猫の白黒 シナリオ

猫の白黒 シナリオ

「猫の白黒」

 

 

1・あらすじ
探索者達が訪れた島には不思議な二つの伝説が残っていた。
猫と人魚の伝説の謎とは。

 

2・シナリオの導入
物語の舞台は現代日本の『寝子島』と言う小島。
人口二千人程の静岡の南に位置する小さな島である。
探索者達はこの島に様々な理由で訪れるだろう。
長期休暇で観光に来たでもよし、取引の仕事で来たとしてもよしである。
PLが悩む様であれば、KPは探索者を探偵にし、人捜しでこの島に来させると良いだろう。
島の主な財源は漁業である。一年を通して豊かに魚が採れ、うなぎなんかが網にかかることもある。
またこの島には猫が多いことが有名である。理由は『猫の伝説』を参照すること。
探索者達が訪れる時間はKPに任せるが、なるべく昼間にする方がいいだろう。

 

3・人攫い
現在日本では、数ヶ月に一度若い女性が攫われている。
ある日突然消えてしまい、今の所確たる証拠も無い。
テレビでも連日取り上げられ、一説では『悪魔の仕業ではないか?』という噂まで飛び出している。
探索者が探偵ならば、攫われた女性の知り合いから捜索の依頼が来て、それを追ってこの島にたどり着いたとしても良いだろう。
最後の目撃情報がここであるなどKPは適当に情報を出すこと。

 

4・“猫島”
この寝子島には二つの伝説が有り、それと関係して猫島とも呼ばれる。
猫の数は一説によると、野良猫を含め千匹以上居るという話もある。
実際、島の各所で猫がくつろぐ姿が見られる。

 

5・人魚の伝説
この島にある伝説の一つで、昔村の若者が人魚と恋に落ちたという伝説がある。
この人魚と恋に落ちた若者は、親の反対を振り切り人魚と駆け落ちをしたという。
その際人魚は島の奥にある洞窟に住み着いたと言われている。

 

6・猫の伝説
この島にあるもう一つの伝説で、海に住まう悪鬼が人を喰らいに島を襲ったという。
その時神の使いである猫が現れ、村に住む若者に剣を渡したと言う。
その剣を用いて、若者は悪鬼を倒したというのだ。
この二つの伝説は『村の資料館』や『港に居る釣りをしている老人』から聞ける話である。

 

7・島の施設
島の北側には港があり、そこの近くに漁村が一つある。
島の住民はその村に全員住んでいる。
村の中には小さな宿と資料館、それと教会と古びた雑貨屋がある。
また村から少し離れたところには洞窟があるが、暗い上に地面が非常に滑るため立ち入りが禁止されている。
他の場所は人が立ち入れないような鬱蒼とした森が広がっている。

 

8・村の資料館
資料館には二つの伝説について簡単にまとめた展示物が有り、少しデフォルメされた絵本も別に置いてある。
[目星]、もしくは[図書館]に成功すれば村の歴史についてまとめた書物が発見できる。
その書物には伝説を歴史的に考察する内容が書いてあり、
『もしかしたら昔は二つの伝説が同じ伝説であった可能性がある』と書かれている。

 

9・港
最初に探索者達が降り立つ港にはいくつかの漁船が停泊しており、中には魚市場の様な物もある。
昼間なら屈強そうな男達や女性達がそこで作業しているだろう。
また、朝から夕方までずっと、釣りをしている老人が居る。

 

10・港に居る釣りをしている老人
港には麦わら帽にアロハシャツを着た老人が埠頭に腰掛けており、釣り竿を垂らしている。
この老人に話しかけると村に来たことを歓迎して貰える。
老人は釣った魚を猫にあげつつ、『猫神様、今日もワシ等をお守りくだせぇな』と和やかな声で呟く。
猫が未様について聞くと、『猫の伝説』を話した後に『人魚の伝説』についても教えてくれる。
教え終わった後、『村の資料館』に行けばもう少し詳しい事が分かるだろうと教えてくれる。

 

11・宿
村にある唯一の宿泊施設で、若い女将さんが経営している。
女将の名前は土背 蘭(つちせ らん)で、住人からは蘭さんと呼ばれている。
格闘技好きでもあり、以前は空手を習って大会に出たこともある。
その影響からか、宿には格闘技雑誌がいくつか置いてある。
また、受付には以前来た格闘家の大山 道(おおやま みち)のサインが飾ってある。
数年前に惜しくも心臓麻痺でなくなった格闘家で、大変な人気を誇った選手でもある。
宿は和式の物で、大浴場に大広間、それと8つの個室がある。
個室の名前はKPが好きにしてよい。(例:すみれの間、さくらの間等)

 

12・教会
やや古い感じがするものの、手入れがされている教会がある。
西洋風の建物で、屋根にはケルト十字架に似たものが建っている。
中は広めの講堂が入り口から広がっており、壁には猫を模した絵画が飾ってある。
神父は奥の部屋で本を読んでおり、部屋を尋ねると探索者達を快く迎えてくれる。
ここには特にアイテムや情報はなく、神父もこの教会についての歴史を簡単に教えてくれるだけだ。
教会の歴史はそれなりに古く、猫の伝説が起きた後、神の使いであるその猫たちを奉る為に作られたのだという。

