黒い契約

黒い契約

 

 

有田 由(ありた ゆう) 
17歳 身長:165cm 体重42kg B:83 W:54 H:79
有田財閥の一人娘であり蝶よ花よと育てられた。
表向きは誰にでも優しい優等生を演じているが内心は相手を見下しながらあざ笑う。

 

 

 

 

 

 

 

森の中にヒッソリと佇む洋館。
もう何年も人が住んでいないのだろう。
壁はぼろぼろと崩れ、蜘蛛の巣が至る所に張られている。
時々度胸試しか、あるいは肝試しか。
所々人が入ったような跡がある。
そんな家の書斎に場違いとも言える少女が居た。
綺麗な黒髪に手入れの届いた洋服、整った顔立ちがまるで人形であるかのような雰囲気を漂わせる。
そんな彼女の足下には何やら文字が書かれている。
大凡人が扱うであろう文字とは似ても似つかないそれは、円を描きながら規則正しく並んでいる。
中央に位置する六芒星を覆うように配置されたそれらは、よく見れば赤黒く粘ついた液体である。
それは血であった。

 

「我が求めに応えよ・・・我が血肉をもって汝に問う。
 我が求めに応えよ・・・」

 

それは祈りにも似た呪いであった。
少女は呟くように呪文を繰り返す。
すると・・・

 

『私を呼んだのは君かな?』
「・・・そうよ」

 

魔方陣の上に人影のような者が立っていた。
まるで実態が無いようで、それでいてはっきりとした存在感を放つそれは人手はあり得ない。
まるで男のようで女のような。
子供のようで老人のような。
若者のようで中年のような。
まるで判断の付かない声をしている。

 

『へぇ・・・変わってるね、君』
「・・・応じたって事は私と契約してくれるんでしょうね?」
『せっかちは嫌われるよ?まぁいいけど・・・それじゃ、君の名前は?』
「あら、その手には乗らないわ。
 貴方の名前を当ててからじゃないとね」
『・・・へぇ、お馬鹿さんじゃ無いようだね』
「当たり前よ。○△×■さん?」

 

少女がどうやって発音したのかも判らない音声でそれの名前を呼ぶ。
どうやら日本語では正しく発音できないようだ。

 

『大当たり、流石事前準備はばっちりって訳だ』
「当然でしょ?というわけで契約して貰うわよ」
『はいはい・・・じゃあ左手出してね』
「こう?」

 

すると少女の左手の人差し指に黒く輝く宝石の付いた銀色の指輪がすっと現れた。
宝石が一体何で出来ているのかは判らないが美しい。
特殊すぎるカット・・・というよりは自然に出来たのか不揃いな大きさの切子面で出来ており、
所々赤い線が入っている。
その宝石を支える指輪はまるで見当の付かない生き物の装飾がされており、
見つめていると不安になってくる。

 

『それは僕を呼び出す事の出来る指輪
 勿論肌身は出さずに付けててね?』
「これが契約の印って訳ね」
『その通り!では次に君の欲望を聞こうかな?』
「簡単な事よ。私の代わりをして欲しいの」
『代わり?』
「ええ、まずは自己紹介しておきましょうか、私の名前は有田由。
 これでもお嬢様なのよ」
『みたいだね、服がよく手入れしてある』
「まぁそのお陰でお金に困ること無く生活をしてる訳なんだけど・・・
 その代わり自由が少ないのよ」
『習い事って奴かな?』
「ええ、ダンスに茶道やらテーブルマナーから何から何まで。
 堅苦しいのよ、何もかも」
『それで僕に変わりをしろと?』
「ええ、頼んだときだけで良いわ。

 勿論報酬は払うわ。宝石でいいのでしょう?」
『宝石も魅力的ではあるけどね・・・
 偶には違うことがしたくなるんだ』
「違うこと・・・?」
『そうだね、君のお願いを聞く度に君に太ってもらおうかな?』
「・・・は?」

 



 

『ここが君の部屋か』
「そうよ」

 

あのあと一度自分の部屋に戻った由は先ほどもらった指輪を使い、悪魔を呼び出していた。
あいも変わらず影のような状態の悪魔に由が言う。

 

「あんたいつまでその格好でいるつもりよ」
『何か問題があるかい?』
「どこ向いて話せばいいのかわからないじゃない」
『やれやれ・・・これでいいかな?』

 

