とりあげるわだい

とりあげるわだい

 

 

神代 美鈴(かみしろ みすず)16歳 身長150cm 体重52kg
とある片田舎に住む高校生。ある日家の前に巨大な羽根が落ちてるのを見つけて・・・

 

 

 

 

 

「うわっ!!」

 

美鈴は突如響いたバササササと言う大きな音に驚き、思わず一瞬屈む。
顔を上げた彼女の視界にはちらりと鳥が近くの山へと飛んでいくのが見えた。

 

「びっくりしたぁ・・・随分大っきい鳥だなぁ・・・」

 

そんな事を呟き、道を再び歩き始める。
どこまでも続くのどかな田園風景を見ながら美鈴は歩き続け、やがて見えてきた自宅へと入る。
ふと、そんな彼女に見覚えの無い物が玄関前に落ちているのが見えた。

 

「・・・なにこれ?」

 

拾ってみると、それは特大の羽根であった。
クジャクの尾っぽを太くしたような形状のそれは、緋色の綺麗な色をしている。

 

「でっか・・・」

 

何気なくそれを持ちながら家に入った彼女は、ただいまと声を上げる。

 

「はい、おかえりなさ──」

 

それにいつものように応えて出てきた美鈴の母は、美鈴の持っている羽根を見て固まった。

 

「み、美鈴!!それどうしたの!?」
「あ、これ?そこで拾ったんだけど・・・」
「そ、そこって!?」
「玄関だけど・・・」

 

母の普段見ない焦った姿に疑問を感じる美鈴。
が、母の方はそれどころでは無いらしく慌てて居間の方へと駆けていった。
美鈴が気になってその後ろを追うと、母は電話でどこかに連絡している。
額には汗を浮かべ身体を震わせる母に、美鈴はなんともいえない嫌な予感を感じるのだった。

 



 

「・・・そうか、今回はお前さん所のか」
「・・・はい」

 

1時間後、美鈴は母や父を含めた大勢の大人に囲まれていた。
中には村長やら消防署や警察署の署長と言った明らかに場違いな“お偉いさん方”が居た。
美鈴の両親はそんな他の大人達と深刻そうな顔で何かを話している。
やがて話が終わったのか、大人達が一斉に美鈴を見る。

 

「・・・美鈴ちゃん、落ち着いて聞いて貰えるかな?」
「は、はい!」

 

村長が美鈴へと優しく話しかけるが、緊張した美鈴は身体をこわばらせるだけだった。

 

「・・・君はこの村の伝説を知っているかな?」
「伝説・・・って?」
「ああ・・・知らないよね・・・一応箝口令は出てるし・・・」

 

村長は少し困った顔をしてから、ゆっくりと話し始めた。

 

「昔・・・もう数百年前だが・・・ある日特大の鳥がやってきたんだ」

 

その言葉に、美鈴は先ほどみた鳥の事を・・・そして拾った大きな羽根のことを思い出した。

 

「その鳥は人の背丈よりも大きく、羽を広げれば数mにもなるという大きな鳥だ。
 その鳥は村人にこう言ったらしい・・・『生け贄を寄越せ』って」
「い、生け贄・・・ですか?」
「そう・・・その生け贄を寄越せば代わりに村を守ってやると・・・
 それも若い娘を差し出せと言ったらしい。
 当時の村人達は迷った挙げ句に一人の娘を差し出したそうだ」

 

思わぬ話に面食らう美鈴。

 

