648氏による強制肥満化SS

648氏による強制肥満化SS

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 夜、パソコンのディスプレイを見ながら俺、奇乃玲治(キノレイジ)はため息をついた。
「あのクソアマ……やってくれるじゃねぇか」
 机の上にきちんと写真立てに収められた写真を見ながら、つい2時間ほど前のできごとを思い返してしまう。
 俺の目の前で泣き続ける一人の少女、小柄で胸も小さく細くて、めがねのレンズの向こう側に見える眼が真っ赤になるほどなき続けていた鏡神子(カガミミコ)……俺の彼女だ。
 高校1年のときにいろいろなことがあって知り合い、結果的に付き合い始めた。
 初めのころはおとなしくて、気が小さいせいなのか、うまく会話が成立しにくかったが、1年たった今では普通に会話ができるくらいになった。
 めがねをはずせばかわいくて、俺のことを好いてくれてる、俺の大事な人が、俺の胸の中で泣き続ける。
 男として、それを無視できるか?
 できるわけない。
 事情を聞きだすまでにも1時間以上かかったとはいえ、聞いた後、また泣き続ける神子をなだめつつ、トリアエズ、今日は俺が借りているアパートに泊まらせた。
 一人暮らしだとこういうことができるからある意味気楽だと思いつつ、隣の部屋からかすかに寝息を聞き、安心する。
「泣き疲れて眠ったか」

 

 学校帰りに公衆トイレに連れ込まれ、服をすべて脱がされた上でまだ肌寒い3月の始めなのに水びだしにして携帯で撮影された。
 買い物帰りに偶然見かけてその異常な状態に気がつき、家に連れ込んだというわけなのだが……問題はその犯人だった。

 

 香山玲子、同級生で父親が大企業の社長の上に母親が超やり手の弁護士の一言で言うとお嬢様、しかも、非常にたちが悪い。
 自分の望みがすべてかなわないときがすまないわがままぶり。
 すべての人間は自分よりも格が下だと思い込んでいる傲慢さ。
 背も高く、クォーターらしく金色の髪と青い目、抜群のスタイルのおかげで、奴隷もたくさん居る。
 とどめに、外面だけはとことん、しかも果てしなくいい人ぶって、他人をいたぶる。

 

 まさに、最悪の一言に尽きる。

 

 自慢ではないが俺は不良が10人まとめてかかってきても勝てる自信はある。
 腕っ節が強いわけではないのだが、まあ、そこはいろいろな方法をつかっている。
 しかし、相手が女ではまず殴れない。その上母親の職業を考えれば間違いなく俺は負ける。
 もっと、いい方法はないのか…………
 あのクソアマを失望と絶望のどん底に叩き落し、もう二度と立ち上がる気力すら失わせ、死ぬほうが楽だと思えるくらいの目にあわせる。

 

 そんな方法はないのか……

 

 次の日、神子は学校に行きたくないというので仕方なく神子の両親に連絡させて、俺の口からある程度のウソ事情を説明し、学校を休ませることを承諾させた。本当は全部の事情を話してもよかったのだが、
「ごめんなさい……両親に心配かけたくないから……レイジー君のウソでごまかして下さい」
 と、言う本人の強い願いを尊重した。
 実際、うそを付いたりだますことなんて慣れっこだから。

 

 俺は神子を残しておくことが心配だったがひとまず学校へと向かい、教室に入る。
「お、レイジー、今日は早いな」
 俺の席の隣で親友、黒野丈二(クロノジョウジ)がなにやら内職活動を行いつつ、俺のほうを見た。
「まあ、いろいろとあってな、ちょいと動くだけさ」
 その言葉だけで丈二はなにやら不信感を感じたのか、表情が少しだけ曇る。
「無茶だけはするなよ」
 俺は返事をしつつ、かばんをおいてから教室を後にした。

 

 学校中を回るだけ周り、噂話などを徹底的にリサーチしたあと、正面ゲートの脇の壁に寄りかかり、待つものを待っていた。
 通り過ぎていく生徒たちは俺の姿を見ておびえるやつも居れば笑いながら軽く挨拶するやつもいるが、目的のやつは目立つようにして現れた。
 黒いリムジンがゆっくりと校門へと進んでいく。
「来たか」
 俺は壁から背を離し、そのリムジンの扉が開かれるのを待つ。
 運転手らしき男が降りてきて扉に手をかけた。
「はい、お前はちょいとカモン」
 そんな声と同時に俺の首の後ろに衝撃が走り……意識を失った。

 

