ふさふさ尻尾に未来を乗せて

ふさふさ尻尾に未来を乗せて

 

 

安倍 幸道(あべ ゆきみち) 24歳 身長173cm 体重69kg
父が倒れたために仕方なく実家に戻ってきた青年。
家の脇に昔から有る祠に何気なくお供えをしたところ・・・

 

 

 

 

 

「あちぃ・・・」

 

ミンミンと五月蠅い蝉の声を聞きながら俺はとぼとぼと歩く。

 

「買い物すら大変だわ・・・これ・・・」

 

陽炎が立ちこめる道を眺めながら、俺はそんな事を呟く。
親父が倒れたのが1週間前。
ただの熱中症だというのに母さんが大騒ぎした結果、俺はこのクソ暑い時期に
このド田舎に戻ってくるハメになった訳だ。
都会のコンビニが懐かしい・・・

 

「・・・まぁ母さんだけじゃ大変だろうけどさ・・・」

 

畑仕事を一人でやるって言うのは大変だろう。
それは分かるんだが・・・だからって親父が特に問題無いなら帰っても良いと思うんだ。

 

「・・・いや、こっちが実家だしむしろ帰ってきた・・・のか?」

 

そんな下らない事を考えていると、ようやく自分の家が見えてきた。
先祖代々継いでいる無駄にでかい家・・・
脇にはなんでか知らないが祠まで置いてあるという家だ。

 

「・・・まぁ偶にはな」

 

母さんや親父も時々お供えしてるらしいし、俺もお供えの一つでもしておこう。
そう思い俺はさっき買ってきたお稲荷さんを皿に乗せる。

 

「確かここ、お稲荷様奉ってるって言ってたよな・・・」

 

母さんがそんな事を言ってた気がする・・・
まぁ違ったとしてもお供え物して怒る程器量の狭い神様は居ないだろ・・・多分。
適当に手を合わせて、拝む。

 

「・・・さて、家に入るか」

 

俺は額に流れる汗を軽く拭うと、家の中へと入っていった。
・・・後ろでカタンと揺れる祠に気付かないまま。

 



 

『コンコン・・・』

 

その日の夜。
俺は窓を叩く音に気付いた。

 

「・・・虫か?」

 

光に集まった虫が体当たりをかますのは良く有る。
最初はそう思って気にしなかったが、窓を叩く音はどんどんと大きくなる。
やがてそれはドンドンという音へと変わって行く。

 

「・・・おいおい」

 

まさか・・・出た?
時間は23時。
丑三つ時には少し早いだろ・・・
俺が身構えていると、窓の外から声が聞こえた。

 

「・・・はよう開けんかい!!」

 

・・・どうやら幽霊ではないらしい。
とは言えこんな時間に俺の部屋を訪れる奴に心当たりは無い。
俺は恐る恐る窓に近づくと、外を覗き込んだ。
そこには奇妙な格好をした小さな子供が一人立っていた。

 

「・・・」
「うむ、ここを開けよ」

 

無言でカーテンを閉める。

 

「にゃっ!?何をするか戯け!!」

 

外で騒ぐ幼女。
ドンドンと窓を叩く音が再開し、俺の耳に騒音を届ける。

 

「あーもう!分かった!開ける開ける!!」

 

仕方なしに窓を開けると、その幼女は怒った顔をしながら俺の部屋に入り込んでくる。

 

「全く!ワシをなんだと思っとるんじゃ!!」
「知らないし・・・初対面だろ・・・」

 

怒る幼女をなだめつつ、幼女の格好をまじまじと見る。
なんというか・・・色々と露出の多い格好で、酷く似合ってない。
まるで大人を無理して真似ているような・・・そんなちぐはぐさを感じる。

 

「・・・で、どこの家の子?迎えに来て貰うから教えてくれると助かるんだけど」
「・・・お主、本当に分かっとらんの・・・ワシはそこの祠の者じゃ」
「・・・は?」

 

そこの祠っつーと・・・

 

「冗談にしたって笑えないよ?」
「冗談な訳あるか。ほれ、コレが証拠じゃ!」

 

そう言うと幼女はぐぐっと体に力を入れる。
すると・・・

 

「おわっ!?」

 

急に幼女の体から尻尾と耳が生えてきた。
それはまるで・・・

 

「キツネ?」
「うむ!ワシこそ由緒正しき天狐が一人よ!」
「・・・それで・・・何のご用で?」
「実は一つ頼み事をしたくての・・・」

 

その一言で、俺は厄介事に巻き込まれたと実感するのだった。

 



 

「信仰を集める・・・ですか?」
「うむ。以前はワシもここでブイブイ言わせておったんじゃが・・・
 ここ最近は全く持ってワシを敬う奴がおらん!例外はお主とお主の親ぐらいじゃよ」
「ブイブイ・・・」

 

久々に聞いたぞその単語・・・

 

「まぁそんな訳でワシの姿もこんな様子じゃし・・・このままではワシが消えてしまう」
「消える?」
「まぁ色々有っての・・・ワシは本当の肉体を持っておらん。言わば魂だけの状態なのじゃよ。
 この状態では自力で力を溜めるのはほぼ不可能に近い。
 よって人々の信仰が力になるんじゃが・・・」
「ああ・・・良くゲームなんかである霊力が無いと消えちゃうっていうアレ・・・」
「まぁ概ねそんな所じゃ。頼む!お主だけが頼りなんじゃよ!!」
「・・・でもなぁ。急にそんな事言われても・・・」

 

正直言うと方法なんか全然思い浮かばない。

 

