階段の彼女

階段の彼女

 

 

カツン、カツンと甲高い音を鳴らしながら、彼女は歩いていた。
彼女の名前は知らない。
初めは偶然、仕事からの帰りに自分の部屋の近くで見かけただけだった。
だが毎日、同じ時間に同じように階段を上る彼女に俺は興味を持った。
ここにいるということは彼女も俺と同じで、このマンションに住んでるんだと思う。
でなければ態々夜の10時にマンションの、それも10階の階段を上らないだろう。
そんな彼女が、俺は酷く気になった。
顔はきちんと見たことがない。
服もいつも同じ黒いワンピースに黒いボーラー。
帽子を目深にかぶって、薄い口紅しか見えない。
彼女を最初に見てから一ヶ月。
俺はついに、彼女の後をつけることにした。
これが褒められた事でないことはわかっている。
でも、俺は彼女の事が知りたくて仕方なかったんだ。

 



 

こっそりと後ろを追ってく。
彼女はいつも通り、階段を上っていく。
まるで誰かを誘うかのような歩き方。
なんだか俺にはそれが神秘的にすら見えた・・・
そして彼女は13階で階段を上るのをやめ、廊下を歩いていく。
俺もゆっくりと追っていく。
そして、曲がり角を曲がった後、彼女は忽然と姿を消してしまった。
驚いて回りを見渡すが、彼女は居ない。

 

「あらあら、そんなにキョロキョロしてどうしたの?」

 

不意に、後ろからささやかれた。
脳までとろける様な声。

 

「い、いや・・・」

 

必死の思いで答える。

 

「ふふ・・・私を探していたのね・・・いけない子。
 そんな子はオシオキしないとね・・・」

 

その声を聞いた直後、俺の意識はぷつりと途切れた。

 



 

次に俺が起きた時、目の前は様変わりしていた。
あちこちに張り巡らされた巨大な蜘蛛の巣。
どうやら俺も糸に捕まっているらしい。両手両足が動かない。
まるで磔にされたキリストのようだ。

 

「あら、お目覚め?」

 

声のしたほうに顔を向けると、あの女が立っていた。
帽子は脱いでいて、ようやく見えた艶やかな黒髪と真っ赤な瞳がとても美しくて、怖かった。
ツカツカと俺の方に近づくと、細い手でそっと俺の頬を撫でる。

 

「ふふっ・・・貴方、とても良いわ。
 いい贄になりそう」

 

そういうと、彼女は俺の顔を両手でしっかりとつかむ。
そしてそのまま俺に口付けをした。
咄嗟の事に対応出来ない俺をよそに、彼女は俺によだれを流し込んでくる。
その度にドクン、ドクンと胸が高鳴る。
体が燃えるように熱い。
頭がボーっとする。

 

「さて・・・そろそろね」

 

彼女が口を離し、一歩後ろに下がる。
その途端、ただでさえ熱い体がさらに熱くなる。

 

「あ・・・がっ・・・!?」
「今ね、貴方の体を作り変えているの。
 贄として相応しくなる様に・・・ね」

 

彼女が何か言っているが俺の耳には入ってこない。
苦しみから思わず叫ぶ。
そして、その声が徐々に変化しているのに、俺は気づいた。
段々と甲高くなっていく。
まるで・・・

 

「まるで女の子みたいな声。
 そう思ってるのよね?」

 

女がこっちを見透かしたような目で見てくる。

 

「それはそうよ。貴方は今、女の子に生まれ変わる途中なんだもの」

 

そういって俺の服に手をかけると、そのままシャツを破り捨てる。
胸があった。
部位的な話ではない。女性としての象徴、乳房がある。
サイズとしてはかなり大きい・・・と思う。
頭が回らない。

 

「ほぉら。貴方の胸よ。大きくて・・・揉み応えも抜群。
 素敵・・・素敵よ、貴方」

 

女が俺のズボンに手を回す。
ズボンがずり落ちる感覚がする。
女の手が股間に当たる。
・・・アレの感覚がない。

 

「ふふ・・・綺麗になったじゃない。
 毛は無いみたいだけど、私はそっちの方が好きよ?」

 

女の手が股間を這いずり回る。
その度に体がビクンと跳ねる。
にちゃりと粘着質の水音が聞こえる。
その音は段々と水っぽくなっていく。

 

「ふふ・・・こんなに濡らして、イケナイ子ね」

 

女がわざとらしく俺の目の前で濡れた手をいじる。
ぬらぬらとした指を開くたびに、間に糸が出来上がる。
その指を女は味わうかのように舐める。
それはとても淫靡な光景だった。

 

「ふふ・・・いい味。でもちょっと一味足りないわね」

 

そういいながら俺の頭を撫でる。
その時初めて気づいたが、髪もだいぶ長くなっている。
首の辺りにチリチリと毛先が当たる。

 

「さて、じゃあ最後の味付けといきましょうね」

 

そういうと女が俺の胸に吸い付く。
それだけで飛びそうになる。
それと同時に体がぷくりと膨れた気がした。
ピチャピチャと音を立てながら女が胸を舐め、時に揉み、時に吸う。
その度に全身に快感が走る。
雷に打たれたようなというが、まさにしびれるようだった。
そして俺は確信した。
俺の体が徐々に重くなっていく。
少しずつ、少しずつ太っているのだ。
女に弄られ、イカされる度に。
ブクリブクリと太っていく。
嬌声を上げるたびに、どんどん加速度的に太っていく。

 

「うーん・・・いい味になってきたわ」

 

そういう女の体はすでに人の形ではなかった。
上半身は人間のそれだが、下半身が蜘蛛だった。
巨大な化け蜘蛛・・・それが女の正体だったのだ。
やさしくキスをされ、胸を弄られ、腹を揉まれ、股間に舌を入れられる。
俺の意識が飛ぶまで、そう時間はかからなかった。

 



 

こうして私は彼女の贄となった。
彼女は優しく私を慰めてくれる。
こんなにも太った体を美しいと褒めてくれる。
彼女の吐息が、彼女の舌使いが、彼女の香りが忘れられない。
私はもう、彼女なしでは生きていけない。
一度だけ鏡を見たことがあった。
丸々と飛び出た腹。
下品に育った胸。
重さでたれ始めてる尻。
太くなりすぎてうまく閉じられない太もも。
まるで女の腰のような二の腕。
顎なんか肉がつきすぎて首が埋まってしまった。
こんなにも醜く、下品で、そして妖艶な体は他に無いだろう。
私は彼女を想いながら、今日も彼女の巣で待つ。
あの快楽の中に落ちるのを・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身長:171cm
体重:46kg → 150kg
B:89cm → 134cm
W:54cm → 141cm
H:84cm → 127cm


トップページ 肥満化SS Gallery(個別なし) Gallery(個別あり) Database