育つために必要な物

育つために必要な物

 

 

蔵本 陽子(くらもと ようこ) 21歳 身長148cm 体重39kg
薬品系の大学に通う学生。小柄な女性で小学生ぐらいの身長しか無い。
様々な所で年齢を誤解される。

 

山岸 浩太(やまぎし こうた)21歳 身長172cm 体重61kg
陽子と同じ研究室の学生。

 

 

 

 

 

「・・・だぁぁあああああ!!駄目だ!!」
「・・・荒れてるなぁ」

 

山岸浩太は目の前の状況にため息を付いた。
彼の目の前では小柄な女性が頭を掻きむしりながら天を仰いでいる。

 

「・・・蔵本さんさぁ、それ諦めたら?」
「うるさい!!貴様にはわからんだろうが私にとっては重大な問題なんだ!!」

 

黒いロングヘアーを振り乱しながら浩太に詰め寄るのは女性の名は蔵本陽子である。
小柄な体格で、正直小学生ぐらいにしか見えないだろう。

 

「貴様の様に背が高い奴にはわからんだろうな!!
 居酒屋に行く度に免許書を見せ、酒を買う度に免許書を見せ!
 たまに服を買いに行けば子供向けの服を勧められるこの私の気持ちが!!」
「いやまぁ分かりませんけど・・・」

 

ギャーギャーと騒ぐ陽子とため息をつく浩太。
端から見れば同い年というよりは兄と妹の様である。

 

「なぜだ・・・なぜ出来ないんだ・・・!?背を伸ばす薬・・・!!」
「そりゃそうでしょうよ・・・骨を伸ばすなんてそう簡単に出来るわけ無いでしょう」

 

冷静に突っ込む浩太にシャラップ!と指を突き刺しながら叫ぶ陽子。
どうやら陽子は自分の低い背を気にして背を伸ばす薬を作ろうとしているらしい。

 

「何が足りないんだ・・・理論的には間違ってないはず・・・
 栄養素もホルモン分泌用の薬品も混ぜた・・・なのに何故!?」
「そりゃ時間でしょうよ・・・」

 

浩太の本日何度目かの突っ込みが入る。
そう、人間が成長するというのは本来膨大な時間がかかる。
骨を少しずつ伸ばす手術もあるが、それですらかなりの費用と時間をかける物だ。

 

「うるさい!!私は今すぐ伸ばしたいんだ!!」
「いや無理でしょ・・・」

 

浩太の突っ込みを無視して再びパソコンに向かう陽子。
浩太はしばらくその様子を見た後、お先にと一言声をかけて研究室を出た。
後に残された陽子は眼鏡の位置を直すと、パソコンに猛烈な勢いで何かを打ち込むのだった。

 



 

「おはようございます」

 

翌日、研究室にやってきた浩太は昨日と変わらずパソコンに向かっている陽子の姿を見て
眉をひそめた。

 

「・・・泊まりですか?」
「む・・・山岸か・・・一応帰ったぞ?」
「・・・そうですか。寝ました?」

 

浩太は陽子を見ながらそう質問する。
目の下のクマを見る限り、恐らくまともに寝ていないだろう。

 

「・・・2時間位は」
「そんなんだから背が育たないんですよ」

 

浩太の台詞にうぐっといいながらのけ反る陽子。
だがすぐにふっふっふと笑いだした。

 

「そんな事言っていられるのも今のうちだ。
 見るがいい!!これが完成した『背がノビール』だ!」

 

手に持った試験管を見せびらかすように浩太の方に突きつける陽子。

 

「うわ、ネーミングセンスゼロ・・・」

 

浩太の台詞にシャラップッ!と机を叩きつつ叫ぶ陽子。
そして浩太に向かって薬の説明を開始する。

 

「そもそも人間がどうやって成長するのか?ぶっちゃければ細胞分裂で骨が伸びるからだ。
 骨端線が細胞分裂して徐々に伸びていくからだな」
「コツタンセン・・・ってなんですかそれ?」
「簡単に言えば軟骨の事だ。
 骨と骨の間には骨同士をつなぎ合わせる軟骨がある、それが骨端線だ。
 これが細胞分裂で増える事から骨の間が伸びて結果背が伸びるわけだ」
「へぇ・・・それはどうやって伸ばすんです?」
「IGF-Iという成長ホルモンが必要だ。
 コイツは成長ホルモンの一種なんだが、骨端線にはコイツが作用するらしい。
 つまり、コイツがあれば骨が伸びるわけだ!」
「んな短絡的な・・・」

 

