近づき厳禁

近づき厳禁

 

 

小早川 香織(こばやかわ かおり) 16歳 身長161cm 体重49kg
親のパソコンを無断で使って夜な夜なオンラインチャットをする少女。
噂のチャットルームに興味本位で近づいて・・・

 

 

 

 

【午前2時9分に開かれるチャットルームに入ってはいけない。
 入ったら最後、二度と出られなくなる・・・】

 

そんな都市伝説を目にした。
私は占いとかが好きで、そう言うのが載ってる雑記を良く買ってる。
そこに載ってた都市伝説特集の中に有ったんだけど・・・

 

「二度と出られないならなんで話が伝わってるのよ?」

 

思わず突っ込んでしまった。
いくら何でも作りが雑で、思わず笑っちゃうほどだ。
他にあったのはケータイで午前4時に444にかけると地獄につながるとか、
Iモードのトップ画面がおかしくなる時があるとか。
なんていうか、アレな感じのばっかりだった。

 

「馬鹿みたい・・・」

 

とはいえ、こういうのがあるとそれを真似してやる奴もいる。
なら、それをからかうのも面白いかも。

 

「午前2時9分ね・・・」

 

幸い私にはいつも行ってるチャットルームがある。
・・・まぁパソコンは親のなんだけど。
明日は学校休みだし、チョットぐらい試してみるのもいいかもしれない。

 



 

「そろそろ時間だけど・・・」

 

いつものチャットルーム。
時計を見ると02:08の表示がある。
だけどチャットルームにはそれっぽい部屋はない。

 

「誰もやってないかぁ」

 

雑誌にはどのチャットルームでも発生する部屋と書いてあるけど・・・
やる馬鹿は流石に居なかったみたい。

 

「・・・あれ?」

 

ページを閉じようと思った時、丁度新しい部屋が建てられてた。
時間は、2時9分。

 

「・・・」

 

私は震える指でマウスを握り、入室するボタンをクリックした。

 

【かおりん さんが入室しました。】

 

表示されるいつも通りのチャットルーム。
すぐに部屋の主からメッセージが返ってくる。

 

【ミートゥ:こんばんはー^^】
【かおりん:こんばんはー】
【ミートゥ:建ててすぐ来るなんて思ってませんでした(笑)】
【かおりん:あははは(笑)】

 

・・・なんてことはない普通の会話。
別に何もおかしな所は無いし・・・

 

【かおりん:実はちょっと都市伝説が気になってて^^;】
【ミートゥ:都市伝説ってなんですか?】
【かおりん:なんか2時9分に建てられたチャットルームに入ると
      二度と出れなくなるって言うのが雑誌に載ってて・・・】
【ミートゥ:なんですかそれ(笑)
      あ、だからこんなに早く来たのか(笑)】
【かおりん:です(笑)】

 

「なんだ、偶然だっただけね」

 

やっぱり都市伝説は都市伝説だったみたい。
まぁそう面白い事なんて早々ないか・・・

 



 

そんなこんなで気がつけば時計が3時になっていた。
流石にそろそろ眠気が辛い。
この人とのチャットはまぁまぁ面白かったけど、そろそろ寝ないと無理だ。

 

【かおりん;ごめんなさい、そろそろ寝ます】
【ミートゥ:あ、じゃあ最後にこれ読んでみてください!】

 

そう言って彼がチャット欄に何かの文字を書いていく。
見たこともない文字で、読める訳でもないけど何となく目で追ってみる。
やがて文字が終わり、相手の文章が日本語に戻った。

 

【ミートゥ:これで貴方も外には出られない】

 

その一文にぞわりとした。

 

【かおりん;何を言ってるんですか?】
【ミートゥ:大丈夫、すぐに分かるから】

 

変な冗談はやめて下さい。
そう打とうとした時だった。

 

【ムクッ・・・!】

 

「え?」

 

指が、太くなった。
指だけじゃない。
腕も足もお腹も胸も。
体中がドンドン太くなっていく。
ムクムクと、まるで指先から水でも流し込まれてるみたいにドンドンと。

 

「ひっ!?」

 

思わず声が出る。
ミシリ、と椅子から音が鳴る。
ブチッと、パジャマのボタンが弾ける。
体にかかる重力がドンドン増えていく。
助けを呼ぼうと立ち上がろうとしたら体が重すぎて立ち上がれなかった。

 

「や、やだ・・・!!」

 

体が大きくなるのは止まらない。
指先は未だに太くなり続けてて、まるでソーセージみたいになってる。
ビリッと音を立ててパジャマの袖が破けた。
バキッと派手な音が鳴り、椅子の脚が折れた。
ドスンと床に尻餅を付く。
その瞬間、自分のお尻がどうなってるのかがイヤでも分かった。
体はまだ大きくなっている。
今度は床からミシミシ音がする。
ほっぺたが重くなってきて、呼吸がドンドンしにくくなってきてる。

 

【ミートゥ:これで貴方も仲間入りね】
【ミートゥ さんが退室しました】

 

その文字だけが、まるで死刑宣告みたいに画面の上にぽつんと表示され続けるのを
私はただ見るしかなかった。

 



 

私の体はドンドン太り、止まった時には全く自分じゃ動かせなくなっていた。
音に気付いて起きてきたママが私を見て悲鳴を上げ、パパが病院に電話した。
だけど・・・大きくなりすぎた私は玄関の扉から外に出られず、
そもそも重すぎてまともに動かすことも出来なかった。
周囲の目が気になるだろうと言う事で、私は急な皮膚病で
外に出ることが出来なくなったという事になった。
・・・でももうどうでも良い事だった。
まるでスイカが二個付いたような胸。
三つ折りの敷き布団を巻いたようなお腹。
普通の椅子じゃ支えきれないお尻。
足は丸太なんてモンじゃないし、腕は太すぎてまともに動かせない。
呼吸するのも一苦労な位に贅肉が付いたほっぺた。
400kg以上ある私の体は、もう何も出来ない。
ただ、時間を潰す為だけにパソコンでインターネットを眺めるだけの生活。
今更になってあの都市伝説の意味が分かった。
出られないというのはチャットルームからじゃないんだ。

自分の部屋から出られなくなるって意味だったんだ・・・

 

「・・・なんでよ」

 

なんで私だけがこんな苦しみを味わないといけないの?
友達とも会えないし、こんな体じゃカレシも出来ない。
なんで?あの部屋を興味本位でのぞいたから?
・・・なら、私だけじゃなくても良いはずだ。
だったら・・・
だったら私以外も太ればいいんだ・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小早川香織
身長161cm
体重 49kg  →  432kg
 B:83cm  → 135cm
 W:56cm  → 219cm
 H:89cm  → 269cm

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2時9分のチャットルーム・・・かぁ。本当にあるのかな?
 ・・・って、これ・・・この部屋2時9分に建ってる・・・
 ・・・えいっ!」

 

【みかみりん さんが入室しました】
【みかみりん:こんばんは】

 

「反応は・・・?」

 

【かおりん:こんばんは^^】


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