アタレ・アタレ・アタレ

アタレ・アタレ・アタレ

 

 

イザベル=ガナ 15歳 身長141cm 体重41kg
駆け出しの冒険者。体格が小柄なため、剣をうまく扱えず困っている。

 

 

 

 

 

「・・・これだけか」

 

僕は深くため息をつきながらとぼとぼとギルドへの道を歩く。
年齢を理由に孤児院を追い出された僕は一旗上げてやろうと冒険者になったまでは良かった物の、
現実を知らな過ぎた。
迷宮探査は一人で出来るほど甘くなく、かといって徒党に入りたくてもこの体格では
どこも入れてくれない。
これでナイスバディだったら色仕掛けとかでうまく世渡り出来たかもしれないけど、
残念なことに僕の体型はまっ平らでガリガリだ。
仕方なく一人で迷宮の浅いところやある程度安全な平地で弱いエネミーを狩ってるけど、
ひ弱な僕では剣を振るう事すらままならない。
日々生きるだけのお金はあるけど、それだけだ。
今日の稼ぎだって食べ物と宿代でほとんど消えてしまう。

 

「・・・どうしようかなぁ」

 

二回目のため息をつきながらそうつぶやく僕の目に、壁に貼られた怪しげな広告が見えた。

 

「・・・来たれ若人。新時代を君が作る?」

 

『新しい武器を体験してみないか?
 剣が上手く振るえない。拳で殴るのは怖い。弓は慣れるまで時間がかかる。
 そんな体験をした君よ、新しい時代の武器を使ってみないか?』

 

広告の内容はそんな感じだった。

 

「・・・新しい武器か」

 

賭だとは思うけど、僕はその広告に書かれた場所に行ってみることにした。

 



 

「ふぅむぅ・・・ごぉかぁあああっく!」

 

広告に書かれた場所・・・『キャレンシー研究所』に着いた僕は
中に入るなりそんなことを言われた。
目の前にいるのは眼鏡をかけ、テンションは高いくせにどこか神経質そうな感じの細い男だった。

 

「ご、合格・・・?」
「そぉとも、君こそ新しい時代の武器を使うにふさわしぃいい。付いて来なさぁぁああい」

 

そう言って男はすたすたと奥へ進んでいく。
その後を着いてくと、やがて広い部屋にたどり着いた。

 

「さぁさぁ!そこに座って座ってぇ!」

 

テンション上げ上げの男は僕に椅子を勧めた後、
少し離れた場所にある鞄を掴んで僕の前に持って来た。

 

「さぁ!開けてみなさぁい!」

 

恐る恐る鞄を開けると、中には奇妙な物が入っていた。
筒状の金属に、なにやら複数の穴が空いた部品。
その下には曲線を描く出っ張りと波打った形状をする部品・・・恐らく握る場所がある。

 

「ふっふっふ!これこそ私の・・・このダイヤ=キャレンシーの自信さぁぁあああく!!
 名付けて試作型携帯型魔砲1号なのだぁああああ!」
「魔砲・・・ってあの攻城兵器の!?」
「そのとぉおり!バカ高い威力にバカ高いコスト、
 それとバカ重い重量の魔砲を小型化して小さな子供から女性・・・
 果ては老人まで幅広く誰でも扱える様にしちゃいましたぁあああ!!」

 

天を仰ぎ見ながらそう叫ぶキャレンシーさん。
そのままどう?どう?という顔でこちらをまじまじと見つめて来た。

 

「えっと・・・これ本当に魔砲なんですか?」
「そうとも、そうだともぉ!これを使えばあら不思議!ゴブリンなんてイチコロだよぉ!」
「・・・」

 

キャレンシーさんのハイテンション振りにはついて行けないが、
もしこれが本当にそこまでの威力を持つなら驚きだ。
ただ・・・気になることがある。

 

「魔砲って・・・魔力を複数の魔術師が専用の機械に込めて初めて発射出来るんじゃ・・・」
「ノンノォン!あれは古い古ぅいやり方!
 確かにその方が威力は出るけどエネミー相手じゃ効率悪すぎなのだぁ!
 そこいらのエネミーを倒すだけならこれで十ぅ分!
 弾に魔力を込めて更に発射装置に魔力を込めて、最後に姿勢制御装置に魔力ぅ?
 無駄無駄無駄無駄ぁ!無駄過ぎるぅ!」

 

言われてみれば確かにそうだ。

 

「でもこれで本当に威力が出るんですか?」
「実験はしてるよぉ?ほぉら、そこにかかってる物を見てごらぁん?」

 