浩太の突っ込みを華麗にスルーしつつ、陽子はだが・・・と頭を振りながら続ける。

 

「貴様が昨日言ったとおり、成長するには時間がかかる。
 ・・・が、私はついにやり遂げた!
 この薬には細胞分裂を爆発的な速度にする効果があるんだ!!」
「・・・まじすか」
「大マジだ」
「いやそれで特許とか取りましょうよ!?」

 

自慢げな陽子に、浩太は思わず叫んだ。
だが、陽子は首を横に振るとこう返した。

 

「臨床実験もまだなのに特許なんて出来るわけ無いだろ!?
 と言うわけで私はコイツを飲むぞぉぉぉおお!!」
「あっ!!」

 

浩太が止める前に陽子は試験管の蓋を開け、中の液体を飲み干す。

 

「ふっふっふ・・・これで私の背もぐんぐん伸びるはず・・・!!」

 

口元を袖で拭きながら、陽子は自慢げに笑う。
そして・・・

 

【ぐっ・・・ぐぐぐっ・・・!】

 

「お、おお!?」
「か、体が大きくなってる?」

 

陽子の体が徐々に大きくなっていく。
陽子の視界がドンドン高くなり、服が窮屈になっていく。

 

「見ろ!!実験は成功だ!!」

 

そう叫ぶ陽子だが、浩太の表情がおかしい。

 

「・・・蔵本さん・・・お腹・・・」
「へっ・・・?」

 

浩太に言われ、陽子は自分の腹を見る。

 

「・・・なっ!?」

 

そこには先ほどまで無かったはずの贅肉がつき始めていた。
そう、陽子は確かに大きくなった。
だがそれは縦にも"横にも"大きくなっているのである。
平らだった胸は徐々に膨らみを増し、腹肉は腰のくびれを覆い隠していく。
足はどんどんとスカートを圧迫していき、大きくなっていく尻には下着が食い込んでいく。
変化に合わせて服は体に張り付き、徐々に裂けていく。
やがて・・・

 

【ビリッ・・・ビリビリビリビリビリッッ!!】

 

「き、きゃぁあああああああああ!?」

 

服が破けた。
着ていたシャツも、スカートも、下着も白衣も。
全てが破け、彼女の肌を全て惜しげも無く晒す。

 

「蔵本さん!?」
「ばか!!見るな!!」
「す、すみません!!」

 

叱られ慌てて後ろを向く浩太。
その間にも陽子の体はどんどんと大きくなっていく。

 

「く・・・止まれ・・・止まってぇぇぇぇぇぇええええええええ!!」

 

陽子の叫びもむなしく、体はどんどんと大きくなっていくのだった。

 



 

「・・・ふぅ・・・ふぅ・・・」

 

やっと肥大化が止まり、その場に座り込んで肩で呼吸をする陽子。
その体はつい先ほどとは全くの別物になっていた。
低かった背は浩太よりも一回りは大きくなり、横幅は五回りは大きくなった。
飛び出た胸は1mを優に超え、その下の腹はそれよりも更に飛び出ている。
まるで特大の大太鼓の様な太鼓腹はもっちりと柔らかそうで、彼女の股間を全て覆い尽くしている。
尻は彼女の座高を脂肪で持ち上げ、足はまるで特大の丸太のようだ。
腕は競輪選手の太もものように太く、首は肉の海に潜ってしまったようで見えない。
顎は立派に二重顎になり、頬に付いた肉が呼吸と共にぷるぷると揺れる。
あれだけ小柄であった彼女とは思えない変貌振りであった。

 

「な・・・なんだってこんなことに・・・」

 

愕然とする陽子。
そんな陽子に向かって何か布がかけられた。

 

「・・・え?」
「その・・・カーテンですけど、何も無いよりはマシかなって」

 

どうやら陽子の肥大化の最中、部屋にかかっていたカーテンを外して居たらしい。

 

「・・・助かった」
「いえ・・・」

 

それっきり言葉が出ない二人。
やがて、浩太がぽつりと陽子に話しかける。

 

「・・・教授、呼びます?」
「ばっ・・・こんな所見せられるわけ無いだろ!?」
「でも俺だけじゃこの状況どうしようも無いですよ?」
「ぐっ・・・」

 

うなだれる陽子。
浩太は携帯に手をかけ、電話帳を呼び出す。

 

「ま、待ってくれ!」

 

それに対して待ったをかける陽子。
浩太は携帯から一度手を離し、陽子の方を見つめる。

 

