穴の向こう側

穴の向こう側

 

 

佐藤 芽衣(さとう めい)20歳 身長167cm 体重47kg B:82 W:51 H:89
大学生で廃墟サークル(廃墟を探索する事を目的としたサークル)に所属している。
夏休みに、サークルのみんなに自慢しようと山奥の廃村に来た。

 

 

 

 

「はぁ〜・・・ようやく着いた・・・」

 

車から降り、私は大きくため息をついてからゆっくりと辺りを見回した。
大学の夏休み。折角免許を取ったのだからと前々から気になっていたこの廃村を訪れた私は、
目の前の光景に胸を躍らせていた。
なんでも、随分昔に村の陰陽師を怒らせた所為に村の人がみんな居なくなってしまったとか
どうとか。
40年ほど前の話らしいけど、そんな最近まで陰陽師を名乗る奴が居た事が驚きだよ・・・

 

「・・・ま、いいか。さて、探索探索っと!」

 

私はゆっくりと村へ向かって歩き出した。

 



 

「ここ・・・なんだろ?」

 

村の奥の方。
そこにあった随分と広い家。
別に広い家自体は珍しい物では無いのだが、他の家に比べ明らかに大きすぎるのだ。
家というか、お屋敷という言葉がしっくり来る感じ。

 

「・・・見た感じ、他よりも綺麗に残ってる・・・入れないかな?」

 

家の周りをぐるりと回ってみる。
玄関は・・・ダメだ、門が変形して開かない。
柵は・・・しっかりとしてる上に高い・・・
裏手は・・・こっちも扉が変形して開かなそう・・・さて、どうしようかなぁ・・・

 

「・・・ん?・・・ここ、穴が開いてる」

 

裏手の扉から少し離れた場所にぽっかりと穴が開いていた。
サイズとしては人が一人ギリギリで入れそうな感じ。

 

「ほほ〜ここから入れそう・・・あれ?何かここにある・・・看板?」

 

横に釘で打ち付けられた看板がある。
内容は・・・「この穴入るべからず」ね。

 

「何かで穴が開いたけど、直す前にみんなどこかに行っちゃったのかな?」

 

普通に考えたらここ、村長さんの家だと思うし。
まぁ・・・折角だし入らせて頂こうかな・・・もう住んでる人も居ないし。

 

「お邪魔しま〜す・・・」

 

私は断りを入れつつ、ゆっくりと穴の中へ入っていった。

 



 

穴から出た私は、ゆっくりと家の中を見て回った。
大きな屋敷の中は、劣化や風化こそしている物の、倒壊の危険はなさそうで、
軽く見回る程度なら問題なさそうだった。
写真をいくつか撮りつつ、そろそろ帰るかと思ったときだった。

 

「あ・・・れ?体が・・・重い・・・」

 

どういう訳だか体が急に重くなった。
思わずその場に座り込む。
目の前がチカチカし、体が熱くなる。

 

「やば・・・まさかこんな所で・・・病気・・・?」

 

もしかしたら探索してるときに気付かずにどこか怪我をして、そこから何かの感染症にかかった?
でもそれならこんなに早く症状が発症するわけないし・・・
そんなことを考えながら、目頭を押さえようと手を顔に近づけた時だった。

 

【ぶにょん】

 

腕に柔らかい物が当たる感触。

 

「は・・・?え?」

 

それは私の胸だった。
胸が・・・いや、良く見れば体中ぶよぶよと膨らんでいる。

 

「ちょっと・・・ヤダ!なにこれ!?」

 

慌てて立ち上がろうとする。
だけど上手くいかずその場にドスンと座り込んでしまった。
そんな間にも体はぶくぶくと太っていく。
ミチミチと、音を立てて服が引き延ばされていき、ついには・・・

 

【ブチッ】

 

嫌な音を立てて、ズボンの腰の辺りから何かが飛んだ。
恐らくボタンだろうか。

 

「もうやだぁ・・・」

 

私はその場で力なく俯いた。

 



 

ようやく体のだるさが治った頃、私は何とか立ち上がり、屋敷へと戻っていった。

 

「確か・・・どこかの部屋に姿見があったはず・・・」

 

重くなった体を必死に動かし、私は鏡を探した。
暫くして、なんとか鏡を発見した私はもう一度驚愕するハメになった。
ぼんと飛び出た胸。
醜く垂れ下がりつつある腹。
足を開いてもくっつく太もも。
背を向ければ、脂肪で分厚くなった背中と尻。
服はあちこち裂け目が出来て動かす度にそれが広がっていく。

 

「なんなのよこれ・・・」

 

力なく呟いた私の問いに答えてくれる人は誰も居なかった。

 



 

あの後、失礼とは思いつつ、服の代わりになる物を探すため、
家の中をひっくり返していた時だった。

 

「・・・何この本」

 

そこにあったのは一冊の本。
本と言っても背表紙が有るような奴では無く、紐で綴じてある古い本だ。
その横に恐らくこの本を現代語訳したらしいノートがあった。
ノートのタイトルは【陰陽師の術について】。
何気なくその本を開いてみる。
虫食いが酷く、所々インクが滲んでいるそのノートの中に気になる項目があった。

 

「・・・肥大の術」

 

そこに書いてあるのは何かを太らせる術についてまとめてあった。
私はその項目を穴が開くかのように読んだ。
どうやらこの家は陰陽師の家だったようで、私が通ってきた穴はこの術の為に開けられた物らしい。
術のかけ方を読むにそれは間違い無いと思う。
・・・大方動物を懲らしめるために開けたのだと思う。
じゃなきゃ態々あんな看板は立てないだろう。
あの穴を通ってこの屋敷に入り、もう一度その穴を出ようとすると術が発動するらしく、
対象を身動きできないほどに太らせるのだ。

 

「・・・つまり私は動物と同じか」

 

自己嫌悪に陥りつつ、私はこの本に期待を持った。
術のかけ方があるのなら、解き方だってあるはずだ。
そう思い私はページをめった。

 

「・・・あった!術の解き方は・・・っ!?」

 

確かに、術の解き方は書いてあった。
そう、今は無い。虫に食われて文字が飛び飛びで何が書いてあるか全く分からないのだ。

 

「あ・・・あはははははははははは・・・・」

 

私はその場に崩れ落ちると、泣きながら笑い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤芽衣
身長:167cm
体重47kg  → 137kg
 B:82cm → 127cm
 W:51cm → 132cm
 H:89cm → 125cm


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