最高の乾杯
岡田 良子(おかだ りょうこ)27歳 身長160cm 体重51kg B:79 W:68 H:87
自称自販機マニア。最高の飲み物を売るという自販機の噂を聞き・・・
「・・・これね」
私は目の前の自販機を見つめながら安堵のため息をついた。
自販機マニアである私は珍しい自販機があると聞けばそこまで旅行をする程である。
一番好きなハンバーガーは自販機のハンバーガーだし、一番好きなおでんはおでん缶だ。
そんな私がある噂を聞いたのは半年前の事だった。
『この近所にとてつもなく美味しいジュースを売る自販機があるらしい』
職場でその噂を聞いてから探し続けて半年・・・
もう見つからないかもと思っていたけど、まさか本当にあるなんて。
「・・・値段も噂通り。200mlが100円、350mlが150円で500mlが200円・・・」
量だけじゃなく、値段が上がるほど美味しいというドリンク・・・
見本として並んだサンプルのパッケージには何も無く、ただ白い筒が置いてあるだけ。
「・・・ここはまず200mlからね」
私は100円玉を自販機に入れ、ボタンを押す。
ガコンと言う音と共に下の方にドリンクが落ちてくる。
パッケージには何も無い、白いプリントがされているだけの物だ。
私はそれを持ち上げると、早速プルタブを起こして缶に口を付けた。
「・・・ん!?」
口の中に広がる甘み・・・ヨーグルトの様な味がする。
だけど・・・
「なにこれ美味しい!!」
今まで飲んだどんなヨーグルト系ドリンクよりもずっと美味しい。
酸味と甘みのバランスが丁度良く、後味のすっきり感が何とも言えない。
「んぐ・・・んぐ・・・・・・あ、飲んじゃった・・・」
たった200ml、すぐに無くなってしまう。
「も、もう一本・・・」
私は100円を握りしめて自販機にえいやと入れ、ボタンを押す。
だが、何度ボタンを押してもジュースは出てこなかった。
「やだ・・・故障?」
私は追加料金を入れて他のジュースを買おうとしてみるが、それもダメだった。
「どうしよう・・・どこかに連絡先とか書いてないかしら?」
連絡しなきゃと思い、自販機を調べてみるがどこにも電話番号も持ち主の住所も書いてない。
「困ったわね・・・いつまでもここに居るわけにもいかないし・・・」
すでに夜もとっぷり更けている。
これ以上ここに居ると明日の仕事に響くだろう。
散々迷ったあげく、私はその場を後にした。
「持ち主の方ごめんなさい・・・」
最後に自販機にそう謝ってから、私はその場を後にするのだった。
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「・・・あれ?」
翌朝、起きた私は自分の体の違和感に気付いた。
上半身が妙に重いのだ。
それだけでは無く、寝る時用のブラがきつい。
「・・・胸が大きくなってる?」
体を起こしてみると、そこには昨日よりも一回り大きくなった胸があった。
触って確かめてみると、確実に昨日よりも大きくなっている。
「うそ・・・なんで!?」
嬉しさよりも驚きが勝る。
私はしばらく触ったり飛び跳ねたり鏡を見て、それが夢で無い事を確認した。
「・・・やったぁ!」
ようやく実感が湧くと、嬉しさがこみ上げてきた。
今まで下半身太りだった私にはこれ以上無い程の喜びだった。
「・・・でもなんで大きくなったの?」
ひとしきり喜んだ後、ふとそんな疑問にたどり着いた。
もうすぐ三十路である私が今更成長期を迎えるはずも無いし・・・
「・・・まさか、あのドリンク?」
昨日見つけたあのドリンク。
もしかしたらあれの御陰・・・?
「・・・だとしたら、もうこれ以上大きくはならないわね」
昨日故障させてしまったあの自販機。
マニアとして失格である上に夢を自分の手で奪うだなんて・・・
「はぁ・・・仕事いこ・・・」
折角の喜びムードも霧散してしまった。
私は朝食を摂って支度をすると、肩を落としながらとぼとぼと会社に向かうのだった。
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その日の帰り、私は昨日の自販機の所へとやって来ていた。
昨日は見落としたが、もしかしたら連絡先があったかもしれない。
それにもし直っていたとしたらもう一度飲めば胸が更に大きくなるかもしれない。
そんな希望を抱きながら、私は自販機を調べる。
10分程探してはみたが、やはり連絡先などは書いてない。
「・・・直ってますよーに」
そう祈りながら100円玉を自販機に入れ、ボタンを押す。
直後、ガコンという音と共に缶ジュースが下に落ちてきた。
「な、直ってる!!」
ジュースを取り出してその場で小躍りする私。
直っているのならもう一本と思いお金を入れてボタンを押すが、
自販機はうんともすんとも言わない。
「・・・もしかして、一日一本しか出さないとか?」
流石に二日連続で壊すと言うことは無いだろう。
となれば、考えられるのは一定時間連続で商品が購入出来ないのではないだろうか?