「頼む!!無論ただとは言わぬ!!
 力さえ戻ればお主にもいい目を見させてやれるのじゃ!!」
「いい目?」
「うむ、これを見よ」

 

そう言うと彼女は懐から一枚の写真をとりだしてきた。
古ぼけた白黒の写真・・・だが映っているのはそんな事を吹き飛ばすほどの美女だった。
すらりとした長身。
豊かな胸に肉付きのいい尻。
くびれた腰に妖艶な顔。
そんじょそこらのアイドルなんかじゃ足下にも及ばないレベルだった。

 

「それはワシの全盛期の姿じゃ。どれ、イカスじゃろ?」
「い、いやまぁ・・・それは・・・」
「ワシに力を取り戻させてくれたら・・・好きにして良いぞ?
 それも一晩とは言わぬ。いつでもじゃ」

 

その言葉に思わずゴクリと喉が鳴る。

 

「ほほ、契約成立でよいかの?」

 

俺の事を見ながら笑う彼女を見て、俺は恥ずかしくなる。

 

「・・・んん!わかりました!やれるだけはやってみます」
「頼むぞ。ワシはそろそろ戻るからの。その写真は渡してやるから大切にせいよ?」

 

そう言うと彼女はまた窓からゆっくりと外へと出て行く。
俺は手に残された写真を見てから、天井を仰ぐのだった。

 



 

「いんたーねっと?」
「はい」

 

翌日。
俺はまたもや夜にやってきたキツネ様に作戦を説明していた。
と言ってもそう難しい話じゃ無い。
いわゆる萌えキャラとしてキツネ様の写真をネットに上げるのだ。
そしてキツネ様の写真を量産、一枚一枚にキツネ様のサインを入れて売る。
可愛らしい見た目のキツネ様なら間違いなく売れるだろう。

 

「信仰はキツネ様の事を信じる人が居ればいいんですよね?」
「まぁ・・・そうなるの。ワシの事を敬う者がおればよい」
「それは可愛いという感情でも大丈夫ですか?」
「ぬ・・・それはどうじゃろうな・・・多分大丈夫だとは思うが・・・」
「ならいけます」
「そ、そうか・・・まぁワシに出来る事は何も無いしの。任せるぞ?」

 

俺の言葉に一応納得してくれたのか、キツネ様はそれだけ言うと後は何も言わなかった。
それから俺はキツネ様の写真を何枚も撮り、PCにドンドン取り込んでいく。
あらかじめ用意したSNSアカウントにその内の何枚かを上げ、様子を見る。
数日は特に反応が無かったが、1週間を越す頃には徐々に可愛いという声が届き始め、
1ヶ月過ぎる頃にはフォロワーが10万を越えた。
俺はここぞとばかりに写真を1枚200円で売り始める。
何人かは販売目的かと切ったようだが、何万という人から注文が殺到する。
最初の何枚かにはキツネ様のサインを書いて貰い、それを印刷して売る。
印刷代と売り上げはどっこいどっこい程度だが、キツネ様が日に日に元気になるのがわかる。
本人曰く、力の高まる夜しか現れなかったのが今では昼に散歩まで出来るというのだ。
実際彼女の顔は大分赤みがかり、健康になっているのが目に見えて分かる程だ。
いよいよかと期待したのだが、もう少し力を溜めると言ってキツネ様は祠に引きこもってしまった。

 

『心配せずとも約束は果たすから安心せい』

 

そう言ってから数日。
また何時ものように窓を叩き、窓を俺に開けさせるキツネ様。
よっこらしょと部屋に入ると、窓のカーテンを閉める。

 

「待たせたの」
「ま、まぁ・・・」

 

あんまりがっつかない用に装うが、期待から体がそわそわする。

 

「ふふふ・・・そんなに楽しみじゃったか?」
「う・・・そ、それよりまだ小さいままですね」

 

話題を無理矢理変えた俺に、キツネ様は笑いながら答える。

 

「折角じゃから目の前で変わってやろうと思っての。
 ・・・さて、準備はいいかの?」
「・・・はい!」

 

俺が答えると、キツネ様は最初尻尾と耳を見せてくれた時のように力を込める。
するとキツネ様の体が徐々に縦に伸びていく。
やがて胸が重々しく垂れ下がり、尻に程よく肉が乗っていく。
・・・のだが。

 

「むっ・・・しまっ・・・!!」

 

キツネ様のその声と共にキツネ様の体が弾けた。
大きくなっていた胸はまるでバレーボールの様に。
くびれていた腰は臨月の妊婦の腹のように。
程良いサイズの尻はだらしなく横に広がっていく。
足や腕にも肉が溢れ、アゴと頬にも贅肉が付いていく。
やがてキツネ様の変化が終わった時、そこにはまるで写真とは違う
ただのデブキツネが一匹居るだけだった。

 

「・・・キツネ様?」
「う、うむ!どうやら信仰が集まりすぎたようじゃな!御陰で体の制御が出来ぬわ!」

 

そうやって誤魔化すかのように笑うキツネ様。

 

「ま、まぁなんじゃ・・・その・・・揉むか?」
「揉みません!!早く痩せて下さい!」
「無理を言うな!!これは信仰のあれじゃから・・・」
「いいから!!散々期待させたんですからね!?」
「そ、そうは言うがこればかりはワシでもどうにも・・・」
「知るか!!」

 

俺の期待を・・・純情をもてあそびやがって!!
俺は怒りのままデブになったキツネ様に向かって怒鳴るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

キツネ様
身長:135cm → 173cm
体重:34kg →  179kg
B:76cm  → 127cm
W:61cm  → 154cm
H:74cm  → 148cm


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