そういうと影がゆっくりと輪郭を持ち始める。
すらりとした体躯を持ち、浅黒い肌にきりっとした表情の美男子。
影がとった姿はまさに世界でもトップクラスの美形だった。

 

『これでどうかな?』
「・・・」
『おや?何かおかしかったかな?』
「い、いえ・・・それでいいわ。
 それで?さっきの条件の意味は?」
『意味?』
「なんで私を太らせる訳?」
『ああ、別に大した理由は無いよ。
 何年も生きてるとね、理由も無くふざけて見たくなるものさ。
 だから理由といえば“なんとなく”というやつだね』

 

悪びれる様子も無く続ける悪魔にはぁ・・・っと息をつく由。

 

「まぁいいわ・・・命とか寿命とかとられるよりはずっとましだもの。
 で?どのくらい太るわけ?」
『そうだね・・・一回につき2kg位でどうだい?』
「1kg」
『1.8kg』
「1.3kg」
『1.5kg』
「乗った」
『じゃあそれで。
 さてと・・・それでは何かご希望はありますか“ご主人様”?』
「そうね・・・まずは・・・」

 



 

「お迎えにあがりましたお嬢様」
『ええ、ありがとう。すぐ行くわ』
「はい」

 

部屋を訪れたメイドのノックに答える由。
だがどこか違っている。
由は由である。それは間違いない。
だが・・・美人過ぎるのだ。
由自身が美人で無いというわけではない。
ただ、ここまで美人ではなかった。
それでも由だとはっきりわかる。
何かが妙だ。

 

「じゃ、宜しくね」
『判ってるよ。何か有れば』
「指輪使って呼べば良いのね」
『賢い子は好きだよ』
「はいはい、じゃあまかせたわ」

 

部屋の中には二人の由が居る。
会話の流れで判る通り、片方の由は悪魔──ナラートと名乗った──が化けたものだ。
もう片方は少しふっくらとした本物の由だ。
会話を終えたナラートが部屋を出て行く。

 

「やれやれ・・・これでゆっくりと出来るわ・・・」

 

そう思いながらふと腰に手を回してみる。
1キロ半ではそう変わらないが、いつもより確かにふにっとした感触が増えた気がする。

 

「うー・・・安いとは思ったけどもしかしたら結構早まったかも・・・」

 

暫し悩んだ様子だったが、考えるのが面倒になったのかベッドに寝そべると
最近はやりのスマートフォンを取り出しいじり始めた。

 



 

『お嬢様、朝でございます』
「・・・ん。おはよう、ナラート」
『おはようございます』
「・・・変な感じね。貴方を召喚したのは昨日なのに周りのみんなは貴方がずっと
 私の付き人をしてると思い込んでる」
『そういう魔法ですから。この方が私としても行動しやすいのです』
「そりゃそうでしょうけどね・・・まぁいいわ。とりあえず着替えて朝食取ってくるわ」
『はい、お嬢様』

 

そういって部屋から出る由。
それに続いて行くナラート。
ここだけ見れば完璧な主従関係だった。

 



 

それから数日が経った。
由は彼の使いやすさを実感していた。
何か有れば彼に変わってもらい、なにかミスをすれば彼の暗示で取り消す。
それを繰り返して彼女は思い通りの生活をしていた。

 

「・・・でも、その分太ったわね」

 

むにぃっと自分の腹をつまむ由。
この数日の間だ使った回数は8回。
気付けば12kgの増量だ。
胸が大きくなったのは嬉しいが、くびれが消え、ぽっこりしてきた腹を見るとげんなりとする。
体中を触ると柔らかな感触が手に帰ってくる。
むにむにと自分の身体を触りながら由はそんなことを思っていた。

 

『どうかなさいましたか?お嬢様』
「いえ、なんでもないわ」

 

お茶を入れて戻ってきたナラートが聞いてくる。
その姿は執事として完璧だと言って良い。

 

「何だかんだで慣れたわね、貴方にも」
『それはどうも。
 どうですか?私の使い心地は』
「変な聞き方しないで頂戴・・・
 満足してるわ、ただ、使う度に体重がぐんぐん増えるのがね・・・」
『そういうご契約ですから』
「はいはい・・・」

 

そう言うと由はお茶に手をつけた。

 

「ん?お茶変えた?」
『ええ、新しい茶葉が入ったとかで』
「ふーん・・・なかなかおいしいじゃない」
『それはよかった。お菓子もどうぞ』
「いただくわ」

 



