそれを伝い、亞衣ちゃんにどんどんと入っていく。
それに併せて亞衣ちゃんの腹がどんどん膨らんでゆく。
いや、よく見れば全身が膨ら・・・いや太っているのか。

 

「はい、よく飲めました!
 大変でしたねぇ!」
「・・・ぷっはぁ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

数分かけて飲みきったとき、亞衣ちゃんの身体は劇的な変化を起こしていた。
元々大きめだったバストは、おそらくメーター越えだろう。それよりもウェストの変化が目立つ。
まるで小さな山のようだとでも言えば良いのだろうか?
服が膨張について行けないのか下の方がめくれて、ヘソ当たりまで出てしまっている。
座っているためよく見えないが、尻の方も大分増加しているだろう。
太ももは・・・ショートパンツが食い込んできつそうだ。

 

「まさか・・・本当に太るだなんて・・・」
「すごいですよねー
 あーあ、もう一度飲みたいなぁ」

 

バニーガールの『でもこれ以上太るのもなぁ』なんて独り言を聴きながら
俺は得体の知れない感情を抱いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二ゲームは常用漢字の読みを答えるクイズだった。
亞衣ちゃんはこれを無事にクリア。
いよいよ最終戦になったのだ。

 

「はい!亞衣ちゃん第二ゲームクリアおめでとう!
 さてさて、皆様お待ちかねの最終戦・・・
 それはこれだぁ!」

 

司会の叫びとともに舞台に運ばれてくるのは・・・

 

「モグラたたき・・・?」

 

巨大なモグラたたきだった。

 

「今から亞衣ちゃんには5分間、このモグラたたきに挑戦して頂きます!
 一定以上の得点を出せれば亞衣ちゃんの勝ち、
 逆に到達しなかった場合はまたもや罰ゲームです!」

 

ルールは非常に単純だ。
舞台の上のモニターには得点表が書いてある。
普通のモグラは5点。モグラもどきを叩くと-5点。
金色のモグラは20点らしい。

 

「今回のクリア得点は・・・ジャン!120点です!」

 

5分で120点・・・割りと簡単なのか?
問題としては亞衣ちゃんの身体は普段に比べ30kgも増えているのだ。
これはどうなることやら・・・

 

「さぁて・・・亞衣ちゃん?
 準備は宜しいかな?」
「スゥー・・・ハァー・・・はい!」

 

深呼吸する亞衣ちゃん。気合いを入れているのだろう。
俺は彼女に勝って欲しいのか?
それとも負けて欲しいのか?
自分でも良く判らなくなってきた。

 

「結構結構!それでは最終戦、よーい・・・スタァアアト!」

 

最後の勝負が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初の2分ぐらいは良いペースで進んでいたのだが、その後は徐々に疲れが見え始めた。
ミスも多くなり、得点は100点ほどからなかなか進まない。
それでも彼女は頑張って叩く。

 

「さぁ!残り1分!」

 

司会が残り時間を伝える。
得点は・・・まだ105点だ。
だがまだ十分に狙える。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

マイクを通して彼女の荒い息づかいが聞こえる。
急に太った所為で、身体が思うように動かないのだろう。
それでも頑張って叩く。

 

「残り30秒!」

 

得点は115点!
あと一回だ!
だが・・・

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

体力の限界なのか、亞衣ちゃんは動けない。

 

「残り15秒!」

 

渾身の力でハンマーを振り上げる!

 

「残り5秒!」

 

最後の力で思いっきり振り下ろす!
そして──

 

「そこまで!」

 

司会の声が終わりを告げる。
得点は・・・

 

「亞衣ちゃん、結果!110点!」
「ハァハァ・・・そんな・・・ハァ・・・もどき・・・?」

 

亞衣ちゃんが最後に叩いたのはもどきだった。
彼女がその時どんな表情をしていたのかは俺には判らない。
だが、俺にはこの後、彼女にしらなければならないことが有る。

 

「いやぁ!惜しかったね!
 私としては勝ったことにしてあげても良いくらいだ!
 ・・・でも、ルールはルール!
 さぁ!最後の罰ゲームだ!」

 

司会がそう言ったのと同時に、目の前のモニターに5種類の罰ゲームが表示される。
どれもこれもなかなかえげつない物だ。
俺は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ決まったようだね!
 内容は・・・・
 『獲得した賞金×15倍kgの体重増加!』
 なかなかにえげつないのが来たねぇ!」

 

俺自身、なぜこんなのを選んだのかはわからない。
もっと良い物が有った。
それでも、俺は選んだのだ。
結局、これが俺の欲望なのだろう。

 

「さて、計算したところ、これによって亞衣ちゃんの体重は223kgに!
 残念では有りますが、これもルール!
 レッツ!ドリンクタイム!」
「い、いやぁぁああああ!」

 

彼女は俺を恨むだろうか?
それでも俺はこの決断を後悔してはいけないのだ。
どんどんと太っていく彼女をモニター越しに見つめながら、なぜかそう感じた。

 

 

 

 

 

 

 

「えぐっ・・・えぐっ・・・」
「おやおや、泣いてしまいましたか。
 まぁこんなに太ってしまっては仕方ないですね・・・
 今回は残念な結果に終わってしまいましたが、なに、明日は明日の風が吹くと言うやつです!
 次回のチャレンジャーに期待しましょう!」

 

司会が締めに入ったようだ。
しかしそんなことよりも、俺は亞衣ちゃんを見つめていた。
服は太った拍子にびりびりに破けてしまった。
それが酷く色っぽく見える。
おそらくは身長を超えたであろうサイズのバスト。
若さ故か、それとも薬の効果か。
綺麗なお椀型を保ち、激しい主張をしている。
そんな胸を支える腹はバストを肥えて・・・いや超えているだろう。
先ほどまでが小山なら今は大山だ。
丸々とまんべんなく脂肪が付いた身体はもにゅっとしていて、柔からかさが良く判る。
太ももは大根足なんて物じゃなく、ドラム缶ぐらいは有るだろう。
二の腕は服の関係も有ってまるで大きなハムのようだ。
顎は消え去り、首のラインすら怪しい。
頬肉が付きすぎたのか、目が細まってしまった。

 

「ありゃーここ最近じゃかなり酷いですねぇ
 貴方って結構酷い方なんですね」

 

バニーガールが苦笑いしながら話しかける。

 

「・・・そうですね。
 俺は酷い人間だね」
「でもまぁもっと酷い結果も有ったみたいですし、貴方もきっと魔が差したって奴でしょう。
 だから、あんまり気にしない方が良いですよ〜」

 

慰めなのか、ぎゅっと俺の頭を抱くバニーガール。
その後、罰ゲームについての一切の情報を漏らすことを禁止され、
いくつかの諸注意、いや警告だろうか?
色々と言われた後俺は『りすた〜と』と合流し、地上へと戻った。
こうして、俺の一夜限りの体験が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、俺はあのイベントのスタッフとして働くことになった。
亞衣ちゃんも同じくスタッフとして文字通り大型新人として一緒に働くことになった。
もちろん罰ゲームのことは言ってない。
だが、彼女へのフォローは欠かさないようにしている。
俺なりのケジメって奴だ。
これが自己満足でも構わない。
それでもいいのだ。
これで・・・

 

 

 


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