「・・・この姿を他人に見られたくない」
「俺・・・見てますけど?」
「お前は・・・その・・・不可抗力だろ?」
「そりゃ・・・まぁ・・・」
「だから・・・もう少しだけ待ってくれ・・・」
「・・・はい」

 

そして再び止まる会話。

 

「そういえば・・・なんでこんな薬作ったんですか?」

 

だが、無言に耐えられなくなったのか浩太が疑問を投げかける。

 

「前に言ったろ?居酒屋で──」
「いや言ってましたけど・・・それだけですか?」
「・・・」
「言い方・・・その失礼ですけど、正直そんなに背のことで困ってるようには見えなかったし・・・
 だから・・・なんでだろうって・・・」

 

陽子は浩太からの質問に対してしばらく沈黙した後、ポツリとつぶやいた。

 

「・・・いだ」
「へ?」
「貴様のせいだ!!貴様が、背の低い女性はタイプじゃ無いって言うから!!」

 

涙ぐみながらそう叫ぶ陽子。
そしてそのまま泣き出してしまう。

 

「ちょ・・・蔵本さん!?」
「うるさい!!もうどうせ終わりだ!!私はもうお前に好かれる要因ゼロだ!!
 ああそうだよ!!お前のことが好きだったから作ったんだよ!!
 お前にふさわしい女になりたかったんだよ!!
 それで失敗してこのザマだ!!笑えよ!!笑ってくれよ!!」

 

うわぁぁああああああああん!!と大声で泣き叫ぶ陽子。
浩太は落ち着いてくれと陽子に近づきながらそう何度も話しかける。

 

「うるさいうるさいうるさい!!どうせお前もそう言いながら心の中では笑っているんだろ!?」
「そんな事無いですって!!」
「じゃあ証明して見せろ!!」
「証明って・・・どうやって!?」
「キスでもなんでもして見せろよ!!」

 

どうせ無理だろうがな!!
そう叫ぼうとした陽子の口は、浩太の口でふさがれた。

 

「・・・」

 

突然の出来事に目をぱちくりとさせる陽子。
浩太は恥ずかしげに顔を背ける。

 

「・・・何をした?」
「キスです」
「・・・何故?」
「証明・・・です」
「何の?」
「俺が蔵本さんの事を笑ってないっていう・・・」
「・・・そ、そうか」

 

顔を真っ赤にして黙り込む二人。
数分程そのままで居た二人だが、やがて・・・

 

「あの・・・」
「その・・・」

 

二人同時に話しかけた。

 

「・・・先にどうぞ?」
「貴様こそ・・・」
「・・・その・・・俺、今の蔵本さんの事・・・醜いとかそういう事思ってないですよ?
 なんていうか・・・その・・・俺の為だったみたいですし・・・それに・・・」
「・・・それに?」

 

言葉を詰まらせる浩太に、陽子が続きを促す。

 

「・・・何かを本気でやろうとした人、笑うなんて出来ませんから」
「そ、そうか・・・アリガトウ・・・」

 

殆ど聞き取れないような小声でお礼を言う陽子。
この後浩太が教授を呼ぶまで二人の間に会話は無かった。

 



 

「・・・遅いぞ?」
「すみません・・・」

 

数日後の早朝、二人は大学近くの公園に来ていた。
陽子はどこから持って来たのか、特大サイズのジャージを着ており、
浩太も運動しやすそうな格好だ。

 

「全く・・・デブの私より遅いとはどういう事だ?」
「いや・・・久しぶりに運動着出したんでしまった場所が分からなくて・・・」
「全く・・・だらしないな」

 

ため息をつく陽子。
浩太は苦笑いをすると、ぐっと背伸びをした。

 

「じゃあ少しでも痩せるために運動、しましょうか?」
「ああ、色々手助け頼むぞ?」
「はい」

 

浩太はそう言うと準備運動を開始する。
陽子もそれにならい準備運動をする。
あの日、浩太は陽子に対してこう提案した。

 

【少しでも痩せられるように、俺が蔵本さんの運動の手伝いします】

 

その後話し合いを経て、二人は毎日大学に行く前に近くの公園で運動をすることになったのだ。
今日はそれの初日であり、二人ともやる気は十分。
・・・なのだが。

 

「・・・はぁ・・・はぁ・・・つ、疲れた!」
「・・・まだ準備運動すら終わってませんよ?」

 

息切れを起こし今にも座り込みそうな陽子。
どうやら先はまだまだ長いようだ。

 

 

 

 

 

 

 

蔵本 陽子
身長148cm → 178cm
体重38kg → 142kg
B:81cm → 114cm
W:54cm → 132cm
H:74cm → 136cm


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