キャレンシーさんに言われて壁の方を見てみる。
そこにかかっていたのはこの近辺に生息する害獣のミーノの毛皮だった。
イノシシの仲間だけど体格が大きいため討伐に苦労する奴だ。

 

「これはねぇ?私一人で倒したんだよぉ!!」
「えぇ!?」

 

驚いた僕は毛皮に駆け寄ってみるが、
確かに普通なら付くはずの剣の傷や矢で撃たれた様な傷が無い。
ただ一ヶ所、額の部分に穴が空いているだけだ。

 

「どうだぁい?これがこの携帯型魔砲の威力さぁ!
 ・・・まぁここまで綺麗に倒すのは難しいんだけどねぇ!脳天を一撃ぃ!ってねぇ!」

 

ミーノの堅い毛皮を一発で撃ち貫いたと言うキャレンシーさん。
僕はその様子を想像して期待に震えた。

 

「で?どぉう?やってみる使ってみるぅ?」
「ぼ、僕が使っても良いんですか?」
「もぉちろぉん!むしろ君以外には使わせたくなぁい!」
「な、なんでです?」
「この携帯型魔砲は誰でぇも扱えるのが売りなぁのよ?
 筋骨隆々の奴がやっても意味ないしぃ、かといって君よりも低ランクな奴じゃあ
 使いこなせそうになぁい!
 だから君なぁのよ!そぉう!君の様にぃ小柄でぇか弱い少女の方が宣伝になぁるの!」

 

そう言って鞄を僕へ渡すキャレンシーさん。
暗にお前はがりがりで弱そうだと言われたわけだけど、今更だから特に気にするほどでもない。

 

「条件としてぇレポートはまとめて貰うけぇど、それ以外は自由に扱っていいよぉ。
 弾はとりあえず300発渡すかぁら。あ、壊しても良いけどなるべく丁寧に扱ってねぇ?
 使い方は紙にまとめておいたかぁら!」

 

僕はキャレンシーさんから鞄を受け取ると、頭を下げて研究所を後にするのだった。

 



 

次の日、僕は早速携帯型魔砲・・・通称『銃』を装備して狩り場に向かった。
試し打ちを数回行った後、僕はいよいよエネミーに向けて撃ってみた。
結果はビックリするほど強いというのが感想だった。
まず低ランクエネミーの代表格、コボルトや下級ゴブリンなんかは
当たり所にも寄るけど一撃で倒せる。
心臓を撃ち抜いたり、頭を撃ち抜いたり。
腕や足なんかを狙って動きを止めるのも有効だった。
勿論動いてる相手にそう当たる物じゃ無いけど、こっそりと隠れて狙えばそれもカバー出来る。
やや大型のオークや中級以上のゴブリンは腕や足を撃った位じゃ動きが鈍くなるだけだけど、
額を狙って撃てれば簡単に倒せる。
耐性が高く、討伐しにくいスライムもコアさえ撃ち抜けるなら一人でも狩れるだろう。
ただ、弱点もある。
弾の補充と反動・・・それと音だ。
一度に装填出来る弾数は8発。
撃ちきったら装填しないと何も出来ない。
それに撃った時の反動は思った以上に大きい。

これで狙いがずれるというのが何度かあった。
あと音。
かなり大きな破裂音が響くため、余計なエネミーを呼び寄せる可能性が非常に高かった。
結論として一人で使うよりも盾役の人と組めるなら文句の無い火力と言える。
僕はそうレポートにまとめつつ、凝り固まった肩をぐりぐりと回した。

 

「・・・あれ?」

 

ふと、肩に違和感を感じた。
なんだか二の腕の辺りがつっぱって動かしにくいのだ。
お腹周りもなんだか張ってるし・・・

 

「慣れない武器で疲れたかな・・・?」

 

そう考えていた時だった。
地面の揺れと複数の足音・・・それと鎧がぶつかる音と獣の叫び声。
音の方を見ると、そこにはエネミーの大群に追われる冒険者の姿があった。

 

「トレイン!?」

 

トレイン・・・冒険者用語の一つだ。
狩り場の事を知らない初心者が多くのエネミーから攻撃の対象にされてしまい、
そのまま逃げ出した時の状況。
冒険者の後を追い回すその姿が移動列車『トレイン』に似ていることから付いた名前だ。

 

「ま、まずい!あのままじゃ街に!!」

 

このまま街に突っ込めば大惨事だ。

 