「まったく、悪いなお前らに任せて」
「気にするな、時間的にちょうどよかったからな」
「まあ、俺はこのあとの展開を期待したかったけど」
 のんきな声が聞こえてくる。
「丈二……剣、それに蓮」
 俺は体を起こし、状況を確認する。
 学校の屋上、時間は12時過ぎ、目の前には丈二、そして、俺と丈二の友達の上島剣(カミシマツルギ)さらに唐草蓮(カラクサレン)が昼飯を食べている。
「何で邪魔するんだよ」
 俺は首を押さえつつ文句を言う。
「だってな、神子からメールが着て、何かやろうとしてたら止めてくれって頼まれたからな」
 丈二はそのメールを俺に見せながらあきれ口調で言う。
「まったく、何かやる前には俺らに相談しろって言ってるだろ、神子が悲しんだらどうするんだよ」
 何気に説教モードに入る丈二を無視して、剣が俺にメロンパンを投げてくる。
「ちなみに出席は安心しておけ、気絶させた状態で席に座らせておいたから」
 蓮の言葉に俺は苦笑いしつつも先ほどからふつふつと湧き上がるどす黒いものをどうするかを考えた。
「それで……事情を説明しろ」

 丈二に促されて俺は昨日の夜、神子から聞きだしたことを洗いざらいすべて白状した。

 

「ほうほうほう、こいつは面白いな」
 蓮は面白そうに笑っている。
「たちが悪いな……」
 剣は不愉快そうに顔をしかめる
「殺るか?」
 他人を説教しておきながら一番物騒なことを言っている。
「まて、それはまずいだろ」
 蓮は笑いながら丈二をなだめた。
「殺る前に社会的に抹消してからにしないと」
 もっと物騒なことを言う蓮にあきれつつ、俺は口を開いた。
「大体な、俺は武力行使でことを済ませるつもりはない、あくまで口で終わらせるつもりだったさ」
 もちろん、償いはさせるつもりではあるが、
「とりあえず、話から推測するに、あのアマの携帯の中にある画像をどうにかしないとな」
 そういって蓮はポケットからカスタムポケコンを取り出し、なにやらやり始める。
「まあ、帰りにウチにこいよ、お前の黒い復讐心を満足させるものを用意してやるから」
 怪しげに……そして、邪悪に笑う蓮をみて、俺の顔も笑い始める。

 

 放課後、俺たち4人は学校へ出た。
 例の画像は昼休みに蓮がハッキングで完全に消去してくれたので、チェーンメールは防ぐことはできたが、昼休みに香山玲子が神子を訪ねて教室に来たことが気がかりだった。
「まあ、大方脅して奴隷にでもするつもりなんじゃないのか?」
 丈二はそういって、正面ゲートのほうを指差した。

 

「「お気をつけて!!」」

 

 大勢の男子生徒を両側に立たせ、側近のような女子たちを率いて香山玲子はリムジンに向かって歩き出していた。
「皆さんも気をつけてくださいね」
 リムジンに乗る前にそういって去って言った。

 

「まあ、これがあと何日続くのやら」
 蓮の言葉が疑問に思えたが、俺たちは少し急いで商店街のウラ路地にある蓮の実家、『唐草堂』へと足を進めた。
「最近ちょっと面白いビジネスを始めたんでな、その報酬でいいもの作れるようになったんだ」
 蓮は表口から店に入り、俺たちも後に続く、
「あ、お帰りなさいませ」
 店番の女性が丁寧に蓮にお辞儀し、蓮はひそひそと店番の女性に耳打ちし、俺たちを店の地下へといざなう。
 何度か入ったことがあるといえど、この地下室だけはあまり心地よくはない。
 ろうそく型の電灯が無数に並べられ、地面には何重にも重ねられた魔方陣、そのくせ、周囲には大型パソコンの本体が乱雑している。
 新旧入り混じったちぐはぐな空間、とでも言えばいいだろう。
「で? これがそれなのか?」
 剣は魔方陣の中心に置かれた黒い箱を指差した。
「ん、違う違う、それはあくまでマテリアル、素材だから」
 そう言うと蓮は笑いながら魔法陣の前に置かれたパソコンのモニターとキーボードの前に座った。
「ちょっち、待っててくれや」
 蓮がパソコンでなにやら操作をし始めると、魔方陣が不気味に輝きだし、ろうそく型の電灯から光が陣の中心部に向かって伸び始める。
「……おいおい、何をおっぱじめる気だ」

 丈二は楽しそうにこの状況を見守っている。
光がすべて集まると、なにやら黒いものが陣の中心部におかれた箱から漏れ出し、だんだん人型になって行く。

 