 

13・古びた雑貨屋
村のはずれにぽつんと立っている雑貨屋。
看板は出ていないが、『春夏冬中』という立て札は出ている。
だが、どうにも村人が利用している様子はない。
店の中には様々な雑貨が所狭しと並んでおり、奥のカウンターには一人の女性が立っている。
黒いワンピースに赤いジャケットを着た少し変わった格好の女性で、黒髪を後ろのほうで束ねている。
女性は探索者達が店に入ると、

 

「いらっしゃいませ、美貌換金屋へようこそ」

 

と語りかける。
女性は探索者達に向かって「ご入り用はなんでしょう?」と質問してくる。
店について質問された場合、女性は次のように話す。

 

「あ、お店の説明ですね?では説明させていただきます!
 当店はお客様のご希望をお客様の美貌と引き替えに変えさせていただきます。
 例えば美しい髪の毛をお持ちならそれを、綺麗な肌をお持ちでしたらその質感をと
 いった感じですね。そして頂いた分の美貌と交換で様々なアイテムを売らせて頂きます」

 

もしくはKPが判断し、最初から女性に語らせても良いだろう。
アイテムのラインナップは以下の通りで、
女性はそれについて「代価としてちょっとばかり太って頂きますが、命よりは安いですよ」
という。

 

・「ランプ」
 油もなにもないのに光るランプ。いつでもどこでも何度でも使える。
 使用する度に1D3の肥満値を消費する。
・「叫ぶ本」
 開くと大声で叫ぶ本。その叫び声を効いた相手を麻痺させる。いつでもどこでも何度でも使える。
 使用する度に1D5の肥満値を消費する。
・「瓶詰めの炎」
 相手に瓶を投げつけると、当たった相手を炎で包み20の固定ダメージを与える。一度だけ。
 使用すると1D20+5の肥満値減少。
・「巻戻る砂時計」
 箱の中に固定された砂時計で、固定を外して逆さまにすると一度だけシナリオ開始時に戻れる。
 探索者達の記憶は引き継いだまま戻れるが、一度しか使えない。
 使用するとシナリオ開始時に戻った上で1D50+10の肥満値減少。
・「飲む傷薬」
 瓶に入った10粒入りの錠剤。飲むと耐久力を2回復する。
 飲む度に1D3の肥満値減少。

 

購入するしないは探索者の自由であり、購入したからといって無理に使う必要は無い。

 

14・猫
村を探索していると、探索者達を見つめる猫が現れる。
KPは好きなタイミングで猫を出して良いが、村の探索が一段落した辺りが妥当だろう。
この猫は他の猫と違い、探索者達を誘うように動く。
この猫について行くと洞窟の方へと向かっていくのが分かる。
洞窟には立ち入り禁止の立て札とロープが張ってある。
猫を追って洞窟にたどり着くと、猫は洞窟の中へと入っていき、暫くして剣を渡してくる。
青銅で出来た剣だが、この剣はさび付いており全くもって切れそうには無い。
それを渡すと、猫は姿を消してしまう。

 

15・夜の島と大嵐
夜になると、急激に天候が悪くなり、海が荒れ始める。
宿や村にいる人に話を聞くと、二三日は戻れないという意見が出る。
そして、その夜深夜2時頃になると酷い腐臭がする。
探索者が起きている場合は[目星]を、寝ている場合は[幸運]を振らせ、成功した場合は気付くようにする事。
腐臭は島の奥の方から漂ってきており、[追跡]や[目星]に成功すればたどれる。
2回成功すれば匂いの元へたどり着くことが出来、それは洞窟から漂っていることが分かる。
洞窟からは嫌な気配が漂い、[聞き耳]に成功すれば洞窟の奥から嫌らしい声が響くのが分かるだろう。
この声を聴いてしまった探索者は[アイデア]をし、成功した場合はこの世の物ではない声だと言うことに気付いてSANチェックとなる。
成功で1、失敗で1D3の減少をする。
探索者が洞窟の中に入ろうとした場合、KPはそれとなく準備するように促すこと。
勿論入らないという選択肢も問題無い。
また、古びた雑貨屋は24時間開いている。

 

16・洞窟の中
洞窟の中は酷く暗く、明かりが無ければ[DEX×3]、明かりがある場合は[DEX×5]に成功しないと移動出来ない。
失敗した場合はその場で転び、1ポイントのダメージを受ける。
移動判定に3回成功すれば洞窟の奥にたどり着く。
そこには奇妙な生物が居る。
魚のような鱗に体中が覆われ、頭には変形した耳のような物が有り、どこか猫を思わせる。
顔は酷く爛れており、皮膚の色は漆黒の色をしている。
鼻につく腐卵臭がし、背丈は2m程ある。
この異形の生き物を見た探索者はSANチェックをする。
成功で1D3、失敗で1D8の喪失である。
また、この生き物が立っている場所の奥には白骨死体が何体も乱雑に置かれている。
生き物の横には一人の女が立っており、探索者を見つけるとクスクスと笑い出す。

