ソウルの業は・・・

ソウルの業は…

 

 

王の眠る地、ロードラン。
炎の時代を開いたとされる王グウィンの住まうそこは、選ばれた不死人のみがたどり着ける場所である。
そして・・・彼女もその一人・・・

 



 

 

「・・・勝てない」

 

私は篝火に当たりながら考え込んでいた。
北の不死院から幸か不幸か、出ることが出来、ここロードランの地を踏むことが出来た。
まではよかったのだが・・・

 

「あんなんどうやって勝てばいいのよ・・・」

 

不死の使命・・・なし崩し的とはいえ、私は彼の使命を請け負った。
目覚めの鐘を鳴らせ・・・息絶える前に聞いたそれが不死人の使命だと。
その鐘が不死教会の上にあると聞き、私は挑みに行ったのだけれど・・・

 

「何だってガーゴイルが二体もいるのよ・・・」

 

足止めを食らっていた。
ガーゴイル。石像であり、羽の生えた化け物。
鐘を守っているのか、それともこれも試練なのか、そいつらが襲ってくる。
それも二体も。
同時というわけではないが、片方がピンチになると颯爽と二体目が駆けつけてくる。
おまけに火まで吐くし・・・

 

「・・・はぁ。どうやって勝てばいいのよ・・・」

 

私は自分の細腕を見る。
元々痩せ形ではあった。まぁ剣が握れないほどではなかったけどね。
だが、ここに来てからは自分の力不足に悩んでいる。

 

「・・・ソウルかぁ」

 

ソウル。魂とでも言うべきそれは、篝火を通して自分の体を強化してくれ、武器や防具を強化・修理するときにも使える。
ソウルのおかげか、防具はどんな体系でもぴったりになるし、
素人でも鍛冶道具さえあれば簡単に手直し改造ができるのもソウルの利点といえる。
・・・まぁさらに強化するには特殊な種火がいるらしく、流石にそこまでは出来ないけど・・・
それゆえに通貨としても使用できるほどの価値を持っている。
むしろここでは金貨など何の役にも立たない。
ちまちまと稼いではいるのだが、少しばかり体を強化したところで焼け石に水なのが現状である。

 

「人を喚んでもいいけど・・・私がそもそも生き残れないんじゃ意味ないわよね・・・
 人間性もないし」

 

人を喚ぶ・・・以前知り合ったソラールという人物が言っていた。

 

『ここはまったくおかしな場所だ。
 時の流れが淀んで、100年以上前の伝説がいるかと思えば、
 ひどく不安定で、色んなものがすぐにずれやがる。
 貴公と俺の世界も、いつまで重なっているか、分からない』

 

つまり、この場所はほかの世界の人とも出会える場所だという。
そういう人たちの中にはこちらに協力してくれる人もいるのだとか。
だが、そういう人たちを頼るには人間性を持ち、人でなければいけない。
人間性は人が人であるための物だというが、理性とかそういったものが集まったものなのかな?
詳しくは分からないが、とにもかくにも現状人間性のストックは無いに等しい。
今他人を召喚するのは賭けとしてはやや分が悪い・・・

 

「はぁ・・・どうしよ」

 

私はため息をつき、しばし篝火を眺めた。

 



 

「おや・・・珍しい。生身の人間に会ったのは久しぶりだ」
「・・・どうも」

 

炎の祭祀場。ロードランで私が最初に足を踏み入れた場所。
そこには使命を果たすことに絶望した人がいる。
その人に相談しようと思っていたのだが、目の前の篝火に男性がいた。
格好からしてどうやら魔術師のようだ。
私よりもひょろりと細く、節くれだった杖を持っている。

 

「どうかな?これも何かの縁だ。少し話でも」
「・・・」
「そう警戒しないでくれ。君を襲っても何のメリットも無い」
「どうかしらね。装備を剥ぎ取るぐらいはできるんじゃない?」

 

剣に手をかけ、ややにらみつけるようにしながらそういうと、男性はやれやれといった表情をし、杖を横に置いた。

 

「これで満足かい?」
「・・・いいわ。話だっけ?」
「ああ、長い間人と話さないと人間性が無くなる気がするよ」

 

私は男性からやや距離を置いて篝火の近くへと座った。

 



 

「なるほどね・・・」

 

