這い寄るというか腹寄る混沌

這い寄るというか腹寄る混沌

 

 

「まっひろさ〜ん!」
「ええい!くっつくな!」

 

いつも通りの八坂家。
ニャル子が真尋にひっついて真尋が引っぺがす。
そんないつも通りの光景。

 

「ふっふっふ・・・!今日から暫くはクー子は宇宙格闘ゲーム大会で居ないし
 ハス太君はルーヒーと一緒に旅行。お義母さまは教授に依頼されてハンティング。
 つまり私と真尋さんの邪魔をする者は居ませんよ!」
「ええい!だからといってべたべたするんじゃ無い!」
「ふぇっふぇっふぇ!さぁ真尋さん!あっっつううい!キッスをくだサゴーゾ!」

 

ニャル子の暴走についに真尋はフォークを抜く。
0フレームで放たれるその攻撃は流石のニャル子もそう簡単には避けられない。

 

「ったく・・・なんだってお前らはそう静かに出来ないんだ」
「なにを言っているんですか!私の愛はこの程度では止められませんよ!
 なんたって宇宙規模ですから!英語で言うとユニバァアアアアス!」
「はいはい・・・とりあえず僕は宿題やるから邪魔するなよ?」
「えー?もっとこうイチャイチャしましょうよ〜」
「嫌だよ」
「即答ですか!?」

 

あーでもないこーでもないと騒がしい二人。
これまで色々有ったが真尋的にニャル子が嫌いかどうかと言われればまだはっきりとしないのだ。
とはいえ向こうは邪神。それこそちょっとでも甘くしたらどうなるか分かったものでは無い。

 

「あーもう・・・宿題終わったら付き合ってやるから少し待ってろ」
「絶対ですからね!宿題が終わらないから無理っていって誤魔化したりしないでくださいよ!?」
「しないから部屋で待ってろ。というかニャル子も宿題しろよ」
「大丈夫です!生体加速がありますから!」
「お前本当にチートだな・・・というかそれ弁当作るときしか使えないって設定どこいったんだよ」
「それは・・・その!あれですよあれ!修行してパワーアップした的な!」
「いつ修行をしたんだよ。ずっと僕たちと居ただろ」
「そ、その・・・混迷たる精神と時の不浄な部屋にこもりまして!
 ここでは外の一時間が一年になるという!」
「じゃあお前何時間籠もったんだよ」
「えっと・・・軽く2、3時間ほど・・・」
「じゃあお前もう20代後は」

 

真尋が言い終わる前にがしっとニャル子が真尋の両肩をつかむ。

 

「真尋さん、言って良いことと悪いことがあります」
「それはお前らに言いたい」

 



 

「で、なんで僕の部屋なんだ?」
「いえ、やっぱり恋人同士、お部屋でまったり過ごすのも良いかと」
「誰が恋人だ誰が」

 

真尋が宿題が終わらせ、背伸びをした瞬間にニャル子が部屋に突入してきた。
どうせいつもの宇宙的なんちゃらで盗撮でもしたんだろう。
そう考えて真尋はとりあえずフォークでニャル子を刺しておいた。

 

「まぁまぁいいじゃないですか。偶にはゆっくりしましょうよ」
「ったく・・・」
「ところで真尋さん?」
「なんだ?」
「・・・しません?」
「・・・何をだ?」
「そりゃぁもちろんこ・づ・く・りでストロンガー!?」
「下らない事言うんじゃ無い!」
「うぅ・・・じゃあ一体どうすればいいっていうんですか!?」
「まず僕を巻き込むのやめろよ」

 

ニャル子のふざけた台詞にとりあえず鉄拳制裁を加えておく真尋。
こいつらがもう少しまともなら・・・
そう頭の中で思っても言えば図に乗るのが目に見えてるから言わない辺り真尋はやはりツンデレなのかもしれない。

 

「で、では!何か条件を出してください!
 それに私が応えられたら多少はデレてくれても良いじゃ無いですか!?」
「なんでそんな上からなんだよお前」
「十分下手ですよ!?」

 

ふと真尋に良い考えが思い浮かんだ。
俗に言う「私に良い考えがある」状態だ。

 

