古代の夢は現代の悪夢 α
源川 紀(みなかわ かなめ)
20歳 身長162cm 体重45kg B:89 W:51 H:84
大学生で、最近亡くなった祖父の家の整理したせいで大変な目にあう。
「はぁ・・・多いなぁ・・・」
彼女、源川紀は祖父の家で大量の荷物に囲まれていた。
先日亡くなった祖父は元々考古学者で、世界中を旅していた。
その所為か祖父の書斎の中は大量の物──真っ白な壷からなんだか判らない置物まで様々だ──で
埋め尽くされていた。
それでも祖父が几帳面だったお陰で綺麗に整理されている。
だがこのままというわけにも行かない。
遺書の中には集めた品物のいくつかを指定の場所に寄贈したりする事も書いてあったからだ。
「折角の休みなのに・・・」
大学が休みだからと両親に面倒な仕事を押しつけられた紀ははぁとため息をついた。
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「これ位かしら?」
祖父が残した資料を元に一通り必要な物を探した紀は椅子に座りリラックスした。
その時、ふと机の上でキラリと光る物を見つけた。
「・・・ん?」
それは綺麗な筒状の物が付いたネックレスだった。
手にとって触ってみると何とも言えない感触だった。
鉄のように堅い訳でもなく、かといって布等の手触りでは無い。
「何かしらこれ?」
奇妙なそれを暫く弄っていると、紀はそれを付けたい衝動にかられた。
付けてみると意外にもしっくりと来て、中々良い塩梅だった。
「・・・まぁリスト以外の物は好きにして良いって言われてるし」
紀はもう一度リストを確認し、必要な物が揃っていることを確認した後、
ネックレスを付けたまま帰路へとついた。
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「やっほー紀」
「ちゃす、美雪」
「おねむさんですなぁ」
「ちょっとねー・・・」
紀が大学の食堂で昼食を取り終わって休憩をしていると、
友人の杉川 美雪(すぎかわ みゆき)が声をかけてきた。
紀が眠いのは前日の祖父の遺品整理のせいだ。
慣れないことをした所為で体が筋肉痛を起こし、ギシギシと全身が痛みまともに眠れなかったのだ。
その割に疲労感はあまりないのが救いか。
「・・・んー?」
「どうしたの?」
「なんか紀の近くにいると空気が綺麗な気がする」
「なにそれ?」
「なんだろ・・・森にいるみたいな?」
「あんた・・・山岳部だからってハイキングしすぎなんじゃない?」
「そうかなぁー・・・?」
紀はやれやれと肩をすくめ、荷物を持つと食器の乗ったお盆を手に取り、返却口へと歩き始めた。
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「ふぁ・・・」
「美雪・・・女の子なんだからもう少しさぁ」
「いやぁ・・・昨日買った漫画が予想以上に面白くてさ」
祖父の遺品整理から一週間程経ち、紀は美雪と大学からの帰り道を歩いていた。
「それにぃ・・・今の紀に女の子云々は言われたくないなぁ!」
「きゃっ!」
【むにむに】
美雪はバッと紀の後ろへ回り込むと紀の腹をつかむ。
そこには一週間前には無かったはずの脂肪があった。
「へいへーい?こいつぁどういうことですかなぁ?
ダイエットはどうしたん?」
「してるわよ・・・!運動もしてるし、食事もきちんとしてるのに・・・!やん!