男性との会話は意外にも弾んだ。
私も意外とさびしがりだったということか・・・

 

「そうだね・・・ひとつ心当たりがある」
「心当たり?」

 

彼はそういうと手荷物から一冊の本を取り出した。

 

「ちょっと見つけたものでね。これにソウルの効果を高める魔法が載っているんだ」
「効果を高める・・・?」
「そう。簡単に言えば体に取り込むソウルの量を増やし、
 ソウルによる肉体の強化をより効率的に行えるんだ」
「・・・すごい」
「どうだい?やってみるかい?」
「・・・」

 

男性の誘いに、私は迷った。
魅力的だとは思う。
だが、知り合って間もない彼をどこまで信用して良いものか・・・

 

「迷うのは構わないけどね、僕だっていつまでもここに居れるとは限らないんだよ?」
「っ・・・!分かったわ。それをやって頂戴」

 

気づけば、私はそう答えていた。

 



 

「はぁぁぁああ!!」

 

地面を踏みしめ、目の前の亡者に向かって剣を振り下ろす。
布を裂き、肉を断つ感触が腕に伝わる。
悲鳴にも似た断末魔を上げ、亡者兵士が倒れる。
同時に・・・

 

【ぶるんっ!】

 

胸と腹が踊るのが分かる。
少し前までは無かった脂肪が揺れる。
あの男に魔法を受けた結果だった。

 



 

『この魔法にはデーモンのソウルを使う。君は持ってないようだし今回は僕のを使おう』
『・・・いいの?』
『うん。僕としては実験できればそれで構わないさ』

 

そういって男は私の体をいじくった。
結果から言えば、確かに私の体はソウルをより吸収しやすくなった。
さらに強化の度合いも実感できるほどに変わった。
だが、それは・・・

 

『まさか副作用でこうなるとはね・・・』

 

ソウルを直に体に吸収させるということであった。
本来・・・うまく説明できないが、ソウルは一旦どこかへ溜められる。
それを篝火という物を通して体へと変換するのだけれど・・・
それが直接体にぶち込まれるのだ。
そして、それは脂肪という形で私の体に纏わりついていた。
それどころか、自分が伸ばしたいと思う能力が勝手に強化されるのだ。
一応、商品の売買は可能だし、武器の強化にソウルを使うことも可能だ。
だが、どういうわけだか一度膨らんだ体は元には戻らなかった・・・

 

「・・・私もうかつだったわね」

 

篝火で休みながら、私はため息をついた。
あの男とはあれ以降会っていない。
うまいこと世界のずれとやらがかみ合わないと会えないのだ、仕方ないとは思う。
思うが・・・

 

「あいつならこの体のどうにかできると思うと・・・もう一度会いたいと思うのよね・・・」

 

私は体を見回しながら、そうつぶやいた。
細身だった私の体は、気づけば大分太くなっていた。
どんと突き出た胸に、ぼっこりとしたお腹。
むっちりとしすぎた太ももに、大きくなったと実感できる尻。
二の腕も少したぷたぷしてきた。
これ以上ソウルを吸ったらどうなるのか・・・

 

「・・・でも、約束したしなぁ」

 

北の不死院で出会った騎士。
彼との約束を破りたいとは思わなかった。
元々約束を破るなときつく躾けられたのもあるが、最後の望みぐらい叶えてやりたかった。

 

「それに、ここじゃほかに事やることないしね」

 

私は一度教会の方に視線を向けると、再び敵の討伐に向かった。

 



 

【ゴーン・・・ゴーン・・・ゴーン・・・】

 

「これで二つ目・・・」

 

病み村の奥底。
私は二つ目の鐘を鳴らしていた。
ガーゴイルを倒し、鐘を鳴らした私は最下層と呼ばれる街の下を通り、毒の沼と化した病み村を渡った。
そして・・・蜘蛛女を倒し、鐘を見つけたのだ。

 

「・・・にしても・・・暑いわね・・・」

 

近くを覗けば溶岩が見える。だが、この熱気はそれだけではないだろう。
ここにくるまでにかなりの敵を倒した。
そうなれば・・・

 

【ぶにょん】

 

「太ったわねぇ・・・」

 