「向こうの数は・・・15匹ぐらいか?大体はコボルトと下級ゴブリンか・・・」

 

僕はちらりと弾の入った袋を見る。
中にはまだ200発以上入っている・・・

 

「・・・あーもう!僕だって初心者だっていうのに!!」

 

意を決した僕は銃を握ると、大群に向かって銃を発射した。
一匹に命中し、そいつが倒れると同時に群れがこっちを見た。
正直怖い。
怖いけど・・・

 

「そこの冒険者!すぐに街に行って応援を呼んで!!逃げたら承知しないからね!!」
「は、はいぃぃぃいいいい!!」

 

二発目を適当に撃ちながら叫ぶ僕。
聞こえたのか冒険者はえっちらおっちら街の方へ走っていく。
3匹ほどそのまま追いかけていったが、残りはこっちに向いたままだ。
続けて三発目を撃ち込むと、向こうはこっちの方が危ないと感じたのかこっちに向かい始めた。
僕は深呼吸をしながら銃を群れに向かって構え、四発目を打ち込んだ。

 



 

あれから10分程戦闘を続けただろうか。
2、30発程撃った頃・・・諦めたのか敵も撤収を始めた。
5匹ぐらいは倒したが、やっぱり動き回る奴に当てるのは苦労する。
ふと、自分の姿を見ると酷くボロボロだった。
服は所々破け、白い肌が覗いている。

 

「避けた時に葉っぱか何かが引っかかったかな・・・?」

 

そう思ってその部分を触った時だった。

 

【ぷにゅ】

 

「・・・あれ?」

 

そこには有るはずの無い感触・・・贅肉の感触があった。
慌てて体中を探ってみると、どこもかしこもぷっくりとした脂肪に覆われていた。
真っ平らだった胸はぷっくりと盛り上がり、下着から少しはみ出ている。
同時にその下の腰周りにもぷにぷにとした贅肉がつき、くびれが大分なだらかになっていた。
お尻はズボンがぴっちりと張り付いて動かしにくいし、足を曲げると太ももの辺りが張り詰める。
腕は二の腕あたりにたるみができたし、顔の辺りはぽよぽよしている。

 

「な、なんで!?」

 

突然太ったことに驚く僕だが、今はそれどころじゃない。
エネミーの死骸のにおいをかぎつけていつ新しいエネミーが来てもおかしくない。
僕は死骸回収用の袋にコボルト達の死骸をつめると、街の方へと歩いていった。

 



 

エネミーの死骸をギルド御用達の回収業者に渡した後、僕はキャレンシーさんの所へ向かった。
僕が太った原因・・・考えられるのはこの銃だけだからだ。

 

「おぉ、昨日ぶりだねぇ!どぉう?使えるでしょお?」

 

相変わらずの口調で出迎えるキャレンシーさん。
だが、僕を見てすぐにキャレンシーさんは頭をひねった。

 

「んー?君ってそんなにぷにぷにしてたっけぇ?」
「銃のせいですよ!」

 

怒鳴る僕にキャレンシーさんはあれれぇ!?なんてことを叫ぶ。

 

「とりあえずレポート見せてくれるぅ?まだ書いてないなら別にぃいいよ?」

 

僕がレポートを渡すとキャレンシーさんはおや真面目ぇ!などと驚きながらレポートを読む。
しばらくふむふむと一人頷いてから、キャレンシーさんはこっちを見た。

 

「なるほどなるほどぉ!ちょっと君の体さわってもいいかなぁ!?腕とかでいいからぁ!」
「・・・それで原因がわかるなら」
「勿論もちろぉん!」

 

僕が腕を差し出すと、キャレンシーさんはいつになく真剣な顔で僕の腕を見つめる。
その後腕を揉む様に触ると、一人真面目な顔しながら僕のレポートと見比べる。

 

「ほうほぉう・・・こぉれはぁああああ・・・灰魔素のせいねぇ!」
「灰魔素・・・?」
「そぉう、灰魔素。しらなぁい?」
「確か魔法を使ったときに出る物質ですよね?」
「そのとぉり!正確には人間の体内を通った事がある魔素の総称だけどねぇ。
 君も知ってるとは思うけぇど、魔素というのは大気中にある物質なのよぉ。
 それを人間は自分用の魔力として変換し、それをさらに変換して魔法にしてるぅの。
 つぅまりぃ・・・二段階の変換をするわぁけね?
 とこぉろが、この魔素は変換されるとき残りカス・・・つまり灰魔素を出すのねぇ!
 まぁ使われずに体内から自然に排出された魔素や魔力も灰魔素って呼ぶんだけどぉ・・・
 知ってるよねぇ?」
「ええ・・・」
「さぁてもんだぁい!この銃、どうやって弾を発射してるでしょうか!?」
「どうって・・・このハンマーって場所で弾の後ろを叩いてその衝撃でじゃ・・・」
「おしぃ!それじゃあ40てぇん!
 正確にはハンマーで叩いた衝撃で弾の後ろにある発射装置が起爆。