そこ・・・くすぐったい!」
「ほうほう!それにして中々・・・」
紀のお腹にはしっかりと摘めるほどの贅肉が付き、
美雪の手の動きに合わせて柔らかそうに形を変えている。
「いい加減にしなさい!」
「あだっ!」
紀のげんこつを喰らい、ようやく手を離す美雪。
「でもさ、紀本気でまずくない?気をつけた方が良いよ?」
「う・・・判ってるわよ」
とは言え紀にも何故太るのか、原因がわからないので対処しようが無いが。
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「はい、源川です」
『あ、もしもし?紀?』
「美雪?・・・何?」
『いやぁ最近ダイエット調子どうかなぁーって』
「・・・ええ、御陰様でちっとも進歩無いわよ!ええ!逆に太ったわよ!絶賛増量中ですとも!」
ダイエットし始めてから2週間。紀の言う通り、彼女の体重は下がるどころか右肩上がり。
Lサイズの服を買ったばかりだというのにそれが既にきついのだ。
胸の部分は大分大きくなり、メートルクラスを目前に控えるほどに育ち、
まるでスイカを思わせるサイズだ。
とはいえ、それは胸だけを見た場合。
その下の腹が大きく育ちすぎてインパクトは大分薄れてしまっている。
くびれていたはずのウエストは今や消え去り、まるで円を三つ重ねたような体型になってしまった。
お尻もお腹ほどでないにしろ、大分成長著しい。
太ももはまさしく“太”く、以前の間隔で歩くと内側がこすれてしまう。
『・・・紀さぁ。大丈夫なの?』
「・・・何とかなるわよ。暫く冬休みになるし」
『ならいいけどさ・・・じゃあ頑張ってね?』
「判ってるわよ、じゃあね」
紀はそう言って通話を切った。
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「・・・で?冬休み明けなわけですが?」
「・・・」
「どーすんのよ!?あんた痩せるどころかかなり太ってるじゃん!」
「う、うるさいわね!判ってるわよそんなこと!」
冬休みも明け、久しぶりに会った美雪は紀の変貌ぶりに驚いていた。
それもそうだろう。
冬休み前に電話した時よりもさらに太っている。
サイズも大きく、大分ゆったりとした服を着ているはずなのにぴっちりと体に張り付く程きつい。
そのせいで体のラインが丸見えだ。
目を引くのはやはりお腹だろう。
まるで妊娠でもしているのかと思えるほど丸く育った腹は今にも服のボタンを弾かんばかりである。
その腹に支えられるかのように上にのっかている胸も巨大としか言えない。
お腹のせいで少し控えめに見えるが、実際はかなりのサイズだろう。
少なくともメーター越えなのは確実だ。
勿論胸や腹がそれだけ育っているのだ。他が無事なはずが無い。
頬にも大分肉が付き、目を押し上げ細めてしまっている。
顎は頬まで丸いラインを描き、首とは一体化を果たすほどである。
二の腕はもっちりとしており、紀が腕を振るう度にぶるぶると揺れる。
お尻は正面から見てもはっきりと判るほどに横に広がり、巨大な桃だ。
当然それらを支える脚は太く、大根足というか丸太である。
「で?なんでそんなことになってる訳?」
「こっちが聞きたい位よ・・・」
「なにか心当たり無いの?」
「うーん・・・」
紀は思考を巡らせる。
食生活は問題ない。
運動も適度にしている。
では何故太るのか?