「そ、それで・・・?」
「その結果、村は大きな戦火も避けたし飢饉にも無事耐えられたという。
 だけど・・・10年後にまた鳥は来たそうだ・・・」
「・・・そ、その時も?」
「ああ。鳥は10年ごとに来るようになったらしい。
 こんな辺鄙な村だ。まして当時は今よりもずっとずっと平均年齢が短い時代だかね・・・
 いくら村が平和になったとしても人数がどんどん減ってしまっては本末転倒だ。
 ・・・それにどこの子供を生け贄にするかで揉めるからね。
 そこで村の人達は考えたそうだ。『どうすれば鳥に我が子を攫われずに済むのか』と」
「・・・」
「そこである頭の回る村人がこう言ったそうだ。
 『鳥が持って行けないほどに娘を重くすれば良い』とね」
「重く・・・?それは重りとかそう言うのを繋げてって事ですか?」
「いや・・・娘を太らせたそうだよ」
「な、なんで!?」

 

驚く美鈴に、村長は話を続ける。

 

「さっき言った村人がその鳥と交渉したのさ。
 『鳥よ!一つ勝負しよう!生け贄はそちらが選ぶといい!
  だが2ヶ月期間をくれ!その後なら娘を攫うと良い!
  だが攫えなければ生け贄は無しだ!』
 そう言ったそうだよ」
「む、無茶苦茶な・・・」
「そうだね・・・だが、鳥はそれを飲んだ。
 代わりに一つ条件を付けてきたけどね。
 『娘を村から遠ざけることもどこかに縛り付けることも重りを抱かせることも隠すことも
 殺すことも許さん。さすれば貴様等をこの身を賭してでも村ごと全てを焼き払う』ってね」
「それで・・・」
「そう・・・最初は美鈴ちゃんの言う通りどこかに閉じ込めたり木に縛ったりしようって
 話だったんだけどね。結局村人はその話を受け入れて生け贄になった子供に
 ひたすら食べ物を食べさせて太らせたのさ」
「・・・」

 

ここまで言われれば誰でも分かる。
先ほど拾った羽根はつまり、生け贄を決めたという合図なのだと。
その贄に自分が選ばれたのだと。
このままだと、自分は無理矢理太らされるのだと。
そう気付いた美鈴だったが、回りを見回して絶望した。
そう、何故こんな話をするためだけにこんなにも大勢の大人が集まったのか。
それは自分を逃がさないためだと気付いた美鈴は、
ただこの後のことを思いながらその場にへたり込むのだった。

 



 

「今は良いね・・・太りやすい食べ物もあるし、太る方法もある程度分かってるからね。
 ささ、食べてくれるかな?」

 

その日の夜。
村の外れにある小屋に連れて行かれた美鈴は、大量の食べ物に囲まれていた。
ラーメン、おにぎり、サンドウィッチ・・・
高カロリー・高炭水化物の山。
周りを見回せば何人かの大人が美鈴の事をまるで見張るかのように立っている。
怯えつつも、美鈴は村長に言われるがままに食べ物を食べ始める。
料理は旨い。
旨いが、この様な状況では折角の味も楽しめない。
美鈴はそう感じながらも食べ物を食べていく。

 

「・・・うんうん。食べてくれて嬉しいよ」

 

村長はしばらく美鈴の様子を見守っていたが、
美鈴がしっかりと飲み込んでいるのを確かめるとそう言った。

 

「・・・質問、いいですか?」
「なにかな?」
「ここに居たら・・・私を隠したことになりませんか?」

 

美鈴の質問に、村長は天井の方を指さした。

 

「大丈夫だよ。天井にあの鳥の羽根を貼り付けてあるからね。ここに居るって目印で」
「・・・そうですか」

 

打つ手なしか・・・
どうにかしてここから逃げだそうとしていた美鈴は、
早速自分の作戦が失敗した事を感じながらそう考えた。
こうやって鳥に狙われていることを利用しつつ、なんとか外に出れれば逃げだそう。
そう考えて居たのだ。

 

「・・・無駄なことはしないようにね?
 少しでも消費するカロリーを抑えて貰わないといけないから」

 

そんな美鈴の心を読むかのように釘を刺す村長。
美鈴は力無くはいとだけ答えるのだった。

 



 

