融通
浅井 紀子(あさい のりこ)27歳 身長:159cm 体重:40kg B:84cm W:53cm H:76cm
介護用のロボットの研究開発をしている女性。
「ふぅ・・・ようやく完成か」
薄暗い研究室の中。
紀子はコーヒーを一口飲むと、深くため息をついた。
介護ロボット、それも自力では行動できない程の人向けの物の開発。
これの開発は急務だった。
ただでさえ最近は医療の発達で寿命が延びてきた。
それなのに介護のできる人間の数は限られてるし、やりたがる人間は少ない。
だがこれがあればそんな悩みともおさらばというわけだ。
「・・・さらに死なない人間が増えるな」
コーヒーの入ったマグカップを机に置きながら、紀子は呟いた。
椅子から立ち上がると、紀子は機械のそばへ歩いていった。
「・・・」
そっと機械を撫でる。
車椅子に様々な機械がくっ付いた様なそれは、何も答えない。
「後は起動実験だが・・・」
ちらりと紀子は壁の時計を見る。
時刻は深夜2時。紀子以外の研究者はすでに帰宅している。
今すぐ起動するかどうかで紀子は少し迷ったが、深夜のハイテンションか、
それとも抑えきれない興味心か。
紀子は機械に座ると装置を起動した。
『おはようございます。行動を選択してください』
システムボイスに設定してある女性の声が優しく語り掛ける。
紀子は設定パネルからいくつかの選択肢を選ぶと、決定ボタンを押した。
この設定を選択することで様々な介護を柔軟にすることができる。
少しの読み込みの後、機械が動き始める。
その状態で紀子は手元のレバーを倒す。
『危険です。ベルトをしてください』
機械からエラーボイスが聞こえる。
安全性の観点からこうやってベルトをしないで機械を動かそうとすると
エラーが聞こえるようになっている。
紀子はそれを確認すると、きちんとベルトを締めてからレバーを再度動かす。
今度は無事に機械がレバーを倒した方向へ動く。
暫くそうやって操縦した後、紀子は再度設定パネルをいじる。
『食事の時間です。口をあけてください』
ボイスメッセージとともにスプーンが紀子の口元に運ばれてくる。
そのスプーンにはお粥のような流動食が乗っている。
色んな人が食べやすいように軟らかくなっているのだ。
紀子はそれを口に含み、咀嚼する。
次のスプーンが口元に運ばれてくる。
食事は決まった量を食べきるまで自動で運ばれるようになっている。
そうでなければ栄養が足りなくなるからだ。
「夜食に丁度いいか・・・いささか味気ないが」
そう呟きながら紀子は流動食を食べ続ける。
・
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ところがいくら紀子が食べても食事が終わる気配がない。
「お、おい!いくらなんでも多いだろ!」
紀子は設定パネルをいじり、食事をやめさせようとする。
ところが変更が受け付けられない。
「まさか保護モードか!?」
保護モードというのは機械を操作している人間が間違って設定を変更してしまわないように、
特定のパスを持った人間が外部から入力しないと設定できないようにする機能のことだ。
だが今は保護モードは切っていたはずだった。
「くそ・・・何かの拍子に入ってしまったか」
慌ててベルトを外して機械から降りようとする紀子。
だが、機械がそれを阻む。
『危険です。ベルトを外さないでください』
「お、おい!?何をするんだ!」
手足をベルトでロックされ、紀子は身動きが取れなくなった。
時々暴れる人間がいるからと搭載されたこのシステムを紀子は心のそこから恨んだ。
機械は黙々と紀子の口に食事を運ぶ。
どうしたって食事が摂り難い人用に調整されたこの食事は、少量でもかなりのカロリーがある。
それと同時に消化しやすいようにもなっているのがこれの特徴だと開発者は得意げだった。
そんな物を大量に摂ればどうなるか。
紀子の背筋に寒いものが走る。
「むぐっ・・・もういい!もうやめろ!」
紀子は叫ぶが、機械に通じるはずがなかった。
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・
「んぐ・・・ぐ・・・!っはぁ・・・はぁ・・・」
あれから何時間たっただろうか。
未だに紀子の食事は続いていた。
他の研究者が来るのは早くとも朝の9時。
それまでもしもこれが止まらなかったら・・・
紀子は丸くパンパンに膨らんだ自身の腹を見ながら恐怖した。
その直後。
【ビリッ・・・】
スカートが破けたのか、嫌な音が紀子の耳に届く。
「い、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!」
頭を必死で振り、食事を拒む紀子。
だが機械はそんな紀子の口にスプーンを突っ込む。
食事はまだ終わらない・・・
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『食事を終了します。お粗末さまでした』
「はぁ・・・はぁ・・・!お、終わった・・・?」
疲れきった表情で紀子が呟く。
同時にベルトが外れる。
【ぶよん!】
その拍子に紀子の腹が盛大に揺れる。
過度の食事はどうやら全て吸収されたようで、便意は全くと言って良い程に無い。
その代わりにどうやら紀子の体はとてつもない肥大化をしたようだ。
うつろな目で自分の体を確かめる紀子。
スレンダーだったはずの体は凄まじい肥満体になっていた。
小ぶりだが形のよかった胸は、だらしなく垂れる程大きくなり、
着ていたセーターを完全にめくりあげている。
その下の腹は妊婦も真っ青なでかさで、ベルトに締め付けられていたせいか段差が出来ている。
尻も勿論肥大化しており、先ほどから機械の椅子にみっちりと詰まっている。
ロングスカートの中でぴっちりと詰まっている太ももは、両足が干渉してむずがゆい。
二の腕は以前の腰ほどあり、狭い機械の中では動かすのが難しいほどだ。
顔に触れてみると、もっちりとまるで餅をつかんだかのような感触が返ってくる。
顎の辺りもたぷたぷとしており、首との境目がわかり難い。
紀子は狭くなった機械から何とか抜け出すと、思いっきり尻餅をついた。
たったこれだけの運動で凄まじく疲れる。
荒い息を整え、紀子は機械の電源を切った。
「・・・はぁ。作り直しだな」
その場で倒れこむかのように崩れ落ちると、紀子は疲れと事の終わった安心感からか
眠ってしまった。
他の研究者が床でひどい格好で眠る紀子を発見するのはその少し後のことであった。
浅井紀子
身長:159cm
体重: 40kg → 163kg
B:84cm → 124cm
W:53cm → 148cm
H:76cm → 139cm