 

「良い子たちね、自分から生け贄になりに来るなんて」

 

そう女は呟く。
この声を聴いた探索者達は[アイデア]をし、成功するとこの声が土背蘭の物であることに気付く。
生き物は蘭の

 

「さあ、旦那様。新しい贄にございます・・・」

 

と言う声を聴くと、咆哮を上げて殴りかかってくる。

 

生き物
STR=15
CON=20
SIZ=18
INT=9
POW=25
DEX=13
APP=−
EDU=−
耐久:19
装甲:5
DB:1D6
[こぶし]:50
[爪でひっかく]:30
[回避]:45

 

女(土背蘭)
STR=8
CON=8
SIZ=9
INT=9
POW=18
DEX=14
APP=15
EDU=17
耐久:9
DB:0
[こぶし]:50(スタンガンによる気絶ロール有り)
[呪文・肥大]:消費MP3 対象1体を肥満化させる。
       受けた相手は1D5の肥満値減少。

 

戦闘開始から3ターン経過すると、探索者達に剣を渡した猫が現れる。
猫が場に現れると、探索者達に渡された剣が光り輝く。
この剣は[こぶし]で振れる。威力は1D6。
もしサプリ2010などを併用する場合は[日本刀]で振ること。
[日本刀]で振った場合には攻撃成功時に+2のダメージが必ず入る。
また、この剣で攻撃するときに限り生き物の装甲は無視される。

 

17・生き物の死
生き物を退治出来た場合、生き物はこの世の物とは思えない叫び声を上げて絶命する。
その死体は灰の様になり、その場に残る。
女の方は(生存中や気絶していない場合)その光景を見て膝から崩れ落ちる。
そして徐々に皮膚が干涸らびていき、最後にはミイラの様になって死ぬ。
この光景を見た探索者はSANチェックをする事。
成功の場合1、失敗の場合は1D3減らす。
生き物の死を確認した猫は悲しそうに一瞬俯くと、その場を立ち去る。
探索者はこの場を離れ、村に戻ると夜が明けており、大嵐が嘘だったかのような快晴が広がっている。
シナリオは以上である。
探索者が後日談を希望する場合、KPは探索者達は何とか近くの民家までたどり着き、事情を話して本土の警察を呼ぶことに成功した。
そして検視の結果、化け物の奥にあった白骨死体は最近行方不明になっていた女性の物であり、
土背蘭は老衰で死んだと言うことが分かったと伝え、シナリオ終了を改めて伝えると良いだろう。

 

18・本当の村の伝説と事の発端
この村の伝説の元となった出来事は以下の通りである。
・この地を治めていた神が二匹の猫に生まれ変わった。
・だが片方は神の力が暴走し、まるで化け物の様になってしまった。
・これを悲しんだ島の巫女がその神と共に島奥深くにある洞窟へと移り住んだ。
・だがこれを認めなかった巫女の父親は、洞窟に火を放ち巫女を焼き殺してしまった。
・怒り狂った神は村を襲い、もう一方の神は仕方なしに剣を村の若者に渡して
 共に化け物となった神を洞窟に封じた。
最近になってここに移り住んだ土背蘭は、この人魚伝説を聞き、衰えつつあった自分の体を若返らせるために洞窟の奥へと入った。
彼女は先祖から伝わる魔術の本(ルルイエ異本の不完全なレプリカ)を用いて化け物となった神を蘇らせた。
蘭はこの神に供物(攫ってきて太らせた女性)を捧げ、代わりに神の力で若い姿を保っていたのだ。
蘭は二日目以降、深夜探索者を一人、攫いに来る。
探索者が複数居る場合、KPは好きな探索者を攫って良い。
攫う場合、探索者は[アイデア]か[幸運]を振り、成功すれば蘭に反撃が出来る。
この場合蘭は素早く逃げ去り、宿の裏口から何食わぬ顔で宿に入ってきて、さも今騒ぎを聞きつけて起きたかのように現れる。
蘭は昼間宿に居るため、夜以外に洞窟へ入ると蘭は居ない。

もし蘭に攫われてしまった場合、攫われた探索者は一時的に行動不能になる。
攫われた探索者の元に他の探索者が来るまでにかかった時間によって、攫われた探索者の減少する肥満値が変わる。
1〜2時間の場合は2、2〜3時間の場合は4、3〜4の場合は6と、一時間事に減少する肥満値が2ずつ増加する。
もし探索者が一人の場合、探索者は体を締め上げる縄と対抗ロールをする。
縄の耐久は10であり、筋力対抗ロールで振りほどける。
この対抗ロールに失敗した場合、肥満値を1D2減らすこと。
耐久ロールに成功した場合は蘭と化け物と戦闘する。
この後の流れは『16・洞窟の中』及び『17・生き物の死』と同じである。


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