「・・・とりあえず故障じゃないのは良かったけど・・・
やっぱりこれだけ美味しいジュースだと何本も買われると赤字なのかしら?」
残念だが、連続で買えないのなら仕方ない。
私はその場でジュースを飲み干すと、自販機を恨めしく見つめるのだった。
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それから数日、私はこの自販機に通い続けた。
お目当ては勿論胸の大きくなるジュース。
コレを飲み続けた結果、私の慎ましやかだった胸は今や
爆乳と呼んでも差し支えない程のサイズになっていた。
職場の人達にも一体どうしたのかと良く尋ねられる。
・・・まぁ答えるわけ無いのだが。
しかし・・・私は迷っていた。
『もう二本のジュースは一体どんな味なのか?』
確かに胸が大きくなるのは非常に嬉しい。
だが、他の二本が一体どんな味なのか気になって気になって仕方ないのだ。
しかし、その二本がもしも胸を小さくする物だったら?
そう考えると二の足を踏む。
最近は自販機の前で一時間近く迷うのも良くある事だ。
「・・・えぇい!一度ぐらい大丈夫よ!」
昼休み、そろそろ100cmの大台に乗りそうな胸を抱えながら私はそう決意し、
120円のジュースを購入することにした。
仕事を早めに切り上げ、決意が鈍る前にとさっさと自販機の元へ走った私は、
120円を入れると意を決してボタンを押した。
ガコンといつも様に缶が下へと落ち、私の手に350mlの重みがかかる。
200mlの缶と同じパッケージ白いシンプルなパッケージ。
私は缶のプルタブを開け、ジュースを一気に煽る。
桃の様な甘みが口の中に広がり、そのフルーティな香りが私を幸せにする。
「あぁ・・・これ美味しい・・・」
値段が上がるほど味も量も良くなる。
噂通り、これはあの200ml缶のジュースより美味しい。
私はなんだか勿体なく感じ、350mlをちびちびと楽しみながら飲んでいたが
やはりすぐに終わってしまった。
「・・・これで複数買えたらなぁ」
私は自販機を一度見つめた後、自宅まで歩いて帰った。
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「さて・・・どうなったかしら?」
翌朝、起きた私は自分の体をチェックした。
「胸は・・・小さくなってなさそうね」
私は安堵のため息を付くと、パジャマから着替えようとした。
だが、お尻が引っかかる。
「あ、あれ?」
昨日まですんなり穿けていた服が全然上がらない。
「ま、まさか・・・」
恐る恐る自分の尻を鏡で確認すると、そこには昨日よりも一目で大きくなったと分かるほど
サイズアップした尻が鎮座していた。
柔らかそうかつハリがある尻だけど、流石に大きすぎる。
「そうか・・・あのジュースはお尻を大きくするのね・・・」
胸にしか注意していなかったが、確かにその可能性は十分にあり得る話であった。
「・・・これは困ったわね」
確かにこれ以上お尻が大きくなるのは嫌だけど、それでもあのジュースの味は忘れられない。
私は無理矢理お尻を服に押し込むと、朝食を食べて仕事へと向かった。
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「・・・うぅ、入るサイズがない・・・」
数日後、私は服屋であーでもないこーでもないと唸っていた。
あれ以降あの味がどうしても忘れられず、私は120円のジュースばかり買っていた。
結果、お尻は120cm超えを果たし、XLサイズのスカートでも入らない事が多くなった。
そのくせウエストはゆるゆるで、今は仕方なくロングスカートのファスナーを
深めにして履いている。
だが、私だって女性だ。
お洒落だってしたいし、服がいつまでも同じというわけにもいかない。
「・・・だめね」
だが・・・今日新しく来た店にも私の望みを叶える物は無く、私は肩を落としながら店を出た。
しばらく歩いて居ると、そこがあの自販機の近くである事に気付いた。
どうやら無意識のうちにあの自販機に足が向かっていたらしい。
「・・・折角来たし、買って帰ろう」
私が自販機の方へと足を進めると、自販機の前に女性が立っていた。
黒いロングワンピースに赤いジャケット。
茶色の髪の毛を後ろで纏めた姿の女性が、自販機の扉を開けている。
「・・・もしかして、あの人が?」
私が自販機に近寄ると、こちらに気付いたのか女性はにっこりとこっちに向かって会釈をしてきた。
「こんばんは」
「こ、こんばんは・・・」
女性の声にとりあえず挨拶を返す私。
