トンネル
小堺 圭子(こさかい けいこ)26歳 身長168cm 体重47kg B:85cm W:56cm H:86cm
恋愛ドラマが好きなごく平凡な女性。
顔立ちはよく、部署のアイドルとも言われているが
本人は「恋に恋する」タイプなせいでいい話は無い。
「全く・・・なんでこんな日に限って残業なのよ・・・」
今日は毎週楽しみにしているドラマの放送日。
普段は念のためと録画までしているのに、この前レコーダーが御釈迦になったばかりだ。
保障期間だから良かったものの・・・
「急がないと始まっちゃう・・・先週の告白の結果が気になるのよ・・・!」
と、そんな感じで急いでいた私の目の前にトンネルが見えた。
「・・・ここ、こんなトンネルあったっけ?」
気づかなかっただけだろうか?
中を覗くと、出口はちょっと遠いが方角的には自宅のほうに向かっているようだ。
普段通る道は大きく迂回するような道なので、もしかしたら大幅なショートカットが
できるかもしれない。
「・・・通っちゃいましょう」
私は意を決めると、駆け足でトンネルへ進んでいった。
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「はぁ・・・はぁ・・・まだなの?」
数分ほど駆け足を続けていたが、出口が近づく気配が全く無い。
一度深呼吸をして調子を整える。
「・・・ん?」
一瞬妙に息苦しかった気がする。
「走りすぎて苦しいだけかな?」
そう結論付けると私はもう一度駆け足をはじめた。
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「はひぃ・・・ふぃ・・・まだ遠いの・・・?」
疲れて一度立ち止まる。
少しかがんで、両膝に手をつく。
そのまま肩で息をする。
そのときだった。
【ブチッ】
「え?」
何かが千切れるような音の後に、からからと軽い物が地面に落ちる音がした。
よく見ると、それは・・・
「な、なんでスカートのボタンが?」
私のスカートのボタンが少し離れた所に落ちていた。
それを拾おうと思ってかがだ拍子にいやな感覚が来た。
【むにっ】
やわらかなクッションのような感覚。
それは・・・
「な、なんで!?なんで私太ってるの!?」
脂肪。スカートがはじける程に私の体は醜い贅肉に包まれていたのだった。
体をまさぐるとどこからも柔らかな感触が返ってくる。
いてもたってもいられなくなり、後ろへ引き返そうとする。
だけど・・・
「道が・・・ない?」
後ろは壁だった。
まるで最初から何も無かったかのように冷たいコンクリートの壁が聳え立っている。
触れてみたが、硬い感触が返ってくるだけだった。
「なんなのよぉ・・・!」
とにかくここを離れよう。
そう思い、全速力で光に向かって走っていく。
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「ぜひぃ・・・ぶひぃ・・・な、なんでぇ・・・なんで近づかないのぉ・・・」
どれ位走っただろうか?
いくら走っても走っても出口は一向に近づいてこない。
そしてこのトンネルを走れば走るほど私の体はぶくぶくと醜く肥え太っていく。
もう下着も何も身に着けていない。みんな破けてしまったからだ。
あるのは動くたびにぶよぶよとゆれる体のみ。
「でも・・・いかなきゃ・・・こんな変なところ・・・いられないわよ・・・」
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「ぶひぃ・・・ぶふぅ・・・ぜふひぃ・・・」
ずりずりと、何かがこすれる音がする。
それは私のお腹だ。
下腹部が太りすぎて地面にこすれているのだ。
一歩歩くのに二秒ぐらいかかる。
そしてその度に汗がどばっと吹き出る。
最早視界の半分は自分の体しか見えない。
それでも光に向かって歩くしかない。
振り向いても後ろにはやっぱり壁。
あのコンクリートの壁が私を阻むように立っているのだ。
「あれ・・・?出口?」
その時、ようやくトンネルの終わりが見えた。
重くなった体を引きずり、通常の何倍もの時間をかけてそこへと進む。
そして、光の先には・・・
「え・・・?」
部屋・・・と言えばいいのだろうか?
四角いコンクリートの小部屋。
壁も天井も床もすべてコンクリート。
出口は・・・無かった。
後ろを振り返ると、まるで蓋をするかのようにあの壁がある。
「は・・・ははは・・・そんなぁ・・・」
泣き崩れる私を支えてくれるものは何も無かった。
小堺圭子
身長168cm
体重47kg → 54kg → 63kg → 175kg → 1023kg
B:85cm → 89cm → 95cm → 134cm → 284cm
W:56cm → 63cm → 71cm → 144cm → 386cm
H:86cm → 91cm → 97cm → 151cm → 342cm