「・・・判ったよ、じゃあ僕が出す条件に応えられたらいいぞ」
「ほ、本当ですか!?嘘じゃ有りませんよね!?」
「ああ、本当だ」
「で、で、では・・・その条件というのは!?」
「それはな・・・」

 



 

「ふぅ・・・流石にお腹一杯になりますね」
「まぁそりゃそうだろ、それだけ食えば」

 

二人は少し早いが夕食にしていた。
勿論いつものごとく真尋お手製の料理だ。
だが、ニャル子の量がおかしい。
それは真尋が出した条件の所為だった。

 

『1・今後変な食材を出さない
 2・なるべくクー子と仲良くする
 3・クー子達が帰ってくるまでにできるだけ太る。正し、体を変化させるのは無し。
   ちゃんと食べて太ること』

 

この三つだ。

 

『なんです?この条件。1と2は何となく判りますけど・・・』
『いや、お前僕の子供産むとかどうとか言ってたよな?』
『え、ええ・・・そりゃ産みたいですよ』
『ってことは体型が変化するんだよな』
『そりゃまぁ・・・』
『じゃあ太ったりもするのかなって』
『も、もしかして・・・それだけの理由ですか・・・?』
『勿論それだけじゃ無いぞ』
『で、ですよね!』
『太ったらお前のその尖りすぎた性格も丸くなっておとなしくなるかなと思ってな』
『・・・』

 

そんな会話が有ったりなかったり。

 

「うー・・・ちょっと気持ち悪いですね」
「条件出した僕が言うのもなんだけどあんまり無茶はするなよ?」
「ふっふっふ・・・!真尋さんのデレの為ならこの程度の無茶ぐらい!
 そんな道理、私の無理でこじ開けてやります!!」
「ま、お前が良いって言うなら良いけどな」
「・・・でも少しは心配してくれても」
「あ?」
「ごめんなさいなんでもないです」

 

なにはともあれ、こうして徐々に奇妙な生活が始まった訳である。

 



 

「で、一日経った訳だけど」
「ええ、経ちましたね」
「太りすぎだろお前、なんで15kgも太ったんだよ」
「いやーあれだけ食べればそりゃぁこうなりますって」
「いやいや、おかしいだろ。お前の身体どうなってんだよ」
「ニャルラトホテプですから」
「わけわかんねぇ・・・」

 

あの条件付けが開始されてから二日目。
順調過ぎる位太りだしたニャル子。
そりゃ指定が『出来るだけ』なのだ。
かなりハイペースになるだろう。
15kg。表記上では軽く見えるがそれだけの肉が付けばシルエットは一回りほど変わる。
4〜5kgでも結構印象が変わる物だ。
とはいえ、元が出るところは出て、引っ込むところは引っ込むタイプの体つきだ。
精々ふっくらした体型程度で済むだろう。
もちろん制服なんかは入らないが、まぁ学校も長期休暇中なので問題は無いだろう。
所謂シルバーウィークなんて呼ばれる期間なのだ。

 

「・・・」

 

真尋はじっとニャル子を見つめている。

 

(ふにっとしていてやわらかそうだな・・・)

 

ふと、変な考えが頭をよぎる。
頭をブンブンと振ってそんな考えを消す。
自分がニャル子を太らせるようにしたのは少しでもこいつの変な行動が収まればと思ってのことだ。
そう自分に言い聞かせる。

 

「真尋さん?どうかしましたか?」
「な、なんでもない!ほら!朝食食べるぞ!」
「あ!待ってくださいよ!」

 



 

その後も順調に太りつづけるニャル子。
三日目にはさらに+20kg。
四日目にはさらに+18kg。
こうしてどんどんと太るニャル子を見ると真尋はなんだか変な気持ちになるのだった。
そしてクー子達が帰ってくる前日・・・

 

「では!お待ちかねの計測タイムです!」
「お、おう・・・」
「な〜に緊張してるんですか!ささ!行きますよ!」

 

『ギシッ・・・ギシッ!』

 

ゆっくりとニャル子が体重計に乗る。
メーターの針がカラカラと音を立てながら動く。
結果は・・・

 

「・・・137kgです!」
「・・・」

 