 そぉの爆発で弾の前部分が飛んでいくぅのよぉ!
 筒についた螺旋状についた傷が弾に回転を与えて安定して飛行するのでぇす!」
「え・・・これ火薬じゃなかったんですか!?」
「火薬はまだまだ高いのよぉ?そう簡単には使えなぁいのでぇす!
 そこで起爆装置に自然の魔素をあらかじめ貯めて置いて、
 いざ使うときにハンマーで叩けば発射される構造を作ったぁの!」
「じゃ、じゃあ・・・」
「多分弾の発射装置から出た灰魔素が原因だねぇ!」
「だって・・・灰魔素はもっとこう・・・人が死ぬとかそういう物じゃ・・・」
「それは間違った情報!灰魔素は確かに死人が出たりする物質だけど、
 それが全てじゃあないのでぇす!
 そもそも灰魔素はなぜ体に悪いか?そぉれは灰魔素が自分と違う魔力を持っているからでぇす!
 他人というフィルターを通して来た魔素はいわば他人その物ぉ!
 それを自分の体に入れるんだからそりゃあ拒否反応ぐらい出るよねぇ?
 それが酷いと死ぬのさぁ!」
「で、ですが・・・ほかに不調らしい不調は・・・」

「そぉう!これはあくまでも人間の話ぃ!
 弾に込められている魔力はいったいどんな情報を持っているんだろうねぇ?」

 

そう言われて僕ははっとした。。
もしも・・・この脂肪も拒否反応の一種なら・・・?

 

「・・・賢ぉい子は好きだぁよ。そう、その脂肪こそ体の拒否反応なぁのね!」
「脂肪が・・・!?」

 

ビシィと僕の方を指差すキャレンシーさん。

 

「正確にはぁ・・・その脂肪を作ることが拒否反応なのぉよ!
 脂肪に灰魔素を溜め込むっていうね。
 まさか天才のこの私でもこの結果は予想してなかったねぇ!」

 

あははははと笑い出すキャレンシーさん。

 

「笑い事じゃないですよ!!どうやれば戻るんですか!?」
「さぁねぇ!君が魔法を使えるなら体内の魔素を放出すれば終わりぃだけど・・・
 君魔法の才能持ってるぅ?」
「・・・適正0でした」
「じゃあ無理だぁね!」

 

笑うキャレンシーさんを横目に、僕はぐったりとその場に倒れこむのだった。

 



 

あれから半年以上経った。
僕はここいらでも名が知られるようになるほどに成長した。
当然・・・あの銃のおかげである。
やはりあの手軽にエネミーを倒せるのは魅力的だった。
だが・・・その結果・・・

 

「ふっ・・・んんっ・・・は、はいらな・・・い・・・!」

 

僕は自分の部屋で先週買ったズボンと格闘していた。
この頃敵が強くなってきたこともあって服を買い換える速度が尋常じゃない。
一度ズボンを上げる手を下ろし、荒くなった呼吸を整える。
横目でちらりと鏡を見ると、そこに映るのは酷く太った僕の姿だった。
どでんと前に飛び出た胸に、その下から前にも横にも広がる腹。
腕や足はまさに丸太のようで、首元はついた肉のせいで一部のマントが装備できない程だ。
半年前の僕二人分以上はありそうな体を見つめたが、やがてむなしくなってやめた。

 

「・・・仕方ないからこっちの履くか」

 

一番サイズの大きいズボンを選びつつ、僕は机の上に置いてある鞄を見る。
僕の相棒で僕の一番の悩みの種だ。
僕はズボンを履くと、鞄を開けて中から銃を取り出す。

 

「・・・今日も洋服代稼がないとなぁ」

 

はぁっとため息をついてから、僕はギルドに討伐以来とか来ていないかを確認しに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

イザベル=ガナ
身長:141cm
体重: 41kg →  58kg → 147kg
  B:71cm → 87cm → 98cm
  W:53cm → 72cm → 137cm
  H:69cm → 88cm → 144cm


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