 

それから更に一ヶ月。
由は・・・

 

「ふぅ・・・おいしい・・・」

 

部屋に引きこもっていた。
面倒な日々の出来事を全てナラートに任せ、自分の部屋でひたすらゴロゴロする日々。
更に何かあればナラートにやらせる。
その結果・・・

 

「うーん・・・我ながら太ったわねぇ」

 

激太りしていた。
元々大きめだった胸はmを超え、爆乳と呼ぶにふさわしいサイズに。
服のサイズが合ってないのか、ボタンは今にも飛びそうだ。
だがその下にある腹に比べればおとなしいものだろう。
こちらはもうボタンが留められないのか白いお腹が丸見えだ。
やわらかそうな脂肪の塊は呼吸に合わせて動いている。
椅子に腰掛けているせいだろうか、より前にせり出している。
おかげでテーブルとの間に隙間がない。
尻は椅子からはみ出し、その存在感を大いに放っている。
太ももは股をやや開かないと干渉しあってまともに閉じられない。
お菓子を食べるためにせわしなく動く腕は動くたびにぷるぷると振るえる。

 

『まぁあれだけ使えばそれぐらい太りますよ』
「体重も100kg超えたしねぇ・・・
 もうこうなると体重増えるのもどうでもよくなってくるわね」
『それはそれは・・・“結構ですね”』
「は?」

 

何をと由が思った瞬間、部屋が真っ暗な闇に覆われた。

 

「・・・どういうつもり?」
『何、簡単な話さ。君はもう用済みと言う事さ』
「用済み・・・?」
『そうだよ。
 元々ちょっとした実験だったからね。
 君は十分に役立ってくれたよ』
「ふざけないで・・・!あなた私との契約を忘れたの!?」
『契約・・・ああ、契約ね』

 

くくくと笑うナラートに違和感を覚える由。

 

『“契約なんてない”よ』
「なっ!あなた何を言ってるの!」
『よぉく思い出してごらん?君はあの時僕の名前を呼んだよね?
 ・・・“何て呼んだんだい?”』
「それは・・・」

 

由ははっとした。
あれだけ頭に叩き込んだはずの名前が思い出せないのだ。

 

『ようやくわかったようだね。
 そう、あの名前は君が言ったんじゃない。
 “僕が言わせたのさ”』
「う、嘘よ・・・
 ならなんで私の言うことを聞いてたのよ」
『言ったでしょ?実験だって。
 それももう十分だ・・・』
「あんた・・・何者よ!」
『僕?僕はね・・・』

 

ナラートの姿とける。
腕は触腕に。
鉤爪をたずさえ。

 

『僕は悪魔なんかじゃない』

 

痩身の体からからまるであふれ出るように。
円錐の形を蠢く肉が作り出す。
額の3つの燃え盛る瞳が由を見つめる。

 

『僕は“這い寄る混沌”さ』
「あ・・・あああああああああああああああああ%$#”#%!&’&’あ”あ”あ”あ”あ”あ””あ”あ”!!」

 



 

「ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・あまぁい・・・もっとぉ・・・・」

 

あれから由はただ何かを食べ続けるだけの生活を送っている。
満腹になればまるで気絶するかのように眠り、空腹になれば起きてひたすら食べる。
それを繰り返すだけの生活だ。
それはもう人ではない。
彼女の目は常に虚ろであり、その目に光が戻ることはもう二度とないだろう。
彼女はこのまま永遠に太り続ける肉塊になるだけなのだ・・・

 

 

 

 

 

有田 由の成長
身長:165cm
体重42kg →  54kg → 111kg  → 210kg
B:83cm  → 91cm → 109cm → 149cm
W:54cm  → 73cm → 121cm → 168cm
H:79cm  → 84cm → 113cm → 154cm

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さて、なかなか面白い暇つぶし・・・いや有意義な実験だったかな。
 次は何をしようかな?
 そう・・・例えば・・・人間の欲望を満たす地下遊技場なんてのもいいかもね。
 そうだ、折角今回実験したんだ!それを生かそうじゃないか!
 欲望によって人が太り、それを見世物にする!はははは!滑稽じゃないか!
 太らせる手段は人間たちに選ばせよう!そう!これは面白そうじゃないか!
 あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
 ははははははは!』


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