自分の腹を摘むと、まるで分厚い歴史書のような厚みの贅肉が掴める。
その太鼓腹の上に乗る胸は以前食べたスイカと呼ばれる果実のよう。
尻は軽くたたくとぼよんと揺れるし、太ももは軽く足を開かないと閉じられなくなった。
二の腕は最近腕を曲げるときに干渉するようになったし、鏡を見てないから分からないけど、あごの辺りもやばそうだ。

 

「・・・まぁいいか。これで道が開けたはずだし・・・王様の所まであと少しよ」

 

この先のことを考えながら、私は来た道を戻っていった。

 



 

「ふひぃ・・・ふひぃ・・・」

 

歩くたびに汗がだらだらと流れ出る。
一歩ごとにずしんと、この前戦ったスモウのような足音がする。
そのたびに体中の肉という肉が揺れる。
普通なら歩くことも出来ないような肉の塊。
それが今の私だった。
鐘を鳴らし、祭祀場に帰った私はフラムトという蛇の話を聞き、センの古城を抜け、アノールロンドへとたどり着いた。
そしてそこでオーンスタインとスモウと戦い、グウィネヴィア様とであった。
私は王の器を授かり、グウィネヴィア様の言う通り炎を継ぐための旅をしている。
これが不死人の使命だということらしい。

 

「あっっついいい・・・」

 

そして今、イザリスと呼ばれる地を目指し、私はマグマのすぐ横を通っている。
こんな体だが、ソウルのおかげか、それともデーモンのせいか、私の体はほかの人と大差ない程度に動ける。
いや、もしかしたらそこら辺の人よりも機敏に。
だが・・・

 

「で・・・でぶには・・・はぁはぁ・・・暑いのはだめなのよ・・・」

 

息も絶え絶えに、私は篝火を目指して歩いていた。

 



 

篝火で一息つき、私は体を拭くために一度装備を外していた。

 

「うっ・・・太ったわねぇ・・・」

 

布で汗を拭き取る度に自分の身体が醜くなったことを実感する。
下品な程飛び出た胸。重さに負けて少し垂れてきてる気がする。
それを支える腹はまるではぐれデーモンの腹を思わせる。
肉がつきすぎて、上手く後ろを振り向けないから見えないが、お尻も相当だろう。
当然その下の太もももだ。
二の腕は既に昔の私の腰周り程あり、指はまるで太い芋虫のよう。
首の辺りを触ってみると、顎と一体化して、もう何が何やらである。
頬は肉であふれ、多分目も大分細まっているだろう。

 

「・・・こんな体で本当に奥まで行けるのかしらね・・・?」

 

暫し考え込んだ後、私は装備を調え再び奥へと向かった。
今更考え込んでも仕方ない。もう元には戻れないのだから。

 



 

「ぶひぃ・・・ぶひぃ・・・これで・・・終わったのね・・・」

 

肩で息をしながら、私は目の前に現れた火のついてない篝火を見つめた。
最初の火の路と呼ばれるロードランの地下深く。薪の王グウィン様を倒し、私は自分の旅の終わりを感じていた。
イザリス、巨人墓場、結晶洞穴、小ロンド遺跡。
王の器に分け与えられた王のソウルを捧げ、この地へ。
この旅の終わりの地へようやくやってきたのだ。
私は息を整えると、ゆっくりと篝火へと歩き出した。
ずりずりと、自分の腹を引きずる音が聞こえる。
地面に下腹が付き、一筋の跡となって地面に残る。
一歩、また一歩と進む度に私の体がまるで弾むように揺れる。
肥大化しすぎて先が見えない胸、地面についてしまった腹。
前に出た腹と違い、横に飛び出ていく太もも。
垂れ下がり、最早何か分からない尻。
肘が殆ど曲がらない程になってしまった二の腕。
最近は太くなりすぎて件を握るのも一苦労になった指。
肉が圧迫しすぎたのか、最近は喋るのも辛い。
だが、こんな体でも動いている。

最早、私は人では無い。
ならば・・・せめて彼の意志を・・・
私は長い時間をかけて篝火にたどり着くと、炎を継いだ。
この体に詰まったソウルならば・・・きっと・・・長く・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身長:170cm
体重:48kg → 57kg → 95kg  → 180kg → 1120kg
B:85cm → 96cm → 113cm → 134cm → 287cm
W:56cm → 68cm → 101cm → 152cm → 397cm
H:81cm → 89cm → 109cm → 148cm → 369cm


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