太り始めた頃は丁度祖父の家を整理した頃からだ。
だが何か関係があるとも──
「あ」
そこで紀は一つ思い付く。
一つネックレスを持ち帰ったことを。
あれからなんとなく気に入って、いつも付けていたのだ。
「何か判ったの?」
「かもしれない・・・ちょっと調べてくる!」
「調べてくるって・・・このあとの講義は!?」
「代返よろしく!」
「ちょ、ちょっと!?」
紀は荷物を手に持つと重い体を動かし、ドスドスと音を立てながら急いだ。
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「あった!お爺ちゃんの資料!」
紀は祖父の家へと着くやいなや、祖父が纏めた資料を漁り始めた。
そこには祖父が集めた様々な品物についての考察や研究結果などが事細かに纏めてあった。
だが・・・
「載ってない!?」
暫く資料を漁ったがネックレスのことは全く載ってなかった。
「日記の方は!?確か亡くなる直前まで付けてたはず!」
大慌てで日記を漁る。
すると、最後の方に気になる記述があった。
【○月×日
ついにあれが届いた。
古代文明を証明するあのネックレスが。
あの遺跡から出土した物はまるで今までのどんな文明や文化とも似つかない物ばかりだ。
この研究をもって私の人生は終わるだろう。
私に残された時間は少ない。】
【○月△日
品物についてはまるで判らない。
どうやって作られたのか、どんな材質なのかさえだ。
だが一緒に発掘された石版にもしかしたらこれについて何か書いてあるかもしれない。
急いで解読しなければ。】
【☆月□日
解読自体はまだだが、文字の翻訳は終わった。
どうやらヒエログリフに近い使い方をするらしい。
だが体がいつまで持つか・・・】
【☆月○日
体が動かなくなり、ついに入院してしまった。どうやら解読は私には無理なようだ。
この日記ももうすぐ書けなくなるだろう。
せめて最後に、あの石版の解読を終えてから人生を終えたかった・・・】
「石版・・・」
紀は日記を閉じると件の石版を探し始めた。
書斎を探すと机の上に小さな石版と、その文字を翻訳するためのメモらしき物があった。
「これか・・・解読できるかな?」
紀はそれを丁寧に鞄にしまうと、家へと帰った。
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「・・・ようやく出来た」
2週間程経ち、ようやく紀は件の石版を解読した。
それによるとこのネックレスは空気中にある物質──どうやら二酸化炭素の事らしい──を
取り込み、所持者にエネルギーとして還元する物だという。
また、魅了の魔法がかけてある。これにより所持者は持っていないと落ち着かなくなるのだという。
元々は奴隷を働かせるための物で、これで食費を抑える効果を狙ったのだという。
「全く・・・なんつぅもんを作るのよ」
はぁとため息をつく紀。その体は見るも無惨である。
顎や頬は前からそんなには変わってない物の、それでも一回りは肉が付いた印象だ。
まるで巨大なスイカの様だった胸は二回りは巨大になり、ギネスクラスかとも思えるほどだ。
勿論お腹周りも一緒にサイズアップしており、
何かリアクションを起こす度にぶよんぶよんと揺れ動く。
お尻は巨大化しすぎたせいで椅子から物の見事にはみ出ており、
背もたれを覆う程に贅肉の付いた背中はまさに壁を連想させる。
太ももは完全に閉じられなくなり、足を肩幅程に開いても互いにふれあうほどだ。
メモを取る指はまるでソーセージのごとく太くなり、
二の腕までぎっしりと脂肪であふれた腕は普通の人の太ももよりも太そうだ。
「道理で運動しても痩せないはずよ。二酸化炭素をせっせと自分で作って
その分自分に栄養が回るんだから・・・」
ゆっくりと伸びをしながらようやく合点の行ったと言いたげな顔をして、
紀は椅子からゆっくりと立ち上がる。
そしてそのままネックレスへ手を伸ばし、それを──
「・・・やっぱりか」
外せなかった。
まるで自分の意思とは関係なく、指が動かないのだ。
石版には“失敗品”と書いてあった。
この魅了の魔法が強すぎて所持者の意思では外せなくなってしまったのだ。
これを一度付けたら最後、所持者が死ぬまで付けたままだという。
他人に触らせて取らせよう物ならミイラ取りがミイラに早変わりだ。
破壊しようにも過酷な環境で使用されることを想定して制作されたせいか無駄に頑丈だという。
「どうしよう・・・これ」
紀はこれからどうなるのか悩みつつ、頭を抱え込んだのだった。
体重45kg B:89 W:51 H:84
源川 紀の成長記録
身長:162cm
体重45kg → 51kg → 76kg → 126kg → 180kg
B:89cm → 92cm → 98cm → 124cm → 142cm
W:51cm → 59cm → 94cm → 127cm → 158cm
H:84cm → 88cm → 96cm → 119cm → 138cm