女性は作業を終えたのか、自販機の扉を閉めて鍵をかけようとする。
「あ、あの!」
思わず私はその女性に声をかけた。
「はい?」
「えっと・・・その・・・その自販機って一度に一本しか売ってくれませんよね?」
「ええ、何分数が少なくて・・・一度に大量に買われるとこちらも困るのです」
そう言う女性。
「えと・・・そこをなんとかして貰えませんか?」
私の言葉にきょとんとする女性。
もしも・・・もしもだけど・・・
一度で販売できる数を増やして貰えたら・・・
図々しいとは思うし、駄目だと言われた諦めるつもりだった。
だが・・・
「ふむ・・・構いませんよ。どうやらご愛用頂いてるようですから」
「ほ、本当ですか!?」
私の言葉にまさかのOKをしてくれる女性。
私は服を買うはずだったお金でその日入っていたジュースを殆ど買い占めると、
女性が運ぶのに使っていた段ボールを貰って持って帰った。
家に帰ると、私は早速ジュースを飲み始める。
100円のジュースを飲み、120円のジュースを飲む。
不思議とお腹に貯まる様子は無く、幾らで物飲める気がしてきた。
しばらくその二本を楽しんでいた私の目に、500mlの缶が飛び込んできた。
「・・・そういえば、これだけはまだ飲んでなかったなぁ」
私はそれを手にすると、プルタブを開けた。
「・・・んんんんん!?なにこれ!?」
そのジュースは格別だった。
以前栄養食のジュースタイプを飲んだ事がある。
あれに近い味ではあったが、全くの別物と言って良いほど洗練された味だった。
まるで極上の食事を摂っているかのような、あの幸福感。
美味しい物を凝縮してそれを味わうかのような、暴力的とすら言える味。
「あは・・・おいしいぃ・・・おいしぃのぉ・・・」
一本飲み終わる頃、私はとろけきっていた。
もう一本手に取り、飲む。
もう一本。
もう一本。
もう一本。
もう一本。
そんな事を繰り返している内に、ジュースの残量はどんどんと減っていった。
それでも私は止まらない。
ローテーションでジュースを飲む比べるのは、まさに至福の時だった。
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「んぅ・・・?」
次に私が気付いた時、既に朝であった。
どうやらジュースを飲みながら寝てしまったらしい。
私は顔を洗おうと思い、立ち上がろうとした。
だが・・・
「あ、あれ?」
体は一向に起き上がらない。
それどころか、体がまともに動かなかった。
「な、なに・・・どうしたの?」
恐る恐る自分の体を見てみると、そこには何か白くぶよぶよした物が広がっていた。
「・・・なにこれ」
ゆっくりと触ってみると、私の指先にふかふかとした感触が伝わると共に
“腹を何かに押されている感覚”が伝わった。
「え・・・?」
慌ててそのぶよぶよした物を掴んでみると、自分の腹も掴まれる感覚がする。
つまりこれは・・・
「わ、私のお腹・・・?」
そう、それは私の飛び出たお腹だった。
「い、いやぁぁああああああああああ!?」
その場で転げ回る私。
その度に体は波打ち、私の体がぶよぶよに太ったことを伝えてくる。
何とかベッドまで這いずって移動した私は、ベッドに体重をかけながら起き上がろうとした。
ギシギシと音を立てるベッドに向かって折れませんようにと祈りながら私は立ち上がる。
そして、鏡で自分の姿を見た時・・・私は気を失うかと思った。
まるで子供一人が入るんじゃ無いかと思える程大きくなった胸。
二人掛けのソファでも多分足りないだろうお尻。
腹はまるでエプロンの様に垂れ下がり、股間どころか膝下まで覆い隠している。
当然そんな体を支える足は極太であり、肉を持ち上げて見た膝は贅肉に挟まれて隠れていた。
腕はまるで丸太であり、顎は既に肉に埋もれ首は肉がマフラーの様に段になっている。
当然服が持つはずも無く、素っ裸である。
「そ、そんな・・・」
私はその場で愕然となり、呆然と立ち尽くすしかないのだった。
岡田良子
身長:160cm
体重:51kg → 56kg → 82kg → 331kg
B: 79cm → 98cm → 98cm → 158cm
W: 68cm → 68cm → 68cm → 217cm
H: 87cm → 87cm → 123cm → 199cm
「ふむ・・・中々の効果ですねぇ・・・この薬。
でもこれお店に並べるには少し扱いが難しいですね・・・
そういえば、あの女性は一体どうなったのかしらね?・・・まぁどうでも良いですね。
さてそろそろお店を開けないと!」