『われをヨビダスモノハダレダ』
 感情というものがこもっていない声が地下室に響き渡る。
「おれだよ」
「あれ? 蓮じゃない〜〜〜〜〜」
 蓮がそう言うと、 黒い闇から一人の紐のようなもので全身を包んでいる女が飛び出し、蓮に抱きつこうとしてくる。
「抱きつくな、この変態悪魔」
 蓮はいきなりそばに置いてあった槍でその変態悪魔と読んだ女を貫いた。
「ひっど〜〜い、ロンギヌス・レプリカ使わないでよ」
 背中からはやしたこうもりの翼で空中に浮かびながら変態悪魔はむすっとしている。
「あの〜〜、状況を教えてくれ」
 俺は耐えかねて蓮に声をかける。丈二は大爆笑、剣にいたっては気絶中。
「ん、紹介するな、俺の知り合いで悪魔のマテリだ」
「マテリでーす。よろしくね」
 マテリとか言う悪魔は槍を引っこ抜いてかわいらしく挨拶をする。
 見た目は俺らと同じくらいの顔つき、でも体はかなり貧相だ。
「さて、レイジー、願い事を言えよ、こいつがかなえてくれるぜ」

 蓮の表情が隣に居る悪魔よりも悪魔っぽく見える。
「蓮〜〜面倒だから勝手にやっていい?」
 ものすごく殴りたくなってきた。この悪魔。
「説明もめんどくさいし、やってもいいぞ」
 トリアエズその槍よこせ、手前ら串刺しにしてやるから。
 そう考えていると、いきなりマテリとか言う悪魔は尻尾を生やし、俺の頭にぷすりと尻尾を勢いよく差し込んだ。
「少々お待ちください〜〜〜」
 そう言ってマテリは目を閉じ、数回頷くと尻尾を差し込んだまま伸ばして、魔方陣の中心へと戻った。
「事情は読めたけど、コースは3通りあるけどどうする?」

 

  A その女を同じ目に合わせる。
  B その女の魂を抜き取る
  C その女を廃人にする。

 

 その選択肢を聞き、丈二はCと即答する。
 剣はAと、蓮はノーコメントだった。
「じゃあ、Cで」
 廃人というのは少々いきすぎかもしれないが、これも因果応報だと思う。
「あいよ〜〜ちょっとまってね〜〜」
 そう言ってマテリは中を舞い続け、なにやら呪文を唱えていく。
 頭がボーとし始める。
「さて、ちょっと邪魔者はご退場願いますか」
 飛びながらマテリは指を鳴らすと俺の周囲にいたみんなが消えた。
「あ? あいつらどこにやったんだ?」
「違う違う、あたしたちが亜空間に移動したの」
 周囲を見渡すと陣も照明もパソコンもすべて消えていた。
「はい、これでOK」
 とくにこれといって変化はない。
「何をしたんだ?」
「まあ、簡単に言うと、あんたが望んだとおりに世界をゆがませることができるのよ、錬金術とかいったかな?」

 俺はその場で盛大にこけた。
「……ちょっと待て、それって某小説の錬金術師がヤッチマッタ錬金術の奥義だろ、しかも自滅してるぞそいつ!!」
「大丈夫よ、あくまであんたが望んだとおりって言っても、起動には条件がいるんだから」
 そう言ってマテリは指輪を俺にはめた。
「この指輪をはめた状態で、対象にしたいものの一部、もしくはかけらでもいいから触った状態で念じればそうなる」
 俺は試しに自分のポケットに入っていた千円札を握り締めた。
(一万円……こいつが一万円になる)
 拳を開いてみると先ほどまで漱石だったのが、確かに諭吉になっている。
「ちなみに、漠然としたイメージでもこっちのほうである程度修正するから、そんなに真剣にやらなくてもいいよ」

 

(……こいつ、なんていうか、ペチャだよな)
 俺はふとそうよぎり、思考を開始した。
「ん? ちょっと、なに考えてるのよ!!」
 貧相だったマテリの胸が少しずつ膨らみ始めてくる、
 腕で隠しながらマテリは必死に叫ぶが、俺はやめる気はゼンゼンない。 
 人並みになり、人を超え、ひもの間から肉が漏れ始めている。
(面白いな)
 むしろ、ちょっと面白いことを思いついてしまった。
「じゃあ、これでどうだ?」
 相変わらず膨らみ続け、グラビアモデルサイズをとっくに突破したマテリの胸と同時に今度はおなかが膨らみだしていく。
「ちょっと〜〜〜〜やめてよ〜〜〜」
 おなかだけじゃない。全身が少しずつ膨張し始めていく、いや、太っていく。
 太ももはボンレスハムのようになり、互いの内側が密着していく。
 先ほどまで己の存在を誇っていた胸はさらに質量を増やしつつも、その下で膨らむ腹などの存在の前にかすんでしまう。
「やめてって言ってるでしょ!!」
 二重顎となった口元を必死に動かしながらマテリはにらみつけてくる。

