資格有る者へ

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ピューリ・マリオン 15歳 身長152cm 体重39kg
蝶よ花よと育てられたせいでわがままに育った貴族の娘。
伝説のドラゴンの肉を食べたがり・・・

 

 

 

 

 

「もう!まだなの!?」
「も、もう少しで届くとの話ですから!お嬢様どうか落ち着いて下さい!」

 

豪華絢爛な部屋の中。
人一人が寝るには大きすぎるベッドの上で一人の少女がジタバタと暴れている。
彼女の名はピューリ・マリオン・・・ここマリオン家の一人娘であり、超が付く箱入り娘である。

 

「うるさいわね!!私は今食べたいの!!」
「そ、そうは申しましても今こちらに運んでいる最中ですので・・・」

 

横にいる執事の言葉もピューリには効果がないようで、食べたい食べたいといつまでも叫んでいる。
その時、彼女達の部屋の扉がやや乱暴にノックされた。

 

「お嬢様!ドラゴンの肉が届きました!」
「本当!?」
「はい!今焼いておりますのでもう少しお待ち下さい!」

 

駆け込んできたメイドの言葉にがばっと飛び起きるピューリ。
執事はほっと胸をなで下ろし、ピューリはようやく届いたからか
先ほどよりは大分大人しくしている。
やがて香ばしい良い香りが廊下から部屋の中へと届き、
ピューリはそわそわと落ち着き無くなっている。

 

「お待たせいたしました、ドラゴンステーキでございます」

 

そして届いたドラゴンのステーキは、まさに驚愕の物だった。
厚さは10cm以上、横は30cm以上あろうかというまさに特大の肉。

 

「でかいわね・・・」
「これでも一番霜の乗った部分だけを選りすぐったのですが・・・何分元が大きいので・・・」

 

料理長がやや困惑した様子で説明をする。
ドラゴン。
この世界における生きた災厄。
大きな個体ともなれば全長は数十メートルを超え、村一つなら簡単に滅ぼすとも言われる生物。
幻想がはびこるこの世界においてもとびっきりの“幻想”。
その肉を喰らった者はドラゴンの力を引き継ぐとも、秘めた力を覚醒させるとも言われる。
ただ、この肉が出回ることは殆ど無い。
なぜなら、本来ならばドラゴンを討伐するなど不可能だから。
ドラゴンはその大半が恐ろしく高い山の上に棲んでおり、細い山道は大人数での挑戦を拒む。
そして個人、あるいは少人数での討伐など普通なら無理である。
この肉が出回る機会は食料を求めて降りてきたドラゴンを、国が軍を率いて討伐し、
研究材料として使われた体の残りが極稀に出る。
それも1gで牛20頭分ほどの価格でだ。
・・・では、普通なら出回らないこの肉がなぜここにあるのか?
それは・・・

 

「にしてもあの勇者っていうのは嘘じゃなかった訳ね」
「ええ・・・まさか単独でドラゴンを狩るとは・・・」

 

“勇者”。
ある時突如現れたその存在は様々な魔物を単独で討伐していった。
打倒魔王を掲げ、剣で全てを斬り伏せる。
“幻想”には“幻想”。
そんなでたらめな存在の力があってこそ、ここにこの肉があるのだ。

 

「私とそんなに歳は変わらなそうだったのに・・・」

 

ドラゴンの肉を取ってきて欲しい。
そう依頼する時に勇者と対面したピューリはその活躍を考えぶるっと身震いをした。

 

「・・・さぁお嬢様、冷めぬうちに」
「そ、そうね!早速食べるわ!」

 

執事に言われ、ようやくドラゴンステーキに向かうピューリ。
ナイフを入れようとして・・・

 

「ぐっ・・・ぐぐっ・・・!ちょっと!切れないわよ!!」

 

弾かれた。
あまりの肉の弾力のせいでナイフがまともに通らないのだ。

 

「い、今切り分けます!」

 

執事が肉どころか骨をも切れる特大の包丁を用意させ、
ピューリの言う通りのサイズにカットさせる。
やがて一口大に切られたそれを、ピューリは口へと運ぶ。

 

「むぐ・・・む・・・むー・・・んぐぐ・・・!」

 

だが・・・ナイフで切れない物がそう簡単に噛み切れる訳も無く、
ピューリは長い長い時間をかけてようやく一つ飲み込んだ。
そして・・・

 

「堅い!!こんなの食べられる訳無いでしょ!!」

 

そう言ってフォークを投げ出す。
そのままベッドの上に飛び乗り、もういらないと叫んでしまう。
その場に居合わせた料理人や執事はまたかという顔をして、
まだ湯気を立てるドラゴンステーキを持って部屋から出るのだった。

 



 

その日の晩、ピューリはあまりの寝苦しさに目を覚ました。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!!」

 

荒い息を繰り返し、寝間着を全て取り去る。
それでも滝のように汗を流し、ベッドの上で悶え苦しむピューリ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・うぐっ!?」

 

ドクン!と一際強く心臓が鼓動したかと思った直後、ピューリの体が大きく跳ねた。
ドクンと心臓が再び強く鼓動し、またもピューリの体が跳ねる。

 

【ぶくっ・・・】

 

体が跳ねた拍子に、ピューリの体が膨らむ。

 

【ドクン──ドクン──ドクンドクンドクンドクン!】

 

