危険な光合成

危険な光合成

 

 

稲川 純(いながわ じゅん) 14歳 身長137cm 体重37kg
心優しく、やや天然な少女。友人の部屋に飾ってあった花を見つけて・・・

 

 

 

 

 

「お邪魔します」
「いらっしゃい。私の部屋は2階だから」

 

温度差で曇った眼鏡を拭いてから、私は靴を脱いで揃える。
初めて上がる夕子ちゃんの家は、ウチなんかよりもずっと広く見えた。
夕子ちゃんのお父さんは珍しい物を売ってお金を稼いでいるって夕子ちゃんは言ってたけど、
ここまで稼げる物なのかな?

 

「純?」
「あ、ごめん・・・今行く」

 

夕子ちゃんに促され、私は慌てて夕子ちゃんの方へと歩いて行った。

 



 

「わぁ・・・」
「ごめんね?パパのお土産だらけで狭いでしょ?」

 

夕子ちゃんの部屋は色んな物が置いてあった。
綺麗な壁飾りに、よくアニメで見るような縦長のお面。
本物か分からない何かの動物の骨に、変な模様の壺まである。

 

「パパったら私の部屋を物置かなんかだと思ってるのよ」
「そうかな・・・わざわざ買ってきたりしてるんだと思うよ?」
「だとしてもいい年の娘に買う物じゃ無いわよ」

 

言葉では嫌そうに言う夕子ちゃんだけど、その顔はニコニコと笑ってた。
きっと、夕子ちゃんもお父さんが好きなんだ。

 

「・・・あれ?あの植木鉢は?」

 

私が指さすと、そこには日が当たらないようにこっそりと置かれた花があった。
正確にはつぼみと茎だけの変な植物が、植木鉢から生えてた。

 

「ああ、あれ?なんかパパが言うには凄く珍しい花なんだけど、
 現地の人が『絶対に日光に当てるな!』って念を押した物みたい」
「なんで当てたら駄目なんだろ?」
「知らないわよ。とにかくウチの中で日が当たらない場所ってここか階段の隅とかだから
 “仕方なく”置いてるの」
「・・・そうなんだ」

 

どこか嬉しそうに言う夕子ちゃんを見て、私はくすっと笑った。
だって、日に当てないなら箱をかぶせておけば良いだけだもの。
きっとこれも夕子ちゃんのお父さんが夕子ちゃんの為に買ってきた花なんだろう。
でも・・・

 

「ちょっとかわいそう・・・」
「え?」

 

夕子ちゃんが急にこっちを振り向いた。
思わず呟いた言葉が夕子ちゃんに聞こえたみたい。

 

「あ、ごめんね。なんでもない」
「そう・・・?あ、飲み物取ってくるからここに居て」
「うん」

 

夕子ちゃんはそう言って部屋を出て行った。
私はあらためて花を眺めてみる。
図鑑で見たバラのつぼみに似てるけど、ちょっと違う感じ。
花の下の所はぽっこりと膨らんでいて、多分ここに実が出来るんだと思う。

 

「・・・やっぱりかわいそう」

 

一生このまま日に当たらない。
そう思ったら、なんだかこの花がかわいそうだった。

 

「・・・ちょっとぐらい」

 

ほんのちょっと。
ほんのちょっと日に当てるだけ。
私は植木鉢を抱えて窓際に立つと、カーテンを開けた。
夕日が綺麗に窓から入ってきて、植木鉢にキラキラとした光が当たる。
その直後だった。

 

『グパァ』
「えっ?」

 

花のつぼみが開いて、大きな口を私に向けていた。
かぶりと、私にかみつく花。
離そうと思って植木鉢を遠くへやろうと思ったけど、花は離れない。
そのまま私は、花にむしゃむしゃと食べられてしまった。
でも、痛かったのは最初だけ。
次第に痛くなくなってきて、寧ろ気持ちよくなってきた。
胸の奥が切なくなるような、そんな気持ちよさ。
お腹の奥・・・赤ちゃんの部屋が疼くような、そんな気持ちよさ。
気がつけば、食べられたはずの私は普通に立っていた。
周りは夕子ちゃんの部屋の中だ。
でもなんだかぼやけたまんまだ。
それにしても頭がくらくらする。
そんな事を考えていた、部屋の扉が開いた。

 

『・・・れ!?じゅ・・・どこにやった・・・!?』

 

目の前で夕子ちゃんが叫んでいる。
でも何を言っているかよく分からない。
・・・それに。
それに夕子ちゃんってとっても美味しそう・・・

 

『けーさつを・・・わよ!?ちょっと聞いて・・・!』
『いただきます』

 

私は夕子ちゃんにかみついた。

 



 

「い、いやだ!!助けてくれ!!」
『おにーさん・・・おいしそう・・・いただきまーす』

 

目の前に居るおにーさんをかじる。
おにーさんが何か叫んでいるけど、よく分からない。
私はおにーさんを食べ終えると、その場に座り込んだ。
お腹はまんまるに膨れあがって、ぷにぷにとやわらかくなってる。
胸はおかーさんよりも大っきくなって、先っちょを弄るとすんごく気持ちいい。
お尻はおっきな桃さんみたいで、触るとふかふかだ。

 

『・・・けぷ』

 

おにーさんを食べたから、お腹がぽこんと膨らんだ。
でもすぐにやわらかくなる。
そうするとまたお腹が空く。
さっきのおにーさんでもう20人・・・あれ?30人だっけ?
とにかく一杯食べてもすぐにお腹が減っちゃう。

 

『・・・おいしそうな人・・・いないかなぁ・・・』

 

当たりは真っ暗だけど、ライト無くてもよく見える。
私はゆっくりと道を歩いて行く。
新しいおいしい人を探すために。

 



 

『本日未明、○○県□□市で化け物を見たという通報が相次ぎました。
 通報をした人によると、植物のような肌をした140cmぐらいの背丈の太った
 人の様な物だと言うことです。
 付近では二人の少女が行方不明となっており、警察では関係性を調べています。
 では次のニュースです──』


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