 俺に襲い掛かってくる気配を感じたので、とっさに思考回路をフル稼働させた。
「ごふぉぉぉぉぉ」
 一瞬にしてマテリの質量は何十倍に膨れ上がり、倒れた。大きすぎる腹が床に完全に着き、ソコからさらに質量を増やしていくことによって、地面から足が離れ、その場から完全に動けなくなってしまった。
 「なるほどねぇ、これは面白い」
 もともとそういう系列のサイトなどを巡っていたこともあって、俺の頭のなかでイメージは非常に作りやすかった。
 下半身を集中的に太らせ、バランスを(といっても肉塊には変わりないが)整えた。
 巨大な肉塊が俺の目の前に立ちはだかっている。
 胸は元から大きくしていたこともあって超超クラスのサイズなのだが、あまりにも大きすぎるため垂れ下がり、
 その下でその胸を押し上げるかのように巨大な腹が存在を強調し、わき腹の肉のせいで丸太並みの腕は下げることが不可能となり、垂れ下がった腹の贅肉は股ではさみ、尻よりも後ろ側にまで広がっている。
「もどにもどじで」
 息も絶え絶えに、首の肉、肩の肉、ほほの肉に圧迫された口でマテリは懇願する。
「ああ、そうだな」
 俺はなんとなく、指を鳴らした。すぐさまマテリの体は縮んでいき、元のサイズ……よりも大きめの位置でとめた。
「何で完全に戻してくれないよ」
 ややぽっちゃりとした体を見てマテリは怒鳴りつけてくる。
「まあ、待て待て、ん〜〜〜やわらかいな」

 俺はマテリの腹の脂肪を突っついてそのやわらかさを体験した。

 

 その後、マテリの姿を元に戻し、最後の確認事項済ませていく。
「なあ、ちなみに悪魔と契約したから魂は取られるのか?」
「とらないわよ、最近そんなものをとるよりも他のもののほうがいいんだから、それにそういうのは蓮がやるから気にしなくても良いわよ」
「そうか……」
「あ、そうそう、あまりにもむちゃくちゃなことやると世界が崩壊するからその辺はこっちでリミッターつけさせてもらったから」
 その言葉を聞いて俺は言っている意味が分からなかった。
「世界の崩壊?」
「まあ、細かいことは気にしなくても良いけど、さっきみたいな……」
「高速での処理のことか?」
 マテリは首を縦に振った。
「もうちょっと制限して、条件をつけるとかしてやれば最終的に問題はないけど、もしもさっきみたいなことを外でやったら……まあ、聖書級世界崩壊をおこすかもしれないから」
 俺は冷や汗が流れた。
 何気に責任重大なんじゃないのか?
「まあ、へた打たなければ大丈夫大丈夫、ってまた変なこと考えてるでしょ!!」
 せっかく元に戻ったマテリの体は再び肥大化し始めた。
「オケィ、オーケィ、冗談はやめてそろそろ戻してもらおうか」

 俺はマテリの姿を元に戻し、指輪をはずした。
「だいたい、やめてほしかったら、俺の頭に挿しっぱなしの尻尾を抜けばよかったのに」
「あ……」
 マテリは今頃になって気がついたのか、慌てて俺の頭から尻尾をはずした。

 

その後、戻ってきたマテリと俺からある程度の説明を3人とも受けた後、マテリは様々な機能を追加してくれた。
「それじゃあ、そろそろ帰るわね、蓮。報酬宜しく!!」
 そう言ってマテリは闇に解けていった。
「なあ、報酬ってナンなんだ?」
 丈二は先ほどまでの話を頭の中で整理しながら蓮にたずねる。
「インターネットの接続とか、パソコンとかだよ」
 蓮の言葉に俺は耳を疑った。
「最近、アッチの世界でも顧客をゲットするために様々な欲望を持ったやつを探すのに便利らしくてな、俺が繋いでる」
 ……悪魔の世界にもネットワーク社会の荒波が押し寄せているらしい。
「それに悪魔同士のコミニュケーションとかも取るためにホームページ作ってるやつもいるから、俺がまとめてサーバー管理してるんだよ」
 どうやらこの地下室にあるパソコンは全部悪魔たちのサーバーなどに使われているようだ。
「それはともかく、その機能を使って何をする気なんだ?」
 剣が俺に尋ねてくる。
「トリアエズ最低限必要なものを揃えることからはじめなきゃあかんし、そっから考えよう」
 俺は指輪を握り締め、みんなの顔を見渡した。

 

「さあ、これからが俺たち、4Kの祭りの始まりだ!!」

 

 

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