真尋はマジマジとニャル子を見る。
元々大きめの胸だったニャル子。
これがまた大きく育った物だ。
メロン大なんて言葉があるが、これはバスケットボール大だろう。
このサイズながら垂れずにハリのある見た目だ。
その下の腹は服に入らないのか、それともわざと出しているのか。
兎にも角にもすごい大きさだ。
手を押し込んだら手首まではずっぽりと肉の中に埋もれそうな分厚さだ。
その腹と一緒にスカートを挟み込んでいる尻は巨大な桃のようだ。
安産型という言葉を突っ切ったようなそのサイズは某有名昔話に出てくる子供が入ったあれを彷彿とさせる。
当然その下にある太ももは大きく、太くなっており、昔のニャル子のウェスト位有りそうだ。
いや、もしかしたらそれ以上に太いのでは無いかと思える。
二の腕なんかも動く度にブルンブルンと揺れる程に太くなった。
頬も目を狭めるほどに太くなり、顎へと丸いラインを描くようになった。
その顎は二重顎であり、さらに首との境目が見えない程である。

 

「真尋さん?」
「あ、いや・・・」

 

真尋は混乱していた。
そもそもこの計画は自分を試す試金石だった。
流石に自分には太った女性に対して欲情するようなアレは持ち合わせていない。
だから彼女が太れば彼女に対してのこの訳の分からない感情が薄れるはずだった。
だが実際はこの姿の彼女に対してもまだ持っている。
それどころか寧ろ強くなった気もする。
つまり、この姿になってもニャル子の事が気になるならそれは彼女のことが好きなのだ。
さらに自分には所謂デブ専の気もあったらしい・・・
(認めたくないな・・・若さ故の過ち・・・)
などと真尋が考えているとニャル子がにやりとしている。

 

「・・・ふふふ」
「な、なんだよ急に笑ったりして」
「いえいえ、何でもありませんとも〜」

 

そうやってぎゅっと真尋の腕に抱きついてくるニャル子。
そのやわらかな身体に包まれると真尋はなんだか妙な安心感を感じていた。

 

「さて真尋さん!これで合格ですかね?」
「う・・・で、でも他の条件もきちんと実行しろよ!」
「勿論ですとも!このニャル子、
 今まで一度でも真尋さんに嘘をついたことがあったでしょうか!?」
「お前自分の胸に手を当てて考えてみろよ」
「自分で揉んでもちっとも気持ちよくありません!
 ささ、真尋さん存分にじっくりと揉みほぐシャバドゥビタッチヘーンシーン!!」

 

ニャル子のふざけた台詞にいつも通りフォークを突き刺す真尋だった。

 



 

その後クー子とハス太、頼子が帰宅してクー子が大騒ぎし、ハス太が自分も太ろうとして頼子がそれを見つめるなんて騒ぎもあったが、大まかには平和だった。
学校の方もニャル子が急激に太った事で大騒ぎになるかと思ったが例の結界とやらのお陰で特に問題なく終わった。

 

「ささ、真尋さん!授業も終わりましたし、いざ寄り道へ!」
「ふざけんな、偶には普通に帰させろ」
「・・・少年。その年で行動をやめてはいけない」
「お前らが年の割に落ち着きがないだ・・・熱い熱い!」
「・・・少年、口は災いの元ってなんで判らないの?」
「お前らが騒がなければいいだけだろ!」

 

いつも通りの光景。
邪神3人が騒いで、真尋が振り回される。
だが、いつもと少しだけ違う。

 

「ったく・・・ほらニャル子」
「へ・・・?」
「手、繋いでやるって言うんだよ」
「・・・少年?」
「真尋君・・・?」

 

真尋の予想外の行動にみんな固まる。

 

「あーもう!ほら!行くぞ!」

 

真尋自身恥ずかしくなってきたのかニャル子の手を強引につかむとそのまま走り出す。

 

「あ、はい!ええもうそりゃどこまでも!ついでに教会まで行きましょう!ええ!そりゃもう!」
「・・・少年、ニャル子とどこに行くつもり?そんなことして許されると思ってるの?
 答えは聞いてないけど」
「あ、待ってよみんな〜」

 

少しだけ違う。
今の真尋の精一杯のデレ。
この先はまだ誰にも判らない。
真尋にも、ニャル子にも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニャル子成長記録
身長:167cm
体重:42kg → 137kg
B:86cm → 128cm
W:54cm → 137cm
H:76cm → 119cm


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