そんな様子で過ぎた1日目。
食べ物を本格的に詰め込まれるようになって苦しかった2日目。
食べ物の量がさらに増えた3日目。
逃げだそうとして大人に殴られ罰として今までよりも更に多い量を食べさせられた4日目・・・
食べ物を残せば大人に罵声を浴びせられ、腹に食べ物を詰め込まれ、
一週間過ぎる頃には美鈴の顔から笑顔が消えていた。
それでも彼女に食べ物は詰め込まれる。
1ヶ月経つと美鈴の身体は明らかに体型が変わり、それを見て大人達は喜んだ。
丸く前へと出るようになった腹。
1回り以上大きくなった胸。
太さを増した首に丸くなった顎。
村の狂気を吸い込むかのように、美鈴の身体は大きくなっていく。
そして・・・

 

「・・・今日か」

 

村長の言葉に、わずかに残った美鈴の意識が反応する。
つまり、今日鳥が美鈴を攫いに来る日と言う事だ。

 

「・・・村長、どう思う?」
「・・・前回より少し足りないが、こんなものだろう」
「大丈夫か?万が一があれば・・・」
「それは無いだろう・・・さあ、この子を外に出すぞ」

 

大人達はその言葉に反応し、美鈴の身体を数人で持って外へと出す。
久々の日光を浴びた美鈴は、おぼろげな意識で自分の身体を確認する。
みっともない程垂れ下がった胸に股間を完全に覆い隠す腹。
腕を見れば細かった腕はそこに無く、有るのはまるで丸太のような太い腕だった。

 

「・・・いやぁああああああああああああああ!!」

 

ようやく自分の状態を確認した美鈴は、思わず叫び声を上げる。
逃げようと思い、美鈴は立ち上がろうとするが重くなった身体ではそれも満足に出来ない。
彼女はバランスを崩して地面に転がり、大人達はそれを何する訳でも無くただ見ているだけだ。

 

「・・・行こう」

 

誰かがそうポツリと呟くように言うと、他の大人達もそれに続いて歩いて行く。
やがて、一人残された彼女の耳に、バサバサという羽ばたき音が聞こえた。
それは徐々に大きくなり、やがてははっきりと真上から聞こえる様になった。
身体を転がし、上を見た美鈴の目に巨大な鳥の姿が見えた。
緋色のそれはそれは大きな鳥だ。
その鳥はゆっくりと美鈴の近くに降り立つと、少しずつ近づいてくる。

 

『・・・』

 

鳥は美鈴の姿を見ると、まるで哀れむような視線を向けて足のかぎ爪を使って美鈴を掴む。
そして・・・少し苦労しつつも持ち上げるのに成功した鳥は、羽ばたき飛び上がっていく。
美鈴は2ヶ月の苦労が無駄になった事を理解しながら、ある記憶を思い出していた。
昔、隣の家に住んでいた年上の姉貴分の女性が居た。
お互い姉妹のように仲良く過ごしていたのだが、ある日女性は突如姿を消した。
親に聞くと、『彼女は・・・病気にかかったの。だからどんな姿になっても友達でいて上げてね?』
と言われた。
その少し後に帰ってきた女性は丸々と太っており、薬の副作用だと聞かされた。
つまるところ、彼女も生け贄だったのだ。
その彼女はある日お見合いで結婚をして村を出て行った。
最後にあった時、彼女は美鈴にこう言っていた。

 

『この村をなるべく早くに離れなさい』

 

その時の美鈴には意味が分からなかったが、今思えばこの事を言っていたのだろう。

 

「・・・こんな事だったらもっと・・・もっと咲お姉ちゃんの言うこと聞いておけば良かった」

 

美鈴のその呟きは、夕闇が迫る空に吸い込まれていくのだった。

 

 

 

 

 

神代美鈴
身長:150cm
体重 52kg  → 73kg  → 119kg
 B:88cm → 96cm → 115cm
 W:59cm → 72cm → 103cm
 H:85cm → 98cm → 124cm


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