どんどんと早くなる鼓動。
それに合わせてビクンビクンと跳ね、ブクブクと膨らむ体。
平らな胸が、くびれていた腰が、細い足が。
腕が背中が尻が首が頬が。
体中の至る所に肉が付いていく。
あまりの苦しさに体を起こそうとするが、重くなった身体ではそれも満足に出来ない。
ようやく体を起こしたピューリだが、それ以上は重くなった体が許さなかった。
ベッドの軋む音が徐々に大きくなっていき、やがてそれは騒音と言っても
過言では無い音へと変わる。
そして・・・

 

【バキッ!!】

 

彼女が寝るには大きすぎたはずのベッドは、大きくなりすぎた彼女の体を支えきれずにつぶれた。
その上でさらに膨らむピューリ。

 

「あ・・・が・・・誰か・・・助け・・・」

 

闇の中でもやけにはっきりと見える視界で扉の方を見つつ、ピューリはそう呟くしか出来なかった。

 



 

翌朝。
いつも様に彼女を起こしに来たメイドの叫びを聞いて、
駆けつけた執事はとんでもない姿のピューリを見た。
一言で言えば肉の山である。
でろりと垂れ下がり、前に伸ばしているはずの足すら飲み込む腹。
まるで昨日までのピューリが片方に二人、丸まってぶら下がっているかのようなサイズの胸。
屋敷の柱とそう変わらない太さの足。
座高を高くし、同時に身動きを封じる尻。
分厚い肉で覆われ、いくつもの段を形成する背中。
首は消え去り、頬肉がみっともなく垂れ下がっている。
そして・・・肉で圧迫されて細くなった目は、まるで爬虫類を思わせる
縦長く細い瞳孔に変わっていた。

 

「お、お嬢様・・・?」

 

辛うじて髪型と肌の色で判断をした執事に、例の瞳が向けられる。

 

「た、たす・・・け・・・て・・・」

 

絞り出すようなか細い声。
間違いなく自分が使えるお嬢様である事を確信した執事は、
肉の礼にと泊めていた勇者の元へと走るのだった。
呼び出され、ピューリを見た勇者は噂は本当だったかとこぼした。
執事が尋ねると、ドラゴンを討伐するに当たって調べた文献の事を教えてくれた。
曰く、ドラゴンの肉は凄まじい魔力の塊で有る。
その魔力を受け入れられるだけの体が無い場合、その体は魔力に犯され竜へと変化すると。
食べた量が少なかったから、変化が中途半端に終わったのだろうと言う勇者の推測を聞いた執事は
なんとか戻す方法はないかと聞いた。
だが、勇者から返ってきた答えは無理だの一言だった。
魔力によって変化した肉体は普通には戻らないと。
それを聞いた執事は勇者に礼を告げた。
だが、その瞳に諦めた様子は無かった。

 



 

それから数年後が経った。

 

「おはようございます、お嬢様」
「おは・・よう・・・」

 

執事はいつものようにピューリを起しに彼女の部屋を尋ねた。
ピューリは数年で更に重くなった体を必死に動かし、執事に手を振る。

 

「今日の朝食はこちらです」

 

そう言って特大のワゴンいっぱいに盛られた数々の料理をピューリに見せる。
ピューリはその内の一つを指さし、執事は慣れた手つきでその料理をピューリの口元へと運ぶ。
それは親鳥が優しくひな鳥に餌を与える光景にも似ていた。

 

「味の方はいかがですか?」
「うん・・・美味しい・・・」

 

ゆっくりと咀嚼し、飲み込むピューリ。
それを見た執事は次の分を用意し、また口へと運ぶ。
ピューリはそれを咀嚼し、飲み込んでから口を開いた。

 

「いつも・・・ありが・・・とう・・・」

 

その言葉に固まる執事。
以前のピューリなら絶対に言わなかった言葉。

 

「・・・勿体ないお言葉です」
「そんなこと・・・ないわ・・・だってあなた・・・私の体の事・・・調べてるんでしょ・・・?」
「そ、それは私が勝手にやってることでして・・・」
「いいのよ・・・私、嬉しいの・・・こんな・・・体になって・・・みんな離れたわ・・・
 でも・・・貴方だけは私の事を・・・大事にしてくれるもの・・・
 だから・・・ありがとうって・・・ずっと言いたくて・・・」

 

口の肉で上手くしゃべれないのか、ゆっくりと・・・だがきちんとしゃべるピューリ。
そう、執事はこの数年間ずっとピューリのために動いていた。
仕事中はピューリの体の面倒を常に見て、
私的な時間はドラゴンの魔力と人の体について調べ回った。
体がドラゴンに変化しつつあるピューリはそんな執事の行動を
無駄に良くなった聴力で聞いていたのだ。

 

「・・・みんな、私の悪口を言うわ。
 でも・・・貴方だけは・・・言わないもの・・・だから、ありがとう」
「・・・お嬢様」

 

立ち尽くす執事に両腕をゆっくりと動かして広げるピューリ。
執事が彼女の胸の中へと入ると、ピューリはぎゅっと執事を抱きしめる。

 

「・・・これからも・・・迷惑かけるけど・・・お願いね」
「・・・はい!」

 

きっと戻してみせる。
執事はそうピューリの胸の中で再び誓うのだった。

 

 

 

ピューリ・マリオン
身長:152cm
体重: 39kg  → 8282kg → 11032kg
  B:74cm → 879cm  → 1013cm
  W:56cm → 1087cm → 1249cm
  H:73cm → 954cm  → 1108cm


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